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「なあ、子供はいつ産まれるんや?」
「こ、子供って……。まだ妊娠したかも分からないのに」
「できたに決まっとるやろ~。俺の子種や。何度もピューッとお前の卵巣にひとっ飛びやったからなあ。それに溢れるほどに子種を注いでやったやろ」
二人は日本庭園を見ながら縁側で寛いでいた。鞍馬は珠音の太股に頭を置き、子供のような笑顔を見せている。そんな彼の頭を優しく撫でながら、珠音はクスクスと笑う。
大きな身体なのに鞍馬は甘えん坊の幼児みたいだ。愛おしいという感情が沸々と湧き上がる。
「凄い自信ね。出産まで十月十日っていうから、子供ができていたらあと十ヶ月後とかかしら?」
「はあ? 十ヶ月やって~? 子供が産まれるまでそんなに掛るんか~」
驚いた顔をした鞍馬だったが、珠音の顔を引き寄せて唇を重ねてきた。引き込まれそうな深紅の瞳の中に、自分が映っている。もう彼の中に囚われてしまったと珠音は自覚した。
「異界に住む決心はついたか?」
「……どうせ帰れないんでしょ? それに私には家族もいなかったし。未練がないわけではないけど、しょうがないじゃない」
ハッキリ言って、珠音にはまだこれが愛かは分からない。しかし、心が鞍馬を受け入れようとしているのは分かる。愛だと自信を持って言えるまでは、もう少し時間が必要だが。
「なあ、新婚旅行は何処に行きたい? 国内限定やけど」
「新婚旅行? そうねえ……。ん? ちょっと待って! この山に入ったら下界に戻れないんじゃなかった?」
「あ! しもた!」
「鞍馬天狗様……、折角上手く騙せていたものを! しかし、まだ騙せるかもしれませんぞ! 珠姫様は鈍い――」
木の葉天狗が運んできた抹茶を置いて、コソコソと何かを鞍馬に話している。
「嘘をついていたのね!」
鞍馬を押しのけて駆け出したが、簡単に拘束され唇を塞がれた。絡まる舌から流れ込む唾液。それが喉を伝っていく。
「念の為に、今夜も子作りしよか?」
「む、無理! 東京に帰る!」
「無理なもんか~。お前のココは既に俺を誘う匂いを出しとるわ。それにもう帰えさんというたやろ。下界のことを忘れる程に激しく抱いたろな」
鞍馬の手が太股の間に沈んでいく。指先が触れた先から卑猥な水音が漏れてきた。
「あぁぁぁ! やぁ……」
珠音の身体は簡単に鞍馬を受け入れてしまう。やはり、運命の番なのかもしれない……。
「帰りたいなんて二度と言うな……。お前は俺の運命の番やねんから――」
捨て犬のような顔を見せる鞍馬は、ジッと深紅の瞳で珠音を見つめる。そんな顔をされたら、心がギュッと掴まれてしまうではないか。
「……少しだけ、いてあげるわ。本当に少しだけよ」
二人の熱い絡み合いは、その後、またも三日三晩続いたのだった。
ーーーおわりーーー
「なあ、子供はいつ産まれるんや?」
「こ、子供って……。まだ妊娠したかも分からないのに」
「できたに決まっとるやろ~。俺の子種や。何度もピューッとお前の卵巣にひとっ飛びやったからなあ。それに溢れるほどに子種を注いでやったやろ」
二人は日本庭園を見ながら縁側で寛いでいた。鞍馬は珠音の太股に頭を置き、子供のような笑顔を見せている。そんな彼の頭を優しく撫でながら、珠音はクスクスと笑う。
大きな身体なのに鞍馬は甘えん坊の幼児みたいだ。愛おしいという感情が沸々と湧き上がる。
「凄い自信ね。出産まで十月十日っていうから、子供ができていたらあと十ヶ月後とかかしら?」
「はあ? 十ヶ月やって~? 子供が産まれるまでそんなに掛るんか~」
驚いた顔をした鞍馬だったが、珠音の顔を引き寄せて唇を重ねてきた。引き込まれそうな深紅の瞳の中に、自分が映っている。もう彼の中に囚われてしまったと珠音は自覚した。
「異界に住む決心はついたか?」
「……どうせ帰れないんでしょ? それに私には家族もいなかったし。未練がないわけではないけど、しょうがないじゃない」
ハッキリ言って、珠音にはまだこれが愛かは分からない。しかし、心が鞍馬を受け入れようとしているのは分かる。愛だと自信を持って言えるまでは、もう少し時間が必要だが。
「なあ、新婚旅行は何処に行きたい? 国内限定やけど」
「新婚旅行? そうねえ……。ん? ちょっと待って! この山に入ったら下界に戻れないんじゃなかった?」
「あ! しもた!」
「鞍馬天狗様……、折角上手く騙せていたものを! しかし、まだ騙せるかもしれませんぞ! 珠姫様は鈍い――」
木の葉天狗が運んできた抹茶を置いて、コソコソと何かを鞍馬に話している。
「嘘をついていたのね!」
鞍馬を押しのけて駆け出したが、簡単に拘束され唇を塞がれた。絡まる舌から流れ込む唾液。それが喉を伝っていく。
「念の為に、今夜も子作りしよか?」
「む、無理! 東京に帰る!」
「無理なもんか~。お前のココは既に俺を誘う匂いを出しとるわ。それにもう帰えさんというたやろ。下界のことを忘れる程に激しく抱いたろな」
鞍馬の手が太股の間に沈んでいく。指先が触れた先から卑猥な水音が漏れてきた。
「あぁぁぁ! やぁ……」
珠音の身体は簡単に鞍馬を受け入れてしまう。やはり、運命の番なのかもしれない……。
「帰りたいなんて二度と言うな……。お前は俺の運命の番やねんから――」
捨て犬のような顔を見せる鞍馬は、ジッと深紅の瞳で珠音を見つめる。そんな顔をされたら、心がギュッと掴まれてしまうではないか。
「……少しだけ、いてあげるわ。本当に少しだけよ」
二人の熱い絡み合いは、その後、またも三日三晩続いたのだった。
ーーーおわりーーー
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