鞍馬天狗に拐かされた私。~運命の番で神の子を孕める巫女ですって? それでも規格外は無理です!~

寺原しんまる

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「……いや、そんなわけはないじゃない。サイズだって明らかに違うし。どうしろと――」
「お前は俺の運命の番や……。生まれる前から決まっとった。俺はお前が京都から引越しても、住んでいる土地に何度も見にいってる。初めて立って歩いた日、お前は俺に向かって最初の一歩を踏み出したんや……。初めて発した言葉も『くらま』やで」
「えっ……? そんなの、覚えてないし」

 優しく微笑む鞍馬は、腕を伸ばして珠音の肩を抱く。そしてグッと引き寄せられ、腕の中に包まれるような姿勢になった。

「小さかった赤子が大きくなった。子を孕める女へと成長した。大事に大事に守ったからな。男をお前に近づけさせないのは骨を折ったわ。皆んなお前の匂いに釣られて──」
「え……? どういうこと?」
「お前の一族は巫女の血筋で、神と契れる唯一の人間。清い魂は魅力的なんやろう。それに甘い匂いもする。だから男と魑魅魍魎が群がるんや」

 珠音は物心ついたときから「妖」の存在に気がついていた。小さなものから大きなものまで。悪さをしているものが大半だが、悪さの度合いは「悪戯」程度。時々、大事故や災害時には巨大な妖を見ることもあったが、それは希なこと。

「妖は私に近づいてこなかったわ……。男性とは、ハッキリ言って一度も付き合ったことはないし、合コンでも存在を無視されて──」
「それは俺の力が関係しとる。結界をはらしてもらってた。そうせんと、お前の匂いに狂った者たちに犯されてしまうからな。それでも近寄ってくる者は脅かしてやった」
「じゃあ、彼氏いない歴=年齢って鞍馬さんの所為だったってこと?」

 鞍馬は大袈裟に肩を下げて溜め息を吐く。呆れたように少し口を開けては閉じ、太股をポンポンと指で叩いている。

「お前は狂った男に死ぬまで犯されたかったのか? 魑魅魍魎なんかは、四肢を捥いで食べながら犯すぞ!」
「い、いや~!」
「お前の純潔は俺のもの。お前を破瓜するのは俺だけの特権や。なんでやって? それはお前が俺の番いやと、生まれる前から決まっとったからや」

 しかしここで疑問が湧く。生まれる前から決まっていたなら、どうして両親は京都を離れたのか。そして「関西弁を話す人物」からも遠ざけたのか。

「お前の両親は『力』が全くなかった。お前の母親が巫女の家系だったが、彼女は何も知らないで育っている。数百年に一度しか巫女は生まれないからだ。ただ、本能として俺を怖がった。娘を連れ去る者だと理解したのだろうな」

 その場で押し倒されて仰向けになる珠音は、身体がドクドクと火照っていることに気が付く。前合わせがはだけ、太腿が露わになった。それを手で隠そうとしたが、鞍馬に両手を頭の上へと移動させられ拘束される。

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