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屋敷に着いてから木葉天狗が一から説明してくれたが、どうやら珠音が最初に降り立ったのは、今は物置として使っている屋敷の方だったということ。それを本宅だと珠音が勝手に勘違いしていたようだった。
宴会の間のような場所で隣り合って座る珠音と鞍馬。その周囲には配膳をする美女天狗が数人座っている。
木の葉天狗が追加の酒持って現れた。小さな子供の様な身体だが力持ちなのか、大きな徳利を軽々と運んでいる。
鞍馬の膳には日本酒とツマミ。珠音の膳には下界と同じような和食が並んでいた。焼き魚に煮物。吸物、田楽に箸休め。派手さはないが、丁寧に作られた品々だと一目で分かる。
「似おてるで、その朱色の着物。お前の大きな黒い瞳にピッタリや」
「き、着物なんて子供の頃に着た浴衣以来よ……」
「ここでは、ずっと着物やで。脱がせやすいからな。いつでもどこでも子作り開始できるやろ?」
「な、なに言ってるのよ!」
珠音はボロボロだった服を着替えさせられ、単衣の着物を着ていた。派手ではない柄。髪も綺麗に結われ、頭を動かすと花の簪がシャラシャラと音を出す。
豪華絢爛な屋敷には、沢山の使用人(天狗)がいた。皆、背中に羽根が生えており、和装で美男美女。珠音は目を大きく見開いて彼らを見てしまう。勝手に使用人は木の葉天狗一人だと思っていたが、どうやら見当違いだったようだ。
女性は皆んなナイスバディで妖艶。そんな彼女たちではなく、お世辞でもセクシーとは言えない珠音を番だという鞍馬を、とてもではないが信じられない。珠音は少し小ぶりの自分の胸と、彼女たちの爆乳を交互に見てしまう。
「どうして私なの? ここの女性はみんな美人でしょ。彼女たちと、こ、子作りすれば良いじゃない……」
「はあ? あれらは位が低いから俺の子種を授精できんわ。俺の力が強すぎて、口もきけん。会話にならん。それに摩羅を入れたら破裂する」
「破裂って……、怖いんだけど。それに位っていうけど、私なんて人間でしょ? 神様の子供なんて無理──」
「お前はほんまに綺麗で魅力的や。魂が清いし処女やし……。俺は心が汚れとる奴の側にはおれん」
鞍馬は珠音を強引に抱き寄せてきた。口に酒を含んで、そのまま口移しで飲ませてくる。珠音はドンドンと彼の胸を押して拒絶したが、無理矢理唇をこじ開けられ酒が流し込まれていく。
喉をゆっくりと伝っていく酒は滑らかだ。初めて味わう不思議な風味。四肢に染み渡るアルコール濃度は高い。神酒とはこういうものをいうのかと、身体が歓喜に震える。やはり酒も下界とは違うのだろうか。
「美味いか?」
「お、おいしい……」
宴会の間のような場所で隣り合って座る珠音と鞍馬。その周囲には配膳をする美女天狗が数人座っている。
木の葉天狗が追加の酒持って現れた。小さな子供の様な身体だが力持ちなのか、大きな徳利を軽々と運んでいる。
鞍馬の膳には日本酒とツマミ。珠音の膳には下界と同じような和食が並んでいた。焼き魚に煮物。吸物、田楽に箸休め。派手さはないが、丁寧に作られた品々だと一目で分かる。
「似おてるで、その朱色の着物。お前の大きな黒い瞳にピッタリや」
「き、着物なんて子供の頃に着た浴衣以来よ……」
「ここでは、ずっと着物やで。脱がせやすいからな。いつでもどこでも子作り開始できるやろ?」
「な、なに言ってるのよ!」
珠音はボロボロだった服を着替えさせられ、単衣の着物を着ていた。派手ではない柄。髪も綺麗に結われ、頭を動かすと花の簪がシャラシャラと音を出す。
豪華絢爛な屋敷には、沢山の使用人(天狗)がいた。皆、背中に羽根が生えており、和装で美男美女。珠音は目を大きく見開いて彼らを見てしまう。勝手に使用人は木の葉天狗一人だと思っていたが、どうやら見当違いだったようだ。
女性は皆んなナイスバディで妖艶。そんな彼女たちではなく、お世辞でもセクシーとは言えない珠音を番だという鞍馬を、とてもではないが信じられない。珠音は少し小ぶりの自分の胸と、彼女たちの爆乳を交互に見てしまう。
「どうして私なの? ここの女性はみんな美人でしょ。彼女たちと、こ、子作りすれば良いじゃない……」
「はあ? あれらは位が低いから俺の子種を授精できんわ。俺の力が強すぎて、口もきけん。会話にならん。それに摩羅を入れたら破裂する」
「破裂って……、怖いんだけど。それに位っていうけど、私なんて人間でしょ? 神様の子供なんて無理──」
「お前はほんまに綺麗で魅力的や。魂が清いし処女やし……。俺は心が汚れとる奴の側にはおれん」
鞍馬は珠音を強引に抱き寄せてきた。口に酒を含んで、そのまま口移しで飲ませてくる。珠音はドンドンと彼の胸を押して拒絶したが、無理矢理唇をこじ開けられ酒が流し込まれていく。
喉をゆっくりと伝っていく酒は滑らかだ。初めて味わう不思議な風味。四肢に染み渡るアルコール濃度は高い。神酒とはこういうものをいうのかと、身体が歓喜に震える。やはり酒も下界とは違うのだろうか。
「美味いか?」
「お、おいしい……」
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