短編集

八月灯香

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ぼくのステータスいじょうとぼくのヒーローたち

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⭐︎ぼくのヒーローたちのお話⭐︎

毎年お正月はぼくはお母さんと、優仁くんのお家と、椿くんのお家で新年のお祝いをします。

毎年交代で二人のお家で過ごしていて、今年は優仁くんのお家です。

去年、優仁くんと椿くんとぼくは成人式を迎えました。

成人式のちょっと前に二人とも顔にあざがあったのでお母さんとぼくはびっくりしました。

優仁くんのお母さんが「あの二人、綾君の衣装で勝手に揉めてるけど、綾君はな~~~~~んにも気にしないでいいのよ。」って言ってました。

「お前たちがやってるのは武道であって殺し合いじゃないんだぞ。」って合気道の先生の椿くんのお父さんが二人に言ってたけど、顔を合わせると腹が立つみたいでイライラしていて、優仁くんも椿くんも、ぼくには凄く優しいのに、暫く凄くお互いに対して口が悪くなってました。

ぼくは「くたばれはダメ…」と何回か二人に言いました。

ダメだよって椿くんの口に手をあてたら、ベロって舐められてちょっとゾワってしました。

結局、喧嘩が止まらないのでお母さんが着る物を決めてくれたら止まりました。

「よそのお家の大事な息子さんの式典の衣装決める権限があると思ってるんじゃないよ。」

って優仁くんのお母さんが優仁くんに言ってました。

「綾君の事になると2人とも賢さが無くなるのなんなの。」

って椿君のお母さんが言ってました。

成人式は、3人でスーツを着て式典に出ました。

「3人に袴も着せて写真だけ撮っておこうか。」

椿くんのお母さんが言ったので、写真館で撮ってもらうことになりました。

優仁君が満足そうな顔をしてました。

着物を着た女の子達が、優仁くんと椿くんのスーツ姿をみてきゃーきゃー言ってました。

二人とも背が高くてスタイルいいし顔もかっこいいもんね。

「あはー、無理。僕も優仁も結婚してるから。」

って近寄ってきて何か言ってきた女の子に言ってました。

山野君まだ百鬼(なきり)君と剣持君と仲良いんだねっていろんな人に言われました。

「優仁くんと椿くんとずっと一緒にいる約束してる。」と答えました。

優仁くんと、椿くん、ぼくの左手には約束の指輪がついてます。
3人でずっと一緒にいようねって約束した指輪です。

ぼくの左手の指だけ、約束の指輪が2つついてます。

優仁くんと椿くんがぼくと一緒に住みたいですってお母さんに言ってくれて成人式の後に3人でマンションに引っ越ししました。

「やっと許しが出た。」と優仁くんがいってました。
ハタチになるまではお母さんから僕を取り上げるのは反対って言われてたそうです。
椿君も何度もダメって言われてたみたいで、2人とも凄く嬉しそうでした。

ぼくも凄く嬉しい。

ぼくのお家、優仁くんと椿くんのお家から二駅離れているところです。

ぼくは昼間は絵のお仕事をしたりして過ごしています。

優仁くんと椿くんが大学に行っていない時、合鍵を渡してあるので、ぼくのお母さんと優仁くんと椿くんのお母さんが交代でご飯を持って来てくれて、一緒にお昼ご飯を食べます。

あぶないから一人の時に勝手に包丁と火を使わない約束です。

インターホンが鳴っても知らない人だったら出ずに居留守使うのも約束。

優仁くんと椿くんだと、椿くんがご飯を作るのが上手です。
優仁くんもぼくよりはすごく上手です。

「優仁くんのお父さんお母さん、椿君のお父さんお母さん、あけましておめでとうございます。」

新年の挨拶して、みんなで豪華なご飯。
お雑煮にイクラがのってる。

優仁君のお母さんの作ったローストビーフ美味しい。

「綾好きなのばっかり食べちゃダメよ。」

「む…今日はいいもん…。」

お肉ばっかりとってたらお母さんに注意されたけど、優仁君がぼくのお皿にローストビーフとってくれた。

「へへ、ありがと。」

お母さんが「今日は許すけどこれだけは食べて。」ってサラダを入れた小さいお皿をぼくの前に置いた。

「今日は無礼講よぉ!お肉まだまだあるから綾君遠慮しないで好きなだけ食べて。」

「綾君お屠蘇飲む?成人したからお酒飲めるもんね。」

「おととって何?」

「おとそだよ。無病を願って飲むおまじないみたいなお酒だよ。」

「おまじないの薬だ。」

椿君のお母さんが、赤い小さいお椀みたいなのに
、金色の破片が浮かんでるのを入れてくれた。

「これ金色のなんか浮いてる。」

「金箔だよ。その金色のも飲めるよ。」

椿君が教えてくれた。

鼻を近づけると、喉がちょっとグッとなった。

「綾無理しなくていいぞ。」

って優仁君が自分のを一気に呑んだ。

椿君もおんなじようにして「これ美味しいな」って言ってるから、そうなんだと思って僕も一気に口に入れて飲み込んだ。

喉が熱くなって、うえってなった。

「うそつきぃ…美味しくない!」

すぐにお茶を飲んだけど、喉の熱いのは暫く取れなかった。

みんながぼくを見て楽しそうに笑ってたから、騙されたけど嫌じゃなかった。

みんな美味しいっておとそ飲んでたから、ぼくだけ美味しくなかったみたい。

「…僕熱ある…」

暫くすると頭がふわふわして座ってるのもめんどくさくなって、いつの間にか椿君にべったりもたれてる。

「綾顔真っ赤なってる。酔っちゃったね。」

椿君がおでこ撫でてくれて気持ちいい…
椿君見あげたらニコってしてくれた。

「…綾アルコールめちゃくちゃ弱いなこれ…気持ち悪くないか?」

「ん。」

優仁君の声が優しくて、椿くんにもたれてた身体を起こしてそのまま抱きついた。

「ぐにゃぐにゃする…」

「部屋で寝かせてくるわ。綾、しっかり抱きついて。」

「ん…」

「父さんそこのペットボトルの水一本ちょうだい。」

優仁君が抱っこしてくれた。

優仁君の部屋はさっきの部屋と同じ一階にある。
優仁君のにおいのするぼくの大好きな部屋。

「綾、下すぞ。」

微かにお母さん達の笑い声が聞こえてくる。
ベッドの上に下ろされたら、優仁君みんなの所行っちゃう気がしてそのまましがみついてしまった。

「ひとりいや…」

「置いてかない。俺も一緒に横になろかな。それなら寂しくないだろ。」

隣に寝転んだ優仁くんの目が優しい。

「ぼくゆうじんくんだいすき…」

「俺も綾大好き。」

優仁くん…あったかい。
優仁くんがキスして毛布かけてくれたら急に眠くなってそのまま寝ちゃった。

起きたら優仁君と椿君に挟まれてて、嬉しかった。

寝てる椿くんにキスしたら、椿くんが目を覚ましてギュッてしてくれた。

椿くんも大好き。



「綾、僕ちょっと予約してた本取ってくる。」

「いってらっしゃい。忘れ物ないか確認した?お財布ある?スマホもった?火の用心した?えーっと車には気をつけて。」

綾は玄関先でいつも出かける時に二人が言う言葉を椿に言った。

「大丈夫。ありがと!すぐに帰るから。」

「椿くん、ぼくジュースのんでいい?」

「いいよ、缶のやつ一本だけね。」

あ、大変一番大事な忘れ物ある。と椿は綾の唇に軽くキスをして出掛けていった。

優仁は大学の課題するからと自室にいる。

綾は玄関で少しニヤニヤした後、ジュースを飲みながら録画の新春ヒーロー特番を見ようと、冷蔵庫を開けた。

「たくさん飲むのはダメ。」

小さい頃に母親のいない隙に冷蔵庫にあった1.5リットルのジュースを半日でほぼ飲み尽くして強く叱られた。

わんわん泣いて二人に怒られた事を報告したが『それは俺らでも流石に怒られるわ。」と優仁も椿も良くないよと綾を嗜めた。

今は二人のどちらかに聞いて「いいよ」といわれたら飲むようにしている。

菱形の模様が缶全体についた瑞々しいレモンの描かれた缶を手に取った。

「ぼくこれ飲む。」

プルタブを開けると、炭酸ジュースらしくしゅわしゅわと細かな音が開け口からしている。

そっと口をつけて飲むと、いつも飲み慣れた様なものと違って少し苦いが嫌いな味ではなかった。

「優仁くんお勉強だから音はシー…」

大判のバスタオルを膝掛けにし、厚みのあるラグの上に座り込んでカウチソファーを背もたれにしながら特番の録画を再生しながら缶に口をつけた。

ヒーローシリーズのキャラ達がクロスオーバーして次々に出てくるお正月のスペシャル特番だ。

歴代のヒーローが総出演するから楽しみにしていたというのに、怪人が暴れて事件が起きてるのに集中出来ない。

だんだんと頭が重くなり始め、ふわふわするし身体も暑い。

綾はぼんやりとして画面を眺めた。



「綾。」

ひと段落した優仁がリビングに居る綾に声をかけた。
いつもならすぐに「優仁くん」と返事が返ってくる。

「…綾…?」

モゾモゾと動いているから寝てはいない様だ。
反応の鈍い綾の近くのテーブルに置いてある缶に目がいく。

「綾、それ以上それ飲むなよ。」

「ん………ゆうじんくん…」

優仁は缶を取り上げ、ミネラルウォーターのペットボトルを開けて綾の唇に押しつけた。

缶の中身は半分以上残っている。

「水飲んで綾、この缶どこにあった?」

「冷蔵庫のジュースの段にあったぁ…。」

「これ酒だよ、ここに"これはお酒です"って書いてある。」

「レモンのジュースだと思ったの…。」

「そうか…。」

椿と優仁は時々夕飯の後に晩酌をする事がある。
その時に綾が仲間外れにならない様に柑橘のジュースが酎ハイの缶と共に冷蔵庫に入れられていた。

「ん……ゆうじんくん…」

身体を擦り寄せてきながら、酔って舌ったらずになった綾が潤んだ目でじっと見上げてきて正直言って好きな子の扇情的な姿などそそる以外の何物でもない。

「ゆうじんくんきすしてくれないの?」

潤んでぽやんとした眼差しでこんな事を言われて仕舞えば紳士に振る舞おうとしても無理な話だった。

いつもはもう一人の煩いのが居るが、魅力的な大ご馳走が目の前で自分だけを誘っている。

連絡してすぐ邪魔が入るのも嫌だなと思った。

かといって言わずに居たら椿はキレるだろうし、そうなれば必ず手が出る喧嘩に発展してしまい綾が悲しむ…

大学のゼミ合宿で片方が泊まりがけでいない時は邪魔が入ることなく、蜜月のような時間を過ごす。

しかし、ふとした瞬間に綾が「まだ帰ってこない?」と寂しげな表情を見せる。

綾にとっては二人居るのが当たり前なのだ。

自分だけを選んで欲しい気持ちは二人とも大いに有る。
しかし綾がそれを望まないのであれば今のままでいい。

「……。」

「ゆうじんくん…」

してくれないの?と泣きそうになった綾に、優仁は出来るだけ優しくキスをしたが、綾は優仁の考えている事などお構いなしに唇を舐めてくる。

「ん…いや…ゆうじんくんもっと…」

「…綾ちょっとまって。椿に電話するから。」

「つばきくん…?」

綾は身体を密着させて優仁の膝の上に乗ったので、酔ってグラグラする身体が落ちないように優仁は腰に手を回した。

椿はすぐに電話に出た。

『はい、何』

「綾がジュースと間違えて酒のんだぞ。」

『は?』

「お前缶混ぜて入れただろ。」

『しまった…入れたかも。綾大丈夫?』

「ん…ゆうじんくん…えっちなのしてぇ…」

甘える様な声を出しながら綾が微かに優仁の膝の上で身体を揺らし始めた。

『え?は?何?ちょっと待って今の綾?嘘でしょ最悪…僕今遠い方の本屋居るんだけど…』

「それは知らん。…悪いけどヤるからな。」

『…。』

椿は何も言わずに舌打ちをして電話を切った。




「ん……ん…ン」

綾の口の中を肉厚な優仁の舌が撫でた。
早々に服は優仁にすべて剥ぎ取られ、カウチソファーの上で全身を愛撫されて綾が悶えている。

艶かしい肢体が優仁の身体の下で誘うように動く。

チュクチュクと舌が絡む音がして、綾は夢中になって優仁の舌を吸った。

綾はアルコールにとことん弱いらしく酒のせいで勃ちづらくなっているが、ふぅふぅと息をしながらぐずったような声をあげた。

その声を聞いて優仁の股間も先ほどから痛い程に張り詰めている。

「ゆうじんくん……おしり…してぇ……」

あまりの誘い文句に暴走しそうになる。

注入型のローションを流し込み、指にも塗り広げ、内壁を傷付けない様に肉を慎重に拡げる。

「ひ……ひ………ぅ……ん………」

中を揉むと綾の下腹が波打つようにうごく。
魅惑的な肢体が優仁を呼びながら脚を広げ誘うように動いている。
ツンと主張している乳首を舐めて甘噛みした。
綾の身体は何処もかしこも甘いのではないかと思ってしまう。

「ゆうじんくん…そこ…」

いつも二人が触って気持ちよくなるところ。

「綾…挿れるぞ。」

綾が何度も頷いたのを見て、優仁は正面からゆっくり綾を貫いた。

「あ……あ………ぁ----…。」

目をすがめながら開いた口の中で舌が空を舐めている。

唇の端から涎を垂らし、恍惚として震えている。

綾が自分を求めて感じているのだと胸が満ちる。

優仁は顎を伝っている綾の涎を舐めとり軽く揺さぶった。

竿が入り口で扱かれて優仁の下腹に力がこもる。

綾は中を擦られてたまらずに息を詰めて顎を天にむけている。

「綾、きもちいい?」

「ひ………ン…!ひも……ち……い……」

細い綾の身体が優仁の揺さぶりに合わせて揺れる。

か細く高くなった声が優仁の鼓膜を震わせてくる。
綾の中は熱く蠢いて優仁の陰茎を愛撫してくる。

「あ…は……ゆうじんく…そこ…もっとしてぇ…」

膝裏を押しながら腹がわの膨らみにエラを引っ掛ける様に擦ってやると、両手で優仁の袖を握りしめながら綾はしだいに鼻から声を漏らしビクビクと身体を揺らし始めた。

「ん……ん………ん!」

一緒に暮らすようになって、親の目を気にせず身体を結べる様になった。

初めて綾を抱いた時は椿と奪い合うようにして慣れない快感に泣かせてしまったが、今では綾からも頻度は少ないが誘いがくる。

なるべく抜け駆けはしない取り決めはしているが、二人きりで綾からの誘いがあれば例外と決めていた。

ただし報告はする事。

目の端でリビングの扉が開くのが見えた。
優仁は気にせず綾を絶頂させようと動いた。

「ゥ………ン…ン!は…は………あ…ぁ………あ……ゆぅじんく……ゆうじんく……ァ………ぼく…も………で……る…ぅ……ッ!!」

「いいよ。」

甘い声で優仁の名前を呼びながら綾の身体がギクンと揺れて震えた。
"イく"と教えようとした事もあったが、結局綾が自発的に離す言葉が愛らしくてそのままにした。

射精する時も、中でイく時も綾は「出る」と言う。

“出る”とは言ったが綾の陰茎は透明な粘液を垂らしながら震えて揺れているだけだった。

「ひ………う……ッ!」

「ん…ッ…!」

優仁が身体を倒すと綾が首にしがみついてきて、絶頂の余韻で甘い息を耳元で溢してくる。

中の肉に引き絞られて優仁はたまらずに綾を抱きしめて奥に押し付ける様にしながらゴムの中に射精し、何度も口付けた。

身体を離して頭を撫でると綾は顔を擦り寄せてくる。

「ぁ………は………はふ……は……」

「綾…ただいま。」

椿の指先が綾の目元を撫でた。

「ぁ……ぁ………つばき…く……」

綾の身体は快感でヒクヒクと揺れている。
アルコールがまだ少し回っているようで上気してぼんやりとした表情で椿を見上げた。

「僕も仲間にいれて。」

椿の綾を見る目は酷く興奮していた。

「…優仁変わって。」




「ン…は………」

椿はまるで奪う様に綾にキスを繰り返し、綾はなんとかついていこうと必死になって応えている様な有様だった。

「は…ふ…つばきくん…くるしいぃ……」

「はぁ…綾…」

息のあがりかけた綾の身体を優仁に預け、腰を突き出させる様にして椿は綾の背中に何度も唇を落とした。

昂りにゴムを被せ、ソファの座面に膝をつかせ、誘う様に収斂する孔に亀頭をつけた。

「ア…は……ぅぁアァッ!!」

椿が後ろから一気に奥に押し込み、綾は優仁に抱きつき優仁のトレーナーの袖を強く握った。
腹の中はビクビクと肉が痙攣して椿の陰茎を舐める。

「うぁ…やば…ぃ…」

優仁の物と同じで、長大なそれがとば口まで引いて根本まで埋めるたびに感度が上がりすぎた綾の身体は大きく跳ね、悲鳴の様な嬌声が上がった。

「つばきく……あ……ぁは……うぁあ!!」

「綾の声…めちゃ興奮する…」

「つば…き…く……ン………ン…ッつ!!!!」

甘い鼻声を漏らしながらイきやすくなった綾の身体が跳ねて震える。

腰を逃がそうとする綾の腰を掴んで捕らえると汗ばんだ綾の肌がまるで好意を伝えてくるかの様に手に吸い付いた。

「ァッ!ぁ………ぅン!!」

「可愛いね…綾…可愛い…大好き…」

「ひん……ぅうう」

中でイッてるところを椿が揺さぶるものだから、これには綾もすぎた快感に怖くなって優仁にしがみつく力が強くなり、胸元に頭を擦り付けた。

優仁はそんな綾の背中を撫でた。

「ひ……ひぅ……んぁ…ア…だめ…も……つばきく…だめってぇ…!!」

「綾…ごめんね、可愛いからまだ止めてあげない。」

「ぁ……あ……ァ~~~~…」

自分に組み敷かれた綾が優仁にしがみつきながら甘く泣いている。
綾が何処をどうされたら甘く乱れるか、椿はよく知っている。

逃げようとする小ぶりな尻を掬い上げるように打ちつけ、下腹を何度も押しつけた。

ローションで濡れた孔のふちが健気に太い陰茎を根元まで飲み込むのが見える。

「ィう………んン!やぅ!!あ!!」

自分に貫かれながら優仁にしがみつく、加虐心を煽るシチュエーションに椿は綾の身体をひっくり返し、射精しそうになるのを堪えて更に揺さぶった。

艶かしくて、かわいい綾。

「椿…。」

綾が必死になって優仁の腕にしがみついてきたのを見て、優仁が椿を嗜めようと声をかける。

「ひ…ひ……ひ………ひ………だめっ……うぁ…うぁ!!ゆじんく……たすけて…ぇ!」

綾が頭を左右に振った。

「綾…今僕以外の男の名前呼ばないで。」

「ひ…ぎ……!」

腰を抱えられ、ブチュ…と奥に押し込む音がして、綾の身体が大きくギクリと揺れた。

「ァ"……ア………ぁ……うぁあああああぁ……あ~~」

強制的な絶頂の連続に優仁の顔を見ながら綾の表情が次第にくしゃくしゃに歪んだ。

「ひぅ…ぅああぁああぁ…!」

「おい椿!」

「…ッ!!」

綾の中の動きに抗えず椿もゴム越しに射精を迎えた。

綾が優仁の腕にしがみついてわんわん泣きはじめて椿がハッと我にかえった。

「あ……!綾…ごめん本当にごめん!綾ごめん!」

「ひん"…ぁ………ぁ……」

「ぁ。」

椿が慌てて身体を離すと、引き抜いた刺激で綾が尿を漏らし、椿が咄嗟に綾の陰茎の根元をギュッと握った。

「イ……ぁ!……いやぁ~~ぁああぅうう」

優仁がそばに落ちていたバスタオルを厚く畳んでガクガクと揺れる綾の股間に押しつけた。

「ぅうう~~~!いやぁ~~~~!」

「椿、手はなせ。」

「ごめんね綾…!いいよそのまま出し切って。」

幸いすぐに気がついたのでソファは濡れる事無く大惨事にならずに済んだが、自分の衝動的な蛮行で綾を泣かせた事実に椿の表情は険しくなった。

「つばきく…おこってるの?」

蚊の鳴くような声で涙目で不安な表情を浮かべた綾と目が合う。

「怒ってないよ…!本当、怒ってない。」

涙を拭ってやり、抱きしめようと手を伸ばすと綾は縋るように椿にしがみついた。

綾がホッとするのが伝わってくる。

「つばきくん……。」

怯えられていないことに椿は安堵し、緊張した身体から力が抜けた。



「…優仁から電話きて嫉妬しちゃった…本当にごめんね…」

「うん…」

綾はアルコールが抜けてから椿にお風呂に入れてもらい、湯冷めしない様にパジャマを着せてもらった。

椿が優仁の膝の上に抱き抱えられている綾のお腹に顔を埋めてしがみついている。

「…ぼくが間違えてお酒飲んじゃって変になっちゃったから…椿くんごめんね。」 

「違うよ綾は悪くない。僕がジュースの缶と混ぜて冷蔵庫に入れてたからだよ…ごめん綾…。」 

椿が落ち込んでいるのを察して、綾は椿の頭を抱きしめて撫でた。

「ぼく椿くん大好き。」

だから大丈夫だよ。と綾が言った。
ホッとゆるんだ表情になったが、優仁は椿の軽く頭をこづいた。

「お前本当に綾が無理ってなってんのに暴走すんのはやめろ。」

「ぅ……気をつける…。」

ずっと一緒に居たいからこそ、自制心は必要になってくる。

可愛いから来る行動も、行き過ぎれば暴力になる。

二人は精神が幼いままの綾を守り続けると決めた。

守るべき者が、脅かしてどうするんだと椿は強く自戒した。

大切な綾と、不安なく手を繋いで未来まで歩きたい。

『いい?あんた達、綾君貰ったんじゃないよ。物じゃないんだからね。あんた達を信じて預けてくれてるの。そこ間違えるんじゃないよ。』

と母親達にも釘を刺されている。

「まぁ、俺がそうなった時は椿が止めてくれよな。」

お互いが持つ綾への執着はよくわかっている。

椿が急いで帰宅した時、リビングのソファで優仁に抱かれて揺れる綾の爪先が見えた瞬間、胸の中に嫉妬の炎が燃え上がった。

同時に優仁の名前を呼びながらあえやかに絶頂する綾の姿に酷く興奮もしていた。

優仁を出し抜いて綾を抱いた後の優仁も同じだった。

お互いが強烈に綾の事が好きすぎて、こういう事が起きる度に嫉妬するし腹は立つ。

だが、優仁と椿だから許せる。

綾が望むのならお互いへの嫉妬の怒りはねじ伏せられる。

「優仁くんも椿くんもぼくと一緒に新春ヒーロー特番見よ。」

綾は無邪気に二人を誘った。

「綾、寝る前だからお菓子はやめな。明日にしな。」

「…お菓子だめ?」

「朝ごはんいらないってなるからだめ。」

スナック菓子の袋を大事そうに抱えているのを優仁が嗜め、椿が綾から受け取って棚に戻した。

「優仁も僕も我慢するから綾も我慢しよ。」

「わかった。」

「いい子!」

「ほら、つけるぞ。綾おいで。」

「はーい」

機嫌を悪くする事なく綾は優仁の隣に腰を下ろし、二人に挟まれて寝る前の時間を堪能した。

二人にとって綾が健康で幸せに笑って生活してくれる事が優先すべき最重要事項なのだ。

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