お隣どうしの桜と海

八月灯香

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お隣同士の海と桜 ふうふ編

怖い話

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桜の撮影仕事にアシスタントとしてついていくとよく会うスタイリストの柴先君。
男からみても明るくて可愛い感じの人だ。

俺より3つ歳上で、服のセンスも凄くいいし話しやすくて俺は結構好きなんだけど、桜が「柴先君と現場とか昼間会うのはいいけど飲みとか夜会うのは控えて」って言われてなんでだろうって思ってたら、芝先君は生粋のゲイで、よくハッテン場とか出会い系の店で呑んでる事が多いから「海も載った雑誌、界隈でも話題になってたって言うし。

海が巻き込まれたら芝先君俺が殺す事になる」とか桜が言ってたのでちゃんと守って友達つきあいしてる。

三宅さんの一件もあったしグンナーおじさんや桜からの忠告は守るに限る。


何回目かの現場で、芝先君が
「ねぇねぇ海君さ、結婚指輪してるけど俺の見立てだと男もイケるクチでしょ?
俺で一回試してみない?」

軽く茶化しながらだけど品定めする目付きでワンナイトの誘いをかけてきた。


「やー、芝先君が消されそうなのでやめた方がいいですよ」

「何、奥さんそんなに束縛凄いの?」

「まぁ…束縛というか嗅覚というかなんというか…」

「え~!そんなの息詰まっちゃわない?相手始末とか物騒すぎない?どんななの奥さん」

「柴先君会ったことあるよ、ていうか今日も居るし」


バッと柴先君がこっちを見る。
首痛めるよ。


「誰!誰誰!!!メイクのエミちゃん!?まさか稲田さんじゃないよな…」


柴先君が興奮しながら今日来てるスタッフの女性の名前をあげている。

前に桜と一緒に出た雑誌では俺の顔は出てないし、この現場ではまだそんなにパートナーである事も言ってないから夏野は結婚してるらしい、という認識しかない。


「えー、モデル?」

「はい」

「えっそしたら今日の二人のうちのどっちかって事!?」


芝先君が夏野君のタイプなんて可愛いい系じゃないのぉ~?と一人でニヤニヤしながら推理を始めたちょうどそのタイミングで着替えなのか桜が近づいてきたから思わず指を刺して


「俺の奥さん」

「…奥…さん…?」

「そう、俺の奥さん」


芝先君は桜と俺の結婚指輪を見て目を剥いてヘビに睨まれた蛙よろしく脂汗まみれになっていた。

後で聞いたらなんか前に桜にパートナーが浮気とか考えたことあるか聞いたら、浮気相手を社会的に抹殺するかな。って冗談でも殺すって感じの笑顔で言われたらしい。

その時の桜の空気が怖すぎて笑って流したけど、まさかの桜の相手にちょっかいかけてしまったわけだ。

「海君の結婚相手がわかった瞬間、完全に俺死んだって思ったね…」

後で凄く謝られたから桜には芝先君から誘いかけられた事は桜に内緒にしている。

そこからそういうちょっかいは一切無くなった、ただターゲットから外れた替わりにあけすけにはなった。





今日はモデルも何人もいるし衣装替えの量が多くて早朝からの長丁場なのに、休めるタイミングが来ても芝先君はずっと立ったままだ。

椅子を勧めても「海君ありがと」って言って座ろうとしないからどうしたのか聞いたら。


「それがさぁ、聞いてよ。
一昨日休みだったから一発しようと思って出会い系のバー行ったんだよ、すぐひっかけられたんだけど、全く経験の無いタチに出会っちゃって尻が流血沙汰で痛くて座れないんだよね」


超強烈な鈍痛とか言ってる…

流血沙汰と聞いて思わず尻をおさえてしまった。
柴先君はどっちでもイケるんだけど、今回は相手的にネコ一択だったらしい。


「リードもクソも出来なくて、しかもそいつこっちが準備してんの待てないの。
童貞かってほどめちゃくちゃにがっつくしご立派すぎてもう…俺も燃えたけど括約筋死ぬかと思った…海君もはじめの頃経験あるっしょ。」


奥さん、って桜の事言ったから「海君タチなのかー、ソールバルグさん雄みが強すぎてエロい空気はあるけど俺にはネコ姿見想像出来ない、海君よく抱けるね。」って芝先君が言うから、
「桜の尻に突っ込んだらチンコ捩じ切られそうで怖くて無理です」って返しちゃったんだよな。


初心者のトラブルを柴先君が言ってくるけど、俺ははじめっから今まで桜として尻がどうこうなったことはない。

突かれまくって連続でイかされて翌朝足腰立たないはあるけど。


はじめの頃だって丹念に孔を拡げられて無理矢理奥まで突っ込まれたりしなかった。

今考えてもあんなデカいもんいつもよく入るよな…

しかもセックスし始めた最初の頃の桜は俺が本気でビビってしまうと途中で自分は我慢してしまえるくらいの理性が化け物だった。

俺だったら好きな相手に行為中に我慢なんて絶対無理だ…


ただその我慢の反動なのか今では時々俺が本当に泣くまで連続でイかせてくるんだけど、尻が裂けただの血が出ただのはない。

「怖…………」

と思わず声が出てしまう。

なんかでもどうやらその相手とワンナイトで終わらずにいい感じになりそうらしい。

付き合うかは別としてその人とは身体の相性が良さそうだから一回ケツが裂けないセックスしたいとか言ってる。

恋の始め方は人それぞれだけど、芝先君の話を聞いてると、割とその場限り楽しめたらいいっていうのは男女関係なくいるみたい。

芝先君もそのタイプだって自分で言ってた。

俺は背の低い女の子がどうたらこうたらいってたけど、向こうから来てくれる前提で自分から誰かを好きになろうとはしてなかった。
選り好んでいつか理想の相手が来たらなんて思ってたんだ。


桜が俺を好きって思って手を出してくれたから結婚もできた。

もちろん俺も今、桜が無茶苦茶好きだ。
でももし桜とこうなってなかったらどうなってたんだろう。

想像つかないや。

バックスクリーンの前でライト当てられて次々とポーズを決めていく桜を見ながらつくづくラッキーだったなって思ってしまう。

俺は桜に苦しくない加減で束縛されてるのが気持ちいいと思っている。
子供の時から当たり前に桜が隣にいて、これからもそれは変わらない。

芝先君が「運命っぽくていいなー」とか桜を見て言っていた。

その後、芝先君にハイブランドの受注会に誘われて、興味あるとこのだったから着いてったら色々と桜と俺の馴れ初めを聞いてきた。

桜に似合いそうなシャツがあったからいい値段してたけど発注しちゃった。


最初はへー!幼馴染なんだねぇとか言ってたけど、話が進むにつれて芝先君がちょっと桜に引いていたのはここだけの話。
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