お隣どうしの桜と海

八月灯香

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恥ずかしい

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桜と婚約した俺だけど、
ここにきてなんか知らんが恥ずかしいという感情が爆発している。

そう、秀一がいまだに三上君と付き合ってるって意識すると茹蛸になるアレ。

“父さんと母さん達には内緒”

秀一達と会ったあの後、桜と交わした約束。
俺から言い出した癖に俺の恥ずかしいを盛大に盛り上げてくる。


例えば夕飯後にリビングで皆んなでテレビ見るとするだろ?

桜が普通に隣に座るだろ?

意識するだろ?

もう途端に距離をとってしまう。

なんとなく俺達の異変に気が付いた母さんにこそっと「なに、シグ君と喧嘩でもした?」って聞かれる。

「喧嘩なんかしてないよ!むしろ仲良くなり過ぎた感じかなっ!」

…なんて言えない…。

「思春期…」

って返してしまった…

違うんだ、何が違うかわかんないけど、意識してないと普通にいつもよりべっっったりしてしまうんだよ!!!


リビングのソファで隣に居るとくっ付きたくなって桜の肩に頭つけたりしちゃう。
後ろから見たら公園のベンチで彼氏の肩に頭乗せてるカップル状態になる。


桜が椅子に座ってると背もたれと桜の間に挟まりたくなるし、桜が近くに居ると匂いかいだりしてるのに匂い嗅いでから気が付くんだよぉ!!!


つまりは親の前でも完全に頭が沸いてる状態になってしまう。
しかも、怖い事に無意識に勝手に身体がそうなってしまうんだって!


何なら桜はバレていいと思ってるから親がいる場面でも親の目を盗んでチューしてこようとする。

俺はまだオープンにはなれないしこれからも無理な気がする。

だからもう物理的に距離取っちゃうんだけど、桜がそれをあんまりにも甘い目で見てくるから距離とっても目が合うと耳まで真っ赤になるんだよ…こ………このやろぉおおお………

「海君具合悪い?」とか菜奈ちゃんにも心配されるし…
「身体は元気だけど頭の具合がわるい」って返事してしまった…

それ聞いて桜が声出して笑ってるし…

だからもうご飯会終わると俺は疲労困憊状態にここ一週間はなってる…。

桜の部屋に行くのもなんか変に緊張しちゃって行かなくなっちゃったもんだから、桜が俺の部屋に入ってくる。
鍵閉めててもお構いなしだし…

遂にはクマのぬいぐるみ置いたのも「却下」つって入ってくる。

そうするともう恥ずかしいにやられて俺はとりあえず布団にくるまって蓑虫状態になる。
桜はその蓑虫を抱きしめて機嫌良くしてるし…。

あんだけセックスしておいて何だそれってなるけど、桜が本当に俺の事好きなんだなって思うと叫びたくなる状態になってる。
こんな事になるなんて自分が一番驚いてるわ!


そして二人きりの時は桜がそんな状態の俺の事を察して抱きしめてくれたりする。


「ぅぅ………ごめんな桜…」


今は俺の部屋で映画つけながら桜の背中に貼り付いて恥ずかしさと二人きりだからくっついていたすぎて桜に抱きついてる。
あれよ、バックドロップ寸前みたいなしがみつき方で。
バックドロップなんて出来ないけど。

おっきい背中にほっぺたくっつけて桜を堪能している。

はぁ…いい背中…


「海?ちょっといい?」

と母さんが部屋のドアをノックしたから、俺は飛び上がって勉強机の椅子に飛び乗って
盛大にガタガタと椅子が音を立て、更に

「ぅあい!!!」

って上擦った返事を返してしまい、桜が俺のその状態にめちゃくちゃ笑ってる。

「何アンタ…明日歯医者行くんだけど海の歯科検診予約してきていい?」

「大丈夫ですよろしくお願いします…」

もう本当恥ずかしくて死にたい…
これいつになったら収まんの………


桜は「海が俺をちゃんとそういうふうに意識してるんだなって思えて嬉しい」って言ってた。


ベッドで一緒に布団にくるまってると安心する。
桜の隣でくっついて寝てると気持ちいい。

桜が柔和な眼差しで見つめてくると頭がふわふわしてくる。

大きな手で俺を大事なものだって言ってるみたいに抱きしめてくるし。
言葉でも大事だよって言ってくれる。

桜が俺にそういう事を改めて伝えてくれるたびにちょっと泣きそうになる。

俺は桜への気持ちをなんとかやり過ごそうとしたのに、桜は言葉にしてくれた。

「俺、桜の事好き」


俺もできるだけ桜に伝えようと思う。






「矢作さぁ…ちょっと話聞いてくんねぇ。」

昼休みに矢作を人気の無い所に呼び出す。

「海君遂に僕に愛の告白でもすんの?」

「しねえよお前彼女いるだろ。」

「いなかったらすんのかい。
えなちゃんに海君の写真見せたらこれは浮気しても仕方ないって言ってたよ。」

矢作の彼女は腐女子だ。
なんか俺と矢作が一緒に撮った写真見て妄想凄いしてるとか聞かされた。

「案外、奨真君がウケで海君が可愛い系なのにバチバチの攻めとかがいいわー」
とか言ってるらしい。
俺は矢作の尻は掘りたくない、矢作に掘られるのも嫌だけど。


屋上に続く踊り場は案外、人が来なくて穴場だったりする。

矢作に購買で買ったパックジュースを渡した。

「オッ、フルーツミックス。
海君わかってるぅ!あんがと。
で、どうしたの。
遂に女の子諦めてソールバルグさんと付き合いでもした?」

ふざけた声で矢作が笑いながら言ったもんだから俺は驚いて矢作の顔を見た。
そして矢作は驚いた俺の顔を見て驚いた。

「ま…じ…のやつ…?
え、海君が卒業式お姫様抱っこされて校門出て行くやつじゃん。」

思わず矢作の腕を叩く。

「アッ!いたい!暴力反対!」

耳が熱い、もうダメだ。
俺は顔面を両手で覆った。

「あれ、ちょっと海君、もしかして僕のエロセンサー間違ってなかったって事!?」

「あん時は付き合ってねーわ!」

間違ってない。
付き合ってないけどヤッてた。
お前のエロセンサーに狂いは無い。

「おほ、でも彼女じゃ無いけど在学中にコイビト出来たじゃん。」

「コ…」

コイビト………

「海君ニワトリになった?顔がさっきよりトサカみたいに真っ赤になってるけど大丈夫?」


もう矢作に何も言い返せない…クッソ………


「揶揄ってるわけじゃ無いって。
でも海君、初恋が変な事なって散ったって言ってたけど、初恋やり直した感じあってそれはそれでグッとくるね。」

矢作がニコニコしながら肩を組んでくる。

「…ありがと。」

そうだなー、改めて俺もそう思う。
俺の初恋は桜。

そして大人になった桜を改めて好きになってる。
 
同じ人に初恋やりなおし、なんかいいな。

矢作が嫌にすんなり受け入れるから、偏見無いのか聞いたら

「今はえなちゃん以外考えらんないけど、僕だって股間が反応しちゃう同性と出会うかもなんてわかんないだろ?
それに海君の場合、ソールバルグさんみたいな綺麗な人と海君だからなんかそこがくっついたって言われてもへーとしか思ってないな。
ソールバルグさん海君が呼んで断ったの聞いた事ないし、すぐ来るし。」

矢作がずごご、とストローから激しい音を立てる。

「はーうめーご馳走様。
まぁ、他の人になんか言われるかもしれないけど、ソールバルグさんがそういうの成敗してくれそうだしな。」

「俺、矢作が友達でマジよかった。」

惚れ直すだろ?ダメだよ海君、ソールバルグさんに俺が殺されるから。

と矢作がふざけていた。
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