お隣どうしの桜と海

八月灯香

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海と桜ファンタジー設定番外編

おなかがすいたら4

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「え?」とスマホを見た海が小さく声をあげている。
どうしたのか聞いても何でも無いと答えた。

「寝る前にトイレ行ってくる」

ローテーブルの上にスマホを伏せて部屋を出て言った。

海は危機管理が薄くて、スマホをすぐに手元から離す。

手にとって画面に目をやると、矢作奨真という名前の下に

{何でもいいからこのメッセージ見たら今すぐ逃げろ}

と表示されていた。

まさか今、と思ったが廊下の突き当たりの洗面台で手を洗いペタペタと廊下を戻ってくる足音がした。

戻る前に魔封じの香に火を入れる。

ベッドに入って電気を消す。

海はいつものように眠そうな表情をしていた。


寝たふりをして暫く経つと、海が俺の目の前に手を翳した。

布団をめくり、下着とスウェットが下ろされる。


子猫がミルクを舐めるような音と、鼻にかかった声が静かな部屋に響いた。

俺の吐き出した精を飲み込み、服を直す。

いつもならこの後再び隣に潜って眠る。

だけど海はそうしなかった。

ベッドの横に立って、立ち去ろうとする気配がした。

素早く海の腕を掴んだ。

「海、何処に行くの。」

海の驚いた顔がそこにはあった。



魔封じの香もてきめんに効いて、俺にされるがままになり、酷く怯えながら海は泣き始めた。

うつ伏せにして抑え込んで衣服を剥がすと、背中にも尻の上にも人には無いものが生えていた。

怖がられようが今はいい、計画を実行して、俺と海の魂を結ぶ。
もし失敗して海が死んだら、俺も後を追う覚悟はできている。

逃してくれと懇願されたがそれだけは出来ない。


海の正体はサキュバスだった。

サキュバスは男を誘う魔物だ。

海が、男を。

途端に怒りに火がついた。

目眩がしそうなほど綺麗な尻の双丘の間にある淫靡なアナルを指でなぞると海から触らないでと拒絶の悲鳴が上がる。


誰もここに入らせた事はないと泣いている。

100年も拒否してウブのままだと。

海の正体が何者であっても手に入れたいと渇望しているのに、破瓜までもが叶うかもしれないと今度は歓喜に血が沸いた。


『ええか、もしソイツが淫魔やったらなんとかして主導権握って先にイかせろ。そしたらもうこっちのもんや。ザコやったら淫紋さえ出てしまえば抵抗もろくには出来ん。ぐちゃぐちゃにかき乱して契約したら上手くいくやろ。』



海に甘い言葉を吐く。

このまま俺の側に居ればいい。
飢える事なく、ひもじい思いをしなくて済む様に、後ろで俺を受け止める練習をしようと。

迷う海にキスをすると、海はすぐに舌を吸い返した。

身体を舐めながらたどり、勃ち上がるペニスを口に入れた。
海は色のついた声をひっきりなしにあげ始める。
人と同じ形のそれは体格の小さな海に見合ったサイズで扱いやすい。

俺の意図に気がついたのか、しきりにダメだと言っているがもう遅い。
鈴口に舌を割り入れ、中の粘膜を擦るように舐め、同時に後ろの窄まりに濡れた指を捩じ込むと海の身体が跳ねた。


相手を孕ませる為には出来ていないのか、雄のようにペニスから精液は出て来ず、身体をのけぞらせて震えている。

排泄と快感を拾うだけの器官のようだ。


臍の下には先ほどまでなかった模様が浮かび上がった。

これが淫紋か。

浮き出た模様を指先でなぞるとあえやかな声をあげて悶えている。


後ろに飲ませた指を引き抜くと、海がここにペニスをくれとねだった。


軽く押し込んだだけで、男を迎え入れるのは初めてのはずのアナルはぬかるんで迎え入れた。

サキュバスの中は熱くうねり、愛撫してきて急激に射精感をもたらしてくる。
何とか耐えて海を絶頂に押し上げてやると、淫紋がより濃くなり海はよりイきっぱなしの状態になった。

人間に翻弄されて泣きながら絶頂を繰り返す淫魔。

海の口の中で舌が動いて誘う。

自由の効かない身体が過ぎた快感で暴れようとするのを抱きすくめてやると、震えがより伝わってきた。

出すよ、と言って奥に精液を放ってやる。
海は恍惚とした顔になり天を仰いだ。

「海、まだお腹いっぱいじゃ無いでしょ。
もう一回しよ。」

海は戸惑いの顔をむけてきた。
淫紋の影響で絶頂から降りて来れないのはわかってるが、このまま魂の契約を結ぶ。

ペニスをもう少し腹の奥に押し込みたい。
先ほどから突くたびに海の腹の奥が小さく口を開けている。

「ひ…ん!さくら…だめ…!!!だめだめだめぇ…!!!!!」

グッ…と押し込むと従順に開いた口に亀頭が飲み込まれていった。

海は言葉を失って驚愕の表情でペニスから潮を噴き上げた。

叫び声をあげそうな唇を唇で塞ぐ。

ぐちゃぐちゃにかき乱して、教えられた通りに契約を結んでいく。
いざという時に間違いのないよう、何度もシュミレーションをした。

海は天を仰いで痙攣した後、一際大きく跳ねて意識を飛ばした。


汗まみれになった海の身体を綺麗にする間、海がきちんと目を覚ますように願わずにはおられなかった。
電気をつけると泣き過ぎて目元が赤らんでいるのがわかる。



喜びと、不安とがないまぜになっている。

早く、朝になれ。



少しだけ眠れたが、外が明るくなると同時に目が覚めた。

海は隣ですうすうと息をしていた。

時計に目をやると7時前。

「海、朝だよ」

と声をかけるとグズって身体をすりよせて密着させてきた。
仰向けの身体の上に乗せて背中を撫でると再び眠りに落ちてしまう。


目を開けて欲しい。
声が聞きたい。


仕方なく身体を起こして膝の上に座らせる。

顔が上を向いて薄く開いた口に舌を差し込む。

それに応えて甘えるように海の舌が追ってきた。


突然ハッと目を開けて海が飛び退こうとしたのを抱く力を強めて止めると不安そうな瞳が見返してくる。

良かった…


本当に死ぬ覚悟だった。

死ぬのだとしても、最期に見るのが自分が殺した海だったらと考えるだけで耐えがたい焦燥感に襲われていた。

「…桜は勝手な事してた俺の事怒ってないの?」

海が消え入りそうな声で言う。

怒るわけない。

むしろ俺が海を生かしてきたのだと思ったら嬉しい。
海が俺を食べているかも知れないと知ってから、より健康には気を遣った。

「海が生きる為だったら仕方ない事だし、全然怒ってない。海が俺を置いてどっか消えようとした事はちょっと怒ってた。」


海の胸に耳をつけると、人間と同じでコトコトと心臓を動かしている。

「…本当に俺のご飯なってくれるの?」

戸惑いがちに小さな声で海が聞いてくる。

見上げると不安げな鳶色の瞳が見返してくる。

「勿論だよ。」

と返した。


海は、俺に生かされて生きていく。
俺も、海を生かす為に生きる。







「おはよう矢作」

「海君おは………」

矢作がじっと俺を見る。

「海君、屋上いこう。」

矢作が俺らがその場にいる人間に見えなくなる暗示をかけて屋上に登った。

「逃げろって言ったのに…」

昨日、矢作からのメッセージに気がついて逃げようと思ったけどダメだった事を話した。

「でも俺、後ろで精気取るの大丈夫なったから…多分他の人間でも…」

「無理だよ」

矢作が強く否定した。

「無理、海君、餌に魂の契約結ばれてる…」

何それ。
と聞くと、俺が桜以外から精気を貰えないようにされてるって。

「僕ら魔族より陰湿だね…
海君、主導権握られたでしょ。その間に多分他にも一方的に出来ない事決められてるよ。
あの餌の方が海君より能力が高いから、海君には解除も出来ない。」

そんな事人間にできるのかって聞いたら、

「魔術や呪術を僕らみたいにとは言わないけど使える人間達がいる。ソイツらは悪魔と交渉できたりするんだ。
僕らが人間界に接触出来るのと同じだよ。
海君の餌は知識は無かったかもしれないけどその能力がある部類なのは間違いない。
どこかで知恵を得てきてたんだな…」

はー…っと盛大なため息をつかれてしまった…

えぇ~~~…なんかえらい事なってすいません…







それからはお腹が空く前に桜にねだれば精気を気前よくくれるようになった。
なんならお腹すいてない時も大盤振る舞いに尻にぶち込んでくる…。

おかげさまで異常に俺の肌艶が良くて矢作が「海君の餌、どんだけ精力あまってんの…」って言って絶句してた。


あと、時々やってくる淫紋引き出すのはやめて欲しいって言ったら「ごめんね」だって。

謝ってはくれたけどその後にもやられたからあれはもうやらないごめんねのごめんねじゃなかった…。


桜は「海に出逢った時から海のことずっと好き」と言ってきた。

正直なところ、俺は桜が好きとかそういうのはわからない。
だけど桜が俺の側にずっと居るって言ってくれてるのが心底安心できてる。

サキュバスとしては出来損ないすぎるけど、どんなサキュバスも食べれない極上のご飯は手に入れる事が出来た。
だから俺は安心してさくらにベッタリしてる事にした。


「海君、一つ言っとくけどサキュバスに束縛仕掛けて来る奴なんて頭がどうかしてるからね」
と矢作が渋い顔をしてた。
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