お隣どうしの桜と海

寒い

寒い寒い寒い寒い！！！！
今年の冬は例年より暖かいとかテレビで言ってたけど、寒いもんは寒い…！
暖冬という言葉が平均より温度が高いだけで別に暖かい冬じゃないという事を知って憤慨してしまう。
普通に水が凍る日もあるし雪も降る。
正直なところ言い方を変えて欲しい。
暖かい冬なんて幻想を与えて寒がりの俺をガッカリさせてくるなよ。
夏の暑いのも苦手だけど。
制服の下に重ね着してカイロまでセットしててもさむい…出てるところが全部冷たくて切ない…
あったかくなる肌着着ててもこれなんだって。

女子はなんでこんな冷蔵庫の中みたいに寒いのにそんなに短いスカートで生脚出せんだろうな…強すぎる…


休み時間は桜から貰ったマフラー首にがっちり巻いて過ごしている。
更に不本意ながら矢作の膝の上に座ってまで暖を取っているのだが、もうクラスメイトも見慣れたもんで「また矢作の石抱きの刑の季節がやってきたな」とか言って笑っている。
アホか刑罰喰らってんのは俺だわ。

「海君、俺の膝で暖取るのはいいけど休み時間終わったら冷たい椅子にすわんないといけないよ？素直に椅子あっためといたら？」

とか言ってくるけどそんな5分先の事はいいんだよ！
どうせマフラーも授業中は外さないといけないんだ！
今このひと時だけでも出来る限りの温もりを感じたい！

矢作が最近、2人目の彼女と別れた。
俺を膝に乗せてショック全開の矢作のため息は流石に不憫になってきて、購買のパックジュース奢ってあげた。

「ショックはショックなんだけどなんか海君の彼女欲しいと同じ気持ちで出来た彼女だから、本気で好きだったかどうかがわかんないんだよな。
りかちゃんが好きなのに別れて悲しいっていうより彼女持ちじゃなくなったってとこに悲しいってなってるきがする。」

彼女出来てマジで浮かれてたなぁ。

と吹っ切れた声が後ろからした。
あの俺が骨折れた時のメッセージはりかちゃんって子が書いたのか。

そんなもんなのかなぁ。
でもなんか納得する答えだった。

矢作は別れちゃったけどさ、なんかいいな。
付き合おうってならないと始められないんだもん。

付き合ってお互い相性がいいかはわかんないもんな。
いいな、一回でいいから俺もその気持ち味わってみたい。


背の低いかわい子ちゃん、求む…！


＊

家に帰るとこたつがない我が家、毛足の長い絨毯をセットしたホットカーペットはあるのでそこに大判のブランケット持ってきてよくくるまってしまう。
暖房器具が無いわけじゃないぞ。
ばーちゃんの家にある炬燵の虜の俺は家に炬燵が欲しい。
だけどそれしちゃうと父さんも母さんもダラダラしすぎて動けなくなるからダメって。

一人こたつ状態になるから簡単に眠りに落ちそうになるんだけど脱水おこすし風邪引くからやめなさいって母さんに毎度注意されるけど冬の楽しみだからやめられない…

小学生の頃はよくスイッチを勝手に弄って高温にしては見つかって注意され続けて最終的に「もうホットカーペットやめようかな」って言われたけど、さめざめ泣いて高温にしない、一人の時に寝ない約束をさせられて冬のホットカーペット没収を回避していた。
うつ伏せで寝るとお腹に伝わるじんわり優しい温度が気持ち良すぎるんだって…
もうそろそろ冬の風物詩だと思って諦めて欲しいのにいまだに毎年注意されてる。
でもずっと冬に出してくれてるからまぁいいかってのも大きいのかも。

夕飯どきに家にきた桜にも気持ちよく微睡んでるところをよく起こされる。
桜に見つかるとブランケットでぐるぐるの蓑虫にされた上に横抱きされて「でっかい赤ちゃん」とか言って家族に笑われている。

うう…全部冬が悪いのに…

笑われてもやめられない…。