上 下
42 / 84
第4章

第32話 リナーリア、筋肉を語る

しおりを挟む
 今日の昼食は、スピネルの妹君であるカーネリア様やそのご友人たちと一緒だ。
 彼女とは別々のクラスになってしまっていたが、学院入学後も仲良くお付き合いをさせてもらっている。私は入学早々にクラスでちょっと浮いてしまったのでとても有難い。
 ビュッフェのメニューには好物のフラメンカエッグもあって、私は上機嫌だった。
 周囲のご令嬢たちと和やかに会話をする。昔に比べると私もご令嬢たちとの会話が上手くなったなあ…。

 ちなみに殿下とスピネルはそれぞれ別の男子生徒達と昼食を取っているようだ。
 最近二人は学院内で別行動を取っている所をよく見かける。
 殿下は無骨な男子、スピネルは少々騒がしい男子とよく話しているようだ。

 スピネル曰く「四六時中一緒にいたら殿下だって気が詰まるだろ」との事で、前世で基本的にいつも一緒にいた私は大変ショックを受けた。
 もしかして殿下もちょっと鬱陶しかったりしたんだろうか…いや、殿下に限ってそんな…。
 激しく落ち込みそうだったので深く考えるのはやめた。


「…もう少しで定期テストですわね。少々気鬱です。私、数学が苦手なんですの」
「分かるわ、私も数学は苦手だもの」

 ため息をついた一人のご令嬢に、カーネリア様が同意する。

「そう言えば、スピネルお兄様に聞いたわ。リナーリア様はとてもお勉強ができるって。よろしければ、今度お勉強を教えていただけないかしら」
「あら…」

 スピネルが私を褒めたりしたのか。珍しいこともあるものだ。

「お役に立てるかは分かりませんが、私で良ければ喜んで」

 そう答えると、カーネリア様は嬉しそうに「やったあ!」と笑った。

「まあ、それならば私もぜひ教えていただきたいですわ」
「私もぜひに」

 他の令嬢達も次々にそう言い出し、私はおっとりと微笑む。

「では、今度集まってお勉強会をいたしましょうか。皆で寄り合えば、きっと捗ることでしょう」
「それは素敵ね!」
「私、お菓子を持っていきますわ」

 きゃっきゃと話が弾む。こういうのはいいな。連帯感が生まれる感じだ。


「…あら。リナーリア様は、エスメラルド殿下とお勉強をなさらなくてよろしいのかしら?」

 突然棘のある甲高い声が響き、私は後ろを振り返った。
 薔薇色の巻毛をしたいかにも気の強そうな風情のご令嬢がそこに立っている。
 カーネリア様と同じクラスのシルヴィン様だ。

 私はどう答えて良いものか分からず、曖昧に微笑んだ。
 以前からこのシルヴィン様はお茶会などで度々私に絡んできては、殿下との仲についてしつこく尋ねてくるので少々苦手だったりする。

「どうして殿下のお名前が出てくるのかしら?」

 横から割って入ったのはカーネリア様だ。
 シルヴィン様はカーネリア様に対してはあまり強く出ないので、一緒にいる時はよくこうして庇ってくれる。

「だ…だって、リナーリア様はいつも王子殿下と親しげじゃありませんの」
「そうね、リナーリア様は殿下ともお兄様とも親しいわね。でも、私達とも親しいのよ」
「……」

 シルヴィン様が唇を噛む。我慢しているが悔しそうなのが丸わかりだ。
 迷惑ではあるが、この嘘がつけなくて腹芸ができなさそうな感じが個人的には嫌いではないんだけどな…。
 カーネリア様も、困ってはいるが嫌ってはいない感じだ。
 私としては殿下に紹介してあげたい気持ちもあるのだが、スピネルから「そういうのは絶対にやめろ」ときつく言われているのでできない。

「そうだわ、お勉強会にはスピネルお兄様もお呼びしましょうか。お兄様もテスト勉強には苦労しているみたいだし。どうかしら、リナーリア様」
「え?…ええ、よろしいのではないでしょうか」

 カーネリア様の突然の提案に私は内心首を傾げつつ微笑んだ。
 別に構わないが、どうして急にそんな話になるのだろう。

「うふふ、リナーリア様と一緒ならきっとお兄様も喜ぶわ!」

 にっこりと笑うカーネリア様。
 それを聞いて急に慌てだしたのはシルヴィン様だ。なぜ私を睨む?


「あ、貴女、まさか…本当にスピネル様とお付き合いをなさっているの…?」

 思い切った様子のシルヴィン様に問いかけられ、私は笑みが引きつりそうになるのを必死でこらえた。
 数ある誤解の中でも一番言われたくないやつだ。

「いいえ。どうしてそのような事を」
「だって貴女、いつもスピネル様のことを呼び捨てにしているし」
「それは友人として親しくしているからです」
「舞踏会デビューの時も、スピネル様と踊っていたではありませんの」

 もうそろそろ皆忘れている頃だろうに、その話を掘り返すのは勘弁して欲しい。

「あれは、私がファーストダンスで失敗するのではないかと心配して気を遣って下さったんです。スピネルは私のダンスがとても下手な事を知っていましたから」
「知っているって…まさか、舞踏会の前にもスピネル様と踊った事があるの?」

 えっ、そこに食いつくんですか。

「ええまあ、一応…」

 その件についてはあまり話したくないので微笑んで誤魔化す。
 だが、シルヴィン様は物凄くショックを受けたような顔で黙ってしまった。
 何故そうも落ち込むのかと思い、私はそこでぴーんと閃いた。

 …もしかしてこの方、スピネルの事が好きなのでは?

 だとすれば、今までの彼女の言動にも納得がいく。
 殿下との仲をしつこく尋ねてきたのも、私が殿下を好きだという言質を取りたかったからなのだろう。
 なら、このよく分からない会話をどういう方向に持っていけば良いのかの答えは簡単だ。


「シルヴィン様は私がスピネルと踊ったことを気になさっていますが、本当に彼とは何でもないんですよ。先程は私がダンスが下手だからと言いましたけど、実はもう一つ理由があるんです」
「えっ?」
「私は本当は、憧れの殿方がいるんです。でも私はその方とはとても踊ることができないので、スピネルが代わりに踊って下さったんですよ」

 そう言った途端、ガタガタっ!という音が響いた。
 誰かが椅子を蹴って立ち上がりかけたような音だ。しかも複数。
 思わず辺りを見回すが、皆素知らぬ顔をしている。…これ絶対、皆聞き耳を立てているな…。
 話を聞かれている事に少し恥ずかしくなるが、この際だから都合がいいと考えるべきだろう。この件について私の印象を変えるチャンスだ。

「あの、リナーリア様…そんな事をおっしゃっていいの…?」

 困惑した様子でカーネリア様が尋ねてくる。私は恥ずかしそうな表情を作り、少しうつむいた。

「はい。どうせ私とはご縁のない方ですので。…実はその方は、ブーランジェの…」

 ガタっ!とまた椅子の音が聞こえる。おい誰だよ。

「えっ、うちのお兄様!?レグランドお兄様かしら、それともバナジンお兄様?やだ、言ってくれたらいつでも紹介したのに!」

 カーネリア様が目を輝かせるが、私は小さく首を振る。

「いえ、ブーランジェ公爵様です」


「……。お父様?」
「はい!剛刃将軍と謳われたアルマディン・ブーランジェ閣下です!」

 私は両手を合わせ、にっこりと笑う。
 カーネリア様とシルヴィン様が揃ってぽかーんとした。

「その生き様はまさに質実剛健、厳しくもお優しい騎士の鑑とも言うべき立派なお方。お目にかかったことはほんの数度しかありませんが、武勇伝はいくつも聞き及んでおります。とても憧れています」

 私はできる限り熱意を込めて言う。

 相手は公爵、しかも既婚者かつ友人の父親だ。殿下やスピネルとは違い、どう間違っても私と関係など生まれようがないと誰でも一目で分かる。
 誤解を受ける心配がない憧れの相手として、まさに完璧なチョイスだ。
 父親に代わって息子に踊ってもらったというのも、いかにもそれっぽくロマンチックに聞こえるだろう。多分。スピネルと公爵は全く似てないんだが。

 それに、私が公爵に憧れているというのは事実だ。もちろん恋愛感情的な意味ではないが。
 ブーランジェ公爵は謹厳実直を絵に描いたような人で、一人の人間として、公爵として、とても尊敬できる人物なのだ。
 騎士でありながら、魔術師に対してきちんと敬意を払ってくれる所も素晴らしい。

「あの逞しい体躯も素敵です。特にあの、服の上からでも分かる上腕二頭筋…数十頭の魔獣の群れに襲われた際、なんと素手で魔獣の頭を引き千切って倒されたとか!素晴らしい膂力りょりょくです」
「そ、そうね…?」

 カーネリア様がこくこくとうなずく。

「それに、僧帽筋もたいそう立派でいらっしゃいます。狼型の中型魔獣と戦った際、頭部に一撃を食らいながらもその筋肉で耐え切り、一刀をもって魔獣を両断したと聞いております。普通の騎士にはとてもできることではありません」
「え、ええ」
「あ、もちろん、上半身だけではなく体幹を支える下半身の筋肉もとても優れていらっしゃいます!特に腓腹ひふく筋が素晴らしいですね。かの剛力は、鍛え上げられた足腰から生まれるものなのでしょう」


「…ええと、筋肉…お詳しいのね…?」
「はい」

 カーネリア様に問われ、私はうなずいた。
 人体の構造、特に筋肉についてはしっかり勉強している。身体強化の魔術を使う際、その知識があった方がより高い効果を出しやすいからだ。

 女性は何だかんだと男性の外見を気にするものなので、内面だけではなく外見も褒めた方が信憑性が高まると思ったのだが…おかしい、どうも微妙な反応をされているような気がする。
 何か間違っただろうか…?

「そうだったのね…リナーリア様はブーランジェ公爵を…」

 シルヴィン様は呆然と呟いている。良かった、ちゃんと信じてくれたらしい。

「ごめんなさい、知らずにおかしな事を訊いてしまって」

 しかもちゃんと謝ってくれた。やっぱりこのご令嬢、根は素直な人なのだ。
 作戦が上手く行った事に安心する。

「いいえ。分かっていただけて嬉しいです」

 戸惑い顔で様子を見守っていたカーネリア様や他のご令嬢も、シルヴィン様が矛を収めたことにとりあえずほっとしているようだ。


 そこで予鈴の音が聞こえてきた。話し込んでいるうちに時間が経ってしまったようだ。
 周囲の生徒たちが次々に席を立ち食堂から出ていく。私たちも午後の授業が始まる前に戻らなければ。
 去っていったシルヴィン様を見送りながら、私はこっそりとカーネリア様に耳打ちする。

「カーネリア様、私気付いてしまいました。シルヴィン様、きっとスピネルの事が好きなんですよ」

 それを聞いたカーネリア様は私の顔を凝視する。

「まさか、今まで気付いてなかったの…?」

 …その表情、スピネルにとてもそっくりですね。



 後日、勉強会は無事に開催された。
 参加者にはシルヴィン様もいた。どうやらカーネリア様が誘ったらしい。
 スピネルは来なかったのだが、シルヴィン様とはだいぶ打ち解けられてほっとした。

 シルヴィン様は私がスピネルとも殿下ともそういう関係ではないと理解した事で、今までの自分の行動をずいぶん反省したらしい。
 チラチラとこちらを見つつ申し訳なさそうにしているので、彼女が苦手だという政治経済学について丁寧に教えたところ非常に感激された。
 こういう素直で表裏のない人物が私は好きなのだ。できれば仲良くしていきたい。

 そこまでは良かったのだが、生徒の間で私は筋肉好きだという噂が流れているとカーネリア様から聞いた。
 …何故?
 さらに、男子生徒の間では筋力トレーニングが流行り出しているらしい。
 私の話を聞いて筋肉はモテると思ったのだろうか。
 それで女性受けするかどうかの責任は私には持てないが、鍛えるのは良い事なので頑張ってほしい。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

転生先が意地悪な王妃でした。うちの子が可愛いので今日から優しいママになります! ~陛下、もしかして一緒に遊びたいのですか?

朱音ゆうひ
恋愛
転生したら、我が子に冷たくする酷い王妃になってしまった!  「お母様、謝るわ。お母様、今日から変わる。あなたを一生懸命愛して、優しくして、幸せにするからね……っ」 王子を抱きしめて誓った私は、その日から愛情をたっぷりと注ぐ。 不仲だった夫(国王)は、そんな私と息子にそわそわと近づいてくる。 もしかして一緒に遊びたいのですか、あなた? 他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5296ig/)

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

処理中です...