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勇者の孫?

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僕は平凡なサラリーマンの佐藤健太。特に飛び出た才能もないし、夢や希望とかとにかく何も無い

サラリーマンの生活は、単調な時間が過ぎるだけで、何も代わり映えしない

子供の頃に戻りたいと、何度願った事か…何度子供のままでいたいと思っていた事か…

桜が咲いていて春の陽気に包まれているというのに、元気もやる気も失せていた

そんな僕はただ年老いて行くだけの人間だった。

四十歳にもなってまだ子供染みた事をやっている、そんな自分に嫌気が差してきた

もう死にたいと、何度思った事か…でも自殺は怖いから出来ない。

弱虫の意気地無しだった。そんな僕にも与えられたものは有るのだろうか

死に老いる世界でやるべき事が有るのだろうか。

僕は思う、僕のやるべき事は無いと。ただ死んでいくだけだとおもう。

ふと昔の事を思い出すと、いつも情けなく、だらしなく怠惰か生活を送っていた

両親に反発して家を飛び出て、一人じゃ限界があると思わずにはいられなくなり

会社も何回か変わることになり、部長を殴りクビになったり。

あ~あ馬鹿げた人生だったな

そう思うと何だか急に眠たくなり、公園のベンチで眠りについた

ここはどこだろう?僕はどうしたんだろうか?何だか病院みたいな所で寝ていた。病院に運ばれたのかな?

それにしても、誰かに抱かれているな…なんかみんな喜んでいる?

一体なんで?どうして?。そもそもこんな病院しらないな。どこか遠い街の病院かな?

抱いていた人が僕を抱き上げ、顔を合わせた。知らない女性だな?あれ…僕身体が縮んでいる?

いや若返えったのか?それも違う。一体何が起こったんだよ

「貴方の名前はアレン・ストレンジよ。貴方はこれから世界を救うのよ」

は????

僕は勇者の孫になっていた





僕が転生した村はアスガルド村。極々平凡でのんびりした村だった。

村では、子どもたちがじゃれて遊んでいたり。大人が畑を耕したり。

空気は澄んでいて、本当に平凡な村に生まれた。

僕の今の名前はアレン・ストレンジ、勇者の孫だ。今は平和な日常があるが。昔は魔王アルジェストラが世界を支配していた。

アルジェストラは暴虐の限りを尽くした。人々を殺したり、奴隷にしたり。金品を奪ったり、食料を荒らしたり。人々はアルジェストラを恐れていた。

しかし僕の祖父のサリエラ・ストレンジが、アルジェストラ軍と闘い勝利した。アルジェストラは死んだのだ。

そんな訳で、今は平和な日常を送っている。国は栄えてきた。

僕の母親のキリア・ストレンジは、優しく頼もしい母親だ。

父親のバーサク・ストレンジは、逞しく屈強な剣士だ。

「アレン、学校に行きなさい」

学校は、村の中に一つだけあり、大抵の子どもたちは、学校に通っている。

学校に通わないと、剣士になれないのだ。学校に通い、いい成績を修め、魔法を使えるそれが剣士になる条件だ。

「はい、母上。行ってきます」

村の中は活気に満ち溢れていた。こんな平和な世界で僕がやるべき事はなんだろう。勇者の孫なんだ立派な剣士になればいいんだ。

この村のある国、シーガル王国は、ハレンド帝国とサイトラ王国と同盟を組んでいる。まあ僕には関係の無い事だけどね。一応説明しとこうと思ってね。

前世では、学校も楽しくはなかった。虐められていて。みんなから無視されたり、鞄に蛙やゴミを入れてきたり、上靴を隠されたり。とにかく色々な嫌がらせを受けてきた。

だから楽しくなかった。でも今は友達がいるんだ。ラグーン・チェイサーが。

ラグーンは一番仲の良い親友で、よく一緒に遊んだりしている。

みんなは僕を、勇者の孫として見てるけど、ラグーンは違い一人の少年として見てくれている。

「ラグーン、待たせかな?」

僕は待たせてしまったかな?と思い心配になって来たが、ラグーンは笑いながら

「俺も今さっき来た所だよ」

と怒りもせずにそう言いのけた。どうやら待たせてはいなかったみたいだ。僕は安堵の息を漏らした。

学校までの道はそろそろ終わりで、学校に着くところだった



学校に着いた僕とラグーンは、教室に入室した。学校は二階建てで、教室は三部屋しかない。

先生も三人しか居なくて、先生達は大忙しでせわしなかった。

授業の準備や、生徒の登校の見守り色々な事をやらなくてはいけない。

前世で僕もそうだった。やるべき仕事が多くて残業や、失敗をして怒られたり。大人は嫌なことだらけだ。

学校は前世の田舎にある、学校みたいだった。

「ラグーン君に、アレン君。おはよう」

この女の子はリサベル・トーマスで、魔法を使うのが得意。まあ学校で習う初心者魔法だけどね。

リサベルは男勝りな女の子で、力も強い、頭も良いで、良いところだらけだ。

そんなリサベルだが、人見知りが激しくて、僕とラグーン以外とは、あまり仲良く出来ていない様たった。

因みに僕は初心者魔法の他に、中級魔法を少し使える。勇者の孫の力だ。

リサベルは僕たちに近づくと

「今日の放課後、魔物の森に行きましょ。いいかしら」

魔物の森というのは、大人達が絶対に入ってはいけないという森の事で、通称開かずの森と呼ばれている。

入ると無事に帰ることは出来ない、そう言われているのだ。

僕はとても魔物の森には入りたくないが、ラグーンやリサベルが行くから大丈夫だろう。

「いいぜリサベル、アレンも行くよな」

大丈夫だろうけども、やっぱり怖い。行きたくないな。だけど友達が行くんだ、僕も行かないと。

自分の中で行くか、行かないかで、闘っている。友達が行くのに怯える僕と、勇敢な僕、どっちが勝つのか?

「行くよ」

勇敢な僕が勝った様だった。しかし夜に行くしか無いだろうな。昼間は大人の目があるから、注意されてしまう。

だから出発は、夜のほうが都合が良いのだ。リサベルもそれを解ってるみたいで、リサベルは

「今日の夜中十二時に開かずの森前に集合よ、良いわね」

「「おう!!!」」





夜も更けて深夜十二時になろうとしている頃だった。行くとは言ったけど、勇気は未だに少しも出ない。友達が行くのに。

しかしそれは仕方ない、開かずの森なんだから当たり前だ。開かずの森は立ち入り禁止の場所なんだからな。

まあ僕が行かなくても大丈夫だよね。相当怖くなって僕は一時になっても部屋にいた。

勇者の孫なのに。しかし誰が勇者の孫に転生したいなんて言ったんだ?思ってもいないんだから。

ただ弱虫扱いされるだけだろう、そう楽観的に考える事にした。

弱虫だから何だ?!そう言えば良いんだよ。本当に弱虫だからな。僕は前世でも弱虫だった。幽霊が怖いし、力が強そうな人や、喧嘩が強い人、それらが怖かった。

勇者の孫でも、何でも自分は自分だ。そう考える事にした。



翌朝僕は目が覚めた、あの後直ぐに眠ってしまったみたいだ。

二人にからかわれるだろうな。まあ当然と言えば当然だからな。

母上の声が聞こえた。

「アレン、早く朝御飯食べなさい」

僕は急いで下のリビングに行った。父上が何やら玄関で誰かと話している。こんな朝早く誰とだろう?

父上は話が終わると僕の近くに来て。

「アレン、昨日の夜中にリサベルちゃんとラグーン君が、外に出ていったきり行方不明だって、アレンは何か知ってるか?」

その言葉を理解するのが、少し遅れてしまった。リサベルとラグーンが行方不明???何で?それは解っている開かずの森に入ったからだ。

僕は父上に怒られるのが怖くなり

「いえ、知りません」

冷たくでもはっきりとそう告げた。約束の事は僕たち三人しか知らないはずだ。バレないさ。

「そうか、解った」

行方不明になった二人は一体?





僕は大事な友達二人を、見殺しにしたも同然だろう。弱虫だったばかりに二人は行方不明になった。

僕に出来る事は何だったんだろう?僕がやるべき事はあの夜一緒に開かずの森に行く事だったんだ。

後悔した、罪悪感を感じた、悲しくなった、自分が惨めに思えてきた。馬鹿みたいだと自分を罵った。

そんな事をしても何かが変わる訳じゃない。二人が戻って来る訳では無い。僕は決心した。

僕に今出来る事をやり尽くすだけだ。



僕も夜中になり、開かずの森へ向かった。

開かずの森は薄気味悪くて、霧が立ち込めていた。二人を探すんだ。僕は勇者の孫なんだ!!僕は二人の友達なんだ!!

開かずの森に入ると、前世の世界でいうカラスみたいな鳥が、鳴いている。それも薄気味悪く聞こえた。

森をズンズン進んでいくと、イノシシみたいな化け物が現れた。

「ファイアーボール」

攻撃する意図はなく、牽制してイノシシが逃げる様に仕向けた。

だが一発では効果がなかったみたいで、もう一発ファイアーボールを繰り出した。

しかしイノシシへ怯える事なく、こちらに向かって突進してきた。

それをギリギリ躱して、サンダーシュートを発動した。

それも攻撃せず、牽制する意図で。こんな無益な争いで命を散らしてはいけない、そう思えたのだ。

イノシシは怯み、そして逃げて行った。はあ~良かった。僕は一安心した。

森を更に進むと行き止まりになっていた。道を間違えたか?ラグーンとリサベルはどこにいるんだろう?

不安が静寂を包んだ。ざわざわしていた木々も静まり変えった。

何かが近づいてくる?一体何が?

「おい、そこの坊主」

僕はびっくりして、大声を出してしまっていた。
誰だ?後ろを振り返ると一人の老人が居た。

「お前、あの二人の知り合いのアレンか?」

多分あの二人と言うのは、ラグーンとリサベルの事だろう。

「こっちに付いて来い」

そう言われて、その老人に付いて行く事にした。しかし疑問がある。

「あのう、すいませんけど、二人は無事ですか?」

「ああ無事だ。魔物避けの結界の張った家にいるよ」

多分森が静まり変えったのは、魔物避けの結界のせいだろう。でも二人が無事で良かった。
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