小説にするには平坦な人生

寶來 静月

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さよならスリム、さよなら美少女。

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小学5年生になり、母と街を歩いていたときのこと。
「モデルとか興味ないですか?」と女性に声をかけられた。

その頃の私は、小学生にしては背が高いほうで、背の順だと大体後ろから2~3番目だった。
自分で言うのもあれだがスタイルも良く、そこそこ可愛いモテ女子だったのだ。

モデル。
悪い気はしなかった。

母が名刺を受け取り家に帰ったあと、「やりたい?」とひとことだけ聞かれた。
私は少し考えた。
実を言えば、少し興味があった。
でも母は、私を芸能界に入れる気は端からなかったんだと思う。
名刺を破って捨てたのだ。
 


それから、私は太った。
どんどん太った。
面白いくらい太った。
小学6年生のときには顔はまん丸でパンパン、脂っぽくなりニキビだらけ、太ももも太くなった。

可愛いと持て囃されていたころの面影は一気になくなった。
自分で自分にびっくりした。
私のことを好きだと言ってきていた4~5人の男子も、ある日転校してきた関西弁の可愛い子にあっという間に心変わりした。

白状な奴らめ。
そう思った。



それから私は、太ったままだ。
ダイエットしてもちっとも痩せやしない。
今日も元気に太っている。

ダイエットしたら痩せるなんて、そんなの都市伝説だと思っている。
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