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10.恋敵
しおりを挟むアリシアの王妃教育が進むにつれて、殿下とのお茶会も週に2回となった。殿下の業務が年々増えているからである。今日も殿下とお茶会の予定だったが、急な会議によりお会いする事ができなくなった。
気晴らしに、庭園の中で本を読むことにした。アリシアはナタリーと共に庭園に向かっているとき一人、木の木陰で寝ている男の子を見つけた。年齢はアリシアと変わらないくらいの可愛らしい男の子だ。
しかし、ここは王族に近しい人しか入れないはずなのに彼は迷子かしら?
「ナタリー、彼を起こして来てあげて」
「わかりました。」
ナタリーは素早く彼に近づくと彼の頬をビンタした。
「な、ナタリー!!軽く起こしてあげるだけよ」
「この方が手っ取り早く思いまして。」
何を平然と真顔で言っているの!その方が高貴な方だったらどうするの!
「いたーい!この感じ久々な気がする!あっ!ナタぶしっ!」
「すみません起きていたとは思いませんでした。」
ナタリーのビンタで起きたみたいなのに、ナタリーは気づかずにビンタした。胸ぐらを掴んだまま誤ってもダメよ!どうしましょう!この方が身分が高い方だったら!!
「初めまして、アリシア様こんな格好で申し訳ないです。先日留学先から一時帰国しました。レオナルド・ダリアストです。以後、お見知りおきを」
レオナルド様って!ルーカス殿下の弟君だわ!ど、どうしましょう!私の侍女が失礼をしてしまったわ!!
「レ、レオナルド殿下、大変申し訳ございません!私はキャロル侯爵の娘アリシアでございます。侍女ナタリーが無礼を働きました。罰は私めがうけます。どうかお許しを!」
「ふふ、子供同士のことですしナタリーはいつものことですから」
ふわっと花が舞いそうな笑顔でレオナルド殿下が言う、ナタリーはいつものことってどう言うこと?
「アリシア様、私幼い頃に一度王弟に来たことがあってそれで知り合いなのです!」
「えぇー、ナタリーはまた可笑しなこと言ってるー「レオナルド様、黙ってて頂けますか?」いいよー」
ナタリーが可笑しなことを言うのは確かだが、今は特に言っていない気がするわ?
ルーカス殿下もナタリーと仲がいいのは幼い頃にあったことがあるのかしら?
「キャロル嬢はここに何しに来たの?」
「ルーカス殿下とのお茶会が中止になったため此方に本を読もうと思い来ました。レオナルド殿下は何故、こちらに?」
「僕はお昼寝をしようと思って、頭を使ったら眠くなるからね。アリシア嬢僕のことはレオンでいいよー、あんまり畏る喋り方好きじゃないんだ。」
「わかったわ、レオンよろしく。私もアリシアでいいわ!」
「うん、よろしく!ねぇ、アリシア明日も来るの?」
「はい、お伺いする予定ですわ!」
「じゃあ!僕とまた話そうよ!」
「ぜひ、お話ししましょう!」
レオンの笑顔は可愛くて癒されるわ、また明日、殿下とのお茶会の後にでもお話しできたらいいわ。
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