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9.アリシアの不安3
しおりを挟む「なんて可愛い内装なのかしら!!」
初めてのカフェのお店は、想像より可愛らしい内装だった。可愛い花柄の壁紙に、緑のシャンデリア、妖精をモチーフにした小物
女性に人気が有るのが納得がいく内装だった。
殿下と私達は奥の個室に案内された。そこはもっと素晴らしく、高級感はあるのにシンプルで、居心地がとても良い。
「アリシア嬢はパンケーキと紅茶でいいかい?僕はコーヒーにしようかな」
殿下がメニューを開きながら、アリシアに訪ねてくる。一人ではしゃいで少し恥ずかしい。殿下が注文したコーヒーは最近、隣国から輸入されて成人男性に人気だと聞く飲み物だ。
ぜひ、私も飲みたいわ!!
「殿下、私もコーヒーがいいですわ!!」
「アリシア嬢、コーヒーはかなり苦いと聞くが大丈夫かい?」
「えぇ、王妃候補としては隣国の特産物について知っておきたいのもありますの!是非、飲んでみたいわ」
「いいよ、もし飲めなかったら遠慮せずに言うんだよ?」
「はい!」
アリシアがあまりにも嬉しそうにコーヒーを飲みたいと言うのでルーカスはコーヒーを注文したが、甘党のアリシアが苦味の強いコーヒーを飲めるとはとても思えなかった。
「お待たせ致しました。」
可愛いメイド姿をしたお店の店員さんが、綺麗にテーブルに並べていく見るからにふわふわしているパンケーキにアリシアは目が奪われていた。隣に置かれたコーヒーは黒い見た目で香りが香ばしく、何というか大人な香りがした。
ナイフとホークで切り込みを入れる時、ふわっとした感覚は今まで食べたケーキの中で初めてだった。口に含むと口の中でふわっと滑らかで溶けてしまいそうだ。幸せを噛み締めていると殿下が「パンケーキのクリームがついてるよ」と私の口の端を指で拭いてくれた。そしてそれをそのまま自身の口に加えたのだ!
「な、な、破廉恥ですわ!」
殿下はなんてことをなさるの!破廉恥だわ!
アリシアは、真っ赤な顔を両手で隠して、顔を見られない様にした。
「アリシア嬢、ごめんね君があまりにも可愛い反応を見せるものだから、からかってしまったんだ。」
「からかうなんて!子供を授かってしまったらどうなさるの!!」
「えっ!!?」
「アリシア様、キスで子供ができると思っているのですか?え、何それ可愛い!!天使かよ」
何故、殿下は驚いてるの?ナタリーは何故、天然記念物を見る目をしてるの?
「お父様に子供は、お姫様みたいなキスをした時に出来るって聞いたわ!もしくは、コウノトリが幸せな夫婦に運んでくるものだと聞いたわ!」
「そうだった。アリシア様見た目、大人びていて綺麗だからつい忘れてたけど、まだ7歳の子供なんだった。その歳で色気ありすぎでしょ!誰得だよ!私しか得しない!」
ナタリーが頭を抱えながら、可笑しなことをまた言っている。私に色気なんてないわお母様みたいに出るとこ出てないもの!
殿下も額を抑えて上を向いて動かないわ!
もう!二人してなんなのよ!
「なんですの!朝から二人だけ、わかり合ってる様な反応して!」
なんだか、馬鹿にされたような気がして八つ当たり気味に、アリシアは言った。
そんな、アリシアを見て殿下が此方を見て甘く蕩けそうな笑顔をみせる。
あまりの甘さにそれを誤魔化す様に、アリシアはコーヒーを一口飲んだ。
「にがい」
「やっぱり、まだ早かったかい?牛乳を入れると美味しいよ?入れてみるかい?」
「はい、私にはまだ早かったみたいですわ。でも、味が知れたのでいい経験ですわ!」
「そうだね、これから色んなことを僕の手で学ばせてあげるね。アリー」
名前を愛称で殿下が呼んでくださって嬉しいはずなのに何故かプルプルと背筋に寒気が走った。
屋敷に帰り着いてから、今日は私が変な顔してなかったか、ナタリーに聞くと「今日の、アリシア様はずっと楽しそうで、いつもの蔑む目からのギャップかわうす!!
意地らしい、愛おしいあいらぶゆー!と思いました!!」と勢いよく感想を言われた。悪いところが無かったのはわかったが、相変わらず半分は意味がわからないわ。
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