疾風の冒険隊

道端の椿

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1話:新入社員

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◇風(ふう):主人公のカラス

巣立ちしたばかりの新米で、「冒険隊」に配属された。社会の荒波に揉まれながら奮闘する



――――――――――

 カラスの朝は早い。

 日の出が早い季節は朝5時、遅い時期は6時くらいに活動を開始する。

 太陽の動きに合わせた生活は、人間に置き換えても健康的と言えるだろう。

 ふうは無事に「冒険隊」という小隊へ加わり、さっそく3人のチームメイトと飛び立った。

 研修の頃よりも空は広く、朝日は眩しく感じられた。風は新しい冒険への期待と不安で胸がいっぱいだった。

 どっしりと構えて先頭を飛ぶキャプテンは、一瞬だけ振り返ってふうの様子を確認した。

「よし」と彼は言った。「俺は冒険隊のキャプテンだ。まぁ、昔は風の親代わりだったから、今さらお前への紹介はいらねぇな」

「おい、ハヤテ!」とキャプテンは声を上げ、上空に顔を向けた。「自己紹介しろ」

「あいよ!」と彼は威勢よく答え、空中で華麗に一回転した。

「おいらの名前はハヤテだ、よろしくな! はっきり言って、このチームでいちばん運動神経いいから、せいぜいおいらの背中を見て技を盗みな!」

 そう言い放つと、ハヤテはもう一度見せびらかすように一回転して、縦横無尽に素早く飛び回った。

 小隊の最後尾を飛んでいたなぎは彼を見て、「まったく…」とあきれたように声を漏らした。

「私はなぎ。あなたがハヤテみたいな“やっかいごと”を起こさないように願ってるわ」

 彼女は淡々と自己紹介を終えた。「以上です」

「うむ」とキャプテンは言った。「まぁ、あれだ。ハヤテと凪は喧嘩ばかりしているが、現場での連携はピカイチなんだ。風も見てりゃわかるさ」

 突然、激しい追い風が吹き、小隊の背中を強く押した。ふうだけが動揺してバランスを取れず、隊列を乱した。

「えっと…」風は控えめに声をかけた。「みなさん、よろしくお願いします!」彼の声はかすかに震えていた。

「さて」とキャプテンは言った。「さっそくだが風にはテストを受けてもらおう。凪とペアを組んでくれ」
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