220 / 258
黒い剣士、再び
213.ディカルト
しおりを挟む
とある国の村で生まれたというディカルトは今のような戦闘狂では無かったらしい。
さらに村で住んでいる時には剣を生業としてすらいなかったとか。
「……きっかけはそんなに難しくねえんだ。十三歳……ちょうどアル様と同じくらいの時だったかねえ……村が魔物に襲われて壊滅しちまったんだ。その時、親父に気絶させられて地下室に放り込まれたから助かった。だが――」
自分は戦いもせず生き残ったことが悔しい、と。
村が全滅したなら俺もあの場で死ぬべきだった。そうディカルトは空を仰いで口にする。
「だけどよ、実際には魔物を襲わせた『黒幕』が居たのさ。親父は村長だったんだが、正義感の強いおっさんでよ。領主が私腹を肥やすための増税に反対していた」
「そいつが襲わせたのね」
「ああ『見せしめ』ってやつだ。親父を中心に村が協力していたからリーダーが崩れるとあっけなく瓦解しちまったよ」
「酷い奴だ……そいつはまだ生きているのか?」
「まさか。二年修行した後でぶち殺してやったよ。生きてたらアル様が殺しに行きかねないって顔だぜ?」
「まあね。そういうのが嫌いなんだよ俺は」
前世も今世も一家を殺された理不尽を受けているからディカルトの気持ちはよく分かる。俺は聖人君子でもなんでもない。
理不尽には持てる力を行使して『分からせない』と犠牲者が増えると俺は知っている。
「それと強者を求めるのに関係はあるのかしら……?」
「復讐は終わっているし、生きていく目的もねえから死にてえだけ。……ただ、強くなるのは気持ちがいい。だからこそあのクソ領主を殺せたわけだから、拘っているんだろうな。……運がいいのか悪いのか、まだ親父達のところへは行けてねえが」
元々は爺さんを狙って騎士になったと笑う。
俺を襲って戦えればと考えていたそうだが、片腕を失くしていたため力のぶつけどころが無かったからイラついてたらしい。イーデルンもあんなんだしな。
「お前、俺を殺しに来てたろ」
「へっへっへ、適当に痛めつけて運ぶつもりだったんだがよ、俺を相手に怯みもせず攻撃を避けやがった。その時『こいつは強い』と判断したからちょっと本気を出した。殺すつもりは無かったんだぜ?」
どうだかなと訝しんだ目を向けるとディカルトは珍しい表情で俺とリンカの頭を撫でてきた。
「……だからよ、黒い剣士を殺すためにオレを盾にでもなんでも使ってくれ。オレはもう未練はねえが、お前達は若いんだからよ」
「……」
こいつは本来、殺しとは無縁の村人だったんだろうな……。
それが誰かの思惑で人生を滅茶苦茶にされた。俺の前世と同じように。
恐らく、俺も前世で生き残っていたら似たような境遇の人間の手助けをしていたと思う。
「やっぱりアホだなあディカルトは。死んだら意味がないんだよ、お前も今やこの屋敷の使用人だ。死なれちゃ困るよ」
「アホとはなんだ」
「アルの言うとおりね。死なれたら私達が悲しいじゃない。それにどうせならいっぱいいいことをして、胸を張ってお父さんに会いに行きなさいよ」
リンカが苦笑しながら酷なことを口にする。こいつは昔から無理難題を言うからなあ。だけど、そいつに出来ないことは言わない。
「まったく……面倒くせえ家に入り込んだもんだぜ。ま、やれるだけのことはやりますよ」
「頼むよディカルト」
照れくさいのか、もうちょっと休憩すると言って俺とリンカは追い払われ、再び爺さんとギルディーラの居る場所へと戻る。
「わふ」
すると、クリーガーに訓練するため腕につけるサポーターを持ってきた。
「なんだい、クリーガーも頑張るってのか?」
「わんわん!!」
「そうみたいね。自分も一員だって言いたいのかな?」
「多分ね。よし、それじゃ今日はクリーガーを鍛えるとするか!」
「きゅーん♪」
……いいことをいっぱいして胸を張る、か。
俺も両親の仇を取れるなら最終的に死んでもいいと考えていたけど、さっきのリンカの言葉で、俺にも悲しむ人が多くなっているなと気づかされた。
エリベール、元気だろうか?
ふと、美人な顔立ちの婚約者を思い浮かべる。リンカを紹介したらなんというか……。
そしてそれから半年ほど修行に明け暮れて、ある日――
◆ ◇ ◆
――ライクベルン謁見の間――
「お初にお目にかかる。私は遥か北方の国‟ドラッツェル”の王女でヴィネと申します」
「噂には聞いておりましたが、遠路はるばるようこそいらっしゃいました。厳しい環境での国、ご苦労もあるかと存じます」
「お気遣いは無用。あの地で生きていくと決めた時点で覚悟はできておりますから」
「なるほど……。それで来訪するという書状は頂いておりましたが、用件は書かれておりませんでしたな? 国内の旅行であれば良いガイドをつけますぞ」
「それは頼もしい。しかし残念ながら私は探し物をしに来たので、それはいつかできれば、ということで……」
「探し物、ですか?」
「ええ。こういう者が『ブック・オブ・アカシック』という本を探していると聞いたことはありませんか?」
――瞬間、その場に居たライクベルンの人間が身構え、ライクベルン国王のバラックが距離をとる。
アルフェンの話で『ブック・オブ・アカシック』の話は聞いているからだ。
そして『こういう者』と言った瞬間、どういう原理か分からないが遠き王女の姿が漆黒の鎧姿に変化したからだ。
「貴様がアルフェンの探していた黒衣の剣士……!?」
「ああ、お構いなく。そのアルフェン君が持っていることは知っているよ」
「……なら何故ここへ?」
「そんなに難しい話じゃない。もしアルフェン君のところへ直接行って私に勝てなかった場合、また逃げるかもしれないからな。だから君達には……この王都ごと人質になってもらおうと思って」
「馬鹿なことを……この人数差で勝てると思うな!」
バラックが手をかざし、騎士団長と将軍に指示を出す。
相手は護衛含めて四人。
それに対し今まで対峙したことのない国を警戒してこちらは二十名から手練れを集めている。
しかし――
『この私にこの程度の数で勝てるなどと思ってもらっては困る』
――涼しい声で王女は剣を抜く。
さらに村で住んでいる時には剣を生業としてすらいなかったとか。
「……きっかけはそんなに難しくねえんだ。十三歳……ちょうどアル様と同じくらいの時だったかねえ……村が魔物に襲われて壊滅しちまったんだ。その時、親父に気絶させられて地下室に放り込まれたから助かった。だが――」
自分は戦いもせず生き残ったことが悔しい、と。
村が全滅したなら俺もあの場で死ぬべきだった。そうディカルトは空を仰いで口にする。
「だけどよ、実際には魔物を襲わせた『黒幕』が居たのさ。親父は村長だったんだが、正義感の強いおっさんでよ。領主が私腹を肥やすための増税に反対していた」
「そいつが襲わせたのね」
「ああ『見せしめ』ってやつだ。親父を中心に村が協力していたからリーダーが崩れるとあっけなく瓦解しちまったよ」
「酷い奴だ……そいつはまだ生きているのか?」
「まさか。二年修行した後でぶち殺してやったよ。生きてたらアル様が殺しに行きかねないって顔だぜ?」
「まあね。そういうのが嫌いなんだよ俺は」
前世も今世も一家を殺された理不尽を受けているからディカルトの気持ちはよく分かる。俺は聖人君子でもなんでもない。
理不尽には持てる力を行使して『分からせない』と犠牲者が増えると俺は知っている。
「それと強者を求めるのに関係はあるのかしら……?」
「復讐は終わっているし、生きていく目的もねえから死にてえだけ。……ただ、強くなるのは気持ちがいい。だからこそあのクソ領主を殺せたわけだから、拘っているんだろうな。……運がいいのか悪いのか、まだ親父達のところへは行けてねえが」
元々は爺さんを狙って騎士になったと笑う。
俺を襲って戦えればと考えていたそうだが、片腕を失くしていたため力のぶつけどころが無かったからイラついてたらしい。イーデルンもあんなんだしな。
「お前、俺を殺しに来てたろ」
「へっへっへ、適当に痛めつけて運ぶつもりだったんだがよ、俺を相手に怯みもせず攻撃を避けやがった。その時『こいつは強い』と判断したからちょっと本気を出した。殺すつもりは無かったんだぜ?」
どうだかなと訝しんだ目を向けるとディカルトは珍しい表情で俺とリンカの頭を撫でてきた。
「……だからよ、黒い剣士を殺すためにオレを盾にでもなんでも使ってくれ。オレはもう未練はねえが、お前達は若いんだからよ」
「……」
こいつは本来、殺しとは無縁の村人だったんだろうな……。
それが誰かの思惑で人生を滅茶苦茶にされた。俺の前世と同じように。
恐らく、俺も前世で生き残っていたら似たような境遇の人間の手助けをしていたと思う。
「やっぱりアホだなあディカルトは。死んだら意味がないんだよ、お前も今やこの屋敷の使用人だ。死なれちゃ困るよ」
「アホとはなんだ」
「アルの言うとおりね。死なれたら私達が悲しいじゃない。それにどうせならいっぱいいいことをして、胸を張ってお父さんに会いに行きなさいよ」
リンカが苦笑しながら酷なことを口にする。こいつは昔から無理難題を言うからなあ。だけど、そいつに出来ないことは言わない。
「まったく……面倒くせえ家に入り込んだもんだぜ。ま、やれるだけのことはやりますよ」
「頼むよディカルト」
照れくさいのか、もうちょっと休憩すると言って俺とリンカは追い払われ、再び爺さんとギルディーラの居る場所へと戻る。
「わふ」
すると、クリーガーに訓練するため腕につけるサポーターを持ってきた。
「なんだい、クリーガーも頑張るってのか?」
「わんわん!!」
「そうみたいね。自分も一員だって言いたいのかな?」
「多分ね。よし、それじゃ今日はクリーガーを鍛えるとするか!」
「きゅーん♪」
……いいことをいっぱいして胸を張る、か。
俺も両親の仇を取れるなら最終的に死んでもいいと考えていたけど、さっきのリンカの言葉で、俺にも悲しむ人が多くなっているなと気づかされた。
エリベール、元気だろうか?
ふと、美人な顔立ちの婚約者を思い浮かべる。リンカを紹介したらなんというか……。
そしてそれから半年ほど修行に明け暮れて、ある日――
◆ ◇ ◆
――ライクベルン謁見の間――
「お初にお目にかかる。私は遥か北方の国‟ドラッツェル”の王女でヴィネと申します」
「噂には聞いておりましたが、遠路はるばるようこそいらっしゃいました。厳しい環境での国、ご苦労もあるかと存じます」
「お気遣いは無用。あの地で生きていくと決めた時点で覚悟はできておりますから」
「なるほど……。それで来訪するという書状は頂いておりましたが、用件は書かれておりませんでしたな? 国内の旅行であれば良いガイドをつけますぞ」
「それは頼もしい。しかし残念ながら私は探し物をしに来たので、それはいつかできれば、ということで……」
「探し物、ですか?」
「ええ。こういう者が『ブック・オブ・アカシック』という本を探していると聞いたことはありませんか?」
――瞬間、その場に居たライクベルンの人間が身構え、ライクベルン国王のバラックが距離をとる。
アルフェンの話で『ブック・オブ・アカシック』の話は聞いているからだ。
そして『こういう者』と言った瞬間、どういう原理か分からないが遠き王女の姿が漆黒の鎧姿に変化したからだ。
「貴様がアルフェンの探していた黒衣の剣士……!?」
「ああ、お構いなく。そのアルフェン君が持っていることは知っているよ」
「……なら何故ここへ?」
「そんなに難しい話じゃない。もしアルフェン君のところへ直接行って私に勝てなかった場合、また逃げるかもしれないからな。だから君達には……この王都ごと人質になってもらおうと思って」
「馬鹿なことを……この人数差で勝てると思うな!」
バラックが手をかざし、騎士団長と将軍に指示を出す。
相手は護衛含めて四人。
それに対し今まで対峙したことのない国を警戒してこちらは二十名から手練れを集めている。
しかし――
『この私にこの程度の数で勝てるなどと思ってもらっては困る』
――涼しい声で王女は剣を抜く。
0
お気に入りに追加
198
あなたにおすすめの小説
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
元英雄でSSSSS級おっさんキャスターは引きこもりニート生活をしたい~生きる道を選んだため学園の魔術講師として駆り出されました~
詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)
ファンタジー
最強キャスターズギルド『神聖魔術団』所属のSSSSS級キャスターとして魔王を倒し、英雄としてその名を轟かせたアーク・シュテルクストは人付き合いが苦手な理由でその名前を伏せ、レイナード・アーバンクルスとして引きこもりのニート生活を送っていた。
35歳となったある日、団のメンバーの一人に学園の魔術講師をやってみないかと誘われる。働くという概念がなかったアーク改めレイナードは速攻で拒絶するが、最終的には脅されて魔術講師をする羽目に。
数十年ぶりに外の世界に出たレイナード。そして学園の魔術講師となった彼は様々な経験をすることになる。
注)設定の上で相違点がございましたので第41話の文面を少し修正させていただきました。申し訳ございません!
〇物語開始三行目に新たな描写の追加。
〇物語終盤における登場人物の主人公に対する呼び方「おじさん」→「おばさん」に変更。
8/18 HOTランキング1位をいただくことができました!ありがとうございます!
ファンタジー大賞への投票ありがとうございました!
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
Another Of Life Game~僕のもう一つの物語~
神城弥生
ファンタジー
なろう小説サイトにて「HJ文庫2018」一次審査突破しました!!
皆様のおかげでなろうサイトで120万pv達成しました!
ありがとうございます!
VRMMOを造った山下グループの最高傑作「Another Of Life Game」。
山下哲二が、死ぬ間際に完成させたこのゲームに込めた思いとは・・・?
それでは皆様、AOLの世界をお楽しみ下さい!
毎週土曜日更新(偶に休み)
くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる