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第四章:ひとまずの解決
その65 陛下の喜びと暴走
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「ふん!」
「陛下、ナイスショット!」
「ナイッショー!!」
――レクチャーから早4時間が経ったが、徐々に慣れてきたソリッド様や騎士達がそれなりの成果を上げており、楽しくやっていた。
直線距離で池もバンカーも無いから距離を長く取ってるが、普段の鍛え方のせいか2000メートルをあっさりと越えるショットを放つ騎士達。
ソリッド様も負けてはいない。が、この協議はカップに少ない打数で入れるゲームなので飛距離よりも繊細さの方が必要だ。
「ぬう、一打差か……!?」
「伊達に騎士団長をやっているわけじゃないってことで」
「流石っす団長!!」
「ふふ、楽しそうですねー」
「ゴルフセットが一組しかないけどこれくらいなら全然遊べるからな……っと」
<わふ!>
サリアが遠巻きにソリッド様達のゴルフを見学している横で、俺はアロンとトランポリンで遊んでいたりする。
じゃあダイトはと思うかもしれないが、騎士達が力いっぱいぶっとばしたボールを拾いに行ったりして中々忙しいのだ。
「すんませんダイトさんー」
<うむ、力の加減が難しいようだな>
「っすねー」
こんな感じだ。
まあ、雨上がりのコンディションと即席のホールじゃまあ難しいよな。
その後、少しコースを変えてみたり、アロンを遊ばせるついでにバンカーを作ったりなんかして和気藹々としていたが、日が暮れ始めたころにそろそろ帰るかと声をかけた。
「もうこんな時間か。もう少しダメか?」
「暗くなったらボールも見えませんしねえ」
俺が苦笑しながらティーを引っこ抜き、物干し竿を回収していると、確かにとソリッド様も笑う。
結局、魔物も来なかったので結果的になんの苦労もなく遊ぶことができた。
片づけを終えるともう暗くなりつつあり、トラックに乗り込んでヘッドライトをつけて大きく迂回をし王都へ。
「いやあ、楽しかった。本当ならもっと遊べるんだろう?」
「ええ、さっき一つだけ見せましたけどホールは全部で18作るんですよ、全部を回ってトータルのスコアを競うってやつで」
「18!? あの大きいものを18も作るのか。あ、いや、500メートルくらいならいけるのか?」
「向こうの世界では山を切り開いたり、ここみたいな草原に人工芝を植えてやりますから大規模ですよ。だからお金もかかるし」
クラブも高いし、ゴルフ場のレンタルもそこそこする。月一でやるにも結構しんどい価格だった気がする。
それでも趣味がゴルフの人は天井知らずだからなあ。
「ふむ、貴族の遊びだということか?」
「いや、ホールを貸し出したり、レンタルクラブとかで庶民も遊んでましたよ。ただ、どちらかといえば部長とかそういう人がよくやってたなって」
「レンタル……ふむ、商売の匂いがするぞ。その話、ペールセンにしてみてくれないか?」
「構いませんけど?」
「アポは私が取っておく。サリア君、そのぱそこんとやらでゴルフと人工芝について――」
なんか本気の目だったな……。
まさか作るつもりか? 確かに土地は余っているが、人工芝とか難しいと思うんだが。
まあ、俺が口を出すことでもないのでソリッド様の気が済むまでゴルフを教えるだけなんだけどな。
「ヒサトラ君、このゴルフクラブセットを借りてもいいか?」
「え? まあ、使わないですし差し上げてもいいくらいですけど」
「そ、そうか! あ、いやそれはダメだ。一先ず貸していただきたい」
「構いませんよ、あ、でも泥がついているしきちんと磨かないと……」
「それくらい私がやる」
そこは下の人にやらせてもいいのではと思うが、よほど気に入ったらしいので子供のおもちゃみたいなものだろう。
「ゴルフ、楽しかったなあ」
少しは恩を返せていればいいんだけどな。
そんなことを考えながら王都へ真っすぐ帰還となった――
◆ ◇ ◆
――ビルシュ国 会議室――
「諸君、遅くに呼び立ててすまない」
「いえ、構いませんが……いったいどうされたのです? 随分緊迫した空気が流れていますが……」
「もうちょっとでいい魔道具ができそうなんですけど……あふ……」
「こら、陛下の御前だぞ」
ゴルフが終わった後、城に戻ったソリッドはゴルフクラブを磨いてから夕食を摂った。風呂に入っている間もヒサトラの言っていたことやサリアに見せてもらったゴルフについてをずっと考えていたが、即断即決だと各大臣を集めていた。
「うむ、我がビルシュ国で一大事業を始めることにしようと思って呼んだ。まず、こいつを見てくれ」
「これは……メイス、ですか?」
「いや――」
そこでゴルフについてのレクチャーを始めるソリッド。
固唾を飲んで話を聞いている大臣達は進むにつれてざわざわと騒ぎ出す。
それもそのはずで、農林大臣にホールを作るのに適した芝探しを命じ、国土大臣に土地、産業大臣と採鉱大臣にゴルフクラブとボールなどの道具の生産といった話をしだしたからだ。
壮大なゴルフ場を作るという夢を追うことにしたソリッドは出来る限りの力を使う。
「し、しかし、これほどの規模……娯楽にしては少しお金がかかりすぎでは……?」
「これを見てくれ」
「え? 凄くいい紙……それに絵が綺麗……!?」
「それはヒサトラ君がもっているぱそこんとぷりんたあという魔道具で作った資料だ。その施設は一般人にも開放する。私が使う日は一日貸し切りにするが、基本的に順番で回ればいいのでいつでも遊べるぞ」
そう言われて資料に目を通す産業大臣は目をカッと見開き冷や汗をかく。
「金額次第ですが、これはいいかもしれません……! 近くに宿や食堂を併設すれば日帰りを気にしなくていいですし……」
「おお、それはいいな。さすがだ、諸君らの意見も聞かせてくれ」
そして会議は深夜まで及び、魔道具開発大臣のバスレイは特にやれることもないと取り残されていたのだった。
「くう……パソコンとぷりんたあ……ま、負けませんよ……!!」
さて、ゴルフ場は完成するのだろうか……?
「陛下、ナイスショット!」
「ナイッショー!!」
――レクチャーから早4時間が経ったが、徐々に慣れてきたソリッド様や騎士達がそれなりの成果を上げており、楽しくやっていた。
直線距離で池もバンカーも無いから距離を長く取ってるが、普段の鍛え方のせいか2000メートルをあっさりと越えるショットを放つ騎士達。
ソリッド様も負けてはいない。が、この協議はカップに少ない打数で入れるゲームなので飛距離よりも繊細さの方が必要だ。
「ぬう、一打差か……!?」
「伊達に騎士団長をやっているわけじゃないってことで」
「流石っす団長!!」
「ふふ、楽しそうですねー」
「ゴルフセットが一組しかないけどこれくらいなら全然遊べるからな……っと」
<わふ!>
サリアが遠巻きにソリッド様達のゴルフを見学している横で、俺はアロンとトランポリンで遊んでいたりする。
じゃあダイトはと思うかもしれないが、騎士達が力いっぱいぶっとばしたボールを拾いに行ったりして中々忙しいのだ。
「すんませんダイトさんー」
<うむ、力の加減が難しいようだな>
「っすねー」
こんな感じだ。
まあ、雨上がりのコンディションと即席のホールじゃまあ難しいよな。
その後、少しコースを変えてみたり、アロンを遊ばせるついでにバンカーを作ったりなんかして和気藹々としていたが、日が暮れ始めたころにそろそろ帰るかと声をかけた。
「もうこんな時間か。もう少しダメか?」
「暗くなったらボールも見えませんしねえ」
俺が苦笑しながらティーを引っこ抜き、物干し竿を回収していると、確かにとソリッド様も笑う。
結局、魔物も来なかったので結果的になんの苦労もなく遊ぶことができた。
片づけを終えるともう暗くなりつつあり、トラックに乗り込んでヘッドライトをつけて大きく迂回をし王都へ。
「いやあ、楽しかった。本当ならもっと遊べるんだろう?」
「ええ、さっき一つだけ見せましたけどホールは全部で18作るんですよ、全部を回ってトータルのスコアを競うってやつで」
「18!? あの大きいものを18も作るのか。あ、いや、500メートルくらいならいけるのか?」
「向こうの世界では山を切り開いたり、ここみたいな草原に人工芝を植えてやりますから大規模ですよ。だからお金もかかるし」
クラブも高いし、ゴルフ場のレンタルもそこそこする。月一でやるにも結構しんどい価格だった気がする。
それでも趣味がゴルフの人は天井知らずだからなあ。
「ふむ、貴族の遊びだということか?」
「いや、ホールを貸し出したり、レンタルクラブとかで庶民も遊んでましたよ。ただ、どちらかといえば部長とかそういう人がよくやってたなって」
「レンタル……ふむ、商売の匂いがするぞ。その話、ペールセンにしてみてくれないか?」
「構いませんけど?」
「アポは私が取っておく。サリア君、そのぱそこんとやらでゴルフと人工芝について――」
なんか本気の目だったな……。
まさか作るつもりか? 確かに土地は余っているが、人工芝とか難しいと思うんだが。
まあ、俺が口を出すことでもないのでソリッド様の気が済むまでゴルフを教えるだけなんだけどな。
「ヒサトラ君、このゴルフクラブセットを借りてもいいか?」
「え? まあ、使わないですし差し上げてもいいくらいですけど」
「そ、そうか! あ、いやそれはダメだ。一先ず貸していただきたい」
「構いませんよ、あ、でも泥がついているしきちんと磨かないと……」
「それくらい私がやる」
そこは下の人にやらせてもいいのではと思うが、よほど気に入ったらしいので子供のおもちゃみたいなものだろう。
「ゴルフ、楽しかったなあ」
少しは恩を返せていればいいんだけどな。
そんなことを考えながら王都へ真っすぐ帰還となった――
◆ ◇ ◆
――ビルシュ国 会議室――
「諸君、遅くに呼び立ててすまない」
「いえ、構いませんが……いったいどうされたのです? 随分緊迫した空気が流れていますが……」
「もうちょっとでいい魔道具ができそうなんですけど……あふ……」
「こら、陛下の御前だぞ」
ゴルフが終わった後、城に戻ったソリッドはゴルフクラブを磨いてから夕食を摂った。風呂に入っている間もヒサトラの言っていたことやサリアに見せてもらったゴルフについてをずっと考えていたが、即断即決だと各大臣を集めていた。
「うむ、我がビルシュ国で一大事業を始めることにしようと思って呼んだ。まず、こいつを見てくれ」
「これは……メイス、ですか?」
「いや――」
そこでゴルフについてのレクチャーを始めるソリッド。
固唾を飲んで話を聞いている大臣達は進むにつれてざわざわと騒ぎ出す。
それもそのはずで、農林大臣にホールを作るのに適した芝探しを命じ、国土大臣に土地、産業大臣と採鉱大臣にゴルフクラブとボールなどの道具の生産といった話をしだしたからだ。
壮大なゴルフ場を作るという夢を追うことにしたソリッドは出来る限りの力を使う。
「し、しかし、これほどの規模……娯楽にしては少しお金がかかりすぎでは……?」
「これを見てくれ」
「え? 凄くいい紙……それに絵が綺麗……!?」
「それはヒサトラ君がもっているぱそこんとぷりんたあという魔道具で作った資料だ。その施設は一般人にも開放する。私が使う日は一日貸し切りにするが、基本的に順番で回ればいいのでいつでも遊べるぞ」
そう言われて資料に目を通す産業大臣は目をカッと見開き冷や汗をかく。
「金額次第ですが、これはいいかもしれません……! 近くに宿や食堂を併設すれば日帰りを気にしなくていいですし……」
「おお、それはいいな。さすがだ、諸君らの意見も聞かせてくれ」
そして会議は深夜まで及び、魔道具開発大臣のバスレイは特にやれることもないと取り残されていたのだった。
「くう……パソコンとぷりんたあ……ま、負けませんよ……!!」
さて、ゴルフ場は完成するのだろうか……?
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