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最終部:タワー・オブ・バベル
その200 結果
しおりを挟む十階攻略後に現われた転移陣、セイラとチェイシャの言葉で何となくだけど私はその正体をみんなに話す。
「この転移陣、恐らくヴァンパイアがいた部屋に誰かが居ればここから魔物が出る事が無い……ような気がするわ。セイラが言っていたの『まずは一人』とあのヴァンパイアが言った意味は別の所にあるんじゃないかって。で、さっきのチェイシャの言葉で転移陣は『あの部屋に誰かを残させるため』に出来たんじゃないかなって思ったの」
「……となると、この転移陣自体が罠みたいなもんってとこか?」
レイドさんが転移陣を見ながら呟くと、また一匹魔物が出てきて、それを倒す。私は仮説を確かめるため提案をすることにした。
「私が向こうへ行ってみるから、魔物が出てくるかどうか確かめてもらってもいい? 時間は……そうね、一時間くらいかな?」
『……ふむ、試してみる価値はあるかな。よし、ボクはこっちで見ていよう』
エクソリアさんが顎に手を当てて頷き、みんなも特に依存は無いようだったので早速十階へ行く事にした。
「なら俺はルーナと一緒に向こうへ行く。一人だと危ないから」
「では俺も行こう、ルーナとレイド二人だけでは危ないからな」
とりあえず十階には私、レイドさん、お父さんが行く事になった。何故かママやシルキーさんが苦笑いをしているけどなんでだろうね?
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「特に変わりは無い、か」
十階に到着後、レイドさんが部屋を見渡すも私達が戻った時のままで魔物の影は一つも無い。ただ、一つだけ変わっているとすれば十一階へ行けるである扉と、九階へ降りる扉が両方とも無くなっていることだ。
「扉が無いから魔物が入ってくるのかしらね?」
「危ないぞルーナ」
九階への階段を覗いてみるけど、やっぱり静かなものだった。後はこれで外に魔物が出なければ今後の方向性は決まると思う。
「少しこの部屋も調べておくか」
三人で雑談をしながら部屋を探索しているとすぐに一時間が経過し、エクソリアさんが転移してきた。
『どうだい調子は?』
「あ、エクソリアさん。こっちは何にも無いですね」
『特に魔物と戦った様子も無いね。そしてルーナ、君の推測は当たっていたみたいだ。外で一時間待ってみたけど魔物は一匹も現われなかったよ。これで少なくともここに誰か居れば外に魔物が出る事は無さそうだね』
私の推測どおり私達がここにいる間、魔物は現われなかったそうだ。まあ、この転移陣を使って出てきていたならここにも魔物が居ない時点でそれはお察しということだろう。
とりあえずみんなを呼んでくる言い、再び転移陣へ戻り、しばらくしてから外にいた全員が部屋へと入ってくる。
『で、どうするの?』
アルモニアさんがこの後どうするのかを聞いてくると、パパが頷いて口を開いた。
「塔を攻略するメンバーとここに残る者を決めよう。ここに残るのは、そうだな……用を足したり交代することを考えると二人は欲しい。で、塔を登るメンバーの内、回復はアイディールに頼む。チェーリカとシルキーさんは待機をお願いしたい」
それなら、と塔を攻略するパーティは、私、レイドさん、パパとママにお父さんとカイムさん。そして女神様二人に決まった。守護獣は変わらず、チェイシャ、アネモネさんとリリーだ。
「この部屋に残るのは……」
と、パパが見渡しているとチェーリカが手を上げた。
「ここはわたしとソキウスで残るです。もし回復の手が足りなかったら戻ってくればここで交代できると思うですよ」
「だな。俺もいれば攻撃も何とかなるし」
確かにママの負担は大きくなる可能性が高いから、チェーリカの提案はとても頼もしい。もちろんそれで問題ないと私達はお願いをした。
「なら二人で頼むわね。残りの人達は拠点、かな?」
「こういう時はワシらが残るべきじゃがなあ……」
トマスさんがボヤくと、ソキウスが笑いながらその言葉に返す。
「拠点の拡張とか整備は俺らじゃできないからな! そう思うなら俺達の代わりに拠点を頼むよ」
「わかったわい。もう少ししたらサンドクラッドから人間と物資が到着するはずじゃ」
「それでは私達は拠点へ戻ります。みなさん無理はしないでくださいね」
<私も行きたいけどにゃー>
それぞれ色々呟きながらぞろぞろと転移陣へ向かい、塔を登るメンバーと、チェーリカ・ソキウスの二人だけが残った。
「それじゃルーナ達も気をつけてです」
「ありがと。一応魔物とかは出なかったけど、何が起こるかわからないわ。危ないと思ったら転移陣で逃げるのよ?」
「任せとけって! 早いところ神裂ってやつをぶったおしてやろうぜ」
ソキウス達に見送られて私達は十一階へいたる階段へと足を運ぶ。階段を登る途中でお父さんが口を開いた。
「……厄介なものを押し付けられたな。あの転移陣、二十階以降も同じ仕様なら確実に人数が減っていく。見ての通り人間は食事も排泄も必要だ。一人だけ置いておくわけには行かないからおのずと人数を裂くことになる」
「そうね。拠点までは近いけど、交代するにも時間はかかるし……」
私が呟くと、レイドさんが私の肩に手を置いて話しかけてくれた。
「それでも進むしかない、時間が惜しいしな。サンドクラッドから人も来るらしいし、神裂を倒そうとする冒険者達もきっと来る」
それに期待しようと、また階段を登り始めるレイドさん。そのまま登り続けるとやがて階段が終わり、十一階へ到着した。
「ここは……!」
十一階を見たカイムさんが驚きの表情でフロアを見渡していた。
---------------------------------------------------
<バベルの塔:最上階>
【意外と早く気づいたようですな?】
『ま、あれくらいは気づいてもらわねば面白くない。むしろ気づいてからの方が面白いだろう? 何せ登るたびにパーティメンバーが減っていくんだ! 時間も無い、人も足りない……ここに辿り着く頃には何人残っているかなあ? ぎゃはははは!!』
【わしを含めて残り九人のボスが居ますからな。全員殺す気でかかるのでご安心くだされ……】
『それでいい。それで生き残った者は……いや、これはいいか。さて、まだまだ罠はたくさんあるが、二十階まではやつらもそう苦戦はすまい。キルヤのところに辿り着いたら呼べ』
【お任せを】
爺さんにそう言うと、神裂は奥の部屋へと消えていった。
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