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第五部:終わりの始まり
その121 神裂
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わ、私ルーナです……。
ゲルスが私に子共を産ませようとしていたことを知って驚いています……。
レイドさんの背に隠れていたらゲルスの背後に女の人が!?
この人は誰なんだろう? そんなことを考えているとゲルスが呻きながら喋っていた。
「な、何故お前がここに……」
『何故も何も無いよ? まさか人に憑依して生き延びていたとは驚きだったよ。神裂 学」
エクソリアがズボッと、手を引き抜くと神裂は前のめりに倒れた。
「……どういうことだ?」
ベルダーが目を細めてエクソリアさんへ質問していた。
『君も久しぶりだね。これは別件なんだけどね。ボク達の失態という種を刈り取りに来たのさ』
「失態? チェイシャが主だと言っていたが、まさか……」
<うむ。この方は女神エクソリア……姉妹女神の妹じゃな>
レイドさんとチェイシャが問答しているとエクソリアさんが事の経緯を話し出した。
『ボクはだいたい100年くらい前に、姉のアルモニアを必死の思いで封印したんだ。倒してしまいたかったけど力の差はボクが下……協力者に頼んで、力を七つに分けてあちこちへ隠すのが精一杯だったんだ』
「それは俺も知っている。それがそこの神裂とやらと何が……」
『まあ慌てないで欲しいね? ここからが本題だ』
カンザキと呼ばれているゲルスを踏みつけながら、エクソリアさんが言うにはこうだ。
姉を封印した後、力を使いすぎたため眠りに就く事にしたエクソリアさん。
女神のお仕事の一つに、魂の選定や別世界への誘導、一度魂を壊して新しい何かに生まれ変わらせるといったものがあるそうだ。
しかし眠りにつくため、魂を別の神達にお願いしたのだそうだ。
問題は無かった……ハズだった。
神裂 学という私たちが居る世界とは別(本当かしら?)の世界の魂が、別の神様達を蹴散らし、成仏させられる前に逃走。この性格だから流石に別の何かに生まれ変わらせようとしたしたみたい。
その後、逃げた先にエクソリアさんの寝ていた部屋があり、そこからこの世界に「魂だけ」この世界に来たのだと。
『……まさか転移陣を起動させられるとは思わなかったけどね……』
「俺の地球での仕事は研究者だ……それも真っ黒な。だから時間さえあれば解析できなくはねぇ……お前は肉体を傷つけられたりしないよう、外からの干渉を完全にガードしている状態だったから俺の動きにも気づかなかったんじゃねぇのか?」
『……さあね? で、その後この世界でゲルスに乗り移った。ボクは目が覚めてから、他の神に君の事を聞いていたから、もしやと思って君の事も探していたんだよ? ただ、ゲルスの意識が全面に出ている時はまるで感知できなかった。今回は長時間出ていてくれたから見つけられたというわけさ』
「憑依できるかどうかは賭けだったがうまくいったのは僥倖だった……今は気絶しているがこのゲルスも最初は聖人君子のようなヤツでな。虫唾が走るから、徐々に洗脳してやったらこうなった……! ぎゃはははは! 昨日まで孤児にパンを与えていたり、赤ん坊をを助けていたヤツがその内そういうやつらを虐げるんだ、その光景は中々面白かったぜぇ? げほ、げほ……そしてゲルスと行動を共にしているうちに俺は恩恵に目をつけた。どうやらこの世界に辿り着いたら何かしらランダムでもらえるようだな? もちろん俺にもあった」
私たちは二人の会話を黙って聞いていた。背中は汗をかいているのに、体には悪寒が走っている。フレーレは顔を真っ青にし、レイドさんは信じられないといった表情……。
エリックやアンジェリアさん達も訳が分からないといった感じだ。
さらに会話が続いていく……。
「俺には『創造』という恩恵が与えられていると判明したが。最初は使い方が分からなかった。だがある時、何か材料になるものがあれば色々なものが創れるということに気づいてなぁ……じゃあ恩恵を組み合わせたらどうなるのか、という実験を始めてみたのよ」
「恩恵を……? 目に見えるものじゃないと思うけど……」
「へ、へへ……意外とそうでもねぇんだ……俺の創造の恩恵は無からでなければ……創れる……俺は自分の目を使って恩恵を可視化した……そうするとどうだ、もう一つ心臓があるって感じかねぇ? 視えるようになったわけだ……それを俺はギフトスティールと名づけた……ただ、もう一つの心臓というのはあながち間違ってないと思ったな……全部を奪えるわけではないみてぇで、アントンが勇者の力を取り戻したのは少々驚いたぜ……」
『なるほどね……確かに『魔王』以外の恩恵はランダムに与えている。『創造』も世界の発展に貢献できるような事をするであろうという意味で作ったけど、そんな使い方するとはね? 異世界人はこれだからタチが悪い……だからボク達の世界には異世界人を転生させることは無いのに』
世界がめちゃくちゃにされるからと苦い顔をするエクソリアさん。
「ぎゃはははは……! そ、そして俺は色々な人間を捕まえては恩恵を奪った! 何気に犯罪を起こすような恩恵が無い……例えば盗賊になれそうな盗みの恩恵といったマイナスは存在しないと徐々に分かった」
そりゃそうだ、世界を作った人がわざわざいがみ合いを起こしそうな恩恵を創ったりはしないと思う。
「で、ゲルスの聖人君子たる所以だった恩恵をちと創造してな……使い勝手は良くないがリバースアビリティを手に入れた……後はお前らも知っての通り、アントンみたいな特殊な恩恵を奪ったりこねくりまわしたりして遊んでたって訳だ! ごへ……!?」
エクソリアさんがカンザキの胸をぎりっと足でねじり、カンザキが血を吐く。もう限界だと思うんだけどよく生きてるわね……?
「何て自分勝手な……!!」
フレーレがメイスを地面に叩きつけながら憤慨する。
「はあ……はあ……そうは言うがなお嬢ちゃん……この女神達も勝手なもんだ……アルモニアとエクソリアが仲たがいした訳は……」
『それを喋らせるわけにはいかないね? まあだいたい聞けたし、後はこちらの問題……君はもう、消えていい。ゲルスには悪いけどボクが消滅させたら魂はもうあの世界には行かない……さようなら、異世界の人間』
「……! 俺にはまだやることが!」
いつの間に回復したのか、急に起き上がり出口へと走り始めた! あの怪我であの速さ!?
傷口は完全に塞がっていないが、何かしらの手段で回復した?
『逃がさないよ』
エクソリアが駆け出した瞬間、出口付近でカンザキがしりもちをついた。
「うわ!? す、すまない……お、お前はゲルス!?」
私たちを追いかけてきたライノスさんとぶつかっていた! ナイスタイミング? それでもライノスさんと騎士を押しのけて出口へ。ここが地下だったのがカンザキにとって災いしたのね……出口がそこしかないから……。
「ま、まだだ……!? うお……!?」
「あら、大丈夫? 凄い怪我だけど?」
続いて、カンザキがまた転んだ!
扉の影から現れたのは私たちを先に行かせてくれたフォルサさんだった!
「フォ、フォルサさん!? その人が元凶ですーーー! 確保! 確保をーー!!」
フレーレが大声で叫ぶと「ああ」といった感じで手をぽんと打ち、カンザキの頭を鷲づかみにして吊り上げた。
「ぎゃあああああああ!? な、何だこの女ぁぁぁ!?」
「これでいいーーー?」
フォルサさんが叫ぶと、フレーレの変わりにエクソリアさんが返事をした。
『結構だ! 消えろ、神裂 学! 神を裂くのではなく、神に裂かれてな!』
「うあああああああああ!? 《リ、リバースアビリティ》!!!!!!……」
エクソリアさんが手から出た光の剣で首を切り裂くと頭と胴がお別れをした。
「ひっ! ひひひひひ! やったな!? やってくれたなああああ! こ、後悔するなよ! ……あが……!?」
「気持ち悪いわねー」
フォルサさんがカンザキの頭を捨てると、ボウ! と、黄色い炎が燃え上がり体共々消滅した。
今度こそ……死んだ……?
『やれやれ、これで一つ懸念が消えた……』
「……これで終わりと思うな? 俺達の目的のためにはお前も邪魔なんだがな?」
ベルダーが前に出て、エクソリアさんにダガーを突きつける。
え!? まだ何かあるの!?
『ああ、そういえばそうか。ま、とりあえずこいつを消す事ができたから、一つお礼をしよう』
そういうとエクソリアさんがベルダーの元へ歩き、目の前で止まる。驚いた様子でベルダーが少し後ずさった。
「どういうつもりだ?」
『こういうつもりさ』
エクソリアさんが、ベルダーも肩を掴むとベルダーが光に包まれる。
やがて光が消えそこに居たのは……
「にゃーん」
「こ、これは!?」
『君が改造されていたナイトメアキャットとの融合を解いたよ? ボクの力はかなり戻ったからね、これくらいはたやすいよ。神裂はこの愛の剣にある女神の力で同じ事をしていたみたいだけど』
胸(薄い)から愛の剣を取り出し、それを手の中で弄びながらニコニコと笑う。
ベルダーの口元にあった髭や牙が無くなり、人間の顔を取り戻していた。
そんな中、足元に居た猫っぽい生き物がキョロキョロし、そしてレジナのところへ走ってきた。
「にゃ~ん!」
「わふ?」
「わん?」「きゅん、きゅーん♪」
どうもこの子、レジナをお母さんと思っているようだ。レジナとシルバが困惑し、シロップが毛づくろいをしてあげていた。
『融合を解いた時に子供まで戻っちゃったか……大きくなると羽が生えて空が飛べるようになる大型の魔物だよ? 今から飼えば懐くと思うよ』
「他人事!? 誰が飼うと思ってるの!? そういえばさっきカンザキが女神達も勝手なもんだって……どういうことですか?」
エクソリアが「う……」と呻き、顔をしかめていると、その手にあった愛の剣が奪われた!
『あ!?』
「これで四つ……不可抗力ではあるがまあいいだろ。よく女神のアイテムを集めたな、ルーナ。それと元の姿に戻れたのはめでたいが……目的を忘れるなよベルダー?」
マント姿でプレートメイルを着た後姿……その声は……!?
「パ、パパ!?」
「おう、俺だ。女神達の確執……それは俺が話してやる」
振り向いたのはやっぱりパパだった! 勇者っぽい格好だけど本当にそうだったんだ……。
『ぐ……』
厄介なヤツが現れたと呻くエクソリアさん。
ビューリック国王を倒し、ゲルスとカンザキが消えたが、パパの登場で場の空気はまたも緊張するのだった。
ゲルスが私に子共を産ませようとしていたことを知って驚いています……。
レイドさんの背に隠れていたらゲルスの背後に女の人が!?
この人は誰なんだろう? そんなことを考えているとゲルスが呻きながら喋っていた。
「な、何故お前がここに……」
『何故も何も無いよ? まさか人に憑依して生き延びていたとは驚きだったよ。神裂 学」
エクソリアがズボッと、手を引き抜くと神裂は前のめりに倒れた。
「……どういうことだ?」
ベルダーが目を細めてエクソリアさんへ質問していた。
『君も久しぶりだね。これは別件なんだけどね。ボク達の失態という種を刈り取りに来たのさ』
「失態? チェイシャが主だと言っていたが、まさか……」
<うむ。この方は女神エクソリア……姉妹女神の妹じゃな>
レイドさんとチェイシャが問答しているとエクソリアさんが事の経緯を話し出した。
『ボクはだいたい100年くらい前に、姉のアルモニアを必死の思いで封印したんだ。倒してしまいたかったけど力の差はボクが下……協力者に頼んで、力を七つに分けてあちこちへ隠すのが精一杯だったんだ』
「それは俺も知っている。それがそこの神裂とやらと何が……」
『まあ慌てないで欲しいね? ここからが本題だ』
カンザキと呼ばれているゲルスを踏みつけながら、エクソリアさんが言うにはこうだ。
姉を封印した後、力を使いすぎたため眠りに就く事にしたエクソリアさん。
女神のお仕事の一つに、魂の選定や別世界への誘導、一度魂を壊して新しい何かに生まれ変わらせるといったものがあるそうだ。
しかし眠りにつくため、魂を別の神達にお願いしたのだそうだ。
問題は無かった……ハズだった。
神裂 学という私たちが居る世界とは別(本当かしら?)の世界の魂が、別の神様達を蹴散らし、成仏させられる前に逃走。この性格だから流石に別の何かに生まれ変わらせようとしたしたみたい。
その後、逃げた先にエクソリアさんの寝ていた部屋があり、そこからこの世界に「魂だけ」この世界に来たのだと。
『……まさか転移陣を起動させられるとは思わなかったけどね……』
「俺の地球での仕事は研究者だ……それも真っ黒な。だから時間さえあれば解析できなくはねぇ……お前は肉体を傷つけられたりしないよう、外からの干渉を完全にガードしている状態だったから俺の動きにも気づかなかったんじゃねぇのか?」
『……さあね? で、その後この世界でゲルスに乗り移った。ボクは目が覚めてから、他の神に君の事を聞いていたから、もしやと思って君の事も探していたんだよ? ただ、ゲルスの意識が全面に出ている時はまるで感知できなかった。今回は長時間出ていてくれたから見つけられたというわけさ』
「憑依できるかどうかは賭けだったがうまくいったのは僥倖だった……今は気絶しているがこのゲルスも最初は聖人君子のようなヤツでな。虫唾が走るから、徐々に洗脳してやったらこうなった……! ぎゃはははは! 昨日まで孤児にパンを与えていたり、赤ん坊をを助けていたヤツがその内そういうやつらを虐げるんだ、その光景は中々面白かったぜぇ? げほ、げほ……そしてゲルスと行動を共にしているうちに俺は恩恵に目をつけた。どうやらこの世界に辿り着いたら何かしらランダムでもらえるようだな? もちろん俺にもあった」
私たちは二人の会話を黙って聞いていた。背中は汗をかいているのに、体には悪寒が走っている。フレーレは顔を真っ青にし、レイドさんは信じられないといった表情……。
エリックやアンジェリアさん達も訳が分からないといった感じだ。
さらに会話が続いていく……。
「俺には『創造』という恩恵が与えられていると判明したが。最初は使い方が分からなかった。だがある時、何か材料になるものがあれば色々なものが創れるということに気づいてなぁ……じゃあ恩恵を組み合わせたらどうなるのか、という実験を始めてみたのよ」
「恩恵を……? 目に見えるものじゃないと思うけど……」
「へ、へへ……意外とそうでもねぇんだ……俺の創造の恩恵は無からでなければ……創れる……俺は自分の目を使って恩恵を可視化した……そうするとどうだ、もう一つ心臓があるって感じかねぇ? 視えるようになったわけだ……それを俺はギフトスティールと名づけた……ただ、もう一つの心臓というのはあながち間違ってないと思ったな……全部を奪えるわけではないみてぇで、アントンが勇者の力を取り戻したのは少々驚いたぜ……」
『なるほどね……確かに『魔王』以外の恩恵はランダムに与えている。『創造』も世界の発展に貢献できるような事をするであろうという意味で作ったけど、そんな使い方するとはね? 異世界人はこれだからタチが悪い……だからボク達の世界には異世界人を転生させることは無いのに』
世界がめちゃくちゃにされるからと苦い顔をするエクソリアさん。
「ぎゃはははは……! そ、そして俺は色々な人間を捕まえては恩恵を奪った! 何気に犯罪を起こすような恩恵が無い……例えば盗賊になれそうな盗みの恩恵といったマイナスは存在しないと徐々に分かった」
そりゃそうだ、世界を作った人がわざわざいがみ合いを起こしそうな恩恵を創ったりはしないと思う。
「で、ゲルスの聖人君子たる所以だった恩恵をちと創造してな……使い勝手は良くないがリバースアビリティを手に入れた……後はお前らも知っての通り、アントンみたいな特殊な恩恵を奪ったりこねくりまわしたりして遊んでたって訳だ! ごへ……!?」
エクソリアさんがカンザキの胸をぎりっと足でねじり、カンザキが血を吐く。もう限界だと思うんだけどよく生きてるわね……?
「何て自分勝手な……!!」
フレーレがメイスを地面に叩きつけながら憤慨する。
「はあ……はあ……そうは言うがなお嬢ちゃん……この女神達も勝手なもんだ……アルモニアとエクソリアが仲たがいした訳は……」
『それを喋らせるわけにはいかないね? まあだいたい聞けたし、後はこちらの問題……君はもう、消えていい。ゲルスには悪いけどボクが消滅させたら魂はもうあの世界には行かない……さようなら、異世界の人間』
「……! 俺にはまだやることが!」
いつの間に回復したのか、急に起き上がり出口へと走り始めた! あの怪我であの速さ!?
傷口は完全に塞がっていないが、何かしらの手段で回復した?
『逃がさないよ』
エクソリアが駆け出した瞬間、出口付近でカンザキがしりもちをついた。
「うわ!? す、すまない……お、お前はゲルス!?」
私たちを追いかけてきたライノスさんとぶつかっていた! ナイスタイミング? それでもライノスさんと騎士を押しのけて出口へ。ここが地下だったのがカンザキにとって災いしたのね……出口がそこしかないから……。
「ま、まだだ……!? うお……!?」
「あら、大丈夫? 凄い怪我だけど?」
続いて、カンザキがまた転んだ!
扉の影から現れたのは私たちを先に行かせてくれたフォルサさんだった!
「フォ、フォルサさん!? その人が元凶ですーーー! 確保! 確保をーー!!」
フレーレが大声で叫ぶと「ああ」といった感じで手をぽんと打ち、カンザキの頭を鷲づかみにして吊り上げた。
「ぎゃあああああああ!? な、何だこの女ぁぁぁ!?」
「これでいいーーー?」
フォルサさんが叫ぶと、フレーレの変わりにエクソリアさんが返事をした。
『結構だ! 消えろ、神裂 学! 神を裂くのではなく、神に裂かれてな!』
「うあああああああああ!? 《リ、リバースアビリティ》!!!!!!……」
エクソリアさんが手から出た光の剣で首を切り裂くと頭と胴がお別れをした。
「ひっ! ひひひひひ! やったな!? やってくれたなああああ! こ、後悔するなよ! ……あが……!?」
「気持ち悪いわねー」
フォルサさんがカンザキの頭を捨てると、ボウ! と、黄色い炎が燃え上がり体共々消滅した。
今度こそ……死んだ……?
『やれやれ、これで一つ懸念が消えた……』
「……これで終わりと思うな? 俺達の目的のためにはお前も邪魔なんだがな?」
ベルダーが前に出て、エクソリアさんにダガーを突きつける。
え!? まだ何かあるの!?
『ああ、そういえばそうか。ま、とりあえずこいつを消す事ができたから、一つお礼をしよう』
そういうとエクソリアさんがベルダーの元へ歩き、目の前で止まる。驚いた様子でベルダーが少し後ずさった。
「どういうつもりだ?」
『こういうつもりさ』
エクソリアさんが、ベルダーも肩を掴むとベルダーが光に包まれる。
やがて光が消えそこに居たのは……
「にゃーん」
「こ、これは!?」
『君が改造されていたナイトメアキャットとの融合を解いたよ? ボクの力はかなり戻ったからね、これくらいはたやすいよ。神裂はこの愛の剣にある女神の力で同じ事をしていたみたいだけど』
胸(薄い)から愛の剣を取り出し、それを手の中で弄びながらニコニコと笑う。
ベルダーの口元にあった髭や牙が無くなり、人間の顔を取り戻していた。
そんな中、足元に居た猫っぽい生き物がキョロキョロし、そしてレジナのところへ走ってきた。
「にゃ~ん!」
「わふ?」
「わん?」「きゅん、きゅーん♪」
どうもこの子、レジナをお母さんと思っているようだ。レジナとシルバが困惑し、シロップが毛づくろいをしてあげていた。
『融合を解いた時に子供まで戻っちゃったか……大きくなると羽が生えて空が飛べるようになる大型の魔物だよ? 今から飼えば懐くと思うよ』
「他人事!? 誰が飼うと思ってるの!? そういえばさっきカンザキが女神達も勝手なもんだって……どういうことですか?」
エクソリアが「う……」と呻き、顔をしかめていると、その手にあった愛の剣が奪われた!
『あ!?』
「これで四つ……不可抗力ではあるがまあいいだろ。よく女神のアイテムを集めたな、ルーナ。それと元の姿に戻れたのはめでたいが……目的を忘れるなよベルダー?」
マント姿でプレートメイルを着た後姿……その声は……!?
「パ、パパ!?」
「おう、俺だ。女神達の確執……それは俺が話してやる」
振り向いたのはやっぱりパパだった! 勇者っぽい格好だけど本当にそうだったんだ……。
『ぐ……』
厄介なヤツが現れたと呻くエクソリアさん。
ビューリック国王を倒し、ゲルスとカンザキが消えたが、パパの登場で場の空気はまたも緊張するのだった。
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