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その113 ドラゴン達
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「なにをするつもりか知らないが、今の内に倒させてもらう!」
「ぴゅー!」
ブラックがなにかをしようとしていたが、俺はその前に倒すため一気に駆け出す。
フラメとヴィントが抑えているため空に逃げられないためチャンスだ。
【ふん】
【余裕なのも今の内……ってなんだい、この粉は】
【……! ヴィント、離れろ! こいつはまさか――】
【もう、遅い】
殴りつけていたフラメが何かに気づき、ヴィントに離れるように叫んだ。なにかあるのか? しかしここまで来たら切り込むべきだと俺は剣に力を込める。
すると――
【ウ、グ……グァァァァ!】
「ヴィント!?」
【チッ、やはりか……! ウグ……!?】
「ぴゅーい!?」
【ハァ!!】
――急にヴィントとフラメが苦しみ出し、ブラックが二人を振りほどいた。
俺は気になったが二人には構わず、ブラックへと斬りこんだ。
【グガァァァ!】
「む……!?」
「ぴゅー!」
だが、その瞬間に俺は横からフラメに体当たりを受けて吹き飛ばされた。
いきなりの攻撃でフォルスが驚いた声を上げる。
「これは……竜鬱症か!」
【くく……くはははは! 人間どもはそう呼んでいるのか? 別に名前など必要ないがな。これでこの二頭は制御不可能。目の前の敵を倒すか倒されるかだけの魔物となった】
「やはり克服できていなかったか……!」
【どうかな? 正直、元に戻っていることには驚いたよ。……おっと】
【グギャァァァォオ!!】
ブラックは俺の独り言にそんな返しをしてきた。そこへヴィントがブラックへ襲い掛かり、ヤツはサッと身を翻して躱す。……あの巨体で意外に素早いな。
俺はそんな評価を下していたが、状況はあまり悪くない。ブラックは切り捨てても構わないがフラメとヴィントは傷つけたくないからだ。
【グォァァァ!】
「フラメ殿!」
「また病気になってしまったらしい。兵士と騎士は下がった方がいい」
「……いえ、彼等を止めればラッヘ殿が黒いドラゴンに接敵できますよね? ここは我らが」
「ダメだ。あいつらを殺させるわけには――」
騎士団長のラクペインが俺の下に駆け付けるとそんなことを言う。しかし、ドラゴン達を傷つけ、場合によっては倒さないといけない状況で頼むわけにはいかない。
するとラクペインは笑みを浮かべて俺に言う。
「それはもちろん倒さないようにしますよ。我々も陛下と王妃に処されたくありませんからね」
「あー」
陛下か。
確かに前もってそういうことがあった場合の打ち合わせはしていそうだ。特にドラゴンを気に入っている王族だしな……
「……わかった。ヴィントは奇襲でわかるけど、フラメは読めない。特にフラメに気を付けてくれ。その間にヤツを倒す」
「承知しました! 皆の者、フラメ殿を止めるぞ! 注意を向けるだけでいい! 黒いドラゴンをラッヘ殿が倒すまでだ!」
【……馬鹿どもめ。私は空を飛べる、お前達はその二頭のドラゴンと戦うがいい】
そう言いながらヴィントと戦いながら俺にそう告げる。
【グゥォォォ……】
確かにこいつは強いらしい。
襲い来るヴィントの突風や爪を難なく回避し、掴んで投げることができるくらいには。ただ、正気がない状態でなければ二頭同時にできるほどではないと判断する。
「逃げるのか? この二人より強いと豪語する割には、高みの見物か。まあ、逃げてもいいが……俺はどこまでも追い続けるぞ?」
【なんだと?】
「ぴゅい!」
フォルスも負けじと声をあげる。
安い挑発だが、少し話した感じプライドが高そうだと思ったからだ。
【私が逃げる? ふん、そうではない。二頭がお前達を倒したら次は私が出る。疲弊したところを叩くのは合理的だろう】
「そうか。ならお前はすぐに出る羽目になるぞ? そら!」
【グギャァァァ!?】
「ぴゅい!!」
【……!】
空から奇襲してきたヴィントに、俺は正面から爪を受け止めてそのままぶん投げた。鎧のおかげで身体能力が高いため、これくらいはできる。
そのまま、ブラックがやったことを見せてからもう一度、問う。
「ヴィントは細いからこれが通じる。お前がやったことはこの程度なわけだが、本当に強いのか?」
【貴様……私を舐めているのか?】
「だとしたらどうする?」
【人間が言うではないか……! 許さんぞ!】
さて、こちらの思惑通りになったな。ヴィントには悪いが一撃で眠ってもらった。
俺の方が遠いのに降りて来てくれたのはもしかしたら少し正気だったのかもしれない。
「行くぞ! みんなの仇を今こそ!」
【ハァァァァ!】
「ぴゅい!」
フォルスがなにかを感じているのかさっきから元気だ。人見知りというか恐れる様子を見せない。
【死ぬがいい!】
「当たるものか」
俺の挑発にのったので、ブラックは地上で対峙する。巨体から思いもよらぬ速度で繰り出される爪と尻尾を回避する。
今まで戦った中だと2、3を争う強さだろう。
【‟黒き息吹”】
「……! つぁぁ!」
【なに……!】
さらに大技らしき黒いブレスを吐いてくる。だがフラメやヴィントと比べてもそこまでじゃない。
俺は大剣でそれを弾き返すと、初めて驚愕の声を上げた。
【……なるほど、人間がドラゴンを倒すという芸当ができるわけだ! この私を相手にここまでできるのならな】
「はぁ!」
【ふん!】
「無駄口が多いな。そういうヤツは早死にする」
【チッ……!】
俺の剣がブラックの腹を斬り裂き、少し血が流れだす。なるほど、頑丈さはなかなかあるようだ。
「ぴゅーい!」
「ん? ……セリカか。大丈夫だフォルス、ママを信じろ」
【なにをぶつぶつと!】
「お前が気にすることじゃ無い。むん!」
【ぐぬ……!? グオォォォァァァ!】
フォルスがヒュージと戦うセリカを心配するかのように指を差す。だが、あっちは任せると言った。そして任せてくれと言った。それでいい。
だから俺はブラックへさらに斬撃でダメージを取る。
そして苛立ったのか、ブラックはドラゴンらしい咆哮を上げ始めた。
【グ、ウォォォォォ!】
「くぅ……!? フラメ殿! 正気に戻ってくだされ!!」
「負傷者はすぐにさげろ! ……これでも抵抗してくれているのか? 攻撃が少ない気がする……」
待ってろよフラメ。すぐにそっちに行く……!
「ぴゅー!」
ブラックがなにかをしようとしていたが、俺はその前に倒すため一気に駆け出す。
フラメとヴィントが抑えているため空に逃げられないためチャンスだ。
【ふん】
【余裕なのも今の内……ってなんだい、この粉は】
【……! ヴィント、離れろ! こいつはまさか――】
【もう、遅い】
殴りつけていたフラメが何かに気づき、ヴィントに離れるように叫んだ。なにかあるのか? しかしここまで来たら切り込むべきだと俺は剣に力を込める。
すると――
【ウ、グ……グァァァァ!】
「ヴィント!?」
【チッ、やはりか……! ウグ……!?】
「ぴゅーい!?」
【ハァ!!】
――急にヴィントとフラメが苦しみ出し、ブラックが二人を振りほどいた。
俺は気になったが二人には構わず、ブラックへと斬りこんだ。
【グガァァァ!】
「む……!?」
「ぴゅー!」
だが、その瞬間に俺は横からフラメに体当たりを受けて吹き飛ばされた。
いきなりの攻撃でフォルスが驚いた声を上げる。
「これは……竜鬱症か!」
【くく……くはははは! 人間どもはそう呼んでいるのか? 別に名前など必要ないがな。これでこの二頭は制御不可能。目の前の敵を倒すか倒されるかだけの魔物となった】
「やはり克服できていなかったか……!」
【どうかな? 正直、元に戻っていることには驚いたよ。……おっと】
【グギャァァァォオ!!】
ブラックは俺の独り言にそんな返しをしてきた。そこへヴィントがブラックへ襲い掛かり、ヤツはサッと身を翻して躱す。……あの巨体で意外に素早いな。
俺はそんな評価を下していたが、状況はあまり悪くない。ブラックは切り捨てても構わないがフラメとヴィントは傷つけたくないからだ。
【グォァァァ!】
「フラメ殿!」
「また病気になってしまったらしい。兵士と騎士は下がった方がいい」
「……いえ、彼等を止めればラッヘ殿が黒いドラゴンに接敵できますよね? ここは我らが」
「ダメだ。あいつらを殺させるわけには――」
騎士団長のラクペインが俺の下に駆け付けるとそんなことを言う。しかし、ドラゴン達を傷つけ、場合によっては倒さないといけない状況で頼むわけにはいかない。
するとラクペインは笑みを浮かべて俺に言う。
「それはもちろん倒さないようにしますよ。我々も陛下と王妃に処されたくありませんからね」
「あー」
陛下か。
確かに前もってそういうことがあった場合の打ち合わせはしていそうだ。特にドラゴンを気に入っている王族だしな……
「……わかった。ヴィントは奇襲でわかるけど、フラメは読めない。特にフラメに気を付けてくれ。その間にヤツを倒す」
「承知しました! 皆の者、フラメ殿を止めるぞ! 注意を向けるだけでいい! 黒いドラゴンをラッヘ殿が倒すまでだ!」
【……馬鹿どもめ。私は空を飛べる、お前達はその二頭のドラゴンと戦うがいい】
そう言いながらヴィントと戦いながら俺にそう告げる。
【グゥォォォ……】
確かにこいつは強いらしい。
襲い来るヴィントの突風や爪を難なく回避し、掴んで投げることができるくらいには。ただ、正気がない状態でなければ二頭同時にできるほどではないと判断する。
「逃げるのか? この二人より強いと豪語する割には、高みの見物か。まあ、逃げてもいいが……俺はどこまでも追い続けるぞ?」
【なんだと?】
「ぴゅい!」
フォルスも負けじと声をあげる。
安い挑発だが、少し話した感じプライドが高そうだと思ったからだ。
【私が逃げる? ふん、そうではない。二頭がお前達を倒したら次は私が出る。疲弊したところを叩くのは合理的だろう】
「そうか。ならお前はすぐに出る羽目になるぞ? そら!」
【グギャァァァ!?】
「ぴゅい!!」
【……!】
空から奇襲してきたヴィントに、俺は正面から爪を受け止めてそのままぶん投げた。鎧のおかげで身体能力が高いため、これくらいはできる。
そのまま、ブラックがやったことを見せてからもう一度、問う。
「ヴィントは細いからこれが通じる。お前がやったことはこの程度なわけだが、本当に強いのか?」
【貴様……私を舐めているのか?】
「だとしたらどうする?」
【人間が言うではないか……! 許さんぞ!】
さて、こちらの思惑通りになったな。ヴィントには悪いが一撃で眠ってもらった。
俺の方が遠いのに降りて来てくれたのはもしかしたら少し正気だったのかもしれない。
「行くぞ! みんなの仇を今こそ!」
【ハァァァァ!】
「ぴゅい!」
フォルスがなにかを感じているのかさっきから元気だ。人見知りというか恐れる様子を見せない。
【死ぬがいい!】
「当たるものか」
俺の挑発にのったので、ブラックは地上で対峙する。巨体から思いもよらぬ速度で繰り出される爪と尻尾を回避する。
今まで戦った中だと2、3を争う強さだろう。
【‟黒き息吹”】
「……! つぁぁ!」
【なに……!】
さらに大技らしき黒いブレスを吐いてくる。だがフラメやヴィントと比べてもそこまでじゃない。
俺は大剣でそれを弾き返すと、初めて驚愕の声を上げた。
【……なるほど、人間がドラゴンを倒すという芸当ができるわけだ! この私を相手にここまでできるのならな】
「はぁ!」
【ふん!】
「無駄口が多いな。そういうヤツは早死にする」
【チッ……!】
俺の剣がブラックの腹を斬り裂き、少し血が流れだす。なるほど、頑丈さはなかなかあるようだ。
「ぴゅーい!」
「ん? ……セリカか。大丈夫だフォルス、ママを信じろ」
【なにをぶつぶつと!】
「お前が気にすることじゃ無い。むん!」
【ぐぬ……!? グオォォォァァァ!】
フォルスがヒュージと戦うセリカを心配するかのように指を差す。だが、あっちは任せると言った。そして任せてくれと言った。それでいい。
だから俺はブラックへさらに斬撃でダメージを取る。
そして苛立ったのか、ブラックはドラゴンらしい咆哮を上げ始めた。
【グ、ウォォォォォ!】
「くぅ……!? フラメ殿! 正気に戻ってくだされ!!」
「負傷者はすぐにさげろ! ……これでも抵抗してくれているのか? 攻撃が少ない気がする……」
待ってろよフラメ。すぐにそっちに行く……!
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