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その78 ドラゴン達
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翌朝。
宴会は王族に加えて大臣のハイン、そして騎士達が入れ替わりで加わっていたので結構な人数が飲み食いをしていた。
俺やセリカ、アイラ達も楽しく飲めていたようでなによりという夜だった。
ちょっと驚いたのはフラメが酒を飲んだことである。
【この匂いの強い飲み物はなんだ?】
「これは酒だ。って知らないのか?」
【そうだな、ドラゴンは飲まない……と思ったが、果実を腐らせている飲み物か、これならたまに口にしていたぞ】
「別に腐らせているわけじゃないと思うが」
【まあ似たようなものだろう。……んぐ】
大丈夫なのか……? 瓶をぐいっとあおったフラメに眉を顰めていると、特になにごともなくぷはっと息を吐いた。
【これは美味い!】
「お、そうなのか? あまり見たことが無いやつだな」
瓶の中は赤い液体で満たされており、確かに美味そうな感じがした。一杯もらおうかと思ったところでハインが赤ら顔でやってくる。
「おお、フラメ殿はお目が高い! それはドラフルというお酒ですね」
「結構酔っているような……大丈夫ですか?」
「もちろん問題ありません! ちなみにそのお酒はドラゴンフルーツという名前の果物から作っています」
【ほう、ドラゴン】
瓶の中身を俺のグラスに注ぎながらフラメが興味深いと鼻を鳴らす。
どうも暖かい地域で採れる果物らしく、ドラゴンの鱗みたいな硬い皮をしているからその名がついたらしい。
「ドラゴンがドラゴンフルーツを……ぷふー! もう酔ったらいけませんよフラメ殿! 顔が真っ赤じゃあないですか!」
【オレはフレイムドラゴンだから元から赤いぞ】
「ですよねー! あーっはっはっは! いやあ、研究もさせてくれてノリもいい。フラメ殿とはいい関係を築けそうです!」
「……とりあえずあっちへ行け」
俺はハインを近くの騎士に押し付けてから椅子に座り直す。
【なんだったのだ?】
「気にするな。……うん、美味いな」
【これはたまに飲みたいな。酒を飲むと『口から炎』の威力が上がるのだ、いざ戦いになった時に飲みたい】
……と、いった感じで興味を示していた。腐った果実を食べていたのも衝撃だが。
ちなみにフォルスも興味も示していたが――
「ぴゅーい!」
【む、これはダメだぞ。お前はミルクがあるだろう】
「ぴゅー」
自分だけずるいとばかりにフラメの手をぺちぺちと叩いていた。俺はすかさずフォルスを抱っこし、ミルクを与えてやる。
「ほら、ミルクだぞ」
「ぴゅー♪」
抱っこされてご満悦になったのか大人しくミルクを口にしてくれた。酒場に赤ちゃんを連れて行ってはいけないと聞くが確かにそう思う。
その後、王妃様と王子が構いたそうだったがおねむの時間になったのでお気に入りのクッションに載せてその姿だけ見せておいた。
「ほわああああ……」
「可愛い……」
――とまあ、そんな感じだった。王子が巾着フラメを持って帰りたいと言い出した時はどうしようかと思ったが。
まあ、アイラになにかあっても守ってくれそうな関係になったのでそこはありがたい。そんなことを考えながら訓練のため庭に出ると、すでに起きて出していたフラメとフォルスを発見する。
【よし、こっちまで全力で走ってこい】
「ぴゅー!!」
「ふあ……なにしているんだ?」
【む。ラッヘか。ここは安全そうだったからフォルスと訓練だな。セリカと一緒にやっていたそうじゃないか】
「まあ、そうだが。フォルスがなにを言っているのかわかるのか?」
【なんとなくな。また誘拐されたら困ると、自分からやると言い出した】
「ぴゅーい!」
ちょうどそこでフラメに突撃をするフォルス。もちろんびくともせず、その場で転がる。だが、フォルスは泣かずに立ち上がった。
「おお……偉いな」
「ぴゅいー♪」
【ふむ、フォルスよ。自分でよじ登ってラッヘのポケットへ入ってみるのだ】
「ぴゅい?」
【こうだ】
「お」
フラメが立っている俺の足に抱き着くと、そのままのぼりはじめた。座っているところにフォルスがのぼってくることはあるけど確かに立った状態ではないな。
やがてポケットに到達するとフラメは一息ついた。
【ふう】
「ぴゅー!!」
「お!?」
もちろんフラメはでかすぎてポケットに入ることはないのだが、居場所を取られると思ったのか慌てて俺の足にしがみついた。
ゆっくりと上がってくるが、
「ぴゅい!?」
少しのぼったところでころんと転がってしまった。座っていると掴むところが多いけど、垂直に立っているとやはり滑ってしまうらしい。
【頑張るのだぞ】
「ぴゅー!」
しかし何度やってもずり落ちてしまい、しばらくしてフォルスが不貞腐れてしまう。
「ぴゅい! ぴゅい!」
俺のつま先をぺちぺちと叩きながら泣いていた。さすがに赤ちゃんにそこまでは過酷だと思っていると、馬のリリアが歩いて来た。
「ひひん」
「どうしたリリア? ……おや」
「ぴ?」
リリアはフォルスを軽く咥えると、頭を上げて俺のポケットにフォルスを近づけて来た。
「ぴゅーい♪」
俺の胸元に抱き着いているフラメをさっと避けて、フォルスはポケットに入っていった。
【甘やかしてはいかんぞ?】
「ひひん」
「いいじゃないか。まだ歯も生えていない赤ちゃんだ、まだまだこれからだろ? それまでしっかり守ってやろう」
【ふむ……そうか、そうかもしれんな。だが、体力と『口から炎』は訓練を続けるからな?】
「ぴゅーい♪」
フォルスが元気よく返事をすると、フラメはフッと鼻を鳴らしながら地面へ降りた。そんな彼をリリアがふんふんを匂いを嗅ぐ。
「おーい、みんな! おはよー! 今から朝食にするからテーブルを用意しておいてね」
「おはようセリカ。よし、それじゃテーブルと椅子を用意するか」
「ぴゅい!」
【ご飯と聞くとさらに元気になるな】
「ぶるる♪」
フラメはフォルスと、いつの間にか近づいて来たジョーを見ながら苦笑するのだった。
宴会は王族に加えて大臣のハイン、そして騎士達が入れ替わりで加わっていたので結構な人数が飲み食いをしていた。
俺やセリカ、アイラ達も楽しく飲めていたようでなによりという夜だった。
ちょっと驚いたのはフラメが酒を飲んだことである。
【この匂いの強い飲み物はなんだ?】
「これは酒だ。って知らないのか?」
【そうだな、ドラゴンは飲まない……と思ったが、果実を腐らせている飲み物か、これならたまに口にしていたぞ】
「別に腐らせているわけじゃないと思うが」
【まあ似たようなものだろう。……んぐ】
大丈夫なのか……? 瓶をぐいっとあおったフラメに眉を顰めていると、特になにごともなくぷはっと息を吐いた。
【これは美味い!】
「お、そうなのか? あまり見たことが無いやつだな」
瓶の中は赤い液体で満たされており、確かに美味そうな感じがした。一杯もらおうかと思ったところでハインが赤ら顔でやってくる。
「おお、フラメ殿はお目が高い! それはドラフルというお酒ですね」
「結構酔っているような……大丈夫ですか?」
「もちろん問題ありません! ちなみにそのお酒はドラゴンフルーツという名前の果物から作っています」
【ほう、ドラゴン】
瓶の中身を俺のグラスに注ぎながらフラメが興味深いと鼻を鳴らす。
どうも暖かい地域で採れる果物らしく、ドラゴンの鱗みたいな硬い皮をしているからその名がついたらしい。
「ドラゴンがドラゴンフルーツを……ぷふー! もう酔ったらいけませんよフラメ殿! 顔が真っ赤じゃあないですか!」
【オレはフレイムドラゴンだから元から赤いぞ】
「ですよねー! あーっはっはっは! いやあ、研究もさせてくれてノリもいい。フラメ殿とはいい関係を築けそうです!」
「……とりあえずあっちへ行け」
俺はハインを近くの騎士に押し付けてから椅子に座り直す。
【なんだったのだ?】
「気にするな。……うん、美味いな」
【これはたまに飲みたいな。酒を飲むと『口から炎』の威力が上がるのだ、いざ戦いになった時に飲みたい】
……と、いった感じで興味を示していた。腐った果実を食べていたのも衝撃だが。
ちなみにフォルスも興味も示していたが――
「ぴゅーい!」
【む、これはダメだぞ。お前はミルクがあるだろう】
「ぴゅー」
自分だけずるいとばかりにフラメの手をぺちぺちと叩いていた。俺はすかさずフォルスを抱っこし、ミルクを与えてやる。
「ほら、ミルクだぞ」
「ぴゅー♪」
抱っこされてご満悦になったのか大人しくミルクを口にしてくれた。酒場に赤ちゃんを連れて行ってはいけないと聞くが確かにそう思う。
その後、王妃様と王子が構いたそうだったがおねむの時間になったのでお気に入りのクッションに載せてその姿だけ見せておいた。
「ほわああああ……」
「可愛い……」
――とまあ、そんな感じだった。王子が巾着フラメを持って帰りたいと言い出した時はどうしようかと思ったが。
まあ、アイラになにかあっても守ってくれそうな関係になったのでそこはありがたい。そんなことを考えながら訓練のため庭に出ると、すでに起きて出していたフラメとフォルスを発見する。
【よし、こっちまで全力で走ってこい】
「ぴゅー!!」
「ふあ……なにしているんだ?」
【む。ラッヘか。ここは安全そうだったからフォルスと訓練だな。セリカと一緒にやっていたそうじゃないか】
「まあ、そうだが。フォルスがなにを言っているのかわかるのか?」
【なんとなくな。また誘拐されたら困ると、自分からやると言い出した】
「ぴゅーい!」
ちょうどそこでフラメに突撃をするフォルス。もちろんびくともせず、その場で転がる。だが、フォルスは泣かずに立ち上がった。
「おお……偉いな」
「ぴゅいー♪」
【ふむ、フォルスよ。自分でよじ登ってラッヘのポケットへ入ってみるのだ】
「ぴゅい?」
【こうだ】
「お」
フラメが立っている俺の足に抱き着くと、そのままのぼりはじめた。座っているところにフォルスがのぼってくることはあるけど確かに立った状態ではないな。
やがてポケットに到達するとフラメは一息ついた。
【ふう】
「ぴゅー!!」
「お!?」
もちろんフラメはでかすぎてポケットに入ることはないのだが、居場所を取られると思ったのか慌てて俺の足にしがみついた。
ゆっくりと上がってくるが、
「ぴゅい!?」
少しのぼったところでころんと転がってしまった。座っていると掴むところが多いけど、垂直に立っているとやはり滑ってしまうらしい。
【頑張るのだぞ】
「ぴゅー!」
しかし何度やってもずり落ちてしまい、しばらくしてフォルスが不貞腐れてしまう。
「ぴゅい! ぴゅい!」
俺のつま先をぺちぺちと叩きながら泣いていた。さすがに赤ちゃんにそこまでは過酷だと思っていると、馬のリリアが歩いて来た。
「ひひん」
「どうしたリリア? ……おや」
「ぴ?」
リリアはフォルスを軽く咥えると、頭を上げて俺のポケットにフォルスを近づけて来た。
「ぴゅーい♪」
俺の胸元に抱き着いているフラメをさっと避けて、フォルスはポケットに入っていった。
【甘やかしてはいかんぞ?】
「ひひん」
「いいじゃないか。まだ歯も生えていない赤ちゃんだ、まだまだこれからだろ? それまでしっかり守ってやろう」
【ふむ……そうか、そうかもしれんな。だが、体力と『口から炎』は訓練を続けるからな?】
「ぴゅーい♪」
フォルスが元気よく返事をすると、フラメはフッと鼻を鳴らしながら地面へ降りた。そんな彼をリリアがふんふんを匂いを嗅ぐ。
「おーい、みんな! おはよー! 今から朝食にするからテーブルを用意しておいてね」
「おはようセリカ。よし、それじゃテーブルと椅子を用意するか」
「ぴゅい!」
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