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その45 王族が離さない
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「いや、申し訳ありません王妃様」
「良いのです。わたくしもまさかエリードに先を越されるとは思っておりませんでしたし」
食事が終わった後、俺の謝罪にうふふと笑うリンダ王妃。
まあ、謝る必要はないんだけど一応だ。
ちなみにここは城の食堂である。
エリード王子と散歩がてら町中を散策していたところ、王妃様が後を追いかけてきたのだ。
そこから王妃様と侍女、そしてさらに増えた騎士と共に色々と案内された。
セリカは服や雑貨を買い込んでご満悦。王妃様はフォルスの寝顔を見てご満悦。
Win-Winという感じで良かった。
そしてそのまま昼食にもお呼ばれされたというわけ。
「母上ばかりずるいですからね。僕も可愛がりたいのです」
「研究材料にしようとしていたのに……」
「い、今、それを言うのはそれこそずるいです母上!?」
「ぴゅーい」
という感じで親子に大人気のフォルスが二人を宥めようと二本足で立って手を振る。その仕草がまた可愛いので二人は顔を綻ばせる。
「赤ちゃんはだいたい可愛いですわねえ……」
「さて、それでは我々はそろそろ帰ろうと思います」
「そう、ですか……お夕食は?」
「先ほど商店で買ってきた食材でセリカの料理を食べる予定です」
「ならウチで――」
「そうですわねそれがいいですわ。先ほどお渡しした香味も使ってみるといいですわ」
「……? ありがとうございます?」
エリード王子の口を塞いでにっこりと微笑む王妃に首を傾げつつもお礼を言うセリカ。そういえばなにか貰っていた気がする。
「フォルス、おいで」
「ぴゅーい」
俺が名前を呼ぶと四足歩行で駆けてきた。二足歩行で走る日はいつになるだろうか。そのまま俺の懐へ潜り込み、もぞもぞと動いた後で頭だけ出す。
「ぷひゅー」
「いつも通りね。ごちそうさまでしたリンダ王妃、エリード王子」
「いつでも来てくださいね♪」
何故かニヤリと笑う王妃様を尻目に、俺達は食堂を後にした。
侍女と騎士の後についていきながら通路を歩いていると、セリカが口を開く。
「なんだったのかしら?」
「まあなにかを企んでそうな顔だったのはそうだが……俺達に害を為す人達ではないし大丈夫だろう」
特にフォルス関連の時に俺達が怒りを露わにしたのは効いたらしい。大臣のハンスはすれ違うと引きつった笑顔を見せてくる。
まあ基本的にこの国の人間はいい人ばかりなので理解を得られるのは大きいけどな。
そんなことを考えながら歩いていると、前から首を動かして肩をほぐしながら向かってくる人物を発見した。
「ん、んああ……疲れた……今日の謁見は終わりか?」
「はい。後はランチを取って一休みした後、書類仕事になります」
「マッサージ士を呼んでおいてくれ。それで回復できるだろう」
「おや、陛下ラッヘ殿ですぞ」
「おお」
その人物とは陛下だった。謁見をやっていたようで、その疲れが出ていたようだ。
大変だなと思っていると、横にいたハンスさんが気づいて声をかけてきた。
「どうしたのだ? なにか用事があったのか?」
「いえ、今朝エリード王子が屋敷を訪ねて来まして。散歩を兼ねて王都内を案内してもらっておりました」
「王妃様も後から合流して今しがたお昼をいただきました。ありがとうございます!」
「なに!?」
「?」
俺とセリカが今日の振り返りを語ると陛下が目を丸くして驚いていた。
なにごとかと思ってセリカと顔を見合わせている中、物凄く残念そうな顔で口を開いた。
「私に内緒で出て行ってたのか……! しかもランチも一緒に……!」
「陛下はお忙しいようだと王妃様が言っておられましたが」
「そうだけどな! でも、ちょっと待ってくれたらご一緒できたじゃあないか……」
「確かに」
陛下が俺達の話を聞いて悔しそうに叫び、ハンスさんが頷いていた。忙しいのは間違いなかったようだ。
「もう少し付き合わないか……?」
「いえ、もうそろそろこいつもお昼寝の時間なので屋敷に戻りたいと」
「うおおお……!」
「ははは、今日は王子と王妃様にしてやられましたな。ひとまずランチといきましょう」
「うむ……ラッヘ殿、またその内にな」
「ええ」
そう言って苦笑しながら陛下は片手を上げてすれ違い、俺達は会釈をして再び歩き出す。
「それじゃフォルスとお昼寝をしてからお夕飯を作るわね」
「頼むよ。ジョー達と庭で昼寝もいいかもしれないな」
「ぴゅー♪」
「それがいいみたい♪」
という感じで午前中は引っ張りまわされたが午後はゆっくりすることができた。
そして翌日もやはり王子と王妃がやってきて、ランチに誘われていた。その時はちゃっかり陛下も居てセリカと一緒に笑っていた。
とりあえず王妃様がくれたアレはなんだか嫌な予感がしたので倉庫に入れておいた。庭でジョーとリリアがフォルスと遊ぶのを見たり、お茶をするなどしてブレイドタイガーやアースドラゴンとの戦いの疲れを癒すことができた。
「すみません、ラッヘ殿。アースドラゴンの解体が終わりました。登城をお願いします」
そんな王都の生活も解体作業が終わったという報告と共に終わりを告げる――
「良いのです。わたくしもまさかエリードに先を越されるとは思っておりませんでしたし」
食事が終わった後、俺の謝罪にうふふと笑うリンダ王妃。
まあ、謝る必要はないんだけど一応だ。
ちなみにここは城の食堂である。
エリード王子と散歩がてら町中を散策していたところ、王妃様が後を追いかけてきたのだ。
そこから王妃様と侍女、そしてさらに増えた騎士と共に色々と案内された。
セリカは服や雑貨を買い込んでご満悦。王妃様はフォルスの寝顔を見てご満悦。
Win-Winという感じで良かった。
そしてそのまま昼食にもお呼ばれされたというわけ。
「母上ばかりずるいですからね。僕も可愛がりたいのです」
「研究材料にしようとしていたのに……」
「い、今、それを言うのはそれこそずるいです母上!?」
「ぴゅーい」
という感じで親子に大人気のフォルスが二人を宥めようと二本足で立って手を振る。その仕草がまた可愛いので二人は顔を綻ばせる。
「赤ちゃんはだいたい可愛いですわねえ……」
「さて、それでは我々はそろそろ帰ろうと思います」
「そう、ですか……お夕食は?」
「先ほど商店で買ってきた食材でセリカの料理を食べる予定です」
「ならウチで――」
「そうですわねそれがいいですわ。先ほどお渡しした香味も使ってみるといいですわ」
「……? ありがとうございます?」
エリード王子の口を塞いでにっこりと微笑む王妃に首を傾げつつもお礼を言うセリカ。そういえばなにか貰っていた気がする。
「フォルス、おいで」
「ぴゅーい」
俺が名前を呼ぶと四足歩行で駆けてきた。二足歩行で走る日はいつになるだろうか。そのまま俺の懐へ潜り込み、もぞもぞと動いた後で頭だけ出す。
「ぷひゅー」
「いつも通りね。ごちそうさまでしたリンダ王妃、エリード王子」
「いつでも来てくださいね♪」
何故かニヤリと笑う王妃様を尻目に、俺達は食堂を後にした。
侍女と騎士の後についていきながら通路を歩いていると、セリカが口を開く。
「なんだったのかしら?」
「まあなにかを企んでそうな顔だったのはそうだが……俺達に害を為す人達ではないし大丈夫だろう」
特にフォルス関連の時に俺達が怒りを露わにしたのは効いたらしい。大臣のハンスはすれ違うと引きつった笑顔を見せてくる。
まあ基本的にこの国の人間はいい人ばかりなので理解を得られるのは大きいけどな。
そんなことを考えながら歩いていると、前から首を動かして肩をほぐしながら向かってくる人物を発見した。
「ん、んああ……疲れた……今日の謁見は終わりか?」
「はい。後はランチを取って一休みした後、書類仕事になります」
「マッサージ士を呼んでおいてくれ。それで回復できるだろう」
「おや、陛下ラッヘ殿ですぞ」
「おお」
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大変だなと思っていると、横にいたハンスさんが気づいて声をかけてきた。
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「いえ、今朝エリード王子が屋敷を訪ねて来まして。散歩を兼ねて王都内を案内してもらっておりました」
「王妃様も後から合流して今しがたお昼をいただきました。ありがとうございます!」
「なに!?」
「?」
俺とセリカが今日の振り返りを語ると陛下が目を丸くして驚いていた。
なにごとかと思ってセリカと顔を見合わせている中、物凄く残念そうな顔で口を開いた。
「私に内緒で出て行ってたのか……! しかもランチも一緒に……!」
「陛下はお忙しいようだと王妃様が言っておられましたが」
「そうだけどな! でも、ちょっと待ってくれたらご一緒できたじゃあないか……」
「確かに」
陛下が俺達の話を聞いて悔しそうに叫び、ハンスさんが頷いていた。忙しいのは間違いなかったようだ。
「もう少し付き合わないか……?」
「いえ、もうそろそろこいつもお昼寝の時間なので屋敷に戻りたいと」
「うおおお……!」
「ははは、今日は王子と王妃様にしてやられましたな。ひとまずランチといきましょう」
「うむ……ラッヘ殿、またその内にな」
「ええ」
そう言って苦笑しながら陛下は片手を上げてすれ違い、俺達は会釈をして再び歩き出す。
「それじゃフォルスとお昼寝をしてからお夕飯を作るわね」
「頼むよ。ジョー達と庭で昼寝もいいかもしれないな」
「ぴゅー♪」
「それがいいみたい♪」
という感じで午前中は引っ張りまわされたが午後はゆっくりすることができた。
そして翌日もやはり王子と王妃がやってきて、ランチに誘われていた。その時はちゃっかり陛下も居てセリカと一緒に笑っていた。
とりあえず王妃様がくれたアレはなんだか嫌な予感がしたので倉庫に入れておいた。庭でジョーとリリアがフォルスと遊ぶのを見たり、お茶をするなどしてブレイドタイガーやアースドラゴンとの戦いの疲れを癒すことができた。
「すみません、ラッヘ殿。アースドラゴンの解体が終わりました。登城をお願いします」
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