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第四章
第122話 休息
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「そうですか、ルルムの町も解放できましたか」
「『も』ということは……」
「ああ、南にあるフグラの町もひとまず問題無しってところだ」
――あれから少しの日数が経過した。
俺達が南の町、フグラから戻って来たら、ヘッジやザナック達が北の町を解放したらしい。
どうもグライアード側に情報が抜けていて、バックアタックを食らった形で騎士が捕まった。それをザナックを筆頭にヘッジやギャレットさんが暗躍して敵の隊長と副隊長を抑えてくれたとのこと。
「無茶するよな」
「へへっ、旦那に頼り切りだといざって時に動けねえかもしれないしな」
「俺は隊長と戦って負けたがな」
ザナックは少し前まで意識不明の重体というやつだった。拷問を受けたというサラバスとギャグレイいう騎士はまだ病院のベッドの上だそうだ。
エトワールの騎士を引き込んでから捕らえるという形だったので町の人間にはそれほど被害は出ていない。
だが、女性に乱暴をしたような話もあった。そいつらは町の人間から袋叩きにあったとのことだ。
その件と戦いでグライアード側は数十人が死亡。正直、割に合わない遠征だと思う。
「ひとまずこれで南北の町が協力してくれることになりました。拠点はこの場で維持。後は物資のやり取りがスムーズにいけば、というところでしょうか」
「そうですね。魔兵機《ゾルダート》は都合八機を手に入れました。それについての処遇は?」
「各町に3機ずつ配備し、グライアードへの牽制としましょう。リク様の案のとおり、気づかれるまで町は占拠されていることにしましょう」
2機は部品取りと拠点配備に使うとのこと。壊れた機体は戦いの末に大破したということで片足をとって放置することにしている。
「魔兵機《ゾルダート》は確実に増えているわね。犠牲も少ないし、この調子で闇討ちをしていきましょう!」
「ううむ……エトワールの騎士が……」
<勝つためには手段を選んではいられません。目には目、歯にはハニワです>
「まあ、それはどういう意味ですか?」
「嘘を言うな。目には目,歯には歯っていう俺の世界の言葉だ。意味は相手にやられたら相応の仕返しをしろって感じだ」
歯にハニワはこわい
俺の言葉にアウラ様が神妙な顔でなるほどと頷いていた。やりすぎは良くないだろうが、やられたらやり返す必要はある。そう簡単にはいかないことを教えなければならないのだ。
「それじゃお姉さま、当面の仕事は魔兵機《ゾルダート》の修理と町へ常駐する騎士の選別でいいわね?」
「ええ。グライアードの騎士達で素行の悪い者は拠点の牢へ入れておきましょう。協力的な者でも油断せず、必ず逃げられないよう措置を」
「ハッ! では私達はこれで。ヘッジ、行くぞ」
「へいへい」
なんだか仲のいいザナックとヘッジが決まったことを伝えに行くと会議室を出ていき、場には俺とサクヤにシャル、そしてアウラ様と数人の騎士が残された。
「拠点が手薄になってしまうのは大丈夫でしょうか? 今後、町を助ける度に騎士を常駐していては数が足りません」
「そうですね……できればその前に王都奪還の策を練りたいのですが……」
「情報を各隊長から聞くのが良さそうだな。ガエイン爺さんが南のフグラの町に残っているから期待したいな」
「ええ。後は――」
その後、アウラ様は拠点の運営について話を続けた。基本的に各町へ行きたい者は志願すれば町の人間と協議して受け入れてもらえるかを確認する。
ただ、ある意味で前線基地みたいな場所になっていくため危険度は跳ね上がるから山の拠点と町、どっちが暮らしやすいかは微妙なところだ。
意見をまとめていきたいところへ配属ということになった。
<とりあえず偵察は欠かさずにしておきたいところですね。ヴァイスや魔兵機《ゾルダート》では目立ちますし、斥候が得意な人間が居るといいのですが>
「騎士の中にはそういう者も居ましたが、こう散り散りになっては……せめてここに居ることが分かればいいのですが」
「結局、やることは今まで通りね。北より南の方が王都寄りだし、戦力を厚くするのは南の方がいいわね。リクは『ぶーすたー』ですぐ来れるから拠点ね」
<タブレットは持っておいてください。北は壊れた魔兵機《ゾルダート》から魔力通信具《マナリンク》を取り出して使いましょう。ギルドマスターさんとやらが信用できそうでしたし>
通信設備はサクヤが急ピッチで仕上げるとのこと。ギャレットさんがいいけど、魔兵機《ゾルダート》の改修に忙しいためバスレーナに頼むそうだ。
<カモン、バスレーナさん>
そこでサクヤが指を鳴らすと、ヘッジ達が出て行った扉からバスレーナが転がるように入って来た。
「呼ばれて飛び出てじゃーん! お任せください! この美少女技師である魔兵機《ゾルダート》を奪ったバスレーナちゃんがお仕事をします!」
「頼もしいですね! ……でも危ないことはしないでくださいね」
「あ、あはは……気を付けますー……」
「まさかギャレットさんと二人で魔兵機《ゾルダート》を盗るとはねえ」
アウラ様とシャルの言う通り、バスレーナがギャレットさんと二人でグライアードを出し抜いて奪ったらしい。ただ、その際にグライアードに捕まりそうになったとか。
まあそれよりも……
「お前、サクヤに呼ばれるまでそこで待ってたのか……」
「それは恥ずかしいから言わないでくださいよ……!?」
さて、それはともかく少しは戦力補強に時間を使えるかと安堵する俺であった。
「『も』ということは……」
「ああ、南にあるフグラの町もひとまず問題無しってところだ」
――あれから少しの日数が経過した。
俺達が南の町、フグラから戻って来たら、ヘッジやザナック達が北の町を解放したらしい。
どうもグライアード側に情報が抜けていて、バックアタックを食らった形で騎士が捕まった。それをザナックを筆頭にヘッジやギャレットさんが暗躍して敵の隊長と副隊長を抑えてくれたとのこと。
「無茶するよな」
「へへっ、旦那に頼り切りだといざって時に動けねえかもしれないしな」
「俺は隊長と戦って負けたがな」
ザナックは少し前まで意識不明の重体というやつだった。拷問を受けたというサラバスとギャグレイいう騎士はまだ病院のベッドの上だそうだ。
エトワールの騎士を引き込んでから捕らえるという形だったので町の人間にはそれほど被害は出ていない。
だが、女性に乱暴をしたような話もあった。そいつらは町の人間から袋叩きにあったとのことだ。
その件と戦いでグライアード側は数十人が死亡。正直、割に合わない遠征だと思う。
「ひとまずこれで南北の町が協力してくれることになりました。拠点はこの場で維持。後は物資のやり取りがスムーズにいけば、というところでしょうか」
「そうですね。魔兵機《ゾルダート》は都合八機を手に入れました。それについての処遇は?」
「各町に3機ずつ配備し、グライアードへの牽制としましょう。リク様の案のとおり、気づかれるまで町は占拠されていることにしましょう」
2機は部品取りと拠点配備に使うとのこと。壊れた機体は戦いの末に大破したということで片足をとって放置することにしている。
「魔兵機《ゾルダート》は確実に増えているわね。犠牲も少ないし、この調子で闇討ちをしていきましょう!」
「ううむ……エトワールの騎士が……」
<勝つためには手段を選んではいられません。目には目、歯にはハニワです>
「まあ、それはどういう意味ですか?」
「嘘を言うな。目には目,歯には歯っていう俺の世界の言葉だ。意味は相手にやられたら相応の仕返しをしろって感じだ」
歯にハニワはこわい
俺の言葉にアウラ様が神妙な顔でなるほどと頷いていた。やりすぎは良くないだろうが、やられたらやり返す必要はある。そう簡単にはいかないことを教えなければならないのだ。
「それじゃお姉さま、当面の仕事は魔兵機《ゾルダート》の修理と町へ常駐する騎士の選別でいいわね?」
「ええ。グライアードの騎士達で素行の悪い者は拠点の牢へ入れておきましょう。協力的な者でも油断せず、必ず逃げられないよう措置を」
「ハッ! では私達はこれで。ヘッジ、行くぞ」
「へいへい」
なんだか仲のいいザナックとヘッジが決まったことを伝えに行くと会議室を出ていき、場には俺とサクヤにシャル、そしてアウラ様と数人の騎士が残された。
「拠点が手薄になってしまうのは大丈夫でしょうか? 今後、町を助ける度に騎士を常駐していては数が足りません」
「そうですね……できればその前に王都奪還の策を練りたいのですが……」
「情報を各隊長から聞くのが良さそうだな。ガエイン爺さんが南のフグラの町に残っているから期待したいな」
「ええ。後は――」
その後、アウラ様は拠点の運営について話を続けた。基本的に各町へ行きたい者は志願すれば町の人間と協議して受け入れてもらえるかを確認する。
ただ、ある意味で前線基地みたいな場所になっていくため危険度は跳ね上がるから山の拠点と町、どっちが暮らしやすいかは微妙なところだ。
意見をまとめていきたいところへ配属ということになった。
<とりあえず偵察は欠かさずにしておきたいところですね。ヴァイスや魔兵機《ゾルダート》では目立ちますし、斥候が得意な人間が居るといいのですが>
「騎士の中にはそういう者も居ましたが、こう散り散りになっては……せめてここに居ることが分かればいいのですが」
「結局、やることは今まで通りね。北より南の方が王都寄りだし、戦力を厚くするのは南の方がいいわね。リクは『ぶーすたー』ですぐ来れるから拠点ね」
<タブレットは持っておいてください。北は壊れた魔兵機《ゾルダート》から魔力通信具《マナリンク》を取り出して使いましょう。ギルドマスターさんとやらが信用できそうでしたし>
通信設備はサクヤが急ピッチで仕上げるとのこと。ギャレットさんがいいけど、魔兵機《ゾルダート》の改修に忙しいためバスレーナに頼むそうだ。
<カモン、バスレーナさん>
そこでサクヤが指を鳴らすと、ヘッジ達が出て行った扉からバスレーナが転がるように入って来た。
「呼ばれて飛び出てじゃーん! お任せください! この美少女技師である魔兵機《ゾルダート》を奪ったバスレーナちゃんがお仕事をします!」
「頼もしいですね! ……でも危ないことはしないでくださいね」
「あ、あはは……気を付けますー……」
「まさかギャレットさんと二人で魔兵機《ゾルダート》を盗るとはねえ」
アウラ様とシャルの言う通り、バスレーナがギャレットさんと二人でグライアードを出し抜いて奪ったらしい。ただ、その際にグライアードに捕まりそうになったとか。
まあそれよりも……
「お前、サクヤに呼ばれるまでそこで待ってたのか……」
「それは恥ずかしいから言わないでくださいよ……!?」
さて、それはともかく少しは戦力補強に時間を使えるかと安堵する俺であった。
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