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第二章
第66話 状況の確認を
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「ふう……なんとかなったかのう」
「一機強奪できたし、いいんじゃないですかねえ」
「お前が言うな」
「お、ザナック。さっきは助かったぜー」
「ふん。見ていられなかったのだ」
ガエイン達は岩石で道を塞いでから男達を回収して移動を進めていた。
追撃は無いと確信しているため、駆動系をやられたビッダー機に合わせてゆっくりと。
「折角奪ったけど、ガエイン爺さんのが右腕が残っていてビッダーのが左腕。イラスのが両腕無しだから頑張っても一機しかまともなのができないのが厄介だぜ」
「奪ったものだ、整備もできんから仕方あるまい。技術者が居れば一機くらいはまともなのができるかもしれないが」
魔兵機《ゾルダート》の肩で悪態をつくヘッジに、コクピットを開け放しているビッダーがそう返す。
開かなくなっていたコクピットはヘッジが無理やり開けたのだ。
「そういえばお主のその力は一体なんだ?」
「ん? ああ、オレのはよくわからないんだけど、腕力がアホみたいに高いんだ。魔兵機《ゾルダート》をよじ登ることもできるし、歪んだコクピットをこじ開けることもな」
ヘッジは煙草を咥えてから手を握り、さらに続ける。
「その反動かわからねえが、オレは魔力が殆どないらしい。魔兵機《ゾルダート》を動かすには魔力が必要だが、ビッダー達ほど上手く扱えないのはそのせいだな」
「しかしソウの町で乗っていたではないか」
「ありゃ実戦でブルっちまった奴と交代したからだ。いま思えばあれはあれで良かったな」
「ああ」
そう言ってくっくと笑うヘッジ。ガエインはその様子を見てならば魔法も使えないのかと目を細める。
「(この二人、一体どういう人物なのだろうな? グライアードに属していてあっさり裏切ったのは気になるな。じゃが、数度の戦いで命は賭けているのは間違いない)」
視線を悟られぬように魔兵機《ゾルダート》の中からガエインはそんなことを考えていた。気になる……だが、魔兵機《ゾルダート》を動かせる人間が居るのは助かるため今はそのままにしておくかと結論付けた。
そこで手に乗っている町の男が声をかけてきた。
「迎え入れてくれますかね」
「わからん。が、渓谷はせき止めたから時間は稼げる。姫様の状況も気になるが……」
「結局、町は放棄することになりましたね」
「リクが居なければあんなものだろう。ワシとビッダーで守り切れれば良しと思っていたが、数を増やしてきおったからな」
防衛するつもりでは居たが、思った以上に侵略速度が速く、外壁にダメージを受けた時点で撤退は考えていた。
戦闘開始前には先に女子供と家畜は外に出しており、防衛できれば帰ってくる手はずだったのだ。
「ワシに力があれば撤退をすることも無かったのじゃがのう……奴等に対抗できる武器が欲しいわい」
「その大剣では難しいのですか?」
「うむ。これは普通の鋼の剣。もっと硬い鉱石で切れ味のいい、それこそ簡単に鉄を断ち切れるようなものが欲しいのう」
「そりゃ難しいんじゃ……」
男は肩を竦めて呆れたように返した。そして前方に町の人間が集まっているのを発見する。
「おおーい!」
「あ! 戻って来た! おーい!」
「仕事はしてくれたようだ」
ガエインはイラスの魔兵機《ゾルダート》を見ながら呟いていた。彼女には拘束を解く代わりに町の人間を逃げる手伝いをするよう言っていたのだ。
もちろん念のため騎士が一人、監視についている。
両腕がないためリクのように馬車の荷台を数台ロープで腰にくくりつけてから引いてもらっていた。
「捕虜のために……私はこの身をエトワールに売ったのだ……! ああ、申し訳ありません陛下!」
「姉ちゃん凄かったぞー」
「速かったー」
「あ、そう? えへへ……」
コクピット内で悶えていたイラスが子供たちにサムズアップをされて照れていた。
そんな彼女に、ガエインは眉を顰めて口を開く。
「なんじゃあやつ。ワシが話を持ち掛けた時には殺せとうるさかったのに」
「イラスは魔兵機《ゾルダート》に乗ると性格変わるんでさ。人を無差別に殺すなんてこともできないから適任だったかもな」
「さて、それじゃこのまま行軍といきますか?」
「うむ。ひとまず砦町へ移動するぞ」
「救援依頼ができているといいですが……」
町を出た一行は再び移動を始める。さらに増えた人を見て、ガエインは胸中で考える。
「(民は大事だ。しかしこの調子で町が強襲されるたびに連れ歩いては負担が増える。二つ分の町が三つ、四つとなればいずれ立ち行かなくなる……ヘルブスト国次第か――)」
彼らはまだ交渉が決裂したことを知らない。
そして、別の策が始まろうとしていることも――
◆ ◇ ◆
「――準備は滞りなく進んでいます」
「ありがとうございますオンディーヌ伯爵。私達に注意が向けば町を襲われることは少ないでしょう」
「もし襲われることがあれば、まずは交渉。それでダメなら徹底抗戦しかありませんがね」
町へ到着した俺達は深夜に事情を説明し、ヘルブスト国との交渉は叶わなかったことと拠点を作る話をオンディーヌ伯爵へ告げた。
ひとまず休んだ次の日からどういう形で作るのか? 資材は? そういったものの確認をしつつ伯爵が色々と手配してくれたのだ。
「後は師匠達のところへ行って話をしないとね」
「俺がサッと行って帰ってこようか?」
「いえ、伝令を出しましょう。旅の途中で魔兵機《ゾルダート》に出くわした場合、リク様が居なければ即座に全滅します」
シャルの言葉にアウラ様がきっぱりと口にした。王族の自分たちがやられることは避けたいと。
一般市民や騎士達には酷な言い方かもしれないけど、姫が居なくなったら士気が下がるし、奪還の意思が無くなる可能性もある。
<ヴァイスは資材運びが主になるので、人は馬車と歩きになります。十分注意して進みましょう>
そこで俺のタブレットに姿を映すサクヤが言う。
そう、リヤカーは完全に資材用になってしまうので人は載せられなくなった。騎士も爺さんのところに多くいるから戦闘要員が少ないんだよなあ。
「それでも出来ることをするしかありません。冒険者さんを雇う余裕も無いのですから」
「そうね……」
アウラ様の言葉にシャルが神妙な顔で頷く。
とりあえず伝令を出してから数日後に出発という段取りまでしたところで、ガエイン爺さん率いるソウとクレイブの町の人間がここまでやってきたのだった――
「一機強奪できたし、いいんじゃないですかねえ」
「お前が言うな」
「お、ザナック。さっきは助かったぜー」
「ふん。見ていられなかったのだ」
ガエイン達は岩石で道を塞いでから男達を回収して移動を進めていた。
追撃は無いと確信しているため、駆動系をやられたビッダー機に合わせてゆっくりと。
「折角奪ったけど、ガエイン爺さんのが右腕が残っていてビッダーのが左腕。イラスのが両腕無しだから頑張っても一機しかまともなのができないのが厄介だぜ」
「奪ったものだ、整備もできんから仕方あるまい。技術者が居れば一機くらいはまともなのができるかもしれないが」
魔兵機《ゾルダート》の肩で悪態をつくヘッジに、コクピットを開け放しているビッダーがそう返す。
開かなくなっていたコクピットはヘッジが無理やり開けたのだ。
「そういえばお主のその力は一体なんだ?」
「ん? ああ、オレのはよくわからないんだけど、腕力がアホみたいに高いんだ。魔兵機《ゾルダート》をよじ登ることもできるし、歪んだコクピットをこじ開けることもな」
ヘッジは煙草を咥えてから手を握り、さらに続ける。
「その反動かわからねえが、オレは魔力が殆どないらしい。魔兵機《ゾルダート》を動かすには魔力が必要だが、ビッダー達ほど上手く扱えないのはそのせいだな」
「しかしソウの町で乗っていたではないか」
「ありゃ実戦でブルっちまった奴と交代したからだ。いま思えばあれはあれで良かったな」
「ああ」
そう言ってくっくと笑うヘッジ。ガエインはその様子を見てならば魔法も使えないのかと目を細める。
「(この二人、一体どういう人物なのだろうな? グライアードに属していてあっさり裏切ったのは気になるな。じゃが、数度の戦いで命は賭けているのは間違いない)」
視線を悟られぬように魔兵機《ゾルダート》の中からガエインはそんなことを考えていた。気になる……だが、魔兵機《ゾルダート》を動かせる人間が居るのは助かるため今はそのままにしておくかと結論付けた。
そこで手に乗っている町の男が声をかけてきた。
「迎え入れてくれますかね」
「わからん。が、渓谷はせき止めたから時間は稼げる。姫様の状況も気になるが……」
「結局、町は放棄することになりましたね」
「リクが居なければあんなものだろう。ワシとビッダーで守り切れれば良しと思っていたが、数を増やしてきおったからな」
防衛するつもりでは居たが、思った以上に侵略速度が速く、外壁にダメージを受けた時点で撤退は考えていた。
戦闘開始前には先に女子供と家畜は外に出しており、防衛できれば帰ってくる手はずだったのだ。
「ワシに力があれば撤退をすることも無かったのじゃがのう……奴等に対抗できる武器が欲しいわい」
「その大剣では難しいのですか?」
「うむ。これは普通の鋼の剣。もっと硬い鉱石で切れ味のいい、それこそ簡単に鉄を断ち切れるようなものが欲しいのう」
「そりゃ難しいんじゃ……」
男は肩を竦めて呆れたように返した。そして前方に町の人間が集まっているのを発見する。
「おおーい!」
「あ! 戻って来た! おーい!」
「仕事はしてくれたようだ」
ガエインはイラスの魔兵機《ゾルダート》を見ながら呟いていた。彼女には拘束を解く代わりに町の人間を逃げる手伝いをするよう言っていたのだ。
もちろん念のため騎士が一人、監視についている。
両腕がないためリクのように馬車の荷台を数台ロープで腰にくくりつけてから引いてもらっていた。
「捕虜のために……私はこの身をエトワールに売ったのだ……! ああ、申し訳ありません陛下!」
「姉ちゃん凄かったぞー」
「速かったー」
「あ、そう? えへへ……」
コクピット内で悶えていたイラスが子供たちにサムズアップをされて照れていた。
そんな彼女に、ガエインは眉を顰めて口を開く。
「なんじゃあやつ。ワシが話を持ち掛けた時には殺せとうるさかったのに」
「イラスは魔兵機《ゾルダート》に乗ると性格変わるんでさ。人を無差別に殺すなんてこともできないから適任だったかもな」
「さて、それじゃこのまま行軍といきますか?」
「うむ。ひとまず砦町へ移動するぞ」
「救援依頼ができているといいですが……」
町を出た一行は再び移動を始める。さらに増えた人を見て、ガエインは胸中で考える。
「(民は大事だ。しかしこの調子で町が強襲されるたびに連れ歩いては負担が増える。二つ分の町が三つ、四つとなればいずれ立ち行かなくなる……ヘルブスト国次第か――)」
彼らはまだ交渉が決裂したことを知らない。
そして、別の策が始まろうとしていることも――
◆ ◇ ◆
「――準備は滞りなく進んでいます」
「ありがとうございますオンディーヌ伯爵。私達に注意が向けば町を襲われることは少ないでしょう」
「もし襲われることがあれば、まずは交渉。それでダメなら徹底抗戦しかありませんがね」
町へ到着した俺達は深夜に事情を説明し、ヘルブスト国との交渉は叶わなかったことと拠点を作る話をオンディーヌ伯爵へ告げた。
ひとまず休んだ次の日からどういう形で作るのか? 資材は? そういったものの確認をしつつ伯爵が色々と手配してくれたのだ。
「後は師匠達のところへ行って話をしないとね」
「俺がサッと行って帰ってこようか?」
「いえ、伝令を出しましょう。旅の途中で魔兵機《ゾルダート》に出くわした場合、リク様が居なければ即座に全滅します」
シャルの言葉にアウラ様がきっぱりと口にした。王族の自分たちがやられることは避けたいと。
一般市民や騎士達には酷な言い方かもしれないけど、姫が居なくなったら士気が下がるし、奪還の意思が無くなる可能性もある。
<ヴァイスは資材運びが主になるので、人は馬車と歩きになります。十分注意して進みましょう>
そこで俺のタブレットに姿を映すサクヤが言う。
そう、リヤカーは完全に資材用になってしまうので人は載せられなくなった。騎士も爺さんのところに多くいるから戦闘要員が少ないんだよなあ。
「それでも出来ることをするしかありません。冒険者さんを雇う余裕も無いのですから」
「そうね……」
アウラ様の言葉にシャルが神妙な顔で頷く。
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