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第一章
第38話 離反
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「ぎゃぁぁぁぁ!?」
「チッ、そういや手に乗っていたな。落ちろ」
「「うえええええ!?」」
ビッダーが手に持っていた冒険者二人を投げ捨て、絶叫が響き渡る。
馬鹿どもが、人質を取っているようじゃジョンビエルと同じだってんだ。
オレことヘッジはそんなことを思いながら揺れる操縦席の中で耐える。
ビッダーに剣を当てていた冒険者は剣を取り上げて叩き落としてやったが……
「まだ生きているな、しぶとい」
「案外あんなのが長生きするんだ。……行くぞ、舌を噛むなよ!」
瞬間、魔兵機《ゾルダート》が大きく揺れる。左腕しか残っていないが拳くらいなら出せるからな。
「しかし、これで良かったのかねえ!」
「今なら降格だけで済ましてやるぜ……!」
「馬鹿を言うなあんたがそんなタマか!」
「なら操縦席ごと潰してやらあ。二人まとめてあの世へ行きな!」
「フッ……!」
ジョンビエルがハンマーを振り下ろしてきたが、それをバックして回避する。続けて横、斜めと手当たりしだいに振り回す。
そのうちの一発が魔兵機《ゾルダート》の胸を掠り金属音がする。
「くそ、リクとかいうのにやられたままだから出力が上がらん……!」
「武器もねえしまずいか?」
「そうだな。まあいいさ、どうせどこかで死んでいた命だ。あの姫さんを助けるために使ってもいいだろう」
「違いねえ」
結局のところ、ジョンビエルはムカつくし、急に戦争をおっぱじめたグライアードにも疑問が残る。あの剣士姫が言うのももっともなんだよな。
理由が分からない。
だが、陛下は魔兵機《ゾルダート》を開発したあたりからおかしくなった気がする。土地に不便はないし国交も悪くはない。
まあ一部ジョンビエルみたいな『素行不良』な人間が居たのは確かだが。
それでも戦争をやると決めたのはなにが目的なのか? 末端であるオレ達にはわからなかった。
「どちらにせよ、ジョンビエル相手に勝ち目はない。だが疲弊させることはできる」
「呼び捨てとは偉くなったもんだなあ、ええ!」
「うお……!?」
足の間接にガタが来たのか、ハンマーを避ける際にガクンと膝が崩れ、ハンマーが操縦席に食い込む。歪んだ操縦席に隙間ができた。
「ひゅう……」
「間一髪だったが、次は無理だ。どうやらここまでらしい」
「動かねえか」
オレが言うとビッダーは頷いた。
次に振り下ろされたら今度こそ粉々にされるだろう。さっきの一撃で開かなくなったので万事休すというやつだ。
「すまないな」
「いいってことよ。どうせ親もいねえオレ達だ、最後はこんなもんだろ」
「くく……死ねぇぇぇぇ!」
ハンマーが持ち上がり隙間から月明かりが差してくる。まったく、離反して即死亡なんてよくできているぜ。
騎士になったときから死ぬ覚悟はできている。
オレとビッダーは狼狽えもせず、その時を待った。
「っしゃぁおらぁぁぁぁぁ!!」
「あああああああああ!?」
「なに……! イラス――」
だが、その時は来なかった。
「追いついたぜジョンビエル……! ここでケリをつけてやる……!」
なぜならあのリクとかいう謎の魔兵機《ゾルダート》乗りが駆けつけてきたからだ。
「あの野郎……かっこいいじゃねえか」
「まったくだ。ああいうのを勇者と呼ぶのだろうな」
オレ達は隙間から見える真っ白の魔兵機《ゾルダート》を見て肩をすくめるのだった――
◆ ◇ ◆
「てめえは!」
「仲間の魔兵機《ゾルダート》は沈黙させたぜ。あとはお前だけだ!」
「クソが……! どこまでも邪魔をしやがる!」
「も、申し訳ありません……」
あのイラスとかいう魔兵機《ゾルダート》はすぐに片付いた。操縦はまあまあだったが、本来の武器はハンマーなので、あまり斧は使えなかったようだ。
プラズマダガーで両腕を削ぎ落し、逃げ出したところを追いかけたところジョンビエルが見えたのでぶつけてやった。
「どいつもこいつも……! おらぁぁぁぁぁ!」
「わ、わあああ!?」
「な!? 止めろ! 相手は俺だ!」
「馬鹿が……! それじゃ俺の気が済まねえ……! てめえのせいで町の人間が死ぬんだ! 後悔するんだな!」
「マジかこいつ!?」
俺に向かってくるのかと思いきやハンマーを出鱈目に振り回して、家屋を破壊し、足元に居る騎士や町の人を攻撃し始めた。
「止めろって言ってんだろうが!」
「へっ……!」
「ぐあ!?」
「隙ができたな? 俺は殺すぜ、皆殺しだ! はっははははははは!」
イカれていやがる……。これほど人を殺すことに躊躇がない奴は初めて……いや、メビウスの連中もそうだったか。
自分の周りにいる人間以外は敵、そんな感じの圧を感じる。
「リク!」
「シャルか! 危ないから下がっていろ!」
「で、でも、まだ息がある人が! お姉さまなら……きゃぁぁぁぁ!」
そこへ倒れた人を助けようとするシャルが見えた。するとその近くへハンマーを振り下ろしシャルは宙に浮いた。
「へっ、でしゃばるからだ。まあ、生きてるだろ。こうなったらこいつを回収して撤退するしか――」
「貴様ぁ!」
シャルが倒れるのを見て、俺は怒りが頂点に達する。体が熱い、まるで人間の身体のような――
<……戦闘モード変更。システムSAKUYAからCHIRUYAへ移行。フェイズドライブ、フルコントロール>
「な、なんだ……!? おい、サクヤどうした」
<ノー。ワタシはシステムCHIRUYA。エネルギー解放……89……95……完了。エクスカリバーの使用が可能になりました」
「なんだ……頭に浮かぶ……エクス……カリバー……」
俺が呟くと、右手にエネルギーで出来た剣が浮かび上がっていく。重さは感じない。ただそこに『ある』という感覚だけ。
「これで……終わりだ……!!」
「……! 光の剣がなんだってんだ! な!? 速――」
ジョンビエル機が踏み込むと同時に俺も前へ出る。しかしその時、すでに終わっていた。ハンマーは虚しく空を切り――
「馬鹿な……!? いくらなんでも強すぎる……! うお――」
左肩から袈裟懸けに振り下ろされたエクスカリバーが魔兵機《ゾルダート》を半分に切り裂いていた。
爆発をしながら崩れていき、上半身が地面に落ちると燃え上がった。
<コンプリート。システム通常モードSAKUYAへ変更>
そこでAIが無機質な言葉を吐く。
「ま、待て、お前はなんだ? サクヤじゃなくチルヤとか言ったな、そんなシステム俺は知らない。なんなんだ!」
<マスター? どうなさいましたか? おや、敵を真っ二つにしているじゃありませんか>
「戻った……」
<なんのことです?>
「いや、なんでもない。……騎士達を掃討する」
いつの間にかエクスカリバーとやらも消えていた。なんだか分からないが、この機体、なにか俺の知らないモノがある……?
それはともかくまずは事態を収束しなければと俺はシャルを手に取り安全な場所へ連れて行った。
◆ ◇ ◆
「はあああああ!」
「ぎゃあ!?」
「つ、強い……!?」
「エトワール王国の騎士を舐めるなよ!」
「おい、ジョンビエル殿が敗れたぞ……!」
「ば、馬鹿な……!? くそ、ディッター殿もイラス殿も撤退している……これ以上は無理か……! 撤退だ! 撤退ぃぃぃぃ!!」
俺が町の門へ駆けつけるとガエイン爺さんと騎士達が激しい争いを繰り広げていた。
だが、魔兵機《ゾルダート》が全機敗北したことを知ると、一人の騎士の声を受けて撤退を開始しだした。
「ま、待ってくれ!」
「くそ……覚えていろよ……!」
捨て台詞を残す者、投降する者、落とし穴からやっとはいでたら敗北していた者など様々だ。
背中を見せた騎士を斬ることまではしないとエトワール王国の騎士達は息を切らせながら敗走するグライアードの騎士達を見送っていた。
「終わったか……」
「リクか。ああ、ワシらの勝ちじゃ。だが――」
ガエイン爺さんに声をかけると勝ったと宣言していた。しかし、俺達の後ろは敵味方ともにケガ人と死者を残していた。
「くそ……俺がもう少し手こずらなければ……」
「言うな。戦いに絶対はない……。逃がせば良かった。そういう選択もあったが。ワシらは抗戦を選んだのじゃからな」
それだけ口にすると町へと踵を返して歩き出す。
やるせないなと思いつつ、俺も騎士達とその後を追う。
帰りには落とし穴に落ちたグライアードの騎士達を拘束し、広場へ転がしておいた。
「うう……あんたぁ……」
「父ちゃん……」
「う、うう……俺の腕が……」
傷ついた人も多く、遺体もあり俺は胸が痛くなるが、俺達はひとまずの勝利を手にすることができたのだった――
◆ ◇ ◆
「……やれやれ、ほぼ壊滅、か」
「も、申し訳ありません……。ジョンビエル殿もイラス殿も負けるとは……」
「いいさ。私もこっぴどくやられたし、これは相手が悪かったと思わざるを得ない」
「どうしますか? 今なら追撃すれば――」
「無理だ。あの謎の魔兵機《ゾルダート》がいては中途半端に攻めても勝てないだろう。一度、退却してエトワール王国の王都へ帰還する。報告をして対策を練ろう」
「ハッ……!」
先に退却していたディッターが同じく退却してきた騎士達を集めて話し合いをしていた。
魔兵機《ゾルダート》を計5機を失い、戻った時のことを思いこめかみを抑える。
「今は勝利の美酒でも飲んでおくといい。次は……こちらが――」
「チッ、そういや手に乗っていたな。落ちろ」
「「うえええええ!?」」
ビッダーが手に持っていた冒険者二人を投げ捨て、絶叫が響き渡る。
馬鹿どもが、人質を取っているようじゃジョンビエルと同じだってんだ。
オレことヘッジはそんなことを思いながら揺れる操縦席の中で耐える。
ビッダーに剣を当てていた冒険者は剣を取り上げて叩き落としてやったが……
「まだ生きているな、しぶとい」
「案外あんなのが長生きするんだ。……行くぞ、舌を噛むなよ!」
瞬間、魔兵機《ゾルダート》が大きく揺れる。左腕しか残っていないが拳くらいなら出せるからな。
「しかし、これで良かったのかねえ!」
「今なら降格だけで済ましてやるぜ……!」
「馬鹿を言うなあんたがそんなタマか!」
「なら操縦席ごと潰してやらあ。二人まとめてあの世へ行きな!」
「フッ……!」
ジョンビエルがハンマーを振り下ろしてきたが、それをバックして回避する。続けて横、斜めと手当たりしだいに振り回す。
そのうちの一発が魔兵機《ゾルダート》の胸を掠り金属音がする。
「くそ、リクとかいうのにやられたままだから出力が上がらん……!」
「武器もねえしまずいか?」
「そうだな。まあいいさ、どうせどこかで死んでいた命だ。あの姫さんを助けるために使ってもいいだろう」
「違いねえ」
結局のところ、ジョンビエルはムカつくし、急に戦争をおっぱじめたグライアードにも疑問が残る。あの剣士姫が言うのももっともなんだよな。
理由が分からない。
だが、陛下は魔兵機《ゾルダート》を開発したあたりからおかしくなった気がする。土地に不便はないし国交も悪くはない。
まあ一部ジョンビエルみたいな『素行不良』な人間が居たのは確かだが。
それでも戦争をやると決めたのはなにが目的なのか? 末端であるオレ達にはわからなかった。
「どちらにせよ、ジョンビエル相手に勝ち目はない。だが疲弊させることはできる」
「呼び捨てとは偉くなったもんだなあ、ええ!」
「うお……!?」
足の間接にガタが来たのか、ハンマーを避ける際にガクンと膝が崩れ、ハンマーが操縦席に食い込む。歪んだ操縦席に隙間ができた。
「ひゅう……」
「間一髪だったが、次は無理だ。どうやらここまでらしい」
「動かねえか」
オレが言うとビッダーは頷いた。
次に振り下ろされたら今度こそ粉々にされるだろう。さっきの一撃で開かなくなったので万事休すというやつだ。
「すまないな」
「いいってことよ。どうせ親もいねえオレ達だ、最後はこんなもんだろ」
「くく……死ねぇぇぇぇ!」
ハンマーが持ち上がり隙間から月明かりが差してくる。まったく、離反して即死亡なんてよくできているぜ。
騎士になったときから死ぬ覚悟はできている。
オレとビッダーは狼狽えもせず、その時を待った。
「っしゃぁおらぁぁぁぁぁ!!」
「あああああああああ!?」
「なに……! イラス――」
だが、その時は来なかった。
「追いついたぜジョンビエル……! ここでケリをつけてやる……!」
なぜならあのリクとかいう謎の魔兵機《ゾルダート》乗りが駆けつけてきたからだ。
「あの野郎……かっこいいじゃねえか」
「まったくだ。ああいうのを勇者と呼ぶのだろうな」
オレ達は隙間から見える真っ白の魔兵機《ゾルダート》を見て肩をすくめるのだった――
◆ ◇ ◆
「てめえは!」
「仲間の魔兵機《ゾルダート》は沈黙させたぜ。あとはお前だけだ!」
「クソが……! どこまでも邪魔をしやがる!」
「も、申し訳ありません……」
あのイラスとかいう魔兵機《ゾルダート》はすぐに片付いた。操縦はまあまあだったが、本来の武器はハンマーなので、あまり斧は使えなかったようだ。
プラズマダガーで両腕を削ぎ落し、逃げ出したところを追いかけたところジョンビエルが見えたのでぶつけてやった。
「どいつもこいつも……! おらぁぁぁぁぁ!」
「わ、わあああ!?」
「な!? 止めろ! 相手は俺だ!」
「馬鹿が……! それじゃ俺の気が済まねえ……! てめえのせいで町の人間が死ぬんだ! 後悔するんだな!」
「マジかこいつ!?」
俺に向かってくるのかと思いきやハンマーを出鱈目に振り回して、家屋を破壊し、足元に居る騎士や町の人を攻撃し始めた。
「止めろって言ってんだろうが!」
「へっ……!」
「ぐあ!?」
「隙ができたな? 俺は殺すぜ、皆殺しだ! はっははははははは!」
イカれていやがる……。これほど人を殺すことに躊躇がない奴は初めて……いや、メビウスの連中もそうだったか。
自分の周りにいる人間以外は敵、そんな感じの圧を感じる。
「リク!」
「シャルか! 危ないから下がっていろ!」
「で、でも、まだ息がある人が! お姉さまなら……きゃぁぁぁぁ!」
そこへ倒れた人を助けようとするシャルが見えた。するとその近くへハンマーを振り下ろしシャルは宙に浮いた。
「へっ、でしゃばるからだ。まあ、生きてるだろ。こうなったらこいつを回収して撤退するしか――」
「貴様ぁ!」
シャルが倒れるのを見て、俺は怒りが頂点に達する。体が熱い、まるで人間の身体のような――
<……戦闘モード変更。システムSAKUYAからCHIRUYAへ移行。フェイズドライブ、フルコントロール>
「な、なんだ……!? おい、サクヤどうした」
<ノー。ワタシはシステムCHIRUYA。エネルギー解放……89……95……完了。エクスカリバーの使用が可能になりました」
「なんだ……頭に浮かぶ……エクス……カリバー……」
俺が呟くと、右手にエネルギーで出来た剣が浮かび上がっていく。重さは感じない。ただそこに『ある』という感覚だけ。
「これで……終わりだ……!!」
「……! 光の剣がなんだってんだ! な!? 速――」
ジョンビエル機が踏み込むと同時に俺も前へ出る。しかしその時、すでに終わっていた。ハンマーは虚しく空を切り――
「馬鹿な……!? いくらなんでも強すぎる……! うお――」
左肩から袈裟懸けに振り下ろされたエクスカリバーが魔兵機《ゾルダート》を半分に切り裂いていた。
爆発をしながら崩れていき、上半身が地面に落ちると燃え上がった。
<コンプリート。システム通常モードSAKUYAへ変更>
そこでAIが無機質な言葉を吐く。
「ま、待て、お前はなんだ? サクヤじゃなくチルヤとか言ったな、そんなシステム俺は知らない。なんなんだ!」
<マスター? どうなさいましたか? おや、敵を真っ二つにしているじゃありませんか>
「戻った……」
<なんのことです?>
「いや、なんでもない。……騎士達を掃討する」
いつの間にかエクスカリバーとやらも消えていた。なんだか分からないが、この機体、なにか俺の知らないモノがある……?
それはともかくまずは事態を収束しなければと俺はシャルを手に取り安全な場所へ連れて行った。
◆ ◇ ◆
「はあああああ!」
「ぎゃあ!?」
「つ、強い……!?」
「エトワール王国の騎士を舐めるなよ!」
「おい、ジョンビエル殿が敗れたぞ……!」
「ば、馬鹿な……!? くそ、ディッター殿もイラス殿も撤退している……これ以上は無理か……! 撤退だ! 撤退ぃぃぃぃ!!」
俺が町の門へ駆けつけるとガエイン爺さんと騎士達が激しい争いを繰り広げていた。
だが、魔兵機《ゾルダート》が全機敗北したことを知ると、一人の騎士の声を受けて撤退を開始しだした。
「ま、待ってくれ!」
「くそ……覚えていろよ……!」
捨て台詞を残す者、投降する者、落とし穴からやっとはいでたら敗北していた者など様々だ。
背中を見せた騎士を斬ることまではしないとエトワール王国の騎士達は息を切らせながら敗走するグライアードの騎士達を見送っていた。
「終わったか……」
「リクか。ああ、ワシらの勝ちじゃ。だが――」
ガエイン爺さんに声をかけると勝ったと宣言していた。しかし、俺達の後ろは敵味方ともにケガ人と死者を残していた。
「くそ……俺がもう少し手こずらなければ……」
「言うな。戦いに絶対はない……。逃がせば良かった。そういう選択もあったが。ワシらは抗戦を選んだのじゃからな」
それだけ口にすると町へと踵を返して歩き出す。
やるせないなと思いつつ、俺も騎士達とその後を追う。
帰りには落とし穴に落ちたグライアードの騎士達を拘束し、広場へ転がしておいた。
「うう……あんたぁ……」
「父ちゃん……」
「う、うう……俺の腕が……」
傷ついた人も多く、遺体もあり俺は胸が痛くなるが、俺達はひとまずの勝利を手にすることができたのだった――
◆ ◇ ◆
「……やれやれ、ほぼ壊滅、か」
「も、申し訳ありません……。ジョンビエル殿もイラス殿も負けるとは……」
「いいさ。私もこっぴどくやられたし、これは相手が悪かったと思わざるを得ない」
「どうしますか? 今なら追撃すれば――」
「無理だ。あの謎の魔兵機《ゾルダート》がいては中途半端に攻めても勝てないだろう。一度、退却してエトワール王国の王都へ帰還する。報告をして対策を練ろう」
「ハッ……!」
先に退却していたディッターが同じく退却してきた騎士達を集めて話し合いをしていた。
魔兵機《ゾルダート》を計5機を失い、戻った時のことを思いこめかみを抑える。
「今は勝利の美酒でも飲んでおくといい。次は……こちらが――」
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