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第101話 爵位、ゲットだぜ!
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「陛下と王妃様におかれましてはごきげんようございます。私はレンと申します」
『フリンクだよ!』
『がう』
『くおーん』
初のお目見えということで俺は丁寧な挨拶をする。続けてフリンクと熊親子が真似をする。
「まあ、あれが精霊様?」
「そうですぞ王妃様。そしてウチの孫が神の加護を受けております」
「ふむ、それは素晴らしい……!」
「あの、爺ちゃん? それはいいんだけど、どうしてまた庭でやっているんだい?」
鼻高々に俺を紹介する爺様に、両親含む親族は苦笑いだ。尋ねてみると、なるほどと思う回答が出た。
「熊をどうにかせねばならんからな。流石に城へ入れるわけにはいかんと相談したところ、陛下がここで良いとおっしゃってくれたのだ」
「そういう……陛下、申し訳ございません」
「構わぬよ。私としても喋る精霊様とでかい熊を見たかったからな!」
「子熊ちゃん、愛らしいこと。撫でてもいいかしら?」
「えっと……」
やはりテンションの高い二人であった。撫でてもいいけど、話が進まないんじゃ? そう思ったところで陛下が口を開く。
「パトリシア、それは後だ。まずは色々とやらねばなるまい」
「わかりました」
指をわきわきさせているな、王妃様……そんなに?
「さて、ヤクリーニン侯爵家の者達よ」
「「ハッ」」
そこで厳かな雰囲気に変わった陛下の前で胸に手を置いて頭を下げる。膝はつかないようだ。祖父母を先頭に、背後にいる俺達もそれに倣う。
「話は昨日ある程度聞いたが、帰って来た娘婿に爵位を与えたい、と」
「はい。そこにおる夫のカブトは腕のいい剣士ですが、平民の出でして。別に暮らすとはいえ、娘が平民と一緒となれば色々と面倒なことになるため許可をお願いしたいと参った次第です」
爺様がスラスラと謁見の理由を語ってくれた。事前に考えていたことだろう。
陛下は黙って聞き、言い終わった後に小さく頷いた。
「いいよ」
「ありがとうございます。陛下の寛大なお心に敬意を」
『「早いな!?」』
「どうしたのレン、フリンク? 陛下の御前よ?」
「ああ、申し訳ありません……」
くそ……思わず突っ込んでしまった……!
俺と同時にツッコミを入れたフリンクと一緒にバツの悪い感じになってしまう。
「昨日、ある程度聞いていたからなあ。これは形式上だけのものなのだよ!」
「お食事会の時にね。レンさんはお外でしたし」
「クレアも知っていたのか?」
「うん、ご一緒させてもらったから知っていたわ。でもここまであっさりとは思わなかったわ……」
「うんうん」
クレアとサーナは肯定するが、明らかに承認が早いことに驚いていた。
「まあ、無駄にはならんよ。カブトよ、前に」
「ハッ!」
「お」
『お父さんかっこいいー』
貴族の服を来た父さんが陛下に呼ばれて前へ。そこで爵位章と証明書を貰っていた。
「――ここに、ウラトリア国王トラデールと侯爵アカロウ・ヤクリーニンの名においてカブト・イカルガを男爵として認める」
「ありがたき幸せ」
そして父さんが膝をつくと、陛下が父さんの肩に剣を乗せて印みたいなものを切った。それを鞘に納める。
「立って良いぞ。……ではこれも受け取れ。儀礼用だが祭事に使うこともある」
「ハッ!」
そして父さんが一歩下がってもう一度頭を下げた。そういえば苗字にあたる部分が変わったな?
「ウチは別性になるんだ。娘婿って言ってたからてっきりヤクリーニン家かと」
「もう二十年所帯を持っているからそうしようって」
婆様がうふふと笑いながら答えてくれた。父さんには貴族として、家主としてやってこれから奮闘してもらいたいのだとか。
「ではこれにて爵位式を終わりにする! 皆の者、遠路はるばるご苦労であった!」
「お手を煩わせてしまい申し訳ありません」
「気にするなアカロウ侯爵。手紙も貰っていたので話は早かった」
そういえば手紙を出していると言っていたっけ。だからここまで早いのか。
「本来なら受付、謁見の空いている時間の予約など諸々の手続きが必要ですものね。さて、終わったのでしたら子熊ちゃんをそろそろ愛でても……?」
「うむ。良いかレンよ」
「え、ええ。クリン、ちょっと撫でられてくるんだ」
『くおん……!』
『僕が連れて行くね』
フリンクが抱えてクリンを連れて行くと、王妃様が膝に置いて撫で始めた。
「ああ、可愛い……可愛いですわね……」
「クリンはどこでも人気ね」
「いつかこうなるから今の内だけどな」
『がう』
「その熊も大人しいものだ。やはり精霊様の力のおかげかな?」
王妃様が愛で始めると、緊張が解けたという空気になり各々が息を吐いていた。
そこで陛下が簡易玉座から立って俺達に尋ねてくる。
「フリンクが意思疎通できますが、レンが助けた形です。息子もプラーボを力で押さえつけているわけではないからでしょう」
「なるほど。神の加護も話は聞いていたが普通の男に見えるな。精霊様は喋るので特別感があるが……」
『レンも凄いんだよ王様? うわあ!?』
フリンクがそう言う。別に目立たなくてもいいからと尻尾を掴んで引っ込めた。
「とりあえずこれでカブトは晴れて貴族の仲間入りじゃ。後は仕事と屋敷を手配せねばな。どこかの町の長でもしてもらうか」
「い!? いや、それなら農家の方が助かるんですが……」
「はっはっは! まあまあ、後程決めれば良かろう。さて、レンは村へ戻るのだったな?」
「? ええ」
俺がクレアとサーナに囲まれていると陛下が尋ねてきた。
そして――
『フリンクだよ!』
『がう』
『くおーん』
初のお目見えということで俺は丁寧な挨拶をする。続けてフリンクと熊親子が真似をする。
「まあ、あれが精霊様?」
「そうですぞ王妃様。そしてウチの孫が神の加護を受けております」
「ふむ、それは素晴らしい……!」
「あの、爺ちゃん? それはいいんだけど、どうしてまた庭でやっているんだい?」
鼻高々に俺を紹介する爺様に、両親含む親族は苦笑いだ。尋ねてみると、なるほどと思う回答が出た。
「熊をどうにかせねばならんからな。流石に城へ入れるわけにはいかんと相談したところ、陛下がここで良いとおっしゃってくれたのだ」
「そういう……陛下、申し訳ございません」
「構わぬよ。私としても喋る精霊様とでかい熊を見たかったからな!」
「子熊ちゃん、愛らしいこと。撫でてもいいかしら?」
「えっと……」
やはりテンションの高い二人であった。撫でてもいいけど、話が進まないんじゃ? そう思ったところで陛下が口を開く。
「パトリシア、それは後だ。まずは色々とやらねばなるまい」
「わかりました」
指をわきわきさせているな、王妃様……そんなに?
「さて、ヤクリーニン侯爵家の者達よ」
「「ハッ」」
そこで厳かな雰囲気に変わった陛下の前で胸に手を置いて頭を下げる。膝はつかないようだ。祖父母を先頭に、背後にいる俺達もそれに倣う。
「話は昨日ある程度聞いたが、帰って来た娘婿に爵位を与えたい、と」
「はい。そこにおる夫のカブトは腕のいい剣士ですが、平民の出でして。別に暮らすとはいえ、娘が平民と一緒となれば色々と面倒なことになるため許可をお願いしたいと参った次第です」
爺様がスラスラと謁見の理由を語ってくれた。事前に考えていたことだろう。
陛下は黙って聞き、言い終わった後に小さく頷いた。
「いいよ」
「ありがとうございます。陛下の寛大なお心に敬意を」
『「早いな!?」』
「どうしたのレン、フリンク? 陛下の御前よ?」
「ああ、申し訳ありません……」
くそ……思わず突っ込んでしまった……!
俺と同時にツッコミを入れたフリンクと一緒にバツの悪い感じになってしまう。
「昨日、ある程度聞いていたからなあ。これは形式上だけのものなのだよ!」
「お食事会の時にね。レンさんはお外でしたし」
「クレアも知っていたのか?」
「うん、ご一緒させてもらったから知っていたわ。でもここまであっさりとは思わなかったわ……」
「うんうん」
クレアとサーナは肯定するが、明らかに承認が早いことに驚いていた。
「まあ、無駄にはならんよ。カブトよ、前に」
「ハッ!」
「お」
『お父さんかっこいいー』
貴族の服を来た父さんが陛下に呼ばれて前へ。そこで爵位章と証明書を貰っていた。
「――ここに、ウラトリア国王トラデールと侯爵アカロウ・ヤクリーニンの名においてカブト・イカルガを男爵として認める」
「ありがたき幸せ」
そして父さんが膝をつくと、陛下が父さんの肩に剣を乗せて印みたいなものを切った。それを鞘に納める。
「立って良いぞ。……ではこれも受け取れ。儀礼用だが祭事に使うこともある」
「ハッ!」
そして父さんが一歩下がってもう一度頭を下げた。そういえば苗字にあたる部分が変わったな?
「ウチは別性になるんだ。娘婿って言ってたからてっきりヤクリーニン家かと」
「もう二十年所帯を持っているからそうしようって」
婆様がうふふと笑いながら答えてくれた。父さんには貴族として、家主としてやってこれから奮闘してもらいたいのだとか。
「ではこれにて爵位式を終わりにする! 皆の者、遠路はるばるご苦労であった!」
「お手を煩わせてしまい申し訳ありません」
「気にするなアカロウ侯爵。手紙も貰っていたので話は早かった」
そういえば手紙を出していると言っていたっけ。だからここまで早いのか。
「本来なら受付、謁見の空いている時間の予約など諸々の手続きが必要ですものね。さて、終わったのでしたら子熊ちゃんをそろそろ愛でても……?」
「うむ。良いかレンよ」
「え、ええ。クリン、ちょっと撫でられてくるんだ」
『くおん……!』
『僕が連れて行くね』
フリンクが抱えてクリンを連れて行くと、王妃様が膝に置いて撫で始めた。
「ああ、可愛い……可愛いですわね……」
「クリンはどこでも人気ね」
「いつかこうなるから今の内だけどな」
『がう』
「その熊も大人しいものだ。やはり精霊様の力のおかげかな?」
王妃様が愛で始めると、緊張が解けたという空気になり各々が息を吐いていた。
そこで陛下が簡易玉座から立って俺達に尋ねてくる。
「フリンクが意思疎通できますが、レンが助けた形です。息子もプラーボを力で押さえつけているわけではないからでしょう」
「なるほど。神の加護も話は聞いていたが普通の男に見えるな。精霊様は喋るので特別感があるが……」
『レンも凄いんだよ王様? うわあ!?』
フリンクがそう言う。別に目立たなくてもいいからと尻尾を掴んで引っ込めた。
「とりあえずこれでカブトは晴れて貴族の仲間入りじゃ。後は仕事と屋敷を手配せねばな。どこかの町の長でもしてもらうか」
「い!? いや、それなら農家の方が助かるんですが……」
「はっはっは! まあまあ、後程決めれば良かろう。さて、レンは村へ戻るのだったな?」
「? ええ」
俺がクレアとサーナに囲まれていると陛下が尋ねてきた。
そして――
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