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第99話 王都へ
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そんなわけで俺達は次に王都へ向けて出発することになった。
クレアとサーナはどうするかと話したが、どうせ嫁に迎えるなら紹介しておけばと緩い感じで言われた。
「これ、私が若いころに来ていたドレスよクレアちゃんは背格好が近いから入ると思うわ」
「これを私が!? 普段着でいいんだけど……」
「ダメよ、謁見と宴はきちんとした格好じゃないと。ああ、娘が出来たのは嬉しい、ウチは男の子ばかりだったし。ピアッシが羨ましいわ」
母さんは帰って来たことで当時を思い出しているのかテキパキと貴族の心得的な話をクレアに教えていた。付き合ってまだ一日ですよお母様?
そして庭では――
「ふっ……ふっ……」
『くおん、くおん』
「あの、サーナさん、どうしてパンチの練習をしているのですか?」
「そりゃ……ふっ……もう……ふっ……王都に行くとなれば姉ちゃんが居ますからね……!」
「?」
ヴィリジャが『お姉さんに会うのにどうしてそうなるのかしら』と首を傾げていた。まあ、これに関してはサーナに同意しておこう。
クリンがぷるぷるしながらサーナの足にしがみ付き、二足歩行で立っているのが可愛い。プラーボは庭にハンモックを作ってやったらそこから動かなくなった。
あ、ちゃんと許可は貰ったぞ。その証拠に爺様にも作ってやり、そこで寝てる。
『レンー』
母さんとクレアが居る部屋から窓の外を見ていると、フリンクが飛んできた。庭が広いので飛び回っていたようだ。
『王都に行くけどプラーボ達はどうする?』
「母さん達は連れて行く気だから一緒に行くと思う」
『まあ大人しくしていると思うけど、大丈夫かな?』
「俺達で守ってやればいいだろう。婆ちゃんは?」
『準備をしているよー』
まあ出発は明日だからフリンクに構っている暇は無いか。しかし、準備は進んでいるようで、
「……ネクタイとシルクハット……」
『お婆ちゃんがくれたんだよ! これ、いいよねえ』
フリンクの首元に蝶ネクタイがあり、背びれにシルクハットがあった。
おめかしは大事……しかし、クリンはともかくプラーボはどうかなあ。
そんな準備に追われる俺達。
特に俺とクレアは屋敷に来た時に出会った執事とメイドさんに礼儀作法を教育されていた。
「うう……」
「嘆くな、俺もやってるんだ……」
二人とも村に居たしこういう堅苦しいのは苦手である。
サーナはいいところのお嬢さんのため、そこはクリアできていた。
「まさか王都へ行くことになるなんて……」
「いいじゃないか。セルリアは慣れているだろう」
「王都はそうだけど、謁見は数えるほどしかやってないよ父上……」
従兄弟は謁見ということで緊張しているらしい。それにしてもいきなり尋ねて問題ないものなのだろうか?
「ん? まあ、陛下は暇だからね。政《まつりごと》は今後のため王子がやっているそうだ」
「暇なのか……」
確かに玉座に座っているイメージがある。ゲームだけど。
あとはむにゃむにゃなにか言って終わりってパターンだよなあ。そう考えると楽になってきたかもしれない。
そうして諸々の準備が終わり、出発の時が来た。結局のところ都合、四日ほど使ってしまった。
「ではお気をつけて」
「うむ。屋敷を頼んだぞ」
「ああ、クリンちゃん……」
計三台の馬車が屋敷を出発する。
祖母、従兄弟、両親と恋人……そういう振り分けである。
「フリンクに乗って移動したかったわ」
『また今度にしようねお婆ちゃん!』
「プラーボ頑張ってねー」
ヴィリジャはプラーボを応援していた。今回はハリソンが引いてくれていて、プラーボはフリンクと共に魔物避けである。
町を移動していると珍しがられたものの、ウチだとわかると『貴族の道楽か』という感じになっていた。
最初に伯父さんが町の人に言っておいたのが大きかったのかもしれない。
「どれくらいで着くんだろう」
「王都はここから二日と少しほどじゃ。町で二泊してから昼前に着く」
「まあまあ遠いな……」
途中に町があるのが幸いか。
適当にお喋りをしながら王都を目指し、町で名物を食ったりおみやげを買ったりすること約三日……
「着いたー!」
『大きいねえ!』
――王都へ到着することができた。
「早速、城へ行こうか」
「王様は暇みたいだけど、急な謁見って大丈夫なの?」
「ふっふっふ、レンよ、問題ない。出発前に陛下へ手紙を送っておいたから、先に目を通してもらえているはずだ」
「お、さすが爺ちゃん」
「やるじゃろワシ?」
何日か過ごせば打ち解けるものだ。俺は窓から爺様にサムズアップをしていた。
フリンクというイレギュラーで話が盛り上がるし、そもそも気さくな爺様だ。婆ちゃんもいい人だしな。
後はあのメイドさん。クリンがよほど気に入ったようで、気づいたら自室へ連れて行こうとするのは面白かった。もちろんヴィリジャが怒っていたが。
そして――
「ダメだろお熊は……」
『がる?』
「大丈夫じゃ、ワシの娘夫婦が飼っておるペットだからな」
「ほら、ネクタイもついているだろう?」
『がる♪』
『くおーん♪』
「可愛いけども」
――やはり門で止められた。許可が出るまでまた俺とフリンクが外かなこりゃ。
そう思いながら爺様と伯父さんの対応を見るのだった……
クレアとサーナはどうするかと話したが、どうせ嫁に迎えるなら紹介しておけばと緩い感じで言われた。
「これ、私が若いころに来ていたドレスよクレアちゃんは背格好が近いから入ると思うわ」
「これを私が!? 普段着でいいんだけど……」
「ダメよ、謁見と宴はきちんとした格好じゃないと。ああ、娘が出来たのは嬉しい、ウチは男の子ばかりだったし。ピアッシが羨ましいわ」
母さんは帰って来たことで当時を思い出しているのかテキパキと貴族の心得的な話をクレアに教えていた。付き合ってまだ一日ですよお母様?
そして庭では――
「ふっ……ふっ……」
『くおん、くおん』
「あの、サーナさん、どうしてパンチの練習をしているのですか?」
「そりゃ……ふっ……もう……ふっ……王都に行くとなれば姉ちゃんが居ますからね……!」
「?」
ヴィリジャが『お姉さんに会うのにどうしてそうなるのかしら』と首を傾げていた。まあ、これに関してはサーナに同意しておこう。
クリンがぷるぷるしながらサーナの足にしがみ付き、二足歩行で立っているのが可愛い。プラーボは庭にハンモックを作ってやったらそこから動かなくなった。
あ、ちゃんと許可は貰ったぞ。その証拠に爺様にも作ってやり、そこで寝てる。
『レンー』
母さんとクレアが居る部屋から窓の外を見ていると、フリンクが飛んできた。庭が広いので飛び回っていたようだ。
『王都に行くけどプラーボ達はどうする?』
「母さん達は連れて行く気だから一緒に行くと思う」
『まあ大人しくしていると思うけど、大丈夫かな?』
「俺達で守ってやればいいだろう。婆ちゃんは?」
『準備をしているよー』
まあ出発は明日だからフリンクに構っている暇は無いか。しかし、準備は進んでいるようで、
「……ネクタイとシルクハット……」
『お婆ちゃんがくれたんだよ! これ、いいよねえ』
フリンクの首元に蝶ネクタイがあり、背びれにシルクハットがあった。
おめかしは大事……しかし、クリンはともかくプラーボはどうかなあ。
そんな準備に追われる俺達。
特に俺とクレアは屋敷に来た時に出会った執事とメイドさんに礼儀作法を教育されていた。
「うう……」
「嘆くな、俺もやってるんだ……」
二人とも村に居たしこういう堅苦しいのは苦手である。
サーナはいいところのお嬢さんのため、そこはクリアできていた。
「まさか王都へ行くことになるなんて……」
「いいじゃないか。セルリアは慣れているだろう」
「王都はそうだけど、謁見は数えるほどしかやってないよ父上……」
従兄弟は謁見ということで緊張しているらしい。それにしてもいきなり尋ねて問題ないものなのだろうか?
「ん? まあ、陛下は暇だからね。政《まつりごと》は今後のため王子がやっているそうだ」
「暇なのか……」
確かに玉座に座っているイメージがある。ゲームだけど。
あとはむにゃむにゃなにか言って終わりってパターンだよなあ。そう考えると楽になってきたかもしれない。
そうして諸々の準備が終わり、出発の時が来た。結局のところ都合、四日ほど使ってしまった。
「ではお気をつけて」
「うむ。屋敷を頼んだぞ」
「ああ、クリンちゃん……」
計三台の馬車が屋敷を出発する。
祖母、従兄弟、両親と恋人……そういう振り分けである。
「フリンクに乗って移動したかったわ」
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「王都はここから二日と少しほどじゃ。町で二泊してから昼前に着く」
「まあまあ遠いな……」
途中に町があるのが幸いか。
適当にお喋りをしながら王都を目指し、町で名物を食ったりおみやげを買ったりすること約三日……
「着いたー!」
『大きいねえ!』
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「王様は暇みたいだけど、急な謁見って大丈夫なの?」
「ふっふっふ、レンよ、問題ない。出発前に陛下へ手紙を送っておいたから、先に目を通してもらえているはずだ」
「お、さすが爺ちゃん」
「やるじゃろワシ?」
何日か過ごせば打ち解けるものだ。俺は窓から爺様にサムズアップをしていた。
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後はあのメイドさん。クリンがよほど気に入ったようで、気づいたら自室へ連れて行こうとするのは面白かった。もちろんヴィリジャが怒っていたが。
そして――
「ダメだろお熊は……」
『がる?』
「大丈夫じゃ、ワシの娘夫婦が飼っておるペットだからな」
「ほら、ネクタイもついているだろう?」
『がる♪』
『くおーん♪』
「可愛いけども」
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そう思いながら爺様と伯父さんの対応を見るのだった……
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