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第98話 覚悟を決めろ
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「やった……! やりましたよクレア……!」
「ええ、これで解決!」
「静かにしろって」
話し合いの後、俺達は寝泊まりする部屋に案内され休むことになった。
父さんと母さんも元・母さんの部屋に移動している。
さて、クレアとサーナが手を取り合って小躍りしているのは爵位の件だ。
信じられない事態だが、爺様は本気で爵位を渡すと繰り返していた。
「……本当にいいんだな?」
「うん、私はずっとあんたと一緒だったし素直にならないと取られちゃうって気づいたから」
「わたしは将来性にかけました! まあ、それも一つのってところですけどね」
クレアはサーナが積極的に俺へアプローチしていたことで目が覚めたとのこと。
村じゃ生まれてから割と一緒に遊んでいたし、村から出ることもなかった俺なのでどこか安心していて、このまま結婚まで行くのだと考えていたようだ。
しかし、村から出るようになり、カイさんやサーナといった人達に好意を寄せられているのを見てモヤっとしたそうな。
「お前がその気なら俺はいいけど……まずは付き合うところから、だよな?」
「あれ!? 一人だけに向けている言葉!?」
「……お前も本気なのか?」
「もちのろんですよ!」
「恋愛なんてこのかた意識したことない俺にいきなり二人は荷が重いと思わないか?」
「これも慣れですよ」
恐ろしい子……!
それだけ好きだと言うなら悪い気はしない。覚悟を決めておこう。
「よし! なら今日から二人は恋人だ。よろしくなクレア、サーナ」
「……レン! うん!」
「やったぁ!」
「うおお!?」
俺が宣言すると二人が飛び掛かって来てベッドにダイブする羽目になった。
さて、これでクレアも男避けができるか。
「じゃあ早速……」
「そういうのはここじゃやらないぞ。どこで誰が聞いているかわからないし。それよりも今後の話だ」
「あ、そうね」
ちなみにこれを決断した理由はもう一つあり、父さんが爵位を貰う件と少し関わっている。
爺様いう爵位を渡すと同時に、村は引き払ってこの地へ帰ってこいとのことだった。そうなると当然、俺もこっちに戻って来いという話になる。
だけど俺自身が所帯を向こうで持つと宣言すれば、村から出なくて済むだろうという算段があった。
「実際、お孫さんはセルリア様とヴィリジャ様が居ますし、そこまでうるさく言われ無さそうですけどね」
「それに私達も村から離れるのも寂しいからね」
「後、海が近くないからフリンクがストレスを抱えるだろうな」
今の村は比較的海が近くにあるため、遊びに行くのが容易だ。
しかしこの町だと少し遠出をしなければ海にはあたらず、川魚しか食べられないのである。
「ま、大丈夫じゃないですかね? あくまで自分の娘を元の場所に置きたいって話ですし」
「そりゃ二十数年も離れてりゃな……」
爺様も婆様もそういう意味では不憫なため、両親は言う通りにするらしい。
俺は特になにも言われていないのでクレアとサーナを送りつつ、そのまま屋敷で過ごすことになると思う。
さっきも言ったけどフリンクが居ればここに来るのも数時間程度なので離れていてもそれほど苦にはならないだろう。
「そういえばフリンクの姿が見えないわね?」
「今は婆様に愛でられているはずだ。母さんに雰囲気がそっくりだから懐くのも早い」
「お婆様、確かにそっくりですよね……性格とか」
「おっとりというかなんというか、な」
それが人を惹き付けるのかもしれない。そういえばフランソワは母さんが気に入っているのでこっちに住処を移すならあいつも株分けしないといけないな。
その後、俺と二人はどう生活するか? クレアの両親には挨拶をしようなど決めていく。しかし、そこでひとつ面倒なことがあると気づいた。
「姉ちゃんか……」
「サーラさんに話すと面倒くさそうだな」
「わかってますね、流石レンさん。多分、結婚を前提としたお付き合いをすると告げた翌日には式を構築しているでしょうね」
「いくらなんでも……」
「いや、あいつはやるだろう。……ま、会うこともないだろうけど」
などと考えていたのだが、その日の夕食のことじゃった――
「明日、王都へ行くぞ」
「ば、馬鹿な……!? こんなに早くフラグを回収するだと……!」
「どうしたのレン? 凄い汗よ」
「ははあ、さては初めての王都に緊張しているのだな?」
セルリアさんが気さくに話しかけてくれるが、ちょっと待って欲しい。王都と言えばそれこそサーラが居るんだが……
「俺は辞退できないかな」
「ダメじゃ。揃って爵位式を行わねばいかん。病気なら延期になるだけじゃ」
「そうか……」
「なにか、あるのか?」
「いや、サーナの姉が宮廷魔法使いだろ? 会いたくないなって思ってさ」
「ハッキリ言うなあ」
父さんが呆れた顔で笑っていた。すると母さんが俺に言う。
「でも、結婚するならご家族に挨拶をしないといけないわ。ちょうどいいと思いましょう」
「まだ先の話だからなあ」
「ぐぬう……羨ましい話をするんじゃない……」
「お兄様も頑張ってくださいましねー。わたくしに構ってばかりじゃなく」
「ふふ、そのとおりね。ひとまず、お義姉様が王都に行けば宴がありそうだし、そこで探してみたらいいじゃない」
ヴィリジャと伯父さんの奥さんであるピアッシさんにシスコンを突っ込まれていた。
それはともかく家族は行った方がいいのか……仕方ない。サーラには見つからないように祈るしかないな。
「ええ、これで解決!」
「静かにしろって」
話し合いの後、俺達は寝泊まりする部屋に案内され休むことになった。
父さんと母さんも元・母さんの部屋に移動している。
さて、クレアとサーナが手を取り合って小躍りしているのは爵位の件だ。
信じられない事態だが、爺様は本気で爵位を渡すと繰り返していた。
「……本当にいいんだな?」
「うん、私はずっとあんたと一緒だったし素直にならないと取られちゃうって気づいたから」
「わたしは将来性にかけました! まあ、それも一つのってところですけどね」
クレアはサーナが積極的に俺へアプローチしていたことで目が覚めたとのこと。
村じゃ生まれてから割と一緒に遊んでいたし、村から出ることもなかった俺なのでどこか安心していて、このまま結婚まで行くのだと考えていたようだ。
しかし、村から出るようになり、カイさんやサーナといった人達に好意を寄せられているのを見てモヤっとしたそうな。
「お前がその気なら俺はいいけど……まずは付き合うところから、だよな?」
「あれ!? 一人だけに向けている言葉!?」
「……お前も本気なのか?」
「もちのろんですよ!」
「恋愛なんてこのかた意識したことない俺にいきなり二人は荷が重いと思わないか?」
「これも慣れですよ」
恐ろしい子……!
それだけ好きだと言うなら悪い気はしない。覚悟を決めておこう。
「よし! なら今日から二人は恋人だ。よろしくなクレア、サーナ」
「……レン! うん!」
「やったぁ!」
「うおお!?」
俺が宣言すると二人が飛び掛かって来てベッドにダイブする羽目になった。
さて、これでクレアも男避けができるか。
「じゃあ早速……」
「そういうのはここじゃやらないぞ。どこで誰が聞いているかわからないし。それよりも今後の話だ」
「あ、そうね」
ちなみにこれを決断した理由はもう一つあり、父さんが爵位を貰う件と少し関わっている。
爺様いう爵位を渡すと同時に、村は引き払ってこの地へ帰ってこいとのことだった。そうなると当然、俺もこっちに戻って来いという話になる。
だけど俺自身が所帯を向こうで持つと宣言すれば、村から出なくて済むだろうという算段があった。
「実際、お孫さんはセルリア様とヴィリジャ様が居ますし、そこまでうるさく言われ無さそうですけどね」
「それに私達も村から離れるのも寂しいからね」
「後、海が近くないからフリンクがストレスを抱えるだろうな」
今の村は比較的海が近くにあるため、遊びに行くのが容易だ。
しかしこの町だと少し遠出をしなければ海にはあたらず、川魚しか食べられないのである。
「ま、大丈夫じゃないですかね? あくまで自分の娘を元の場所に置きたいって話ですし」
「そりゃ二十数年も離れてりゃな……」
爺様も婆様もそういう意味では不憫なため、両親は言う通りにするらしい。
俺は特になにも言われていないのでクレアとサーナを送りつつ、そのまま屋敷で過ごすことになると思う。
さっきも言ったけどフリンクが居ればここに来るのも数時間程度なので離れていてもそれほど苦にはならないだろう。
「そういえばフリンクの姿が見えないわね?」
「今は婆様に愛でられているはずだ。母さんに雰囲気がそっくりだから懐くのも早い」
「お婆様、確かにそっくりですよね……性格とか」
「おっとりというかなんというか、な」
それが人を惹き付けるのかもしれない。そういえばフランソワは母さんが気に入っているのでこっちに住処を移すならあいつも株分けしないといけないな。
その後、俺と二人はどう生活するか? クレアの両親には挨拶をしようなど決めていく。しかし、そこでひとつ面倒なことがあると気づいた。
「姉ちゃんか……」
「サーラさんに話すと面倒くさそうだな」
「わかってますね、流石レンさん。多分、結婚を前提としたお付き合いをすると告げた翌日には式を構築しているでしょうね」
「いくらなんでも……」
「いや、あいつはやるだろう。……ま、会うこともないだろうけど」
などと考えていたのだが、その日の夕食のことじゃった――
「明日、王都へ行くぞ」
「ば、馬鹿な……!? こんなに早くフラグを回収するだと……!」
「どうしたのレン? 凄い汗よ」
「ははあ、さては初めての王都に緊張しているのだな?」
セルリアさんが気さくに話しかけてくれるが、ちょっと待って欲しい。王都と言えばそれこそサーラが居るんだが……
「俺は辞退できないかな」
「ダメじゃ。揃って爵位式を行わねばいかん。病気なら延期になるだけじゃ」
「そうか……」
「なにか、あるのか?」
「いや、サーナの姉が宮廷魔法使いだろ? 会いたくないなって思ってさ」
「ハッキリ言うなあ」
父さんが呆れた顔で笑っていた。すると母さんが俺に言う。
「でも、結婚するならご家族に挨拶をしないといけないわ。ちょうどいいと思いましょう」
「まだ先の話だからなあ」
「ぐぬう……羨ましい話をするんじゃない……」
「お兄様も頑張ってくださいましねー。わたくしに構ってばかりじゃなく」
「ふふ、そのとおりね。ひとまず、お義姉様が王都に行けば宴がありそうだし、そこで探してみたらいいじゃない」
ヴィリジャと伯父さんの奥さんであるピアッシさんにシスコンを突っ込まれていた。
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