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第97話 親族とは仲良く
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「――まあ、その花もウチの庭で元気にやっているよ」
「興味深いな……バートリィ家のお嬢さんを助けたのも含めて」
「わたしが居なかったら危なかったですね!」
「それはそうなんだが、そのいい方はモヤる」
と、いうわけで装備を片付けたセルリアさんと庭に座り込んで色々とここまでの経緯を話した。
とりわけ冒険活劇系に食いついていた。それとフリンクが気に入ったようで、なにかあるとペタペタ触っていた。
「この辺は魔物もいるからレンやフリンクが居ると助かるのだがな。ヴィリジャの誘拐とかに対処できる」
「まあ、生家はフォンダ村だしこっちには住まないよ。でも場所は分かったからたまにフリンクで飛んでくるくらいはするけど」
セルリアさんは話の分かるいい人で、妹のこと以外なら伯父さんに似ているなと思う。
「私もとんでみたーい! ですわ」
『よしきた!』
「ちょ、待って!? 妹が軽率に危険な感じに……!」
しかし妹のことになると爺様っぽいところがある。まあ血筋ということだろう。
……俺にもその血が?
よし、怖いことを考えるのは止めておこう。
「大丈夫ですよセルリア様。フリンクの魔法で落ちることはないですし」
「クレアの言う通りだ。一緒に乗ってみたらどうです?」
「精霊に乗るのはいささか軽率な気がするが……」
『僕は構わないよ! ささ、乗ってよ』
「あ、はい」
やはり精霊ともなれば恐縮するようだ。
兄妹が乗ると、フリンクはVTOLのようにスッと垂直に浮いた。
「おお……!」
「わ、凄いですわ!」
あっという間に屋敷の屋根くらいまで高く上がり、二人は感嘆の声を上げていた。
空を飛ぶのは憧れがあるもんなあ。
「これはいいですわねー」
『気に入ってくれたなら良かったよ! お兄さんはどう?』
「いい気分です。これは上から魔物や犯罪者を見つけるのが容易になりますな」
どちらかといえば業務的な感想だけど、狩りをするくらいだからそういう「荒事」にも敏感なのだろう。
「良かったわね、大ごとにならなくて」
「ん?」
上空で旋回するフリンクを見上げていると、クレアが近くに来てそんなことを口にした。
恐らく、父さんのことを心配してくれたのだろう。貴族の娘を連れだして子供まで作ったわけだから、下手をすると殺される可能性も高かった。
母さんは「お父様なら大丈夫」と思っていたのだろうけど、首の皮一枚だよな、と……
「レンー、クレアちゃんにサーナちゃん! そっちはどう?」
「あ、お母さま」
そこで母さんが庭に出てきた。
相変わらずにこにこしていて、悪感情など全然ないなと感じさせる。
「今、セルリアさんとヴィリジャがフリンクと空中遊泳をしているよ」
「あら、いいわね! ちょっとお話があるから二人とも降りてきてもらおうかしら。レンもね」
「俺も?」
母さんの言葉に首を傾げる。とりあえずフリンクにイルカアローを飛ばして降りてくるように伝えた。
「初めまして。私はあなたの兄であるアオヤの息子、セルリアです」
「初めまして、ミドリよ! いきなりこんなおばさんが現れてごめんなさいね」
「いえ。お話は聞いていましたので……では行きましょうか」
「またねクリンちゃん♪」
『くおん』
ヴィリジャがクリンの手を取ってバイバイと手を振る中、俺が言う。
「あ、プラーボはどうしようか」
「うーん、今回はクレアちゃんとサーナちゃんは参加できないから二人に見てもらえば? フリンクもあんまり意味ないし、一緒なら安心かも」
『そうなんだ? 僕はいいよー!』
「このサーナにお任せください! へい! プラーボ!」
『がう!』
サーナの手により、お手、伏せ、その場で回転、玉乗りまで披露するプラーボ。
「おー!」
「凄いわ!」
「熊さん凄いですわ!」
『がるる♪』
拍手をもらい心なしかプラーボも嬉しそうである。まあこれなら大丈夫だろう。
「それじゃフリンク、クレア、サーナ。頼むよ」
「はーい! クリンと遊ぼうかな?」
三人と二頭を置いて俺達一族は屋敷へと入っていく。サーナは一体何者なのか……? いや、メイドなんだけどな。疑問はあるがまず話を聞くとしよう。
◆ ◇ ◆
「連れて来たわ」
「お、セルリアも帰ってたのか」
「はい、父上。獲物はギルドに渡したので、後日に肉のいいところが届くはずです」
「やるじゃないか。さて、レンと一緒に来たということは紹介は済ませたということか」
「ええ。ちょうど庭で会いました」
俺がそう答えると小さく頷いてから座るように示唆されたのでそれぞれ着席する。俺の両脇は父さんと母さんだ。
全員が座ると、爺様が咳ばらいをして口を開く。
「……さて、カブトの件は度し難いが、今さらということもあり不問にした。無事に今日まで生活できていたのでな」
「恐縮です……」
「うむ。で、今後のことを話し合った結果をレンに伝えようと思って呼んだのだ」
やはりその件か。とりあえず父さんになにも無くて良かった。
しかし、それはそれとして驚きの言葉が爺様から出てきた。
「ひとまず侯爵家の娘が平民というのは世間体がよろしくない。よって、カブトに爵位を与えようと思う」
「ひっく……!?」
「それはしゃっくりよレン」
「わかってるよ!?」
驚きすぎてそうなったんだっての……!
爺様にそんな権限があるってのか?
「興味深いな……バートリィ家のお嬢さんを助けたのも含めて」
「わたしが居なかったら危なかったですね!」
「それはそうなんだが、そのいい方はモヤる」
と、いうわけで装備を片付けたセルリアさんと庭に座り込んで色々とここまでの経緯を話した。
とりわけ冒険活劇系に食いついていた。それとフリンクが気に入ったようで、なにかあるとペタペタ触っていた。
「この辺は魔物もいるからレンやフリンクが居ると助かるのだがな。ヴィリジャの誘拐とかに対処できる」
「まあ、生家はフォンダ村だしこっちには住まないよ。でも場所は分かったからたまにフリンクで飛んでくるくらいはするけど」
セルリアさんは話の分かるいい人で、妹のこと以外なら伯父さんに似ているなと思う。
「私もとんでみたーい! ですわ」
『よしきた!』
「ちょ、待って!? 妹が軽率に危険な感じに……!」
しかし妹のことになると爺様っぽいところがある。まあ血筋ということだろう。
……俺にもその血が?
よし、怖いことを考えるのは止めておこう。
「大丈夫ですよセルリア様。フリンクの魔法で落ちることはないですし」
「クレアの言う通りだ。一緒に乗ってみたらどうです?」
「精霊に乗るのはいささか軽率な気がするが……」
『僕は構わないよ! ささ、乗ってよ』
「あ、はい」
やはり精霊ともなれば恐縮するようだ。
兄妹が乗ると、フリンクはVTOLのようにスッと垂直に浮いた。
「おお……!」
「わ、凄いですわ!」
あっという間に屋敷の屋根くらいまで高く上がり、二人は感嘆の声を上げていた。
空を飛ぶのは憧れがあるもんなあ。
「これはいいですわねー」
『気に入ってくれたなら良かったよ! お兄さんはどう?』
「いい気分です。これは上から魔物や犯罪者を見つけるのが容易になりますな」
どちらかといえば業務的な感想だけど、狩りをするくらいだからそういう「荒事」にも敏感なのだろう。
「良かったわね、大ごとにならなくて」
「ん?」
上空で旋回するフリンクを見上げていると、クレアが近くに来てそんなことを口にした。
恐らく、父さんのことを心配してくれたのだろう。貴族の娘を連れだして子供まで作ったわけだから、下手をすると殺される可能性も高かった。
母さんは「お父様なら大丈夫」と思っていたのだろうけど、首の皮一枚だよな、と……
「レンー、クレアちゃんにサーナちゃん! そっちはどう?」
「あ、お母さま」
そこで母さんが庭に出てきた。
相変わらずにこにこしていて、悪感情など全然ないなと感じさせる。
「今、セルリアさんとヴィリジャがフリンクと空中遊泳をしているよ」
「あら、いいわね! ちょっとお話があるから二人とも降りてきてもらおうかしら。レンもね」
「俺も?」
母さんの言葉に首を傾げる。とりあえずフリンクにイルカアローを飛ばして降りてくるように伝えた。
「初めまして。私はあなたの兄であるアオヤの息子、セルリアです」
「初めまして、ミドリよ! いきなりこんなおばさんが現れてごめんなさいね」
「いえ。お話は聞いていましたので……では行きましょうか」
「またねクリンちゃん♪」
『くおん』
ヴィリジャがクリンの手を取ってバイバイと手を振る中、俺が言う。
「あ、プラーボはどうしようか」
「うーん、今回はクレアちゃんとサーナちゃんは参加できないから二人に見てもらえば? フリンクもあんまり意味ないし、一緒なら安心かも」
『そうなんだ? 僕はいいよー!』
「このサーナにお任せください! へい! プラーボ!」
『がう!』
サーナの手により、お手、伏せ、その場で回転、玉乗りまで披露するプラーボ。
「おー!」
「凄いわ!」
「熊さん凄いですわ!」
『がるる♪』
拍手をもらい心なしかプラーボも嬉しそうである。まあこれなら大丈夫だろう。
「それじゃフリンク、クレア、サーナ。頼むよ」
「はーい! クリンと遊ぼうかな?」
三人と二頭を置いて俺達一族は屋敷へと入っていく。サーナは一体何者なのか……? いや、メイドなんだけどな。疑問はあるがまず話を聞くとしよう。
◆ ◇ ◆
「連れて来たわ」
「お、セルリアも帰ってたのか」
「はい、父上。獲物はギルドに渡したので、後日に肉のいいところが届くはずです」
「やるじゃないか。さて、レンと一緒に来たということは紹介は済ませたということか」
「ええ。ちょうど庭で会いました」
俺がそう答えると小さく頷いてから座るように示唆されたのでそれぞれ着席する。俺の両脇は父さんと母さんだ。
全員が座ると、爺様が咳ばらいをして口を開く。
「……さて、カブトの件は度し難いが、今さらということもあり不問にした。無事に今日まで生活できていたのでな」
「恐縮です……」
「うむ。で、今後のことを話し合った結果をレンに伝えようと思って呼んだのだ」
やはりその件か。とりあえず父さんになにも無くて良かった。
しかし、それはそれとして驚きの言葉が爺様から出てきた。
「ひとまず侯爵家の娘が平民というのは世間体がよろしくない。よって、カブトに爵位を与えようと思う」
「ひっく……!?」
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