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第82話 熊小屋を作ろう
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「よし! いい天気だ!」
『くおーん♪』
『がおう!』
『日差しが眩しいぜ……』
というわけで翌日。
快晴となったので俺は熊親子と一緒に家を建てることにした。
幸いと言うか庭はとても広いため、隅っこにデンと大きいのを建てようと思う。
「はしゃいだなフリンク」
『雨は気持ちいいからな……どうするんだ?』
「ひとまず森に行こう」
食後の散歩も兼ねて裏口から森へと向かう。材料はたくさんあるし、楽なものだ。
現代なら山の所有権とか考えないといけないもんな……こっちは無茶しなかったらあまり気にされない。家もレンガとかが主流なので木は暖炉とかに使う方が多いため消費はそこまで多くない。
「すまないが切った木材はプラーボに運んでもらう」
『がう』
『くおーん』
「お前は小さいから見ているだけでいいぞ。でもちゃんと歩けよ、なまっちまうからな」
『きゅーん』
役に立てないんで残念そうである。しかし、実際、クリンにできることはないため、運動と思ってもらいたい。
「では早速……イルカカッター」
『俺も手伝うか』
近くの大木を、まず枝からイルカカッターで伐採していく。落ちてくる枝は風魔法かイルカパンチで一か所にまとめておけばいい。
次にフリンクに乗せてもらい、大木を三つくらいに分けて丸太にする。
これをひとまず三本程度ゲットだ。
「よし、運んでくれ」
『がう!』
『くおん、くおん!』
一本は俺がもち、二本をプラーボに任せた。クリンは足元で頑張れ頑張れと鳴いている。
程なくして庭に戻ると次は加工。プラーボはでかいから高さをたくさん取って中で眠る程度でもいいと思う。熊穴ってなにげに狭いし。
「しかしイルカカッターは便利だよなあ」
『アローもそうだが、攻撃目的じゃない方が役に立っている気がするな』
「戦闘する必要があまりないしな、俺達」
異世界の住人としてそれはどうかと思うかもしれないが、魔王がいるわけでもないし戦う必要があまりない。
それこそロアンやコントラさんみたいな冒険者がしっかり仕事をしてくれているので、畑を耕している方がいい。
「あ、プラーボ、この板を持っててくれ」
『がうがう』
『くおーん』
お父さんの真似をして板をおさえるクリンは可愛い。柱となる棒と棒に板を繋げて壁を作っていく。
釘とハンマーはこの世界にもあるし、父さんは前の家の時にDIYをよくやっていた。
「ふう」
『まだまだだな』
「今日中にできればいいだろ。ちょっと休憩するか」
俺はテーブルに置いていたコップに水を入れ、熊親子にもバケツと桶に用意した。
フリンクには直接水をぶっかけるだけでいい。
「お、そうだ」
『ん?』
俺は土魔法で穴を掘り、棒を立てた。確か丈夫な布がどこかにあったなと屋敷に戻った。
「おや、おかえりなさい?」
「まだ作業中なんだ。大きい丈夫な布、どっかに無かったっけ?」
「ちょっとお母様に聞いて来ますね」
サーナがそう言って立ち去ると、しばらくして大きな布を持った母さんと返って来た。
「これをどうするの?」
「ちょっと休憩を……」
「?」
母さんとサーナが顔を見合わせて首を傾げ、俺についてきた。
見られて困るものでも無いしいいけど。
「これに紐を通して――」
『ああ、あれだねー』
フリンクは分かったようだ。そのまま少し黙々と作業をして――
「……できた!」
「おー! ってなんです?」
「これはハンモックという」
「ハンギャック?」
「裏切りそうな名前ねえ」
「全然違う……! こうやって使うんだ」
俺はできたハンモックに乗ると、そのまま寝転がる。ああ、いいなやっぱり。
ちなみに寝返りを何度も打って睡眠が浅い人にはハンモック睡眠はおススメである。
「寝るんですか?」
「そうそう。こうやってたら虫とかにやられないだろ? 本とか読みながら揺られているといい気持ちで寝れるんだ」
「へえーいいですねえ」
「使ってみるか?」
俺がサーナにそういうと、待ってましたと交代した。
「ほほう……これはいいですね。お洗濯が終わって一緒にこう、寝るのも……」
「サーナちゃん、私も!」
「母さんもかよ」
そして母さんも寝転がると「ほわぁ……!」と絶賛していた。
道具さえあれば人をダメにするハンモックを作れるのだが――
『がう~ん♪』
「おう!? どうしたプラーボ」
肩を叩かれたので振り返ると、目を輝かせたお父さん熊の姿があった。どうやらハンモックに揺られている母さんが羨ましいようだ。
「お前の身体だとハンモックがもたない……」
『がう!?』
「クリンは大丈夫ですよね。はい、お母さま」
「そうねー。うふふ、クリンちゃんは可愛いわね」
『くおーん♪』
がっかりするプラーボは目に見えて悲しそうだった。すると今度は遠くからツルが伸びてきて俺の手を取る。呼んでいるようなので近くまで行ってみた。
「お? フランソア? どうした」
『……!』
『なんか自分のツタは丈夫だからこれで作ったらどうかって』
「いいのか?」
『♪』
頷く。
その直後、ツタをするすると伸ばし始めた。それを引っ張ると確かに下手な縄より丈夫かもしれない。
「よし、それじゃ取り掛かるか……!」
ここまでされてやらないのは男じゃない。伸びたツタを上手いこと切ってロープに見立てて行く。
「これなら大丈夫そう……ええ!?」
『……』
「ああ!? フランソアがしおしおになりましたよ!?」
「お前、無理したんじゃないのか!?」
『……!』
『これくらいなんてことないって。でもちょっと水が欲しいみたい』
「私があげるわね」
自らを犠牲にするとは泣かせる奴だ……
ひとまず必要数は揃ったからもうフランソアのツタは無くて大丈夫である。
しおしおになったフランソアにサーナが添え木をして、母さんが水を与えていた。
それを尻目に最終調整に入り、ハンモック改は完成した。
「どうだ……!」
『がおーん♪』
そしてのっかるでかい身体。
見事、ハンモックはプラーボを受けきることができた……!
「ふう、いい仕事をしたぜ……フランソアもありがとな」
『……!』
ツルでサムズアップをするフランソア。本当に植物なのだろうか?
そして――
『がうー』
『くおーん』
「……とられちゃいましたねえ」
「まあ、いいさ」
『僕も欲しいなあ』
「フランソアが復活したら考えるか」
大のお気に入りとなったハンモックはプラーボに占拠されたままになったとさ。
『くおーん♪』
『がおう!』
『日差しが眩しいぜ……』
というわけで翌日。
快晴となったので俺は熊親子と一緒に家を建てることにした。
幸いと言うか庭はとても広いため、隅っこにデンと大きいのを建てようと思う。
「はしゃいだなフリンク」
『雨は気持ちいいからな……どうするんだ?』
「ひとまず森に行こう」
食後の散歩も兼ねて裏口から森へと向かう。材料はたくさんあるし、楽なものだ。
現代なら山の所有権とか考えないといけないもんな……こっちは無茶しなかったらあまり気にされない。家もレンガとかが主流なので木は暖炉とかに使う方が多いため消費はそこまで多くない。
「すまないが切った木材はプラーボに運んでもらう」
『がう』
『くおーん』
「お前は小さいから見ているだけでいいぞ。でもちゃんと歩けよ、なまっちまうからな」
『きゅーん』
役に立てないんで残念そうである。しかし、実際、クリンにできることはないため、運動と思ってもらいたい。
「では早速……イルカカッター」
『俺も手伝うか』
近くの大木を、まず枝からイルカカッターで伐採していく。落ちてくる枝は風魔法かイルカパンチで一か所にまとめておけばいい。
次にフリンクに乗せてもらい、大木を三つくらいに分けて丸太にする。
これをひとまず三本程度ゲットだ。
「よし、運んでくれ」
『がう!』
『くおん、くおん!』
一本は俺がもち、二本をプラーボに任せた。クリンは足元で頑張れ頑張れと鳴いている。
程なくして庭に戻ると次は加工。プラーボはでかいから高さをたくさん取って中で眠る程度でもいいと思う。熊穴ってなにげに狭いし。
「しかしイルカカッターは便利だよなあ」
『アローもそうだが、攻撃目的じゃない方が役に立っている気がするな』
「戦闘する必要があまりないしな、俺達」
異世界の住人としてそれはどうかと思うかもしれないが、魔王がいるわけでもないし戦う必要があまりない。
それこそロアンやコントラさんみたいな冒険者がしっかり仕事をしてくれているので、畑を耕している方がいい。
「あ、プラーボ、この板を持っててくれ」
『がうがう』
『くおーん』
お父さんの真似をして板をおさえるクリンは可愛い。柱となる棒と棒に板を繋げて壁を作っていく。
釘とハンマーはこの世界にもあるし、父さんは前の家の時にDIYをよくやっていた。
「ふう」
『まだまだだな』
「今日中にできればいいだろ。ちょっと休憩するか」
俺はテーブルに置いていたコップに水を入れ、熊親子にもバケツと桶に用意した。
フリンクには直接水をぶっかけるだけでいい。
「お、そうだ」
『ん?』
俺は土魔法で穴を掘り、棒を立てた。確か丈夫な布がどこかにあったなと屋敷に戻った。
「おや、おかえりなさい?」
「まだ作業中なんだ。大きい丈夫な布、どっかに無かったっけ?」
「ちょっとお母様に聞いて来ますね」
サーナがそう言って立ち去ると、しばらくして大きな布を持った母さんと返って来た。
「これをどうするの?」
「ちょっと休憩を……」
「?」
母さんとサーナが顔を見合わせて首を傾げ、俺についてきた。
見られて困るものでも無いしいいけど。
「これに紐を通して――」
『ああ、あれだねー』
フリンクは分かったようだ。そのまま少し黙々と作業をして――
「……できた!」
「おー! ってなんです?」
「これはハンモックという」
「ハンギャック?」
「裏切りそうな名前ねえ」
「全然違う……! こうやって使うんだ」
俺はできたハンモックに乗ると、そのまま寝転がる。ああ、いいなやっぱり。
ちなみに寝返りを何度も打って睡眠が浅い人にはハンモック睡眠はおススメである。
「寝るんですか?」
「そうそう。こうやってたら虫とかにやられないだろ? 本とか読みながら揺られているといい気持ちで寝れるんだ」
「へえーいいですねえ」
「使ってみるか?」
俺がサーナにそういうと、待ってましたと交代した。
「ほほう……これはいいですね。お洗濯が終わって一緒にこう、寝るのも……」
「サーナちゃん、私も!」
「母さんもかよ」
そして母さんも寝転がると「ほわぁ……!」と絶賛していた。
道具さえあれば人をダメにするハンモックを作れるのだが――
『がう~ん♪』
「おう!? どうしたプラーボ」
肩を叩かれたので振り返ると、目を輝かせたお父さん熊の姿があった。どうやらハンモックに揺られている母さんが羨ましいようだ。
「お前の身体だとハンモックがもたない……」
『がう!?』
「クリンは大丈夫ですよね。はい、お母さま」
「そうねー。うふふ、クリンちゃんは可愛いわね」
『くおーん♪』
がっかりするプラーボは目に見えて悲しそうだった。すると今度は遠くからツルが伸びてきて俺の手を取る。呼んでいるようなので近くまで行ってみた。
「お? フランソア? どうした」
『……!』
『なんか自分のツタは丈夫だからこれで作ったらどうかって』
「いいのか?」
『♪』
頷く。
その直後、ツタをするすると伸ばし始めた。それを引っ張ると確かに下手な縄より丈夫かもしれない。
「よし、それじゃ取り掛かるか……!」
ここまでされてやらないのは男じゃない。伸びたツタを上手いこと切ってロープに見立てて行く。
「これなら大丈夫そう……ええ!?」
『……』
「ああ!? フランソアがしおしおになりましたよ!?」
「お前、無理したんじゃないのか!?」
『……!』
『これくらいなんてことないって。でもちょっと水が欲しいみたい』
「私があげるわね」
自らを犠牲にするとは泣かせる奴だ……
ひとまず必要数は揃ったからもうフランソアのツタは無くて大丈夫である。
しおしおになったフランソアにサーナが添え木をして、母さんが水を与えていた。
それを尻目に最終調整に入り、ハンモック改は完成した。
「どうだ……!」
『がおーん♪』
そしてのっかるでかい身体。
見事、ハンモックはプラーボを受けきることができた……!
「ふう、いい仕事をしたぜ……フランソアもありがとな」
『……!』
ツルでサムズアップをするフランソア。本当に植物なのだろうか?
そして――
『がうー』
『くおーん』
「……とられちゃいましたねえ」
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