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第81話 そういやそうだよね
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「ふあ……昨日はゆっくり羽を伸ばしたなあ……」
昨日は海から戻ってすぐに屋敷へ戻った。クレアは家に……帰らず、ウチに寄った。
するとちょうどクレアの母親が屋敷に来ていて夕食を一緒に食べることに。父親も呼んでちょっとしたパーティのようになったな。
「いつ結婚すんの~」
「まだ……まだ早い……!」
……と、酔ったクレア夫妻が揉めていたが事なきを得た。
『うま……うま……』
フリンクは平常運転だった。
まあ、それはともかくここ最近忙しかったのが嘘のように穏やかに過ごせたな。
平和を噛みしめつつ、俺は食堂に向かう。
「あ、いま起こしに行こうと思っていたところだったのに」
「別に寝坊はしないからな?」
「いえ、そのまま潜り込んであんなことやこんなことを……」
「……」
廊下で出会ったサーナが頬に手を当ててそんなことを口走る。こいつは……今度そういう感じで部屋に来たら脅かしてやるか。
サーナにデコピンをしながら食堂へ行くと、父さんがいることに気付く。
「あれ? 今日は町じゃなかったっけ?」
「外を見てないのか?」
「え?」
父さんに言われて窓の近くへ行くと、こりゃまた大変な雨だった。こうなるとタープ程度の屋根しかない路上市場は機能しないのでお休みという訳である。
「というわけだ。飯を食ったらもうちょっと寝る……」
「はは、たまにはいいと思うけど。今日はソーセージともじゃ卵か」
「パンは焼き立てですよ!」
『ふあ……おふぁよう……』
「おう、起きたか」
フリンクもふらふらと食堂にやってくる。危なっかしいので俺が支えて席につかせてやることにした。その間に俺が外の状況を報せる。
『雨かあ! 僕、外に出てくるよ』
「村の中までだぞ?」
『うん! 畑も見ておくね』
水の中が好きなので当然、雨の中でも活動できる。水を得たイルカのように。
最初は村の人に驚かれていたものだ。
「俺はどうするかなあ。外は雨だし、昨日の調査記録でもつけるか」
「外に出る必要、ありませんしね。クレアは大変かもしれないですが」
サーナに言われて水魔法のバリアで迎えに行ってやるのもいいかもと考える。
パンにバターをつけてもぐもぐする俺はなにかを忘れているような気がしていた。
「外、雨か……ふわ!?」
「わあ!?」
「きゃあ、どうしたのレン?」
「雨だよ母さん!? あいつらが困ってるよ! タオルを用意しててくれ!」
俺はパンを置いて食堂から飛び出す。フリンクもなにごとかと一緒についてきた。
『どうしたのだ?』
「行けばわかる!」
外は雨……ということは、だ!
『がう』
「くおーん」
「ああああ! ごめんなぁぁぁぁ!!」
「くおーん♪」
熊の親子はこの雨の中庭に居ることになるのだ……!!
俺が駆け寄るとクリンが嬉しそうに走って来て俺の腕に収まった。そのままパパ熊のプラーボに抱き着いた。丁寧にクレアや母さん、サーナが洗っていたのでフカフカである。
『がふ』
「ふう……すまない、よく考えたらお前達の小屋は作っていなかったな……」
『がう』
『~♪』
しかし驚いたことに、植物魔物のフランソアが大きな葉っぱを作っており、それを傘にして熊親子の雨を凌いでいたようだ。
「ありがとうよフランソア」
『!』
するとフランシスも葉っぱを作り出し、俺の頭に上で雨避けをしてくれた。とても嬉しい奴等である。
「ひとまずお前達は雨の方が良さそうだけど、そのままでいいのか?」
『……!』
『大丈夫そうだな。あんまり酷い雨なら自分で葉っぱを傘にするらしい』
「そうか。ならここは任せて、プラーボとクリンはこっちだ」
『がうん?』
植物たちは万能だなと思いつつ、俺はパパ熊を連れて屋敷へと戻る。玄関は広く、ホールもあるので入れるのだ。
雨の中から屋敷へ入ると、タオルを持ったサーナと母さんが出向かてくれた。
「まあまあ、そういえば忘れていたわねー」
「小屋、無いですもんね。おいでクリン」
『くおん♪』
サーナが呼ぶと、足元に置いたクリンが走っていった。あいつはサーナに任せて、俺と母さんはプラーボを拭いていく。
「悪かったなあ。完全に失念していたよ」
『がうがう』
「フリンク、クマちゃんはなんて?」
『お構いなくだって。でも洞穴とかに住んでいるんだろ?』
そうらしい。
だけど、雨に濡れるのはよくあることなのであまり気にしていないそうだ。
しかし、風邪を引いても困るからな。
「今日はここで休んでていいぞ」
『がう!』
『くー!』
二頭をしっかり拭いてあげた後、母さんが予定どおり朝食を食べさせた。
親子は肉よりも果物や魚を好むので、ウチで採れたものとフリンクが獲ってきた魚を出すのだ。子熊にはミルクで、母さんが抱っこして飲ませる。
「美味しい?」
『くおーん♪』
とりあえずホールは広いし、糞の始末だけ気をつければいいだろう。とは言ってもこいつらちゃんと森にいって用を足すんだよな。玄関を開け放しておくか。
「雨が止んだら小屋でも建てるか」
『そうだね。僕、ちょっと出かけてくるー』
「おう」
そんな中、フリンクが雨の村へと躍り出て行く。村の中ならみんな知っているので単独行動でも問題ない。
風魔法で熊親子を乾かしながら見送るのだった。
昨日は海から戻ってすぐに屋敷へ戻った。クレアは家に……帰らず、ウチに寄った。
するとちょうどクレアの母親が屋敷に来ていて夕食を一緒に食べることに。父親も呼んでちょっとしたパーティのようになったな。
「いつ結婚すんの~」
「まだ……まだ早い……!」
……と、酔ったクレア夫妻が揉めていたが事なきを得た。
『うま……うま……』
フリンクは平常運転だった。
まあ、それはともかくここ最近忙しかったのが嘘のように穏やかに過ごせたな。
平和を噛みしめつつ、俺は食堂に向かう。
「あ、いま起こしに行こうと思っていたところだったのに」
「別に寝坊はしないからな?」
「いえ、そのまま潜り込んであんなことやこんなことを……」
「……」
廊下で出会ったサーナが頬に手を当ててそんなことを口走る。こいつは……今度そういう感じで部屋に来たら脅かしてやるか。
サーナにデコピンをしながら食堂へ行くと、父さんがいることに気付く。
「あれ? 今日は町じゃなかったっけ?」
「外を見てないのか?」
「え?」
父さんに言われて窓の近くへ行くと、こりゃまた大変な雨だった。こうなるとタープ程度の屋根しかない路上市場は機能しないのでお休みという訳である。
「というわけだ。飯を食ったらもうちょっと寝る……」
「はは、たまにはいいと思うけど。今日はソーセージともじゃ卵か」
「パンは焼き立てですよ!」
『ふあ……おふぁよう……』
「おう、起きたか」
フリンクもふらふらと食堂にやってくる。危なっかしいので俺が支えて席につかせてやることにした。その間に俺が外の状況を報せる。
『雨かあ! 僕、外に出てくるよ』
「村の中までだぞ?」
『うん! 畑も見ておくね』
水の中が好きなので当然、雨の中でも活動できる。水を得たイルカのように。
最初は村の人に驚かれていたものだ。
「俺はどうするかなあ。外は雨だし、昨日の調査記録でもつけるか」
「外に出る必要、ありませんしね。クレアは大変かもしれないですが」
サーナに言われて水魔法のバリアで迎えに行ってやるのもいいかもと考える。
パンにバターをつけてもぐもぐする俺はなにかを忘れているような気がしていた。
「外、雨か……ふわ!?」
「わあ!?」
「きゃあ、どうしたのレン?」
「雨だよ母さん!? あいつらが困ってるよ! タオルを用意しててくれ!」
俺はパンを置いて食堂から飛び出す。フリンクもなにごとかと一緒についてきた。
『どうしたのだ?』
「行けばわかる!」
外は雨……ということは、だ!
『がう』
「くおーん」
「ああああ! ごめんなぁぁぁぁ!!」
「くおーん♪」
熊の親子はこの雨の中庭に居ることになるのだ……!!
俺が駆け寄るとクリンが嬉しそうに走って来て俺の腕に収まった。そのままパパ熊のプラーボに抱き着いた。丁寧にクレアや母さん、サーナが洗っていたのでフカフカである。
『がふ』
「ふう……すまない、よく考えたらお前達の小屋は作っていなかったな……」
『がう』
『~♪』
しかし驚いたことに、植物魔物のフランソアが大きな葉っぱを作っており、それを傘にして熊親子の雨を凌いでいたようだ。
「ありがとうよフランソア」
『!』
するとフランシスも葉っぱを作り出し、俺の頭に上で雨避けをしてくれた。とても嬉しい奴等である。
「ひとまずお前達は雨の方が良さそうだけど、そのままでいいのか?」
『……!』
『大丈夫そうだな。あんまり酷い雨なら自分で葉っぱを傘にするらしい』
「そうか。ならここは任せて、プラーボとクリンはこっちだ」
『がうん?』
植物たちは万能だなと思いつつ、俺はパパ熊を連れて屋敷へと戻る。玄関は広く、ホールもあるので入れるのだ。
雨の中から屋敷へ入ると、タオルを持ったサーナと母さんが出向かてくれた。
「まあまあ、そういえば忘れていたわねー」
「小屋、無いですもんね。おいでクリン」
『くおん♪』
サーナが呼ぶと、足元に置いたクリンが走っていった。あいつはサーナに任せて、俺と母さんはプラーボを拭いていく。
「悪かったなあ。完全に失念していたよ」
『がうがう』
「フリンク、クマちゃんはなんて?」
『お構いなくだって。でも洞穴とかに住んでいるんだろ?』
そうらしい。
だけど、雨に濡れるのはよくあることなのであまり気にしていないそうだ。
しかし、風邪を引いても困るからな。
「今日はここで休んでていいぞ」
『がう!』
『くー!』
二頭をしっかり拭いてあげた後、母さんが予定どおり朝食を食べさせた。
親子は肉よりも果物や魚を好むので、ウチで採れたものとフリンクが獲ってきた魚を出すのだ。子熊にはミルクで、母さんが抱っこして飲ませる。
「美味しい?」
『くおーん♪』
とりあえずホールは広いし、糞の始末だけ気をつければいいだろう。とは言ってもこいつらちゃんと森にいって用を足すんだよな。玄関を開け放しておくか。
「雨が止んだら小屋でも建てるか」
『そうだね。僕、ちょっと出かけてくるー』
「おう」
そんな中、フリンクが雨の村へと躍り出て行く。村の中ならみんな知っているので単独行動でも問題ない。
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