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第46話 はしゃぐフリンク
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「それじゃあしゅっぱーつ!」
「「「おー!」」」
『魔法で落ちないようにしているけど、気を付けてねー』
というわけで俺とクレアは馬車に乗り、ガキ達はフリンクの背中に乗って出発となった。
「大丈夫かぁ?」
「ま、行ってみるよ」
門の当番だったらしいケリィが若干心配そうにな顔で声をかけてくれた。割と町へ出向くことがあるだけに、俺……というよりフリンクが気になるらしい。
「精霊だし言えば迂闊に手を出して来ないと思うけど、クレアやガキ共も居るし注意しろよ。特にクレアだ」
「私がなによ?」
「いや、大丈夫か?」
「サンキュー、そんじゃな」
「いくぞー」
父さんがハリソンとメドレーに指示を出してゆっくりと進みだす。
ちなみに馬車はいつもより二人増えたくらいならハリソンだけで十分だけど、クレアが一緒に居させて欲しいと言われて連れて来た。
二頭とも足取りが軽いため良かった。いつもはのんびりした顔で草をむしゃむしゃと食べているだけのハリソンがキリっとして見える。
「いやあ、まさかレンと町へ行くことになるとはな」
「俺もそう思うよ。別に村だけでも困らなかったし、あいつも居るからさ」
『ひゃっはー!』
「「「わああ!」」」
俺は調子に乗ってバレルロールをするフリンクを指差してからそう言う。
魔法の力で落ちないため、ちょっとしたジェットコースター気分だろうなアレ。
「でもレンは神様の加護があるし、フリンクだって精霊でしょ? 崇められるんじゃない?」
「まあ俺はともかくフリンクは誤魔化しようがないからな。目立つし説明が面倒だろ?」
むしろ崇められると困るし。
クレアにそう返してやると、父さんが口を開く。
「こいつは村のことも考えて隠れていたところがあるから勘弁してやってくれクレアちゃん。結局、事件で貴族にばれてしまったけど、遅かれ早かれその内なにかあったと俺は思っている」
「そうなのか?」
「ああ。結界は初耳だったから驚いたが、宮廷魔法使い様ほどでなくても気づく人間は居ただろうし、たまに海に出て遊んでいるみたいだったからな」
「ああー……」
同級生たちとも夜中に遊びに出たことがあるため、クレアが冷や汗をかきながら曖昧な感じで声をあげる。
その可能性はあったけど、一応遊んでいる間は周囲に結界を張っていた。
「村は大丈夫じゃない? フリンクは珍しいけどあんたは珍しくないし」
「そりゃあ普通の人だし、俺」
「「それはない」」
「父さんは否定しちゃダメだろ!? あんたの息子だぞ!?」
俺がそういって肩を叩くと『うわはっは』と豪快に笑っていた。なんだかテンションが高いな。そう思っていると、父さんが俺に視線を向けた。
「いや、神様の加護とか言ってもレンはやっぱり人間だしな。魔法が強力ってんならそれこそ宮廷魔法使い様と変わらない。だからあまり気にしなくていいと思うんだよ俺は」
「まあ……」
「そうね。フリンクもまあ、なんとかなるでしょ」
『うほほーい!』
ウェイブしながら空を泳ぐフリンクを指差してクレアがあっさりと言う。
結構でかいし、町に入れてくれるかねえ?
そんな話をしながら40ファールほど進んだところで町が見えてきた。
空から見たことはあるけど、地上からは初めてだな。
「外壁……でいいのか? 随分と高いな」
「魔物避けだから乗り越えられないようにしているって感じだな。クマ系の魔物でも破壊できないくらい硬いぞ」
「トカゲとか壁に張り付くやつとか、空を飛ぶ魔物は居るから絶対じゃないけど、安心感はあるわね」
『僕なら一撃で壊すよ!』
「そういうのはいい」
なにを張り合っているのか。しかしフリンクも随分テンションが高い。俺に合わせてくれていたが、やはり町には行きたかったのかもしれない。
元々、水族館の人気イルカの内の一頭だったため人に見られたり、芸をするなどをやっていたので人間は好きだしむしろ抵抗がないのかとも思う。
「でも、フリンクって精霊だけあって他に見たことがないフォルムよね。魚っぽいけど」
『魚じゃないよー。でも別の世界には似たヤツもいるんだ。サカマタとか』
「サカマタ?」
『僕よりちょっと大きくて狂暴なんだよ……!』
「そんな精霊もいるんだ」
話が聞こえていたのか、フリンクが近づいてきてそんなことを言う。
ちなみにサカマタとはシャチの別名である。
分類としてはハクジラ亜目でフリンクの仲間なのだ。しかしあいつがああいう言い方するには理由がある。水族館時代に仲の悪いシャチがいたせいだ。
ライムというシャチがいたんだけど、よくフリンクにちょっかいを出しては喧嘩をしていた。
俺がプールに入ってフリンクの状態を確かめたりしていると寄ってきて俺を乗せて逃げるなどだ。
『サカマタはこの世界に居ないし、大丈夫だけどね!』
「フリンクみたいなのならちょっと見てみたいなあ」
「そしたらレン兄ちゃん達も乗れそうだもんね」
「これ以上は飼えないから居なくて良かったよ」
「フリンクは大飯ぐらいだからな!」
父さんがそう言って笑うと、フリンクは『そんなこと無い』とむくれていた。
自分で餌を獲りに行くからまだいいが、実際めちゃくちゃ食うからな……
「お、門が見えてきたぞ」
というわけで門が見えてきた。
さて、服装とかはクレアから見て大丈夫そうだったし、せっかくだから色々見て回るか。
「「「おー!」」」
『魔法で落ちないようにしているけど、気を付けてねー』
というわけで俺とクレアは馬車に乗り、ガキ達はフリンクの背中に乗って出発となった。
「大丈夫かぁ?」
「ま、行ってみるよ」
門の当番だったらしいケリィが若干心配そうにな顔で声をかけてくれた。割と町へ出向くことがあるだけに、俺……というよりフリンクが気になるらしい。
「精霊だし言えば迂闊に手を出して来ないと思うけど、クレアやガキ共も居るし注意しろよ。特にクレアだ」
「私がなによ?」
「いや、大丈夫か?」
「サンキュー、そんじゃな」
「いくぞー」
父さんがハリソンとメドレーに指示を出してゆっくりと進みだす。
ちなみに馬車はいつもより二人増えたくらいならハリソンだけで十分だけど、クレアが一緒に居させて欲しいと言われて連れて来た。
二頭とも足取りが軽いため良かった。いつもはのんびりした顔で草をむしゃむしゃと食べているだけのハリソンがキリっとして見える。
「いやあ、まさかレンと町へ行くことになるとはな」
「俺もそう思うよ。別に村だけでも困らなかったし、あいつも居るからさ」
『ひゃっはー!』
「「「わああ!」」」
俺は調子に乗ってバレルロールをするフリンクを指差してからそう言う。
魔法の力で落ちないため、ちょっとしたジェットコースター気分だろうなアレ。
「でもレンは神様の加護があるし、フリンクだって精霊でしょ? 崇められるんじゃない?」
「まあ俺はともかくフリンクは誤魔化しようがないからな。目立つし説明が面倒だろ?」
むしろ崇められると困るし。
クレアにそう返してやると、父さんが口を開く。
「こいつは村のことも考えて隠れていたところがあるから勘弁してやってくれクレアちゃん。結局、事件で貴族にばれてしまったけど、遅かれ早かれその内なにかあったと俺は思っている」
「そうなのか?」
「ああ。結界は初耳だったから驚いたが、宮廷魔法使い様ほどでなくても気づく人間は居ただろうし、たまに海に出て遊んでいるみたいだったからな」
「ああー……」
同級生たちとも夜中に遊びに出たことがあるため、クレアが冷や汗をかきながら曖昧な感じで声をあげる。
その可能性はあったけど、一応遊んでいる間は周囲に結界を張っていた。
「村は大丈夫じゃない? フリンクは珍しいけどあんたは珍しくないし」
「そりゃあ普通の人だし、俺」
「「それはない」」
「父さんは否定しちゃダメだろ!? あんたの息子だぞ!?」
俺がそういって肩を叩くと『うわはっは』と豪快に笑っていた。なんだかテンションが高いな。そう思っていると、父さんが俺に視線を向けた。
「いや、神様の加護とか言ってもレンはやっぱり人間だしな。魔法が強力ってんならそれこそ宮廷魔法使い様と変わらない。だからあまり気にしなくていいと思うんだよ俺は」
「まあ……」
「そうね。フリンクもまあ、なんとかなるでしょ」
『うほほーい!』
ウェイブしながら空を泳ぐフリンクを指差してクレアがあっさりと言う。
結構でかいし、町に入れてくれるかねえ?
そんな話をしながら40ファールほど進んだところで町が見えてきた。
空から見たことはあるけど、地上からは初めてだな。
「外壁……でいいのか? 随分と高いな」
「魔物避けだから乗り越えられないようにしているって感じだな。クマ系の魔物でも破壊できないくらい硬いぞ」
「トカゲとか壁に張り付くやつとか、空を飛ぶ魔物は居るから絶対じゃないけど、安心感はあるわね」
『僕なら一撃で壊すよ!』
「そういうのはいい」
なにを張り合っているのか。しかしフリンクも随分テンションが高い。俺に合わせてくれていたが、やはり町には行きたかったのかもしれない。
元々、水族館の人気イルカの内の一頭だったため人に見られたり、芸をするなどをやっていたので人間は好きだしむしろ抵抗がないのかとも思う。
「でも、フリンクって精霊だけあって他に見たことがないフォルムよね。魚っぽいけど」
『魚じゃないよー。でも別の世界には似たヤツもいるんだ。サカマタとか』
「サカマタ?」
『僕よりちょっと大きくて狂暴なんだよ……!』
「そんな精霊もいるんだ」
話が聞こえていたのか、フリンクが近づいてきてそんなことを言う。
ちなみにサカマタとはシャチの別名である。
分類としてはハクジラ亜目でフリンクの仲間なのだ。しかしあいつがああいう言い方するには理由がある。水族館時代に仲の悪いシャチがいたせいだ。
ライムというシャチがいたんだけど、よくフリンクにちょっかいを出しては喧嘩をしていた。
俺がプールに入ってフリンクの状態を確かめたりしていると寄ってきて俺を乗せて逃げるなどだ。
『サカマタはこの世界に居ないし、大丈夫だけどね!』
「フリンクみたいなのならちょっと見てみたいなあ」
「そしたらレン兄ちゃん達も乗れそうだもんね」
「これ以上は飼えないから居なくて良かったよ」
「フリンクは大飯ぐらいだからな!」
父さんがそう言って笑うと、フリンクは『そんなこと無い』とむくれていた。
自分で餌を獲りに行くからまだいいが、実際めちゃくちゃ食うからな……
「お、門が見えてきたぞ」
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