10 / 105
第10話 調査を決めよう
しおりを挟む
「それじゃ、粗相の無いようにな。ここに来ていないお隣さんなどに声をかけておくように」
「わかりましたー」
「いやあ、カイ様は美人だったなあ」
「ローク様も貴族なのに腰が低い方だ。領主だと楽なのになあ」
「まあ、そんなに顔を合わせることも無いと思うけど――」
バートリィ一家が丘の屋敷に向かった後、村長さんの一言を聞いて解散となった。
なんだかんだで全員が野次馬をしたわけじゃないので、横のつながりで伝えることは大事である。
「ようレン! 可愛い子だったな!」
「コウヤ、そんなことを言っていると村長さんに怒られるぞ?」
「言うくらいいいだろ? なあ、アンドレ」
「だな。というかレン、お前もずっとカイ様の方見てただろ?」
「あー」
確かに言われてみればずっと目で追っていたかもしれない。説明できないからなんて言おうか考えていると、母さんが反応した。
「え? レンが女の子に興味を!? でも、貴族の方じゃあ身分がねえ。残念だったわねレン」
「そういう目で見てたわけじゃないからな!?」
「でも可愛かったわよね、カイ様」
「まあな」
「おし、クレア達に言ってやろうぜ!」
「だな!」
「やめろぉ!?」
悪友たちがそんなことを言いながらこの場を去っていく。
あいつらはそういうことを言う奴等だ。まあ、別に言われたところでクレア達が呆れるだけだろうし、別にいいけど。
「とりあえず家に帰ろう……」
「そうね。フリンクは?」
『(俺はもう少し彼女の様子を見るのと、村から出る人間の記憶操作をする)』
俺が母さんに帰るよう促すとフリンクからメッセージが飛んできた。
とりあえず不穏なワードだが了承しておく。頭がすっからかんになるということはないので大丈夫だ。
「フリンクは散歩して帰るってさ。俺達は先に帰ろうぜ」
「折角だし、紹介すれば良かったのに。可愛いからお近づきになれたかもしれないわよ」
「いいよ……貴族は堅苦しいだろ? 父さんと母さんが貴族に囲まれてあたふたしている様子が目に浮かぶよ」
「確かにそうかもね! 早く恋人をつくって紹介しなさいよ! ルーちゃんが大きくなるまで待つことになるよ」
それはなんか嫌だなと思いつつ、自宅へと戻っていく。
道中、母さんがウチに遊びに来た同級生の女子で誰がどうだとか、あの子は可愛かったなどを口にしていた。
そういえば学生時代は遊びに来る友人は男女問わず多かったんだよな。ただ、女子はフリンク目当てだっただけだが。
そんな感じで自宅に戻り、程なくすると父さんが帰って来た。
「へえ、いよいよ移住かあ。貴族の娘さんとは緊張するなあ……」
「どうせ俺達にはあんまり関わりが無いし、大丈夫だろ」
俺は間接的に関わることになりそうだが、それは言わない。
というのも村から出ると、フリンクの記憶が消えることを誰も知らないからだ。
なので原因究明までは姿を見せない方がいいと思う。
『ただいまー』
「おや、フリンクおかえり。一人でお散歩とは珍しいねえ」
『お魚を食べて来たの!』
「そうなの? 夕飯前だからお腹空かないんじゃない?」
『大丈夫だよー。レン、お部屋に行こう』
「ん。それじゃ母さん、飯になったら呼んでくれ」
「わかったわ。フリンクの尻尾が汚れているから拭いてあげてね」
そんなやりとりをしつつ部屋に入ると、フリンクが椅子に座ってから口を開く。
『ふう……』
「ほら、尻尾を上に向けろ。……で、なんかわかったか?」
『現状だとなんとも言えん。ただ、彼女が特異点であるのは間違いない』
「それは俺もわかってるさ」
だからこそ彼女のなにが結界を破る仕掛けなのかを調べているのだから。
すると尻尾がキレイになったフリンクが俺の首にヒレを回してボソリと喋る。
『……なあ、兄弟。あのお嬢さんに近づいて仲良くなっちゃあどうだ? 俺の推測だと本人も知らないかもしれない。ちょっと抱きしめられるくらいの距離までいってくれ』
「やだよ!? あの厳格そうな親父さんに殺されちまうって! お前が――」
と、言いかけてやめた。
あのお嬢さんには記憶消去が効かないから、フリンクを出すわけにはいかない。
他の人間は外に出る時に消せるけど、次に来た時に整合性がつかなくなるのは避けたい。
「……よし、こっそり観察をしよう。で、フリンクはどの程度まで結界を張れるか確認をするんだ。影響力を確かめたい」
『ふむ、なるほど。お嬢さんが結界を打ち消しているとして、干渉具合を確かめるということだな』
「そういうこと。上手くすりゃ屋敷の周りは結界無しにして村だけ……ってのもできるかもしれないしな」
『いいアイデアだ。流石は兄弟』
「よせよ……!?」
フリンクはヒレを俺の首に回したまま、顔を摺り寄せて来た。
声が渋いのでまったく可愛く見えないから、見た目と声は大事なんだなと再認識させられたな。
さて、指針が決まったので俺達は適当に部屋で過ごす。今日はまだ視察なので、本格的に移住してくるその日まで作戦を練ろうと思う。
そして晩飯の後、夜中に俺達は海へと向かうのだった。
◆ ◇ ◆
「良い方が多い村のようですね」
「ああ。……すまないな、カイ。これくらいのことしかできない」
「仕方ありません。私の身体の異常……お医者様でも宮廷お抱えの魔法使い様でもわからなかったのですから」
「あの丘の上なら村の人間には干渉するまい。……しかし、魔力を打ち消す病など聞いたことがない。今はまだなんとかなっているが、魔力を吸収できなければ緩やかに……」
「……」
帰り道で、父のロークと娘のカイは馬車でそんな会話をしていた。
いずれ訪れるかもしれない結果に、カイは困った顔をして窓の外に目を向ける。
「あ」
「どうした?」
「いえ、空になにかが飛んでいたような……月明かりに照らされていてなにかはわかりませんでしたけど」
「魔物でなければいいがな。まあ、あの村は討伐依頼が出ないほど平和な土地だ。町に居るよりはいいだろう」
「そうですね」
カイはもう一度見れないかと目を凝らすが、その影を見ることはもう無かった。
「わかりましたー」
「いやあ、カイ様は美人だったなあ」
「ローク様も貴族なのに腰が低い方だ。領主だと楽なのになあ」
「まあ、そんなに顔を合わせることも無いと思うけど――」
バートリィ一家が丘の屋敷に向かった後、村長さんの一言を聞いて解散となった。
なんだかんだで全員が野次馬をしたわけじゃないので、横のつながりで伝えることは大事である。
「ようレン! 可愛い子だったな!」
「コウヤ、そんなことを言っていると村長さんに怒られるぞ?」
「言うくらいいいだろ? なあ、アンドレ」
「だな。というかレン、お前もずっとカイ様の方見てただろ?」
「あー」
確かに言われてみればずっと目で追っていたかもしれない。説明できないからなんて言おうか考えていると、母さんが反応した。
「え? レンが女の子に興味を!? でも、貴族の方じゃあ身分がねえ。残念だったわねレン」
「そういう目で見てたわけじゃないからな!?」
「でも可愛かったわよね、カイ様」
「まあな」
「おし、クレア達に言ってやろうぜ!」
「だな!」
「やめろぉ!?」
悪友たちがそんなことを言いながらこの場を去っていく。
あいつらはそういうことを言う奴等だ。まあ、別に言われたところでクレア達が呆れるだけだろうし、別にいいけど。
「とりあえず家に帰ろう……」
「そうね。フリンクは?」
『(俺はもう少し彼女の様子を見るのと、村から出る人間の記憶操作をする)』
俺が母さんに帰るよう促すとフリンクからメッセージが飛んできた。
とりあえず不穏なワードだが了承しておく。頭がすっからかんになるということはないので大丈夫だ。
「フリンクは散歩して帰るってさ。俺達は先に帰ろうぜ」
「折角だし、紹介すれば良かったのに。可愛いからお近づきになれたかもしれないわよ」
「いいよ……貴族は堅苦しいだろ? 父さんと母さんが貴族に囲まれてあたふたしている様子が目に浮かぶよ」
「確かにそうかもね! 早く恋人をつくって紹介しなさいよ! ルーちゃんが大きくなるまで待つことになるよ」
それはなんか嫌だなと思いつつ、自宅へと戻っていく。
道中、母さんがウチに遊びに来た同級生の女子で誰がどうだとか、あの子は可愛かったなどを口にしていた。
そういえば学生時代は遊びに来る友人は男女問わず多かったんだよな。ただ、女子はフリンク目当てだっただけだが。
そんな感じで自宅に戻り、程なくすると父さんが帰って来た。
「へえ、いよいよ移住かあ。貴族の娘さんとは緊張するなあ……」
「どうせ俺達にはあんまり関わりが無いし、大丈夫だろ」
俺は間接的に関わることになりそうだが、それは言わない。
というのも村から出ると、フリンクの記憶が消えることを誰も知らないからだ。
なので原因究明までは姿を見せない方がいいと思う。
『ただいまー』
「おや、フリンクおかえり。一人でお散歩とは珍しいねえ」
『お魚を食べて来たの!』
「そうなの? 夕飯前だからお腹空かないんじゃない?」
『大丈夫だよー。レン、お部屋に行こう』
「ん。それじゃ母さん、飯になったら呼んでくれ」
「わかったわ。フリンクの尻尾が汚れているから拭いてあげてね」
そんなやりとりをしつつ部屋に入ると、フリンクが椅子に座ってから口を開く。
『ふう……』
「ほら、尻尾を上に向けろ。……で、なんかわかったか?」
『現状だとなんとも言えん。ただ、彼女が特異点であるのは間違いない』
「それは俺もわかってるさ」
だからこそ彼女のなにが結界を破る仕掛けなのかを調べているのだから。
すると尻尾がキレイになったフリンクが俺の首にヒレを回してボソリと喋る。
『……なあ、兄弟。あのお嬢さんに近づいて仲良くなっちゃあどうだ? 俺の推測だと本人も知らないかもしれない。ちょっと抱きしめられるくらいの距離までいってくれ』
「やだよ!? あの厳格そうな親父さんに殺されちまうって! お前が――」
と、言いかけてやめた。
あのお嬢さんには記憶消去が効かないから、フリンクを出すわけにはいかない。
他の人間は外に出る時に消せるけど、次に来た時に整合性がつかなくなるのは避けたい。
「……よし、こっそり観察をしよう。で、フリンクはどの程度まで結界を張れるか確認をするんだ。影響力を確かめたい」
『ふむ、なるほど。お嬢さんが結界を打ち消しているとして、干渉具合を確かめるということだな』
「そういうこと。上手くすりゃ屋敷の周りは結界無しにして村だけ……ってのもできるかもしれないしな」
『いいアイデアだ。流石は兄弟』
「よせよ……!?」
フリンクはヒレを俺の首に回したまま、顔を摺り寄せて来た。
声が渋いのでまったく可愛く見えないから、見た目と声は大事なんだなと再認識させられたな。
さて、指針が決まったので俺達は適当に部屋で過ごす。今日はまだ視察なので、本格的に移住してくるその日まで作戦を練ろうと思う。
そして晩飯の後、夜中に俺達は海へと向かうのだった。
◆ ◇ ◆
「良い方が多い村のようですね」
「ああ。……すまないな、カイ。これくらいのことしかできない」
「仕方ありません。私の身体の異常……お医者様でも宮廷お抱えの魔法使い様でもわからなかったのですから」
「あの丘の上なら村の人間には干渉するまい。……しかし、魔力を打ち消す病など聞いたことがない。今はまだなんとかなっているが、魔力を吸収できなければ緩やかに……」
「……」
帰り道で、父のロークと娘のカイは馬車でそんな会話をしていた。
いずれ訪れるかもしれない結果に、カイは困った顔をして窓の外に目を向ける。
「あ」
「どうした?」
「いえ、空になにかが飛んでいたような……月明かりに照らされていてなにかはわかりませんでしたけど」
「魔物でなければいいがな。まあ、あの村は討伐依頼が出ないほど平和な土地だ。町に居るよりはいいだろう」
「そうですね」
カイはもう一度見れないかと目を凝らすが、その影を見ることはもう無かった。
63
お気に入りに追加
188
あなたにおすすめの小説
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
その幼女、最強にして最恐なり~転生したら幼女な俺は異世界で生きてく~
たま(恥晒)
ファンタジー
※作者都合により打ち切りとさせて頂きました。新作12/1より!!
猫刄 紅羽
年齢:18
性別:男
身長:146cm
容姿:幼女
声変わり:まだ
利き手:左
死因:神のミス
神のミス(うっかり)で死んだ紅羽は、チートを携えてファンタジー世界に転生する事に。
しかしながら、またもや今度は違う神のミス(ミス?)で転生後は正真正銘の幼女(超絶可愛い ※見た目はほぼ変わってない)になる。
更に転生した世界は1度国々が発展し過ぎて滅んだ世界で!?
そんな世界で紅羽はどう過ごして行くのか...
的な感じです。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
異世界でトラック運送屋を始めました! ◆お手紙ひとつからベヒーモスまで、なんでもどこにでも安全に運びます! 多分!◆
八神 凪
ファンタジー
日野 玖虎(ひの ひさとら)は長距離トラック運転手で生計を立てる26歳。
そんな彼の学生時代は荒れており、父の居ない家庭でテンプレのように母親に苦労ばかりかけていたことがあった。
しかし母親が心労と働きづめで倒れてからは真面目になり、高校に通いながらバイトをして家計を助けると誓う。
高校を卒業後は母に償いをするため、自分に出来ることと言えば族時代にならした運転くらいだと長距離トラック運転手として仕事に励む。
確実かつ時間通りに荷物を届け、ミスをしない奇跡の配達員として異名を馳せるようになり、かつての荒れていた玖虎はもうどこにも居なかった。
だがある日、彼が夜の町を走っていると若者が飛び出してきたのだ。
まずいと思いブレーキを踏むが間に合わず、トラックは若者を跳ね飛ばす。
――はずだったが、気づけば見知らぬ森に囲まれた場所に、居た。
先ほどまで住宅街を走っていたはずなのにと困惑する中、備え付けのカーナビが光り出して画面にはとてつもない美人が映し出される。
そして女性は信じられないことを口にする。
ここはあなたの居た世界ではない、と――
かくして、異世界への扉を叩く羽目になった玖虎は気を取り直して異世界で生きていくことを決意。
そして今日も彼はトラックのアクセルを踏むのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる