10 / 48
ケース1:海
6. 浜辺の思い出作り
しおりを挟む
さて、アシカを助けた俺。その助けた対象に背中へ乗れと急かされている状況である。
ここで俺が選んだ選択とは!!
「そおおおおおい!!」
「アウゥゥゥ!?」
ザッパーーーン!
俺はおもむろにアシカを担ぎ上げ、海へと放り込んだ。
命の恩人だと思っていた人間にこんなことをされるとは思うまい、これで俺を案内しようなどとは考えないだろう。
すると、海にアシカの頭ひょこっと出てきて俺を見ていた。少し悲しそうな顔に見えたのは自惚れだったろうか?
トプンと顔が海の中に入り、それから出てくることは無かった。
これでいい、あまり変なルートを通ると計画がおかしくなる可能性が高い。堅実に……確実に死なねばならんのだから。
「戻るか」
俺は家族の居るビーチを目指していた。
---------------------------------------------------
しばらくキョロキョロしていると、ウチの家族をようやく発見した。
母さん……あの水着買ったんだ……。目立つな。
そして一番最初に気付き、声をかけてくるのはアモルだった。
「あ! 兄様ー! ってワカメがめちゃくちゃ足にまとわりついてますわよ!?」
アモルに言われて気づいたが、アシカを海に投げ入れた時、海の中にワカメがあったのだろう。結構な量が絡みついていた。こっちのビーチとちがってそこまで整備されてなかったしな。
「クリス兄さん、ちょっと気持ち悪いよ……」
ウェイクが引き気味に後ずさる。うん、俺も気持ち悪いと思うわ。
「あらよっ……っと」
ワカメを剥ぎ取り、砂浜に埋め俺も上着を脱いで水着になる。下見は出来たしやることは決めたからとりあえずそれまでは思い出づくりといそしもう!
カチッ
<さっきのアシカに連れて行ってもらわなくて良かったんですか? 金銀財宝があたかもしれないのに>
「(あたかもの使い方はそうじゃねぇよ。何かこんな海岸にアシカって怪しいだろ? これでいいんだよ)」
<それじゃ私が面白くないじゃないですか!>
「やかましいわ! お前を楽しませるために生きてるんじゃねぇんだよ!?」
じわ……
あ、やべ。アモルが居たのか!?
<あーあ、なーかしたー!>
カチッ
「ああ、デジャヴ感が凄いが決してアモルに言ったわけじゃないからな?」
「……はい……」
ああんもう! 超落ち込んじゃったよ!? そういや買い物に行った時に渡されたやつ、今使うか……?
「ほら、オイル塗ってやるから」
「……はい! でもそれだけじゃ……今日は一緒に寝てくださいませんか?」
うーん、アモルと二人きりは危ないが……まあ疲れてすぐ寝るだろうしいいか。
「おう、いいぞ。だから機嫌治してくれ、な?」
「クリスはアモルとウェイクには甘いね」
「何言ってんだ、兄さんと俺しか居ない時、どれだけ俺を甘やかしてると……」
「あ、アンジュ! あっちにキレイな貝殻があるよ、行ってみよう!」
逃げたか……保護者かってくらい俺にべったりだったのをアンジュさんに伝えるチャンスだったんだが……。
ブラコンとかじゃなくて本当に心配って感じで三歳くらいの時は常に手を繋がれていた気がする。
「お、クリスも来たのか……体調はどうだ?」
「今の父さんよりは確実にいいと思うよ」
「もっと言ってあげて! 母さん何回も言ったのに!」
父さんは酒の飲み過ぎで顔が真っ赤だ。足元はフラついていて危ない。
俺は肩を支えてビーチチェアへと寝かせておいた。
「ああ、大きくなったなあ……頼むから冒険者になるなど危ない事は言わないでくれ……むにゃむにゃ」
「……」
「瓶は危ないから回収して……と。私も好きな事はさせてあげたいけど、お金もあるしわざわざ死にに行くような事はさせたくないわね」
父さんの髪を撫でながら母さんが呟く。うーむ、親孝行作戦は見破られていたか……。
大事にしてくれているのは分かっているんだけどな……俺が死んだらどれだけ悲しむだろうか。
兄さんもウェイクもアモルも居るから、寂しくは無いと思うけどね。
「さて、それじゃ遊ぶか! フィアも来いよ」
俺は母さんの横に仕えていたフィアも連れて行くことにした。二人の面倒を一人で見るよりいいし、フィアも遊びやすいだろう。
「「はーい!」」
「かしこまりましたクリス様(あーもー双子を世話するクリス様やさしいいいいい! 私を指名……ここから始まるラブロマンス……なーんてそんな、ねえ?)」
冷静なメイドが居ると助かる。きちんと準備運動をするところはさすがだと思った。
んで、波打ち際で水をかけあったり、潜って変な顔をしたりして遊んでいると、フィアがスイカがあると言いだした。
ほほう、となるとこれしかない。
「スイカ割り?」
切って持ってきてもらう予定だったようだが、俺は予定を変更して砂浜にスイカを置く。
ウェイクが興味深々で聞いてきた。
「ああ、目隠しをして……お、ちょうどいい所に角材が……これでスイカをぱかーんとやるゲームだ」
「へえ、面白そう! やるやる!」
ウェイクに目隠しをして、角材を握らせる。
身体を回していざスタート!!
「もっと右ー」
「ウェイク様、そのまま前へ」
「ふふ、女の子みたいな顔だけどウェイクも男の子ねー」
「ぐがー」
「えい!」
ボフ
「あー惜しい!」
俺が目隠しを取ってスイカの場所を指差すと、笑いながら全然だねーとか言いながらウェイクが手を叩いていた。
そこにデューク兄さんが帰ってくる。
「あれ? クリスがまた面白い事考えたのかな? 僕もやっていいかい?」
角材を剣に見立てているので、剣術が好きな兄さんは食いつきがいい。アンジュと兄さんにルールを説明して、スタートだ!
「あなた~、左にありますわ!」
「デュークお兄様、右、右ですわ!」
声援をもらいながら、ウロウロする兄さん。こういう姿は新鮮で中々面白い。
「うーん、難しいね! ようし!」
「?」
兄さんが角材を腰に当て、いわゆる居合いのような構えを取った。
「僕の前には人居ない?」
「あ、ああ。大丈夫だけど……」
「ありがとう! ”絶・真空波”!」
角材を振り抜いた瞬間、スイカは真横に切れた!
そしてそのまま……
「うわあ!? 海が割れたぞ!? なんだこりゃ!」
海を割っていた。
「どうだい? 手ごたえはあったと思うんだけど……」
「キレイな切断面です、兄さん」
スイカを持ってきてみせると満足そうに笑ってビーチチェアに戻って行った。
ウチの兄はすげぇな……。
---------------------------------------------------
そんなこんなで海を堪能し、晩飯⇒風呂のコンボを決めた後、俺は庭で涼んでいた。
「色々見てたけど、やっぱボートっぽいものは無いなあ。オールを使って沖まで行くのは大変だし……」
あくまでも事故で死んだように見せたい。なので洗面器で窒息死などは最終手段だ。
「……作ってみるか、足こぎボート」
カチッ
<おおおお! やる気ですねやる気ですね! 微力もお助けできませんけど、見ていますね(はあと)>
「死ね、クソゴミ野郎」
<おおっと、これは辛辣。何か嫌な事でもありましたか? どうぞこの私めにぶちまけてください。話すとスッキリすると言いますからね。……で、いつごろ完成なんですか?>
「お前が居なければ最高なんだけどな! 今から概要を書いて明日職人さんへ持っていく事になるな。まあ五日は羽伸ばしだから、気長にやるわ」
<……そうですか……>
「え!? 何なのそのテンションの落ち方!? 作って欲しいんじゃなかったのか!?」
<ああ、いえ……プライベートの事なので……はい……(給料日前だからボーナスが欲しかったなあ……)>
「今なんか言ったね?」
<何のことですかね? それではおやすみなさい~>
カチッ
「あ、おい! あいつ何を隠してるんだ……?」
その夜、アモルは元気だった。興奮状態という奴だ。
先に寝たらマズイ。本能がそう告げていた。
---------------------------------------------------
アシカを華麗にスルーしたクリス。
家族で楽しみ、足こぎボートの制作へと想いを馳せるクリスの前に現れるものとは?
そしてついに実行される計画。
「はっはーこれであいつもごぼごぼ……」
クリスは無事(?)息絶える事ができるのか。
次回『アシカじゃなかった』
ご期待ください。
※次回予告の内容とサブタイトルは変更になる可能性があります。予めご了承ください。
ここで俺が選んだ選択とは!!
「そおおおおおい!!」
「アウゥゥゥ!?」
ザッパーーーン!
俺はおもむろにアシカを担ぎ上げ、海へと放り込んだ。
命の恩人だと思っていた人間にこんなことをされるとは思うまい、これで俺を案内しようなどとは考えないだろう。
すると、海にアシカの頭ひょこっと出てきて俺を見ていた。少し悲しそうな顔に見えたのは自惚れだったろうか?
トプンと顔が海の中に入り、それから出てくることは無かった。
これでいい、あまり変なルートを通ると計画がおかしくなる可能性が高い。堅実に……確実に死なねばならんのだから。
「戻るか」
俺は家族の居るビーチを目指していた。
---------------------------------------------------
しばらくキョロキョロしていると、ウチの家族をようやく発見した。
母さん……あの水着買ったんだ……。目立つな。
そして一番最初に気付き、声をかけてくるのはアモルだった。
「あ! 兄様ー! ってワカメがめちゃくちゃ足にまとわりついてますわよ!?」
アモルに言われて気づいたが、アシカを海に投げ入れた時、海の中にワカメがあったのだろう。結構な量が絡みついていた。こっちのビーチとちがってそこまで整備されてなかったしな。
「クリス兄さん、ちょっと気持ち悪いよ……」
ウェイクが引き気味に後ずさる。うん、俺も気持ち悪いと思うわ。
「あらよっ……っと」
ワカメを剥ぎ取り、砂浜に埋め俺も上着を脱いで水着になる。下見は出来たしやることは決めたからとりあえずそれまでは思い出づくりといそしもう!
カチッ
<さっきのアシカに連れて行ってもらわなくて良かったんですか? 金銀財宝があたかもしれないのに>
「(あたかもの使い方はそうじゃねぇよ。何かこんな海岸にアシカって怪しいだろ? これでいいんだよ)」
<それじゃ私が面白くないじゃないですか!>
「やかましいわ! お前を楽しませるために生きてるんじゃねぇんだよ!?」
じわ……
あ、やべ。アモルが居たのか!?
<あーあ、なーかしたー!>
カチッ
「ああ、デジャヴ感が凄いが決してアモルに言ったわけじゃないからな?」
「……はい……」
ああんもう! 超落ち込んじゃったよ!? そういや買い物に行った時に渡されたやつ、今使うか……?
「ほら、オイル塗ってやるから」
「……はい! でもそれだけじゃ……今日は一緒に寝てくださいませんか?」
うーん、アモルと二人きりは危ないが……まあ疲れてすぐ寝るだろうしいいか。
「おう、いいぞ。だから機嫌治してくれ、な?」
「クリスはアモルとウェイクには甘いね」
「何言ってんだ、兄さんと俺しか居ない時、どれだけ俺を甘やかしてると……」
「あ、アンジュ! あっちにキレイな貝殻があるよ、行ってみよう!」
逃げたか……保護者かってくらい俺にべったりだったのをアンジュさんに伝えるチャンスだったんだが……。
ブラコンとかじゃなくて本当に心配って感じで三歳くらいの時は常に手を繋がれていた気がする。
「お、クリスも来たのか……体調はどうだ?」
「今の父さんよりは確実にいいと思うよ」
「もっと言ってあげて! 母さん何回も言ったのに!」
父さんは酒の飲み過ぎで顔が真っ赤だ。足元はフラついていて危ない。
俺は肩を支えてビーチチェアへと寝かせておいた。
「ああ、大きくなったなあ……頼むから冒険者になるなど危ない事は言わないでくれ……むにゃむにゃ」
「……」
「瓶は危ないから回収して……と。私も好きな事はさせてあげたいけど、お金もあるしわざわざ死にに行くような事はさせたくないわね」
父さんの髪を撫でながら母さんが呟く。うーむ、親孝行作戦は見破られていたか……。
大事にしてくれているのは分かっているんだけどな……俺が死んだらどれだけ悲しむだろうか。
兄さんもウェイクもアモルも居るから、寂しくは無いと思うけどね。
「さて、それじゃ遊ぶか! フィアも来いよ」
俺は母さんの横に仕えていたフィアも連れて行くことにした。二人の面倒を一人で見るよりいいし、フィアも遊びやすいだろう。
「「はーい!」」
「かしこまりましたクリス様(あーもー双子を世話するクリス様やさしいいいいい! 私を指名……ここから始まるラブロマンス……なーんてそんな、ねえ?)」
冷静なメイドが居ると助かる。きちんと準備運動をするところはさすがだと思った。
んで、波打ち際で水をかけあったり、潜って変な顔をしたりして遊んでいると、フィアがスイカがあると言いだした。
ほほう、となるとこれしかない。
「スイカ割り?」
切って持ってきてもらう予定だったようだが、俺は予定を変更して砂浜にスイカを置く。
ウェイクが興味深々で聞いてきた。
「ああ、目隠しをして……お、ちょうどいい所に角材が……これでスイカをぱかーんとやるゲームだ」
「へえ、面白そう! やるやる!」
ウェイクに目隠しをして、角材を握らせる。
身体を回していざスタート!!
「もっと右ー」
「ウェイク様、そのまま前へ」
「ふふ、女の子みたいな顔だけどウェイクも男の子ねー」
「ぐがー」
「えい!」
ボフ
「あー惜しい!」
俺が目隠しを取ってスイカの場所を指差すと、笑いながら全然だねーとか言いながらウェイクが手を叩いていた。
そこにデューク兄さんが帰ってくる。
「あれ? クリスがまた面白い事考えたのかな? 僕もやっていいかい?」
角材を剣に見立てているので、剣術が好きな兄さんは食いつきがいい。アンジュと兄さんにルールを説明して、スタートだ!
「あなた~、左にありますわ!」
「デュークお兄様、右、右ですわ!」
声援をもらいながら、ウロウロする兄さん。こういう姿は新鮮で中々面白い。
「うーん、難しいね! ようし!」
「?」
兄さんが角材を腰に当て、いわゆる居合いのような構えを取った。
「僕の前には人居ない?」
「あ、ああ。大丈夫だけど……」
「ありがとう! ”絶・真空波”!」
角材を振り抜いた瞬間、スイカは真横に切れた!
そしてそのまま……
「うわあ!? 海が割れたぞ!? なんだこりゃ!」
海を割っていた。
「どうだい? 手ごたえはあったと思うんだけど……」
「キレイな切断面です、兄さん」
スイカを持ってきてみせると満足そうに笑ってビーチチェアに戻って行った。
ウチの兄はすげぇな……。
---------------------------------------------------
そんなこんなで海を堪能し、晩飯⇒風呂のコンボを決めた後、俺は庭で涼んでいた。
「色々見てたけど、やっぱボートっぽいものは無いなあ。オールを使って沖まで行くのは大変だし……」
あくまでも事故で死んだように見せたい。なので洗面器で窒息死などは最終手段だ。
「……作ってみるか、足こぎボート」
カチッ
<おおおお! やる気ですねやる気ですね! 微力もお助けできませんけど、見ていますね(はあと)>
「死ね、クソゴミ野郎」
<おおっと、これは辛辣。何か嫌な事でもありましたか? どうぞこの私めにぶちまけてください。話すとスッキリすると言いますからね。……で、いつごろ完成なんですか?>
「お前が居なければ最高なんだけどな! 今から概要を書いて明日職人さんへ持っていく事になるな。まあ五日は羽伸ばしだから、気長にやるわ」
<……そうですか……>
「え!? 何なのそのテンションの落ち方!? 作って欲しいんじゃなかったのか!?」
<ああ、いえ……プライベートの事なので……はい……(給料日前だからボーナスが欲しかったなあ……)>
「今なんか言ったね?」
<何のことですかね? それではおやすみなさい~>
カチッ
「あ、おい! あいつ何を隠してるんだ……?」
その夜、アモルは元気だった。興奮状態という奴だ。
先に寝たらマズイ。本能がそう告げていた。
---------------------------------------------------
アシカを華麗にスルーしたクリス。
家族で楽しみ、足こぎボートの制作へと想いを馳せるクリスの前に現れるものとは?
そしてついに実行される計画。
「はっはーこれであいつもごぼごぼ……」
クリスは無事(?)息絶える事ができるのか。
次回『アシカじゃなかった』
ご期待ください。
※次回予告の内容とサブタイトルは変更になる可能性があります。予めご了承ください。
0
お気に入りに追加
154
あなたにおすすめの小説
異世界サバイバルセットでダンジョン無双。精霊樹復活に貢献します。
karashima_s
ファンタジー
地球にダンジョンが出来て10年。
その当時は、世界中が混乱したけれど、今ではすでに日常となっていたりする。
ダンジョンに巣くう魔物は、ダンジョン外にでる事はなく、浅い階層であれば、魔物を倒すと、魔石を手に入れる事が出来、その魔石は再生可能エネルギーとして利用できる事が解ると、各国は、こぞってダンジョン探索を行うようになった。
ダンジョンでは魔石だけでなく、傷や病気を癒す貴重なアイテム等をドロップしたり、また、稀に宝箱と呼ばれる箱から、後発的に付与できる様々な魔法やスキルを覚える事が出来る魔法書やスキルオーブと呼ばれる物等も手に入ったりする。
当時は、危険だとして制限されていたダンジョン探索も、今では門戸も広がり、適正があると判断された者は、ある程度の教習を受けた後、試験に合格すると認定を与えられ、探索者(シーカー)として認められるようになっていた。
運転免許のように、学校や教習所ができ、人気の職業の一つになっていたりするのだ。
新田 蓮(あらた れん)もその一人である。
高校を出て、別にやりたい事もなく、他人との関わりが嫌いだった事で会社勤めもきつそうだと判断、高校在学中からシーカー免許教習所に通い、卒業と同時にシーカーデビューをする。そして、浅い階層で、低級モンスターを狩って、安全第一で日々の糧を細々得ては、その収入で気楽に生きる生活を送っていた。
そんなある日、ダンジョン内でスキルオーブをゲットする。手に入れたオーブは『XXXサバイバルセット』。
ほんの0.00001パーセントの確実でユニークスキルがドロップする事がある。今回、それだったら、数億の価値だ。それを売り払えば、悠々自適に生きて行けるんじゃねぇー?と大喜びした蓮だったが、なんと難儀な連中に見られて絡まれてしまった。
必死で逃げる算段を考えていた時、爆音と共に、大きな揺れが襲ってきて、足元が崩れて。
落ちた。
落ちる!と思ったとたん、思わず、持っていたオーブを強く握ってしまったのだ。
落ちながら、蓮の頭の中に声が響く。
「XXXサバイバルセットが使用されました…。」
そして落ちた所が…。
異世界でトラック運送屋を始めました! ◆お手紙ひとつからベヒーモスまで、なんでもどこにでも安全に運びます! 多分!◆
八神 凪
ファンタジー
日野 玖虎(ひの ひさとら)は長距離トラック運転手で生計を立てる26歳。
そんな彼の学生時代は荒れており、父の居ない家庭でテンプレのように母親に苦労ばかりかけていたことがあった。
しかし母親が心労と働きづめで倒れてからは真面目になり、高校に通いながらバイトをして家計を助けると誓う。
高校を卒業後は母に償いをするため、自分に出来ることと言えば族時代にならした運転くらいだと長距離トラック運転手として仕事に励む。
確実かつ時間通りに荷物を届け、ミスをしない奇跡の配達員として異名を馳せるようになり、かつての荒れていた玖虎はもうどこにも居なかった。
だがある日、彼が夜の町を走っていると若者が飛び出してきたのだ。
まずいと思いブレーキを踏むが間に合わず、トラックは若者を跳ね飛ばす。
――はずだったが、気づけば見知らぬ森に囲まれた場所に、居た。
先ほどまで住宅街を走っていたはずなのにと困惑する中、備え付けのカーナビが光り出して画面にはとてつもない美人が映し出される。
そして女性は信じられないことを口にする。
ここはあなたの居た世界ではない、と――
かくして、異世界への扉を叩く羽目になった玖虎は気を取り直して異世界で生きていくことを決意。
そして今日も彼はトラックのアクセルを踏むのだった。
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
死に戻り勇者は二度目の人生を穏やかに暮らしたい ~殺されたら過去に戻ったので、今度こそ失敗しない勇者の冒険~
白い彗星
ファンタジー
世界を救った勇者、彼はその力を危険視され、仲間に殺されてしまう。無念のうちに命を散らした男ロア、彼が目を覚ますと、なんと過去に戻っていた!
もうあんなヘマはしない、そう誓ったロアは、二度目の人生を穏やかに過ごすことを決意する!
とはいえ世界を救う使命からは逃れられないので、世界を救った後にひっそりと暮らすことにします。勇者としてとんでもない力を手に入れた男が、死の原因を回避するために苦心する!
ロアが死に戻りしたのは、いったいなぜなのか……一度目の人生との分岐点、その先でロアは果たして、穏やかに過ごすことが出来るのだろうか?
過去へ戻った勇者の、ひっそり冒険談
小説家になろうでも連載しています!
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
世界最強の剣聖~追放された俺は、幼馴染みと共に英雄になる~
ユズキ
ファンタジー
有名パーティー【光輝ある剣】の雑用担当であるシスンは、自分の真の実力を知らないリーダーたちによって不遇な扱いを受けていた。
そんな折、リーダーに呼び出されたシスンは、貢献度不足という名目でパーティーからの追放を宣告される。
生活に困って祖父の住む故郷に帰ってきたが、そこは野盗に襲われていた。
野盗を撃退するため、幼馴染みの美少女アーシェと共に、シスンは本来の実力を発揮する。それは元剣聖の祖父から鍛えられた超絶剣技だった。
シスンは真の実力を遺憾なく発揮して、野盗の撃退に成功する。
これはシスンがアーシェと共に旅立ち、英雄の階段を駆け上がる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる