上 下
4 / 48
プロローグ:リアルスライドショーのようなもの

4. 同意書と契約書

しおりを挟む
 
 「ふー……」

 喫煙室で煙草を吸って、今日までの事を振り返る。
 
 「過労死って……今の時代に……いや、今の時代だからこそ過労死なのか?」

 俺は普通の営業マンだったが、朝は早く出て、夜は遅く帰宅する。家へ帰れば睡眠時間くらいしか残らない。
 そんな生活を、大学を出て八年やっていたが、そのツケが回って来たのだろう。

 時間が無いから趣味も出来ず、もちろん恋人なんていない。仕事と睡眠、それだけが俺の生活の主な時間の使い方だ。

 休みはキチンと休んでたから大丈夫だと思ったんだけどなあ……。

 「会社で心臓麻痺を起こしてポックリ、とは……」

 とほほな死に方で萎える。別に劇的に死にたかったわけでも無いけど……。

 幸い両親は早いうちに他界していたから心配されるような事も無い。むしろこのまま昇天すれば会える気もするのだ。ちょっと照れ笑いしながら「し、死んじゃった……」とか言えば笑い話くらいにはなるだろう。

 だがあのスライドショー……というか現役バリバリで生身の人達だったが、実に生活感があってワクワクしたのは内緒だ。
 
 俺も冒険者とやらでチャンバラして暮らしてみたいと少しだけ思った。少しだけな?


 「でも無理してすぐおっ死んじまうんだろうなあ」 ピッ、ガチャン!

 カシュ!

 自動販売機でコーヒーを買い、その場で飲む。

 詳細はよく分からないが、ここは死者の魂が来る場所らしい。
 見た目はどっかの会社の休憩室にしか見えないんだけど。

 で、さっきのスライドショーで紹介したように違う世界へ生まれ変わらせたり、昇天させてしばらく魂を寝かせた後、俺達が住んでいた世界へまた何かしらの生物なり植物なりに生まれ変わらせるんだとか。

 「……生まれ変わるなら、人型かねえやっぱ……」

 バッタは嫌だ。何となく。
 そんな事を考えていると、自販機の影からため息が聞こえてくる。

 「はあああああああああ……」

 「……」
 
 チラリと声のする方を見ると、ため息を吐いていたのは女の子だった。

 歳は若いと思うが俺には分からない。小柄で三つ編み眼鏡という、人によってはドストライクの容姿をした子が缶ジュースを握りしめて思いつめた表情をしていた。俺はポニーテール派だ。


 さて、そんな状況を見て俺がどうするかと言えば……

  話しかける

 ⇒関わらない

 これ一択である。
 
 彼女も居たことが無いし、あまり女性と話す事もなかった俺が、悩める女の子に話しかけるなどハードルが高すぎる。緊張しすぎて死ぬんじゃなかろうか? あ、もう死んでるのか。じゃあここで死んだらどうなんのかね?

 一人で答えの無い問答を考えながら部屋へ戻ろうと振り向いたら、その女の子がいつの間にか回り込んできていて俺の顔をじっと見ていた。

 「……えっと、何か?」

 「あの……さっきスライドショーを見ていた方ですよね?」

 この施設? には死者以外にもスライドショーを見せてきた奴らも居るので、疑問形で聞いてきたに違いない。

 ……俺はスーツ姿だから間違えようもないと思うんだけどな!

 「ああ、俺も見ていたよ。話はそれだけかい? それじゃ……」

 ニヒルに去ろうとする俺。

 ふう、緊張してボロが出ない内に去ることが出来たか……。

 「待ってください! 少し、お話をしませんか?」

 できなかったー! 最近の子は積極的ぃ! 見も知らないおっさんと話しましょうだなんて、攫われて殺されちゃうくらいの迂闊さだ。もう死んでるけど。

 とりあえずまた回り込まれたので、仕方なくこの子の話を聞くことにした……。





 ---------------------------------------------------



 
 「すいません……明日の事を考えてどうしても眠れなくて」

 自販機近くにシャレオツなテーブルとイスがあったので、そこに向かい合って座る。

 「ああ、何か次の行き先を決めるとか……」

 「そうです、それ……あ、すいませんまだ自己紹介していませんでしたね。私、『岩瀬 月菜るな』って言います」

 女の子が、名乗りもしないで話すのは失礼だ、と思ったのか急に挟んでくる。俺も名乗らないといけない流れだ。

 「……俺は『折戸 真おりと しん』だ。ちなみに死因は過労死! ……はは、30のおっさんが情けないだろう?」

 少しでも緊張を和らげようと笑いを誘おうとするが、逆に目に涙を溜めて泣き出してしまった。

 「うっ……やっぱり、死んだんですね私……」

 俺が冗談交じりで場を和らげようと思って放った言葉により、岩瀬さんが涙を流し始めた。

 しまったー!? まだ死を受け入れられていない子だったー!? ギャグどころかトドメになっちまった!

 「ご、ごめんね……何か……」

 「いえ……ハッキリ言って下さったので、これは夢だという希望も潰えました。ありがとうございます」

 痛い。

 「……まあ俺も何が何だか分からないままここに居るからなあ。後輩に「大丈夫っすか!?」って揺さぶられたところまでは覚えてるんだけどね」

 「あ、会社内で亡くなられたんですね。私は丁度お昼を食べに外に出たところで『上から来るぞ! 気をつけろ!』って声が聞こえた後、目が覚めたらここでした」

 「何というクソゲー臭……でもその声が本当なら、上から降ってきた何かにぶつかって死んだんだろうね」

 「クソ……?」
 
 「そこだけ言われると俺が酷い事を言ったようにしか見えないから辞めてくれ」

 「ふふ、そうですね。……でも死んだとか悔しいなあ、折角就職したばっかりだったのに」

 やっと笑顔を見せてくれた。やはり三つ編み眼鏡は最高だな。顔も可愛いし。

 「新入社員だったのかい? 会社はどこ? って言っても俺が知ってるかは分からんけど」

 「〇×商社ですね。総務課に配属されたんですよ!」

 「お、マジか! 俺と同じ会社だったのか! 総務課は倍率高いって聞いてるから岩瀬さんは優秀だったんだろうなあ……」

 「真さんも〇×商社だったんですか!? えへへ、偶然ってあるんですねー」

 だいぶ表情が変わるようになってきたので、恐らくもう大丈夫だろう。俺の精神はもう限界まで来ていた。正確に言うと胃が痛い。


 「緊張が取れたみたいだな、それじゃ明日もあるしそろそろ部屋に戻るよ」

 缶コーヒーをダストボックスへ捨てながら俺は岩瀬さんに別れを告げる。

 「真さんは、その、どうするか決めてますか?」

 「あー……これから考えるわ。でも多分、あのキルアットダリウスオーマイングレゴットって世界に行くと思う。ちょっと冒険してみたいなってね。どうせもう死んじまったんだ、向こうですぐ魔物とやらに殺されても文句はねぇしな。じゃあな」

 「あ、はい! ありがとうございます、話を聞いてくれて。少し楽になりましたから眠れそうです(あの世界の名前覚えたのね。すごい!)」

 久しぶりに可愛い子と話して浮かれていた俺は何も考えずにそのまま寝た。
 
 そして次の日……



 ---------------------------------------------------

 

 <はーい、転生希望の方はこちら二列になってお待ちくださいー!>

 <あ、そっちは地獄への扉ですよ! 片道切符を持っていないと入れませんー>

 目が覚めたら、指定時間を過ぎていた。
 
 大幅に遅れて俺は会場へと到着した。

 体育館みたいな……というか体育館そのまんまな空間に……アレだ、分かるか? 学校の予防接種会場。
 あんな感じで長机にシーツのようなものをかけて受付が作られている。紙で「受付」ってぶら下がっているがなんだかなあ……明朝体だし……。

 正直に言えばかなり雑だ。体育館につきもののステージは左の階段の前に「転生」という電光掲示板。

 右の階段には「昇天」と、かなりへたくそな文字で書かれた黒板があった。どうしても転生させたいんだな、キャバクラじゃないんだから。

 ま、昨日岩瀬さんに言ったように、俺は冒険をしてみる事に決めたので、転生の列に並んでいる。
 ざっとみて100人くらいだが、7割転生ってとこかな? 昇天する人もいた。



 「い、いやだあ! お、俺は異世界で女の子をめちゃくちゃにして、おもちゃにするんだあ! は、離せ! あの世界なら俺だって……!」

 ボスっ!!

 「うぐ……」

 <連れて行け、気絶したまま放り込めば昇天した事にも気づくまい>

 すっごい太った男が、ヤバイセリフを吐き、めちゃ怖い人に気絶させられ、昇天の階段上にある渦の中へと、放り込まれた。

 「なにあれ、怖……」

 つい5段活用を使ってしまったが、それほど分かりやすい状況だったのだ。
 聞き耳を立てていると、転生者に質問を投げかけているな。一応、人間性を見て送り込むみたいだな。
 
 何となく怖くなったので、唯一の知り合いである岩瀬さんが居ないかとキョロキョロしていると、金髪イケメン(ちょっと目つきが悪い)と小さい女の子が手を繋いで受付へ向かっていくのが見えた。兄妹か? それにしちゃ似てないけど。



 「おい、ここは何だ? 俺達は死んだはずだぞ?」

 <えーと……あなたは……あれ!? どうしてここに居るんですか! あなたが元居た世界からの魂は別の施設ですよ。ご案内しますのでこちらへ……>

 「なにかちがうの?」
 小さい女の子が疑問を口にしていた。賢いな、元の世界によって行き先が違うのか? 確かに気になるフレーズだ。

 <ええ、まあ……あなた達の世界は『蘇生』させることが出来る魔法や特殊なアイテムがありますからね、すぐに次の場所へ、という訳には行かないんですよ>

 「……生き返れるとはおもえねぇけどな……」

 「わたしはお兄ちゃんと一緒ならどこでもいいよ!」
 
 <まあまあ、希望は捨てないでくださいな。とは言っても1ヶ月ほど進展が無ければ手続きに入りますけどね。そのへそから出ている線。分かります?>

 「これか、そういや俺達にしか出てねぇな」

 <ええ、ええ。一ヶ月経っても蘇生の音沙汰が無ければ、ちょんぎって死亡確定させますのでご了承ください>

 「……こいつだけでも生き返れればなあ……」

 「それは寂しいから嫌だよ? それより、この硬いやつどうすればいいの?」

 <それはこうして開けると飲み物が出てくるのです>

 カシュ!

 「あ、おいしいー♪」

 「お、ちょっと俺にもくれよ」

 「うん!」

 <仲が宜しい事で何よりです。 もし蘇生されなかったら別の世界で兄妹として────────────>


 そんな会話をしながら、金髪達は俺の目の前を通って会場から出て行った。


 生き返り! そういうのもあるのか。
 
 他の世界を見て、行き先を選べたら面白いと思うんだけどな。何で行き先は決まってんのかねえ?


 その後は特にイベントも無く、俺は番号札を握り、俺の番が来るのをひたすら待つ。


 待つ!

 ……待つ! 

 …………待つ

 ………………待つ……

 ……………………待……


 五時間経過したが呼ばれず、コーヒーの飲み過ぎで腹がたぷたぷになってしまった。

 「ぐぇーっぷ……」

 待つために備え付けられた長椅子に寝そべり、周りの状況を見渡す。
 というかやることがそれしか無い。

 「お、あれは……」

 呼ばれた時のため、なるべく受付に近い椅子に寝そべっているので人の顔は分かる。
 斜め前の受付に来たのは岩瀬さんだった。

 <キルアットダリウ……ごほん。転生希望ですね、かしこまりました!>

 忘れてんのかよ!? 送る世界の名前くらい覚えようぜ?

 「よろしくお願いします」

 <それでは記憶を引き継いでニューゲ……転生ですね。一つ特典がありまして、何か能力をつけて生まれ変わることができます。例えば計算が早くできるとか、魔法の属性を一つスペシャリストにするとかですね。不老不死や無敵になれるみたいな偏ったものでなければ、だいたい受理されます>

 「そう、ですか……それは、先に言ってくれた方が良かったですね。考える時間が……だからこんなに詰まっているのでは?」

 岩瀬さんのいう事ももっともだ。夜一日あったんだから、そこで考えさせればいいのに。

 <そうですねー今後の参考にさせてもらいますね!>

 「は、はあ……」

 あ、今後も改善しないパターンだなありゃ。

 「うーん……あ、子供が好きなので、丈夫な子をたくさん産めるというのは大丈夫ですか?」

 <採用>

 「早っ!?」

 <いやあ、あのキルアンドデストロイという世界は冒険者が多いから結婚率があまり高くなくてね。子供を産んでくれるなら大助かりだよ、転生先は他にもあるんだけど、ここが一番人口が少なくてね>

 書類に印鑑を押しながらペラペラと話す。「キル」しかあってねーから!!

 「後は結婚相手と、どこに生まれるかですね……」

 <そうそう……あんまり食うにも困るような貧困な家庭って無いけどねー……じゃあこれ同意書。よく読んでね。OKだったら契約書にサインを>

 「……はい、大丈夫です」

 <それじゃ、元気でね! すぐ死んだりしないでよ?>

 パチンと指を鳴らすと、岩瀬さんの座っていた椅子の床がパカっと割れる。



 「え? きゃああああああ!」

 叫びも虚しく、岩瀬さんの姿は掻き消えた。あの階段の上の渦は!? あそこに行くんじゃないの!?


 <番号札844番をお持ちの方ー>

 何事も無かったかのように番号は進む。大丈夫かな……岩瀬さん……もう会う事も無いだろうけど、無事を祈ろう。

 で、844番ね、俺は手元の札を見る。

 「俺は……48番か……っておかしいだろ!? おい! 俺の番はいつになったら来るんだよ!!」

 <はい? 844番の方ですか?>

 「48番だ! だいたい100人くらいしか居ないのに844番ってなんだよ! ぶっ飛び過ぎだろうが!」

 俺は番号札を叩きつけて目の前の男か女か分からないヤツに怒鳴りつける。


 <ああ、こちらは女性の列なんですよ。男性は1~50で女性は800番台となっていますから、あちらですね>

 指差された方には確かに男ばかり集まっている。こっちは女性しか居ない。

 「あ、その、すいませんした……」

 ニコリと笑って俺を誘導してくれたが、目が笑っていなかった。忙しいのに手間をかけるな、あれはそう言う目だ。会社で残業しているおばちゃんがあの目をしていたな……。




 ---------------------------------------------------




 「さて、岩瀬さんは行ってしまった……しかし特典が一つねえ、聞けて良かった気はするな。考える時間が出来たと思おう」

 今度はちゃんと、男性の列へ並び俺はダラダラと待ち続ける。
 横で聞き耳を立てていたのは趣味が悪いが、どうせここで会っただけだし気にしないことにしよう。

 それよりも特典をどうするかだが……。

 <48番をお持ちの方ー……ふあ……>


 「考える暇を与えてくれないだと……!」ガタッ


 <いませんね、では次8446番の方ー>


 「居るよ!? 後なんだその番号!? 8446はよしろってか? うるせえよ!」

 <ああ、居たんですね。それでは……折戸 真さん。キルアットダリウスオーマイングレゴットへの転生ということでよろしいですか?>

 「ああ、それで構わない。あの映像でちょっと面白そうだと思ったからな」

 <それはそれは。あの映像を流した甲斐があるというものです>

 そういやコイツあのスライドショーを流していたやつだな?

 <……>

 「おい、おい! 寝てんのか!?」

 <お、おお……神よ……>

 「そりゃお前のことなんじゃねぇの!? とりあえずもうさっさと終わらせようぜ……」

 疲れているのはお互い様だ。解放するには早く手続きをするしかない。

 <……それじゃあ、こちらの同意書に目を通してください……>


 【異世界転生同意書】

 ※甲は当方、乙は転生者になります。

 1.記憶は引きついだままになります。

 2.いかなる事があろうと甲は責任を負いません。

 3.乙は一つだけ特典が与えられますが、チートのようなものは付与できません。

 4.乙はすぐに亡くなっても問題ありません。

 5.甲は転生者が亡くなった場合すみやかに魂を回収し、しかるべき処置を行います。


 まあ、だいたい聞いていた通りか……。

 「OKだ」

 <……>

 「OKだ!!」

 <キーンとした!? ああ、読みましたか? では契約書にサインを>


 【異世界転生契約書】

 異世界へ送られた時点で契約完了となります。
 今後は同意書に基づいた規約が適用されます。

 転生後の生活はご自身で模索していただくことになり、甲は関与いたしませんので予めご了承ください。

 尚、契約を行うと甲の存在は絶対的となり、異世界では逆らったりすることなどが出来なくなります。
 これは再度亡くなっても存続するものとします。

 また、亡くなってしまった場合は一度こちらへ戻っていただき
 異世界”キルアットダリウスオーマイングレゴット”で生活した年数を計算して、再度転生か昇天かを決定します。
 
 それでは、良い異世界ライフを。


 ……まあ、これくらいならいいのか?
 気なるのは「逆らったりすることが出来なくなる」……ここだ。

 どのレベルで逆らえないのかな、誰に対してなのか聞いておく必要がありそうだな。

 「なあ、この契約書なんだが……」

 <あ、終わりましたか? じゃあ回収っと……それじゃあ特典ですね、眠いので早く終わらせましょう>


 「あ!」
 
 素早い動作で契約書がもっていかれてしまった。眠い割には素早いな。
 とりあえずサインしてないんだけど……ま、いいか。

 「それじゃあ、冒険者としてやっていくつもりだから『丈夫な体』を頼むよ、病気とかケガとか……」

 <丈夫な体ですね……はいはいこれをこうして……はーい、それじゃあ行ってらっしゃいー! ああ、終わった終わった……>

 「まだ説明してる途中だろうがあああぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 岩瀬さんの時と同じ……かと思ったが、椅子からバネが飛び出し、びよよよーんと俺は転生渦の中へとダイブしたのだった。

 変なアトラクションにするんじゃねぇよ!
  
  ……じゃねぇよ

    ……ゃねぇよ
  
      ……ねぇよ

        ……ぇよ
  
          ……よ

            ……








 こうして俺は、キルアットダリウスオーマイングレゴットへと転生することになった。

 そして……
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界サバイバルセットでダンジョン無双。精霊樹復活に貢献します。

karashima_s
ファンタジー
 地球にダンジョンが出来て10年。 その当時は、世界中が混乱したけれど、今ではすでに日常となっていたりする。  ダンジョンに巣くう魔物は、ダンジョン外にでる事はなく、浅い階層であれば、魔物を倒すと、魔石を手に入れる事が出来、その魔石は再生可能エネルギーとして利用できる事が解ると、各国は、こぞってダンジョン探索を行うようになった。 ダンジョンでは魔石だけでなく、傷や病気を癒す貴重なアイテム等をドロップしたり、また、稀に宝箱と呼ばれる箱から、後発的に付与できる様々な魔法やスキルを覚える事が出来る魔法書やスキルオーブと呼ばれる物等も手に入ったりする。  当時は、危険だとして制限されていたダンジョン探索も、今では門戸も広がり、適正があると判断された者は、ある程度の教習を受けた後、試験に合格すると認定を与えられ、探索者(シーカー)として認められるようになっていた。  運転免許のように、学校や教習所ができ、人気の職業の一つになっていたりするのだ。  新田 蓮(あらた れん)もその一人である。  高校を出て、別にやりたい事もなく、他人との関わりが嫌いだった事で会社勤めもきつそうだと判断、高校在学中からシーカー免許教習所に通い、卒業と同時にシーカーデビューをする。そして、浅い階層で、低級モンスターを狩って、安全第一で日々の糧を細々得ては、その収入で気楽に生きる生活を送っていた。 そんなある日、ダンジョン内でスキルオーブをゲットする。手に入れたオーブは『XXXサバイバルセット』。 ほんの0.00001パーセントの確実でユニークスキルがドロップする事がある。今回、それだったら、数億の価値だ。それを売り払えば、悠々自適に生きて行けるんじゃねぇー?と大喜びした蓮だったが、なんと難儀な連中に見られて絡まれてしまった。 必死で逃げる算段を考えていた時、爆音と共に、大きな揺れが襲ってきて、足元が崩れて。 落ちた。 落ちる!と思ったとたん、思わず、持っていたオーブを強く握ってしまったのだ。 落ちながら、蓮の頭の中に声が響く。 「XXXサバイバルセットが使用されました…。」 そして落ちた所が…。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

貴方がLv1から2に上がるまでに必要な経験値は【6億4873万5213】だと宣言されたけどレベル1の状態でも実は最強な村娘!!

ルシェ(Twitter名はカイトGT)
ファンタジー
この世界の勇者達に道案内をして欲しいと言われ素直に従う村娘のケロナ。 その道中で【戦闘レベル】なる物の存在を知った彼女は教会でレベルアップに必要な経験値量を言われて唖然とする。 ケロナがたった1レベル上昇する為に必要な経験値は...なんと億越えだったのだ!!。 それを勇者パーティの面々に鼻で笑われてしまうケロナだったが彼女はめげない!!。 そもそも今の彼女は村娘で戦う必要がないから安心だよね?。 ※1話1話が物凄く短く500文字から1000文字程度で書かせていただくつもりです。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

ダンジョンブレイクお爺ちゃんズ★

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
人類がリアルから撤退して40年。 リアルを生きてきた第一世代は定年を迎えてVR世代との共存の道を歩んでいた。 笹井裕次郎(62)も、退職を皮切りに末娘の世話になりながら暮らすお爺ちゃん。 そんな裕次郎が、腐れ縁の寺井欽治(64)と共に向かったパターゴルフ場で、奇妙な縦穴──ダンジョンを発見する。 ダンジョンクリアと同時に世界に響き渡る天からの声。 そこで世界はダンジョンに適応するための肉体を与えられたことを知るのだった。 今までVR世界にこもっていた第二世代以降の若者達は、リアルに資源開拓に、新たに舵を取るのであった。 そんな若者の見えないところで暗躍する第一世代の姿があった。 【破壊? 開拓? 未知との遭遇。従えるは神獣、そして得物は鈍色に輝くゴルフクラブ!? お騒がせお爺ちゃん笹井裕次郎の冒険譚第二部、開幕!】

真実を知って反省しなさい

小雲乃のぼる
ファンタジー
悪役令嬢にざまぁ返しされ、罪人として牢に入れられてしまったヒロイン。それは一見、よくある転生悪役令嬢物の結末。しかし、牢を訪れた悪役令嬢が語る真相はーー ※注意!!※悲劇です。どん底です。救いなし、カタルシスなしです。本当に胸糞好きな方のみ、ご覧ください。 構想段階ではまっとうな転生悪役令嬢のヒドイン断罪物だったのに……なぜこうなった(-_-;)

処理中です...