黒い影

アーディ

文字の大きさ
上 下
1 / 2

夜の訪問者 1

しおりを挟む
これは私が20年以上前に体験したお話です。その頃、私は事業を立ち上げようと思い会社員として働いていた会社を退職し、昼間は事業の仕事をしていて別に収入を得るために、派遣社員として深夜に仕事をしていました。そこで起こった時の話です。

今から20~25年前になりますが、昼間は事務仕事をして夜間は派遣社員として派遣先の仕事をしていました。派遣先はというと従業員10,000人位が働いている規模の会社だと覚えています。派遣先の会社の場所は地方都市の郊外で4階建てのビルが畑の中にポツンとあるような場所で夜になると真っ暗な場所でした。

仕事はというと昼間に正社員さんが修理した基盤をパソコンを使って動作チェックするという仕事で修理上がりの基盤をセットしプログラムを動作させて正常に動作するかどうかチェックする仕事です。一度動作チェックを行うと20分位は何もすることがなく、完了後のエラーが出ないか確認し、エラーが出た場合は画面をプリントアウトしてエラー項目を基盤に貼り付けNGへ、エラーが出なければ動作OKで完了箱に入れるという仕事です。

勤務時間は夜の20時から翌日の朝5時までで休憩:22時00分~22時15分、深夜3時00分~3時15分の2回と昼休憩:深夜0時00分~1時00分までの合計1時間30分ありました。昼間の正社員の方は朝8時00分~17時00分までが定時でそれ以降は残業になるので私は19時30分までに仕事場に到着するようにしていたので社員さんが残業しない限り会うことは無かったです。

また派遣社員はというと私が入った頃はすでに40歳代の男性の方と20歳代の男性の方が働いていました。そこに私が加わって3人で夜間の仕事をすることになりました。仕事は一旦動作をスタートしてしまえば20分位は何もすることがないのでスタートした後は音楽を聞いたり本を読んだり自由でした。

一応食堂は建物内にありましたが、夜は食堂ももちろんやってることはないのですが、食堂にホットスナックの24時間販売の自動販売機があり、カレーや牛丼、など10種類位の温かい物が食べられたので時々利用していました。私たちが仕事をしていたのは4階建てのビルのうちの3階で1フロアで横30m奥行50mの広いフロアですが、私たちがいるフロアの1/3は明るいですが、残り2/3は消灯してあり真っ暗でした。

夜間は私たち以外に仕事している人はおらず4階建てのフロアで仕事している以外は全てのフロアは消灯しています。それ以外の人と言えば警備員さんが私たちが仕事している間に3回位見回りしている位でその他は人はいません。わたしが入った頃は夏でしたのでまだ良かったですが、秋-冬になるにつれて夜が更に暗くなり、建物は国道に面していましたが夜間だと交通量も多くなく建物内で物音とかはまずすることはありません。

音と言えばパソコンの操作音と完了し箱に入れるとまた新しくチェックする基板を取り出そうとぐらいの音しかしない静かな環境での仕事でした。お昼時はお弁当を持って行くこともありましたが、出勤途中でコンビニでお弁当を買ったりまた忘れた時は最上階(4階)の食堂でホットスナックを食べたりもしました。レトルトですがわりと美味しかったのでよく利用していました。地方都市の郊外のところでしたので夜は真っ暗で私たちが作業してる以外のところは本当に真っ暗闇です。

私は20歳代前半位の方とは気が合いよく話をしていました。40歳代の男性(仮名:田畑さん)は仕事はゆっくりで怠けていた印象があり、20歳代の男性(通称:おっくん)は真面目に仕事をしていました。私が働いて1ヶ月位になるあたりから20歳代男性(通称:おっくん)とは、ご飯休憩を一緒に取るようになりよく話をしました。

そこである時20歳代男性(以下おっくん)が幽霊って信じますか?っていきなり聞いてきたのです。またふざけているのかと思って笑いながら顔を見ると顔が真剣そのものでした。何かあったのと聞くと私が行く前は一人でここで仕事をしていて一人しかいないのに物音がすると言うんです。ちょっと笑ってしまいましたが、おっくんは笑っていませんでした。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

バベル病院の怪

中岡 始
ホラー
地方都市の市街地に、70年前に建設された円柱形の奇妙な廃病院がある。かつては最先端のモダンなデザインとして話題になったが、今では心霊スポットとして知られ、地元の若者が肝試しに訪れる場所となっていた。 大学生の 森川悠斗 は都市伝説をテーマにした卒業研究のため、この病院の調査を始める。そして、彼はX(旧Twitter)アカウント @babel_report を開設し、廃病院での探索をリアルタイムで投稿しながらフォロワーと情報を共有していった。 最初は何の変哲もない探索だったが、次第に不審な現象が彼の投稿に現れ始める。「背景に知らない人が写っている」「投稿の時間が巻き戻っている」「彼が知らないはずの情報を、誰かが先に投稿している」。フォロワーたちは不安を募らせるが、悠斗本人は気づかない。 そして、ある日を境に @babel_report の投稿が途絶える。 その後、彼のフォロワーの元に、不気味なメッセージが届き始める—— 「次は、君の番だよ」

たまご

蒼河颯人
ホラー
──ひっそりと静かに眺め続けているものとは?── 雨の日も風の日も晴れの日も どんな日でも 眺め続けているモノがいる あなたのお家の中にもいるかもしれませんね 表紙画像はかんたん表紙メーカー(https://sscard.monokakitools.net/covermaker.html) で作成しました。

すべて実話

さつきのいろどり
ホラー
タイトル通り全て実話のホラー体験です。 友人から聞いたものや著者本人の実体験を書かせていただきます。 長編として登録していますが、短編をいつくか載せていこうと思っていますので、追加配信しましたら覗きに来て下さいね^^*

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

幸福の印

神無創耶
ホラー
親友の劇作家に、イタリアのナポリで行われる演劇に招待された探偵、長尾 黄呀(ながお こうが)。 行方不明者捜索の依頼を終えてちょうど暇になったのを契機にイタリアへと翔ぶ。 しかし、いった先で不穏な雰囲気に包まれたイタリアにて事件に巻き込まれる

怪異語り 〜世にも奇妙で怖い話〜

ズマ@怪異語り
ホラー
五分で読める、1話完結のホラー短編・怪談集! 信じようと信じまいと、誰かがどこかで体験した怪異。

すこし奇妙なショートショートたち

長月京子
ホラー
怖かったり、じわっときたり、あるいは不思議だったり、ゾッとしたり、すこし奇妙なショートショートたち。 一つのお話が2000字〜5000字程度の、各話読み切りの掌編です。 少しの暇つぶしになれば幸いです。

処理中です...