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第7話 元聖女、初めて村に辿り着く
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遠くの空で夜の帳が下り始めた頃、セーナはようやくその場所へと辿り着いた。
はっきりと視界に映るその光景を眺めながら、感嘆するように呟く。
「おお……これは何と言いますか、如何にもといった感じですね……」
言葉を取り繕うことなく言ってしまえば、そこは小さく寂れた村であった。
十分もかからずに一周してしまえるだろう規模のものであり、だがセーナはそんな光景を、その状況に似つかわしくないほどの輝かんばかりの顔で眺めている。
自分でも口にしたように、そこにあるのは如何にもといった光景で、それでこそだと思ったからだ。
正直なところ、セーナは前世でも今生でも、生活環境だけで言えば、何一つ不自由ない状況にあったと言えるだろう。
前世でセーナが世話になっていた先は王宮であったし、聖女と扱われるだけに相応しい環境ではあった。
実質的な軟禁状態だったため不安はあったものの、問題自体はなかった。
外に出たことがなかったのは今生も同じだが、今生は今生で辺境伯家という家柄自体は申し分ないものだ。
姉達以外からはまともに相手にされなかったという事実にさえ目を閉じれば、やることが特になかったこともあり、快適さは前世以上だったと言えるかもしれない。
とはいえ折角異世界の、それもファンタジーな世界に来たのである。
どうせならばもっと、それらしい場所を見たいではないか。
書物などを通しそれらしいものを見ることは出来たものの、セーナはやはり自分の目で見たかったのだ。
そしてこの村の様子というのは、まさにセーナの期待していた通りだったのである。
これぞまさに、ファンタジー世界の村といった様相であった。
そんな若干失礼なことを考えながらも、セーナはその場を見渡しながら、さてどうしたものかと考える。
この村は街道に沿って歩いた先にあった村だ。
つまりは、言い方は変かもしれないが、しっかりした村で、訪れる者も珍しくないはずである。
宿は勿論のこと、雑貨屋であったり武器屋であったり、きっとそういうのがあるはずだ。
そのどこから行ってみようかと、ワクワクしながら悩み……その時であった。
「――おや、客人かね? こんな村に来るなんて、随分な物好きもいたもんだ」
聞こえた声に視線を向ければ、そこにいたのは四十代ぐらいの女性であった。
人のよさそうな笑みを浮かべ、だがどことなく不思議そうな目を向けてきている。
しかし不思議に思うのはセーナも同じだ。
「物好きって……ここって、領主の治めている街から最も近い場所にある村ですよね? むしろ人はよく訪れると思うのですが……」
「確かにここは街から近いけど、ご覧の通り寂れた場所だからね。一応宿ぐらいはあるけど、他にあるのはここに住んでる連中の家ばっかだし、ここで泊まるぐらいなら野宿すんのと大差ない。大半の連中は素通りしていくのさ」
なんと、確かに寂れた村だとは思ったが、これが異世界の標準ではないらしい。
しかも宿だけしかないという。
色々な意味でがっかりだと、再び失礼なことを思うが、気を取り直す。
ここが標準的な村だろうとそうでなかろうと、セーナの思い描く異世界らしい村であることに変わりはなく、そこに泊まる事が出来るのだ。
ならばそれで一先ずはよしとすべきだろう。
「というか、そもそもあんた馬車で来たんじゃないのかい? まさかわざわざ途中で降りたんじゃないだろうね? 誰かしら注意するもんだと思うんだが……」
「え? いえ、馬車ではなく歩いてきましたが?」
この世界の基本的な移動手段が馬車であるというのは知っている。
だが馬車の乗り場というのは街の中にあるものだし、それに馬車に乗らずとも数時間で村に着くということは姉達から聞いていたのだ。
実際こうして着いたわけで……まあ、問題がなかったというわけではないのだが――
「……もしかして、一日歩き詰めか、それとも途中で野宿してきたってのかね? そこまで困窮してるってんなら、やっぱここには寄らない方がいいと思うよ? 若い身なんだから、屋根のある場所で寝たいってのは分からなくもないけど、寂れてるとは言っても宿は安いわけでもないしね」
「いえ、歩き詰めでなければ、野宿もしてませんよ? 街を出たのは今朝でしたし」
「今朝って……あんた、もしかして冒険者なのかね? そんな身なりで……いや、言われてみれば、確かに歩き詰めだったり野宿したりにしては綺麗過ぎるけど……」
女性の言葉に、ああ、数時間というのはやはり冒険者基準だったのかと納得する。
というのも、確かに数時間で着きはしたものの、厳密には歩きではなく走ってきたからだ。
一時間程度歩いた時点で地平線の先に何も見えなかった時点で、これは歩いていたのでは今日中に村に辿り着かないと悟ったからである。
無論数時間ずっと走り続けるだけの体力はセーナにはない。
しかしセーナには聖女とまで呼ばれた癒しの力があった。
この癒しの力は色々と便利であり、傷や病以外のものも大体のものは治そうと思えば治る。
体力や疲労の回復もまた可能なのだ。
そのため、全力で走りながらも回復し続けることで、ここまで走り続ける事が出来たのであった。
数時間と考えれば長いようにも思えるが、前世では半日以上同じことをしていたのだから大したことはあるまい。
それにぶっ続けとは言いつつも、実際には二、三分に一度ぐらいだ。
力を使うのも自分一人に対してであるし、前世の頃にやっていたことと比べれば大分楽であった。
と、そんなことを考えていると、ふと女性の手に視線が向いた。
そこにある傷に気付いたのだ。
「あの、その手どうしたんですか?」
「ん? ああ、これかね? なに、ちょっと畑仕事でやっちまっただけさ。ツバでも付けときゃ治るだろうし、気にするこたないよ」
「いえ、駄目ですよ、そんなの……あ、そうです。すいません、少し時間大丈夫ですか? 宿の場所まで案内して欲しいのですが……」
そう提案したのは、その対価として手の治療を行おうと思ったからであった。
小さな傷みたいなので、治すのは簡単に出来る。
だが、前世の頃にセーナはしっかり言い含められていた。
癒しの力というのは自然の力ではないため、使う時にはしっかり対価を取れ、と。
人というものは楽な方へと流されてしまいがちだから、そうして戒めなければならないのだ、と。
前世でもセーナ自身が取り立てることはしていなかったものの、その辺は王国側が管理していたはずなので、しっかり対価は取っていたはずである。
ともあれそういうわけで、女性の手を癒すために、セーナはそんな提案をしたのだ。
「うん? まあ今日の畑仕事は終わったけど……すぐそこなんだから、別に案内するまでもなく説明するだけで分かると思うけどねえ」
「いえ、それだけですと対価として十分か分かりませんので」
「よく分かんないけど……ま、いいさ。別に構わないよ」
「ありがとうございます! では、契約は成ったということで……先払いしてしまいますね」
そう言うや否や、セーナは女性に近付くとその手を取った。
そして。
「――『癒し』を」
告げた瞬間、セーナの手が淡く光り、その光が女性の手へと移っていく。
光はすぐに消え、そうして後に残ったのは、傷一つなくなった女性の手であった。
小さな傷跡が沢山あったのでそれもついでに治してしまったが……まあこのぐらいのおまけは構わないだろう。
「はい、これでもう大丈夫だと……あの? どうかしました?」
セーナがそう尋ねたのは、何故だか女性が目を見開いて自分の手を見つめていたからだ。
恐る恐るといった様子でセーナのことを伺い、その口がゆっくりと開かれる。
「あんた……まさか、冒険者は冒険者でも、治癒士かね……?」
「あ、はい、そうですね……まだ志望といったところなんですが」
治癒士とは文字通り治癒を得意とする者のことである。
戦士だとか魔導士だとか、そういう区分の一つだ。
実は下の姉も治癒士であり、そんな下の姉の話を聞いていたからこそ、セーナは自分でも冒険者になれるのではないかと思ったのだ。
セーナが聖女としての力を持っていることがバレたら面倒なことになりそうだと思ってはいても、こうして躊躇なく癒しの力を使ったのもそれが理由であり――だから、直後に女性が見せた反応はセーナにとって予想外でしかなかった。
女性は恐怖をその顔に浮かべると、慌ててその場から飛び退いたのである。
「ひっ……!? な、なんだいこんな真似して……!? あたしから大金をせびろうとしたって、そんなもの持ってないよ……!?」
「……へ?」
それは演技でもなんでもなく、本心からのものであるように見えた。
しかしだからこそ、セーナは意味が分からず、ポカンとするしかないのであった。
はっきりと視界に映るその光景を眺めながら、感嘆するように呟く。
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前世でセーナが世話になっていた先は王宮であったし、聖女と扱われるだけに相応しい環境ではあった。
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姉達以外からはまともに相手にされなかったという事実にさえ目を閉じれば、やることが特になかったこともあり、快適さは前世以上だったと言えるかもしれない。
とはいえ折角異世界の、それもファンタジーな世界に来たのである。
どうせならばもっと、それらしい場所を見たいではないか。
書物などを通しそれらしいものを見ることは出来たものの、セーナはやはり自分の目で見たかったのだ。
そしてこの村の様子というのは、まさにセーナの期待していた通りだったのである。
これぞまさに、ファンタジー世界の村といった様相であった。
そんな若干失礼なことを考えながらも、セーナはその場を見渡しながら、さてどうしたものかと考える。
この村は街道に沿って歩いた先にあった村だ。
つまりは、言い方は変かもしれないが、しっかりした村で、訪れる者も珍しくないはずである。
宿は勿論のこと、雑貨屋であったり武器屋であったり、きっとそういうのがあるはずだ。
そのどこから行ってみようかと、ワクワクしながら悩み……その時であった。
「――おや、客人かね? こんな村に来るなんて、随分な物好きもいたもんだ」
聞こえた声に視線を向ければ、そこにいたのは四十代ぐらいの女性であった。
人のよさそうな笑みを浮かべ、だがどことなく不思議そうな目を向けてきている。
しかし不思議に思うのはセーナも同じだ。
「物好きって……ここって、領主の治めている街から最も近い場所にある村ですよね? むしろ人はよく訪れると思うのですが……」
「確かにここは街から近いけど、ご覧の通り寂れた場所だからね。一応宿ぐらいはあるけど、他にあるのはここに住んでる連中の家ばっかだし、ここで泊まるぐらいなら野宿すんのと大差ない。大半の連中は素通りしていくのさ」
なんと、確かに寂れた村だとは思ったが、これが異世界の標準ではないらしい。
しかも宿だけしかないという。
色々な意味でがっかりだと、再び失礼なことを思うが、気を取り直す。
ここが標準的な村だろうとそうでなかろうと、セーナの思い描く異世界らしい村であることに変わりはなく、そこに泊まる事が出来るのだ。
ならばそれで一先ずはよしとすべきだろう。
「というか、そもそもあんた馬車で来たんじゃないのかい? まさかわざわざ途中で降りたんじゃないだろうね? 誰かしら注意するもんだと思うんだが……」
「え? いえ、馬車ではなく歩いてきましたが?」
この世界の基本的な移動手段が馬車であるというのは知っている。
だが馬車の乗り場というのは街の中にあるものだし、それに馬車に乗らずとも数時間で村に着くということは姉達から聞いていたのだ。
実際こうして着いたわけで……まあ、問題がなかったというわけではないのだが――
「……もしかして、一日歩き詰めか、それとも途中で野宿してきたってのかね? そこまで困窮してるってんなら、やっぱここには寄らない方がいいと思うよ? 若い身なんだから、屋根のある場所で寝たいってのは分からなくもないけど、寂れてるとは言っても宿は安いわけでもないしね」
「いえ、歩き詰めでなければ、野宿もしてませんよ? 街を出たのは今朝でしたし」
「今朝って……あんた、もしかして冒険者なのかね? そんな身なりで……いや、言われてみれば、確かに歩き詰めだったり野宿したりにしては綺麗過ぎるけど……」
女性の言葉に、ああ、数時間というのはやはり冒険者基準だったのかと納得する。
というのも、確かに数時間で着きはしたものの、厳密には歩きではなく走ってきたからだ。
一時間程度歩いた時点で地平線の先に何も見えなかった時点で、これは歩いていたのでは今日中に村に辿り着かないと悟ったからである。
無論数時間ずっと走り続けるだけの体力はセーナにはない。
しかしセーナには聖女とまで呼ばれた癒しの力があった。
この癒しの力は色々と便利であり、傷や病以外のものも大体のものは治そうと思えば治る。
体力や疲労の回復もまた可能なのだ。
そのため、全力で走りながらも回復し続けることで、ここまで走り続ける事が出来たのであった。
数時間と考えれば長いようにも思えるが、前世では半日以上同じことをしていたのだから大したことはあるまい。
それにぶっ続けとは言いつつも、実際には二、三分に一度ぐらいだ。
力を使うのも自分一人に対してであるし、前世の頃にやっていたことと比べれば大分楽であった。
と、そんなことを考えていると、ふと女性の手に視線が向いた。
そこにある傷に気付いたのだ。
「あの、その手どうしたんですか?」
「ん? ああ、これかね? なに、ちょっと畑仕事でやっちまっただけさ。ツバでも付けときゃ治るだろうし、気にするこたないよ」
「いえ、駄目ですよ、そんなの……あ、そうです。すいません、少し時間大丈夫ですか? 宿の場所まで案内して欲しいのですが……」
そう提案したのは、その対価として手の治療を行おうと思ったからであった。
小さな傷みたいなので、治すのは簡単に出来る。
だが、前世の頃にセーナはしっかり言い含められていた。
癒しの力というのは自然の力ではないため、使う時にはしっかり対価を取れ、と。
人というものは楽な方へと流されてしまいがちだから、そうして戒めなければならないのだ、と。
前世でもセーナ自身が取り立てることはしていなかったものの、その辺は王国側が管理していたはずなので、しっかり対価は取っていたはずである。
ともあれそういうわけで、女性の手を癒すために、セーナはそんな提案をしたのだ。
「うん? まあ今日の畑仕事は終わったけど……すぐそこなんだから、別に案内するまでもなく説明するだけで分かると思うけどねえ」
「いえ、それだけですと対価として十分か分かりませんので」
「よく分かんないけど……ま、いいさ。別に構わないよ」
「ありがとうございます! では、契約は成ったということで……先払いしてしまいますね」
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そして。
「――『癒し』を」
告げた瞬間、セーナの手が淡く光り、その光が女性の手へと移っていく。
光はすぐに消え、そうして後に残ったのは、傷一つなくなった女性の手であった。
小さな傷跡が沢山あったのでそれもついでに治してしまったが……まあこのぐらいのおまけは構わないだろう。
「はい、これでもう大丈夫だと……あの? どうかしました?」
セーナがそう尋ねたのは、何故だか女性が目を見開いて自分の手を見つめていたからだ。
恐る恐るといった様子でセーナのことを伺い、その口がゆっくりと開かれる。
「あんた……まさか、冒険者は冒険者でも、治癒士かね……?」
「あ、はい、そうですね……まだ志望といったところなんですが」
治癒士とは文字通り治癒を得意とする者のことである。
戦士だとか魔導士だとか、そういう区分の一つだ。
実は下の姉も治癒士であり、そんな下の姉の話を聞いていたからこそ、セーナは自分でも冒険者になれるのではないかと思ったのだ。
セーナが聖女としての力を持っていることがバレたら面倒なことになりそうだと思ってはいても、こうして躊躇なく癒しの力を使ったのもそれが理由であり――だから、直後に女性が見せた反応はセーナにとって予想外でしかなかった。
女性は恐怖をその顔に浮かべると、慌ててその場から飛び退いたのである。
「ひっ……!? な、なんだいこんな真似して……!? あたしから大金をせびろうとしたって、そんなもの持ってないよ……!?」
「……へ?」
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