うすばかげろう 変人遊女と偏屈職人、命燃やせや、一夜の恋に

 吉原の遊郭・峯屋で一二を争う遊女・涼香と朝霧はある夜、表からじっと中を睨む男・伊三次に気付く。
 天真爛漫、怖い物知らずの涼香は真っ向から睨み返し、見事撃退。客からやんやの喝采を浴びた。

 当時、涼香は豪商・常盤屋に見初められ、身請けが決まって順風満帆の勢いだ。

 伊三次が自分の馴染み客・巳代松の知人で飾り職人と知った朝霧は、微かな嫉妬をはらすべく、悪戯を企む。
 常盤屋から涼香が貰った銀簪を盗み、代りの簪を作るよう涼香が伊三次へ頼むしかない状況へ追い込んだのだ。
 
 密かに会った二人は話が全くかみ合わず、隠し部屋に潜む朝霧を大笑いさせる。
 だが廓を睨む行為が伊三次の修行の一環と知った涼香は、そのひたむきな態度に惹かれ始める。
 伊三次も又、廓で純真な心を保つ涼香に惹かれ、彼女の簪作りへ魂を込める。
 
 常盤屋に身請けされる日が迫っても不器用な恋の炎は燃え盛る一方。
 責任を感じ、朝霧と巳代松は二人の為に奔走するのだが……

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