縁側

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縁側

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「なぁ、おばーちゃんってなんでそんなしわくちゃなん?」
暖かい日差しの射し込む縁側。私はおばーちゃんを見上げた。
下から見上げたおばーちゃんは、やっぱりしわくちゃで、目がどこにあるかわからないくらいだった。手もなんだかごちゃごちゃしていて、自分の手とは違った小ささがある。
そんなごちゃごちゃな手で、お茶の入った湯のみを撫でている。

縁側に寝転がる私は、先ほどの問いの答えを待ち、じっとおばーちゃんを見た。
おばーちゃんは優しい顔しながら、座っていた。まっすぐ前を見て。前なんか見ても、草と石と水道と、一本の紅葉の木があるだけなんだけどな。


あまりにもおばーちゃんがずーっと前を見てるものだから、私はむかっとして、
「無視はいけないんだよ!先生言ってたもん!」
って、叫んだ。ぐっと頭を持ち上げて、がっと睨んでやった。
おばーちゃんは、はっとした顔で、こちらを見た。
「あぁ。ごめんねぇ。聞こえなかったよ。もう一度、言っておくれ。」
ちゃんと言ったのに、聞こえないってどういうことだよ。なんだか急にいらいらしてきた。
「もういいもん!おばーちゃんなんかひとりでいればいいんだ!」
おばーちゃんは悲しそうな顔をしていた。それでも私はちゃんと言ったんだ。聞いてないおばーちゃんが悪いんだ。悲しい思いしたって知るものか。せっかく春休みで遊びに来たのに。

「今日はこんなに静かな日なんだから、小さい声でも聞こえるはずなのにねぇ。ごめんねぇ。」



私の耳には、家のすぐ横に流れる小川と、それで回る水車の音が、とても大きな音に聞こえていた。
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