樹上の未来録(樹上都市 ~スーパー・プラントの冒険~改題)

Toshiaki・U

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6 超マングローブ作戦(後)

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 「さすがは、本物の軍隊と言うべきか、ほとんどミスなく、無駄なく、消波ブロックを設置していきますね」
 遥樹(はるき)が双眼鏡をのぞき込みながら、海上自衛隊の川崎航空士に話しかける。遥樹は、オスプレイ部隊の消波ブロックの位置決めに注意を与える機会はほとんどなく、時折、長距離飛行中に風圧によって枝や幹に損傷を激しく受けたフタバナヒルギを機体の下に認めるたびに、設置すべきかを、川崎航空士やリチャード中佐に確認する程度になっていた。その都度、消波ブロック単体でも波砕効果が若干でも加わることが期待できることから、設置の続行が決められていた。
 川崎航空士が身を乗り出して、前方で展開する設置作業を眺めながら答える。
 「普段から米海兵隊のオスプレイ部隊は、沖縄でコンクリート・ブロックの吊り下げ移動訓練を積んでいるからな。今日は、敵襲の心配もなし、彼らには準備運動ぐらいのもんだろう」
 遥樹は、最近のテレビ報道で見て、沖縄でオスプレイによる吊り下げ訓練について落下事故の恐れがあるとして、現地では村議らも巻き込んだ住民反対運動が起きていたのを思い出し、口の中が少し苦くなるのを感じた。
 遥樹は、双眼鏡を下ろして、沖ノ鳥島の全景を眺めてみる。到着から三、四時間の間に北小島の円形コンクリート・ブロックの周囲へのフタバナヒルギ付き消波ブロックの設置は、あらかた完了し、濃い緑のマングローブのいわば街路樹がサークル状に囲う具合になっている。一キロほど向こうの東小島にも、後続のオスプレイ部隊が到着し、遅ればせながら、七割がたの設置作業を終えている。
 「ファースト・ルーテナント(中佐)・リチャード、そして楠木くん、そろそろ記念すべき北小島への最後のワン・ピースを嵌(は)めに行こうじゃないか」 海上自衛隊の川崎航空士が、もったいぶった言い方で切り出した。東京ヘリポートで受けたブリーフィングでは、北小島への最後の設置は、遥樹が搭乗する機が行う手はずになっていた。川崎航空士が両手で何やらブロック・サインをリチャード中佐に送った。
 リチャード中佐は、うなずくと航空ヘルメットの口元にあるマイクを通じて、他機にメッセージを発信した。
 「This is 00. I will take off, now〈アイ・ウィル・テイク・オフ・ナウ〉.」(こちら部隊長機だ。ただちに発進する)
 リチャード中佐が左手でスロットル・レバーを後方にゆっくり引きながら、ひざのあいだの操縦桿を進行方向、前方に傾けると、機体がゆるやかに前方に降下を始めた。
 北小島の円形コンクリート・ブロックが、次第にヘリコプター一機分ほどのヘリポートのような実感ある広さを持って目の前に迫ってくる。コンクリート・ブロックは、表面が黒ずみ、確かに古びた感じだ。周囲に設置された消波ブロックに括り付けられた樹高五、六メートルのフタバナヒルギの列が、オスプレイのチルトローターから繰り出される強力なプロペラ気流によって、枝葉や幹が激しく掻き乱されている。一番手前に、わずかにフタバナヒルギが設置されていない隙間が見えている。どうやら、そこに仕上げの消波ブロックを設置するようだ。
 海上自衛隊の川崎航空士が機体の真下を観察するため、目の前に横に二つ並ぶ液晶ディスプレイのうち、片方のパネルを操作してカメラを切り替える。機体下部のセンサー・ポッドから真下の映像が映し出される。
 機体がすっかり北小島の円形コンクリート・ブロックの縁のフタバナヒルギの手前側の列に覆い被さる態勢に入ると、川崎航空士が「Back〈バック〉」(後退)、「Ahead〈アヘッド〉」(前進)、あるいは「Right〈ライト〉」(右へ)、「Left〈レフト〉」(左へ)などと、位置の微修正をリチャード中佐に送る。しばしのわずかな往復のあと、「Stay〈ステイ〉」(止まれ)と川崎航空士が合図した。
 この時、異変が起きた。
 座席の背もたれに、背中がぐっと硬く強く押し付けられるのを、遥樹は感じた。
 リチャード中佐と海上自衛隊の川崎航空士も、背もたれに上半身がたたき付けられる具合になるのが、遥樹の視界に入った。かすかな悲鳴ともとれる、うめき声が耳に伝わってくる。いや、機外から、猛烈な強風の音が響いてきているのだ。
 オスプレイの機体が急速に前進し、北小島の円形コンクリート・ブロックの向こう側のフタバナヒルギの列を、あっと言う間に、飛び越えていく。
 おそらく、機体下に吊るしている消波ブロックが、北小島の周囲に設置したフタバナヒルギの枝か幹に引っ掛かったのだろう。機体が前のめりになって、瞬く間に速力が衰えるのが感じられる。遥樹は、上半身が前方に振られ、安全ベルトで腹部が圧迫されるのを感じた。機体下部から、不気味に軋(きし)む音が伝わる。
 機体が不安定になって、ゆっくり左回転を始める。プロペラを回すチルトローターのエンジン音が甲高くなったり、低くなったり、不気味に響く。一八〇度ほど回って、真後ろ、西方の上空を視界に収める態勢になって、機上の三人は、異変の元凶らしき現象に気づかされることになった。
 「ス、スーパー・セル。超巨大な、積乱雲?!」 川崎航空士が、しぼり出すような声色でうめいた。
 オスプレイの編隊が沖ノ鳥島に到着し始めた頃、西方の海上に、ごくありきたりの入道雲が浮かんでいた。フタバナヒルギを括った消波ブロックを設置する三、四時間の間に、巨大な積乱雲に成長していたのだった。オスプレイ部隊の各機も、設置作業に集中していて、異変の予兆に気付かなかった。遥樹が叫ぶ。
 「遥か遠くの大型積乱雲の下に、集中豪雨が見えます。この強風は、多分、ダウン・バーストによるものです」
 海上を、真っ白な水しぶきが、吹雪のように押し寄せ、すさまじい勢いで後方に流れ去っていく。真っ白な濃い霧で、操縦席からの視界がせばまる。外部の冷気が機体の金属の壁を伝わるのか、急速に機内の気温が低くなり、ひやりとした空気が流れる。操縦席の窓に、大粒の水しぶきが、ぶち当たってくる。機体がきしんで、悲鳴のような金属音を上げる。
 「このままでは、失速する。悪いが、君のマングローブを、ここで捨てるぞ!」   川崎航空士が、装置の一部を操作すると、消波ブロックにつながるロープが切り離されたらしい。機体が、ふわりと浮かび上がると同時に、強力な風圧で一気に東方、環礁の内側に押し込まれるのが感じられた。機体の、左回転が止まらない。警報装置が、甲高く電子的なアラーム音を響かせ始めた。
 「き、緊急事態! This is an emergency!」 航空士が叫ぶ。「Engine trouble!」(エンジン・トラブル!)
 「Report situation!〈レポート・シチュエーション〉」(状況報告を!) リチャード中佐が返す。機体の左側から不快な金属音が伝わると同時に、がくんと操縦席が左に傾いた。機体の高度も低下する。
 「Left tilt-rotor is stall!〈レフト・チルトローター・イズ・ストール!〉」(左側のチルトローターが停止!) 左翼のプロペラが停止したためか、偶然にも、機体の左回転が弱まってきた。
 「Restore power!〈リストア・パワー!〉 Use right tilt-rotor!〈ユーズ・ライト・チルトローター〉」(出力を回復せよ! 右側チルトローター動力を使用!) リチャード中佐が川崎航空士に指示した。
 タイミングを計りながら、川崎航空士が機器類を操作する。機体の左側からプロペラの風切り音が伝わり始めた。右側のチルトローターの動力を左側のプロペラにも伝達する緊急的な操作がうまく働いたようだ。
 「おおっ――」と三人が歓声を上げる。
 と、ほぼ同時に、今度は機体がやじろべえのように、右翼と左翼が交互に上下するシーソー運動に陥った。ダウン・バーストの強風が機体の安定を妨げているようだ。割とゆっくりとはいえ、大きく身体を左右に振られる。川崎航空士がしばらく機器類と格闘しているが、機体の制御が回復しない。リチャード中佐が声を絞り出す。「Beyond control〈ビヨンド・コントロール〉」(操縦不能だ)
 僚機からの無線通信が続々と入ってくる。
 「This is Sierra-4. Engine trouble!」(こちら、シエラ隊四番機、エンジン・トラブル!)
 「This is Tango-7. Beyond control!」(こちら、タンゴ隊七番機、操縦不能!)
 「M'aider, M'aider!〈メーデー、メーデー!〉 This is Romeo-9〈ディス・イズ・ロメオ・ナイン〉」(緊急事態、緊急事態! こちら、ロメオ隊九番機) 
 ここで、長距離無線通信が入った。
 「こちら、東京ヘリポートの司令部、島田だ。そちらの緊急警報信号を受信した。航空士、状況を知らせっ」 苦しい姿勢で、海上自衛隊の川崎航空士が、途切れ途切れに応答する。
 「こちら、部隊長機。天候が急変、ダウン・バーストの影響で、操縦不能! 東小島で作業中の、少なくとも僚機三機も、故障発生!」 予想外の事態だったからか、しばし沈黙したあと、島田一等海佐は、命令を発した。
 「司令部より達する。故障機は、環礁の浅瀬に不時着を試みよ。北小島、東小島への着陸は禁じる。僚機同士の空中衝突を避けるため、無人観測施設の敷地への着陸も禁ずる。天候が回復し次第、本土より救援機を送るから、到着を待て。民間人の安全を優先せよ。作戦は中止。機体が万全な機は、ただちに硫黄島基地に撤退せよ。以上だ」
 通信が切れると、川崎航空士はリチャード中佐に向かって叫んだ。「Abort mission! Abort mission!〈アボート・ミッション、アボート・ミッション!〉 Aircraft defective must touch down to shoal lagoon〈エアークラフト・ディフェクティブ・マスト・タッチ・ダウン・トゥー・ショール・ラグーン〉. Other aircraft must retreat to Iwo-Jima Base!〈アザー・エアークラフト・マスト・リトリート・トゥー・イオージマ・ベイス!〉」(作戦中止、作戦中止! 故障機は、環礁の浅瀬に不時着せよ。無事な機は、硫黄島基地に撤退!)
 アメリカ海兵隊のリチャード中佐は、ネイティブな英語で僚機に手短に命令を伝達すると、揺れる機体を立て直そうと操縦を試みながら、環礁の淵の浅瀬に機を寄せようとする。川崎航空士が環礁の外側に機体がはみ出ないように英語でリチャード中佐に注意する。環礁の外側は、急斜面の深海になっていて、墜落したら二度と戻れないという。環礁の中ならば、三~五メートルほどの水深だという。
 リチャード中佐がひざの間の操縦桿を駆使して、かろうじて機首を風上に向ける と、固定翼に揚力が生まれ、いくぶん機体の姿勢が安定した。ただし高度は低く、いつ海面に接してもおかしくないほどの高さだ。
 と、ひときわ大きな音響で警報装置が鳴り始めた。川崎航空士が計器類を目ざとく確認する。「キャビンかっ」と色めき立つと同時に、航空ヘルメットのマイクを機内無線に合わせて、キャビン内の海上自衛隊の乗組員に呼びかけた。
 「こちら、コクピット。キャビン内から異常発生の警報が出ているが、状況を知らせ!」 やや間を置いて、返信が来た。
 「機体の異常振動中に、キャビン壁面の配線から、ショートによる火災が発生! 機体振動中に消火不可だったため、機体が落ち着いた現在より、消火活動に入る。三個ある補助燃料MATへの延焼を防止する!」 音声にかぶさって、消火器の噴出音や、英語と日本語が入り乱れた怒号が聞こえる。
 「What's up with cabin?〈ワッツ・アップ・ウィズ・キャビン?〉」(キャビン内がどうした?) リチャード中佐が川崎航空士に訊く。やや震えた声で川崎航空士が答える。
 「Cabin caught fire!〈キャビン・コート・ファイア!〉」(キャビンで火災発生!)
 リチャード中佐が反射的に指示する。「Cast MAT out!〈キャスト・エムエイティ・アウト!〉 Right now!〈ライト・ナウ!〉」(補助燃料を投棄しろ! ただちにだ!)
 川崎航空士がただちに伝達したが、キャビンから断末魔のような絶叫が届いた。
 「消火が、間に合いません! あと五分以内で、火がキャビン全体に回ります!」
 川崎航空士は、消火不能をリチャード中佐に告げ、即時脱出を具申した。リチャード中佐が、声を低めて応える。
 「The bailout is OK.〈ザ・ベイルアウト・イズ・オーケイ〉」(脱出を許可するよ)
 川崎航空士がただちに指示をキャビンに伝達すると、上半身をねじって、後ろの遥樹に強い口調で呼びかけた。
 「楠木くん! こんな事態になって、済まない。いま搭乗口を開けるから、海に向かって飛び込めっ! でないと、この機ごと、吹っ飛ぶぞ!」
 躊躇している場面ではない。
 遥樹は腰の安全ベルトを外すと、眉をひそめて見つめてくる川崎航空士に目礼し、片や操縦桿を必死に握り締めて前方を向いたままのリチャード中佐にも会釈を送り、すぐ後ろ、機体右側の搭乗口に向かった。
 搭乗口にはダウン・バーストによる激しい風と大粒の雨しずく、海面からの水しぶきが、渾然一体となって、巨獣が吼(ほ)えるような風音とともに、顔や体に吹き付ける。波打つ海面からの高さは、六、七メートルぐらいか。
 遥樹は、意を決して、空中に身を躍らせた。すぐさま凄まじい風にあおられて、オスプレイの後方に体をさらわれる。着水する場所がすぐに珊瑚礁だった場合、骨折、負傷の危険がある。衝撃を分散できるように、身体を丸めて落下に身を任せる。あとは、運次第だ、と遥樹は思った。
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