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トーム攻略編
第83話 辛勝
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「大地は・・・一体何をしているの?」
遅れてきたリリスの治療により動ける程度に回復していたメリアはSRの光の中にいる大地達を見つめていた。
「おいリリス! 犬斗の旦那を連れてきたぞ!」
「そんなこと見てれば分かる。早く犬斗を降ろせ。」
犬斗を肩に担いできたドグマにリリスが厳しい口調で早く犬斗を地面に降ろすように促す。
ドグマはそこまで強く言わなくてもと渋い顔をしながらリリスの足元に犬斗を丁寧に降ろす。
「リリスさん・・・?」
「よくぞ無事でいてくれた。私が来たからにはもう安心だぞ。」
「果たしてこれは無事と呼べるものなのでしょうか・・・?」
リリスはすかさずポーションを取り出すと犬斗の身体に巡らせていく。
「リリスさん・・・大地さんは?」
「正直私にもよくわからないのだよ。大地の治療をしていた時、何やら新しい小型の装置みたいな物を多量に試作していたのは知っているんだが。実際あれがどのようなものか私もドグマを教えてもらっていなくてな。」
「まぁ大地の旦那のことだ。何かしら考えがあるんだろうよ。」
犬斗はリリス達の言葉を聞きながら、メリア同様にSRの光に包まれている大地の姿を心配そうに見つめ続けていた。
メリア達が心配そうに見つめている中、アーヴは大地の拷問により悲痛な雄叫びをあげていた。
「うぎゃぁぁぁああ!」
アーヴの両手両足は繋いでは切られ、繋いでは切られを繰り返されていた。
断続的に襲ってくる激痛に絶え間なく悲鳴を上げていくアーヴ。
大地は犬斗やメリアをあのようにしたアーヴに対して怒りと呼ぶには生易しい程の感情を持っていた。
人の所業とは思えない残虐な拷問を繰り返す大地に思わずアーヴが吠える。
「お前に人の心はないのか!? 確かに私はお前達を生体実験に使用とした。しかしそれはあくまで国の技術の発展の為だ。それに比べお前がやっていることは感情に任せたただの暴力ではないか!」
「おいおい。俺だって好きでこんな事をしてるわけじゃないんだぞ? 圧倒的な力を誇るお前を殺すにはもうこれしか方法がないんだ。」
「私を殺したいのであればこの首を刈り取れば良いだけだろ! わざわざ何度も腕や足を切り落とす必要はない!」
「なんだお前死にたいのか?」
「お前の玩具になるぐらいなら、死んだ方がマシだ。」
「そうかじゃあ一回死んどくか?」
大地がそう告げた瞬間。アーヴの首が切り取られ、地面へと落ちていく。
首を刈り取られたことで視界が黒く染まっていくアーヴ。
あぁ・・・やっとこの痛みから解放される。
アーヴは死を持ってしてやっとこの地獄の拷問から解放されると安堵する。
しかし大地がそう簡単にアーヴに対しての拷問を終わらせることがあるはず無かった。
「なっ! 何故死んでいない・・・」
アーヴは黒く染まったはずの視界が再度大地の姿を捉えたことに驚愕する。
「一回死んだ気分はどうだ?」
目の前の大地がアーヴに静かに問いかける。
「どういうことなのだ・・・? 私は確かに首を切られて死んだはず・・・一体どういうことなのだ! 大地答えろぉ!」
アーヴは首を切られて死んだはずの自分の首が身体にくっついていることが理解出来ず、錯乱した様子を見せ始める。
「おい大地答えろ! 一体お前は私に何をした!? どうして死ぬことが出来ない!?」
アーヴは恐怖に歪ませた顔で必死に大地に問いかける。
しかし大地はアーヴの問いに答えることなくアーヴの身体を切り刻んでいく。
「やめろぉ! やめてくれぇ!」
アーヴに悲痛な叫びが響き渡っていく。
それからアーヴにとっては永遠とも思える地獄の時間が過ぎていった。
「あが・・・あがが・・・」
何度も身体を切り刻まれ、幾重にも死の経験をしたアーヴはもはや言葉を発することすら難しい状態になっていた。
「そろそろか。」
やだひたすら嗚咽のような言葉しか発することしか出来なくなっているアーヴを見て、精神を壊していると判断した大地はアーヴの耳元まで顔を持っていく。
「死にたいか?」
「じ・・に・・・だい・・」
アーヴは恐怖により元の形状すらわからなくなった顔を必死に大地に向けて懇願する。
「そうか。じゃあそろそろ終わらせてやろうか。」
大地がこの地獄を終わりを告げると、アーヴの顔から笑みがこぼれていく。
あぁ・・・やっと死ねる。
やっとこの地獄から解放される。
「・・・・・・・」
「おい? はぁ・・・勝手に死んでんじゃねえよ。」
アーヴは天を見上げたまま、物言わぬ銅像となり果てていた。
「まぁこんだけやればストレスで死んでもおかしくないか。」
大地は表情を変えることなく動かないアーヴを見つめていた。
幸せそうな顔のまま動かないアーヴ。
アーヴの様子を見た大地はSRからの光の射出を止めた。
大地とアーヴを包んでいた光の膜が解かれていく。
大地は少し緊張した面持ちでアーヴを見つめていた。
ノーシーボ効果により精神的に追い詰めることでアーヴを無力化する作戦が果たして成功しているのか。
もし成功していなければペンタゴンはアーヴ一人の手によって壊滅させられるだろう。
やるだけのことはした。後は祈ることぐらいしか出来ない。
大地が見つめる中、SRの光が無くなりアーヴの姿が元の状態へと変わっていく。
大地は警戒態勢を強めながらアーヴの様子を見つめ続ける。
「おい! 聞こえているかアーヴ?」
「・・・・・・・・」
SRの光が解かれてもなお動きを見せないアーヴに大地は声をかけていく。
何度も声をかけても反応の無いアーヴを見て大地はゆっくりとアーヴへと近づいていく。
そしてアーヴの前まで来た大地がアーヴの肩に触れた時。
アーヴは力なくそのまま後ろに倒れた。
「倒せたのか・・・勝ったぞぉ! メリア! 犬斗! 俺達の勝ちだ!」
アーヴが倒れたことで勝利を確信した大地は大きなガッツポーズを掲げながら勝利の雄叫びを挙げた。
「え・・・? 大地さん本当に勝ったんですか?」
「嘘でしょ・・・本当に何もかもが規格外ね・・・」
実際にアーヴと戦い手も足も出なかった犬斗とメリアはいまだに大地がアーヴに勝利したことを信じれなかった。
「はっはっはっは! さすが我らの王だな!」
「ドグマ何を言っている?」
開戦直後に大地の考えを聞いていたドグマは思わず大地を王と呼んでいた。
しかしそんなことを知らないリリスは高笑いを挙げているドグマに怪訝そうな顔を向けていた。
大地が雄叫びを挙げている中、アーヴの身体が急に怪しく光り出した。
「まだ仕留めきれていなかったのか!?」
勝利の雄叫びから一転警戒を強める大地。
しかしアーヴから漏れ出た光は大地と犬斗とメリアに誘われるように動きだすと三人の中へと入っていった。
「これはまさか・・・」
「魔力と能力値が戻ってる!?」
どうやら漏れ出た光はアーヴが吸収して奪っていた魔力と能力値だったらしい。
アーヴの死により吸収魔法が解かれたことで、本来の場所へと帰ってきたのだろう。
いや待てよ。もしそうだとしたら何故俺の元に魔力と能力値返って来ているんだ?
犬斗とメリアの様子を見て光の正体が吸収した魔力と能力値だということはわかった。
しかしもしそうなら大地に魔力と能力値が戻ってくるのはおかしい。
何故なら大地はアーヴによる吸収魔法を喰らっていないからだ。
「もしかして・・・コピー体か!?」
大地は戦闘の中で唯一アーヴに吸収されたコピー体達の事を思い出した。
「コピー体から吸収した能力値が俺の中に入ってきたってことか?」
大地はコピー体から吸収したはずのものが何故オリジナルである自分に帰ってきたのか理由がわからず困惑した様子を見せたが、今はこんな事を考えている場合ではないと犬斗とメリアの元へと向かう。
「どうだ大丈夫か?」
「おかげ様で何とか・・・」
「あんたどうやってあんな化け物倒したのよ・・・」
大地は二人に声を掛けながらインプットを行う。どうやら元の能力値に戻っているようだ。
犬斗とメリアの能力値が元に戻っていることにひとまず安堵する大地。しかしそんな大地の身体に異変が現れた。
あれ・・・身体に力が入らない・・・
地面にそのまま倒れる大地。急に倒れた大地にメリア達も慌てた様子で声をかけている。
これは魔力枯渇か?
まぁ急ごしらえで作成したものだからな。気付かない内に魔力を大量に消費していたのか・・・
SRにより多量の魔力を消費していた大地は自身でも気付かない内に魔力枯渇を起こしていた。
自身の魔力枯渇に気付かない程アーヴとの戦いに没頭していたのだろう。
薄れゆく意識の中、大地は念話でメリアと犬斗に戦争の終結を託すと、そのまま意識を失った。
遅れてきたリリスの治療により動ける程度に回復していたメリアはSRの光の中にいる大地達を見つめていた。
「おいリリス! 犬斗の旦那を連れてきたぞ!」
「そんなこと見てれば分かる。早く犬斗を降ろせ。」
犬斗を肩に担いできたドグマにリリスが厳しい口調で早く犬斗を地面に降ろすように促す。
ドグマはそこまで強く言わなくてもと渋い顔をしながらリリスの足元に犬斗を丁寧に降ろす。
「リリスさん・・・?」
「よくぞ無事でいてくれた。私が来たからにはもう安心だぞ。」
「果たしてこれは無事と呼べるものなのでしょうか・・・?」
リリスはすかさずポーションを取り出すと犬斗の身体に巡らせていく。
「リリスさん・・・大地さんは?」
「正直私にもよくわからないのだよ。大地の治療をしていた時、何やら新しい小型の装置みたいな物を多量に試作していたのは知っているんだが。実際あれがどのようなものか私もドグマを教えてもらっていなくてな。」
「まぁ大地の旦那のことだ。何かしら考えがあるんだろうよ。」
犬斗はリリス達の言葉を聞きながら、メリア同様にSRの光に包まれている大地の姿を心配そうに見つめ続けていた。
メリア達が心配そうに見つめている中、アーヴは大地の拷問により悲痛な雄叫びをあげていた。
「うぎゃぁぁぁああ!」
アーヴの両手両足は繋いでは切られ、繋いでは切られを繰り返されていた。
断続的に襲ってくる激痛に絶え間なく悲鳴を上げていくアーヴ。
大地は犬斗やメリアをあのようにしたアーヴに対して怒りと呼ぶには生易しい程の感情を持っていた。
人の所業とは思えない残虐な拷問を繰り返す大地に思わずアーヴが吠える。
「お前に人の心はないのか!? 確かに私はお前達を生体実験に使用とした。しかしそれはあくまで国の技術の発展の為だ。それに比べお前がやっていることは感情に任せたただの暴力ではないか!」
「おいおい。俺だって好きでこんな事をしてるわけじゃないんだぞ? 圧倒的な力を誇るお前を殺すにはもうこれしか方法がないんだ。」
「私を殺したいのであればこの首を刈り取れば良いだけだろ! わざわざ何度も腕や足を切り落とす必要はない!」
「なんだお前死にたいのか?」
「お前の玩具になるぐらいなら、死んだ方がマシだ。」
「そうかじゃあ一回死んどくか?」
大地がそう告げた瞬間。アーヴの首が切り取られ、地面へと落ちていく。
首を刈り取られたことで視界が黒く染まっていくアーヴ。
あぁ・・・やっとこの痛みから解放される。
アーヴは死を持ってしてやっとこの地獄の拷問から解放されると安堵する。
しかし大地がそう簡単にアーヴに対しての拷問を終わらせることがあるはず無かった。
「なっ! 何故死んでいない・・・」
アーヴは黒く染まったはずの視界が再度大地の姿を捉えたことに驚愕する。
「一回死んだ気分はどうだ?」
目の前の大地がアーヴに静かに問いかける。
「どういうことなのだ・・・? 私は確かに首を切られて死んだはず・・・一体どういうことなのだ! 大地答えろぉ!」
アーヴは首を切られて死んだはずの自分の首が身体にくっついていることが理解出来ず、錯乱した様子を見せ始める。
「おい大地答えろ! 一体お前は私に何をした!? どうして死ぬことが出来ない!?」
アーヴは恐怖に歪ませた顔で必死に大地に問いかける。
しかし大地はアーヴの問いに答えることなくアーヴの身体を切り刻んでいく。
「やめろぉ! やめてくれぇ!」
アーヴに悲痛な叫びが響き渡っていく。
それからアーヴにとっては永遠とも思える地獄の時間が過ぎていった。
「あが・・・あがが・・・」
何度も身体を切り刻まれ、幾重にも死の経験をしたアーヴはもはや言葉を発することすら難しい状態になっていた。
「そろそろか。」
やだひたすら嗚咽のような言葉しか発することしか出来なくなっているアーヴを見て、精神を壊していると判断した大地はアーヴの耳元まで顔を持っていく。
「死にたいか?」
「じ・・に・・・だい・・」
アーヴは恐怖により元の形状すらわからなくなった顔を必死に大地に向けて懇願する。
「そうか。じゃあそろそろ終わらせてやろうか。」
大地がこの地獄を終わりを告げると、アーヴの顔から笑みがこぼれていく。
あぁ・・・やっと死ねる。
やっとこの地獄から解放される。
「・・・・・・・」
「おい? はぁ・・・勝手に死んでんじゃねえよ。」
アーヴは天を見上げたまま、物言わぬ銅像となり果てていた。
「まぁこんだけやればストレスで死んでもおかしくないか。」
大地は表情を変えることなく動かないアーヴを見つめていた。
幸せそうな顔のまま動かないアーヴ。
アーヴの様子を見た大地はSRからの光の射出を止めた。
大地とアーヴを包んでいた光の膜が解かれていく。
大地は少し緊張した面持ちでアーヴを見つめていた。
ノーシーボ効果により精神的に追い詰めることでアーヴを無力化する作戦が果たして成功しているのか。
もし成功していなければペンタゴンはアーヴ一人の手によって壊滅させられるだろう。
やるだけのことはした。後は祈ることぐらいしか出来ない。
大地が見つめる中、SRの光が無くなりアーヴの姿が元の状態へと変わっていく。
大地は警戒態勢を強めながらアーヴの様子を見つめ続ける。
「おい! 聞こえているかアーヴ?」
「・・・・・・・・」
SRの光が解かれてもなお動きを見せないアーヴに大地は声をかけていく。
何度も声をかけても反応の無いアーヴを見て大地はゆっくりとアーヴへと近づいていく。
そしてアーヴの前まで来た大地がアーヴの肩に触れた時。
アーヴは力なくそのまま後ろに倒れた。
「倒せたのか・・・勝ったぞぉ! メリア! 犬斗! 俺達の勝ちだ!」
アーヴが倒れたことで勝利を確信した大地は大きなガッツポーズを掲げながら勝利の雄叫びを挙げた。
「え・・・? 大地さん本当に勝ったんですか?」
「嘘でしょ・・・本当に何もかもが規格外ね・・・」
実際にアーヴと戦い手も足も出なかった犬斗とメリアはいまだに大地がアーヴに勝利したことを信じれなかった。
「はっはっはっは! さすが我らの王だな!」
「ドグマ何を言っている?」
開戦直後に大地の考えを聞いていたドグマは思わず大地を王と呼んでいた。
しかしそんなことを知らないリリスは高笑いを挙げているドグマに怪訝そうな顔を向けていた。
大地が雄叫びを挙げている中、アーヴの身体が急に怪しく光り出した。
「まだ仕留めきれていなかったのか!?」
勝利の雄叫びから一転警戒を強める大地。
しかしアーヴから漏れ出た光は大地と犬斗とメリアに誘われるように動きだすと三人の中へと入っていった。
「これはまさか・・・」
「魔力と能力値が戻ってる!?」
どうやら漏れ出た光はアーヴが吸収して奪っていた魔力と能力値だったらしい。
アーヴの死により吸収魔法が解かれたことで、本来の場所へと帰ってきたのだろう。
いや待てよ。もしそうだとしたら何故俺の元に魔力と能力値返って来ているんだ?
犬斗とメリアの様子を見て光の正体が吸収した魔力と能力値だということはわかった。
しかしもしそうなら大地に魔力と能力値が戻ってくるのはおかしい。
何故なら大地はアーヴによる吸収魔法を喰らっていないからだ。
「もしかして・・・コピー体か!?」
大地は戦闘の中で唯一アーヴに吸収されたコピー体達の事を思い出した。
「コピー体から吸収した能力値が俺の中に入ってきたってことか?」
大地はコピー体から吸収したはずのものが何故オリジナルである自分に帰ってきたのか理由がわからず困惑した様子を見せたが、今はこんな事を考えている場合ではないと犬斗とメリアの元へと向かう。
「どうだ大丈夫か?」
「おかげ様で何とか・・・」
「あんたどうやってあんな化け物倒したのよ・・・」
大地は二人に声を掛けながらインプットを行う。どうやら元の能力値に戻っているようだ。
犬斗とメリアの能力値が元に戻っていることにひとまず安堵する大地。しかしそんな大地の身体に異変が現れた。
あれ・・・身体に力が入らない・・・
地面にそのまま倒れる大地。急に倒れた大地にメリア達も慌てた様子で声をかけている。
これは魔力枯渇か?
まぁ急ごしらえで作成したものだからな。気付かない内に魔力を大量に消費していたのか・・・
SRにより多量の魔力を消費していた大地は自身でも気付かない内に魔力枯渇を起こしていた。
自身の魔力枯渇に気付かない程アーヴとの戦いに没頭していたのだろう。
薄れゆく意識の中、大地は念話でメリアと犬斗に戦争の終結を託すと、そのまま意識を失った。
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