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トーム攻略編
第21話 クーポラ
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家路についた後、部屋で頭を抱える大地。
現在ボレアス領地の抱える問題は大きく分けて三つあった。
一つは食料事情の問題だ。年中雪が降っているボレアス領地ではまず作物が育たない。
密林でやった時のようにどんな環境でも育つ苗を作れば、作物を育てる事は可能だが、降雪量のせいでそもそも収穫作業に支障が出る。
二つ目の住居環境に関しても建物自体を作成することは可能でも、ボレアス領地の環境に適したものでないと、快適に暮らすことは出来ないだろう。
それに犬斗の魔獣が警備をしてくれているとしても、獣人達が暮らす場所に防衛機能がないのはさすがに不安になる。
そして大地が一番頭を悩ましてるのは最大の問題である三つ目の獣人達の技術、文化の発展だ。
獣人達は他種族から差別され、奴隷の様な生活を強いられてきた者ばかりだ。そんな彼らは他種族の様な独自の技術や魔法も持っている者や鍛冶、酪農等の生産の知識がある者はほとんどいない。
その為、鍛冶や製造の技術、知識の向上を目的とした研究棟の様な建物も必要になってくる。
つまりマイナスを超える寒さや降雪に対応しつつ、用途によって構造の組み換えが容易な形の建造物の量産化が必要になってくるのだ。
大地はなかなか良い案が浮かばず、思案に暮れていた。
結局その夜、大地は明確な答えを出せないまま次の日を迎えることになった。
次の日、大地は犬斗の元へ訪れていた。昨日必死に考えを巡らせた大地であったが、良い案が浮かばず、同じ日本人である犬斗に知恵を借りようと思っていた。
犬斗は居住地の端で魔獣の訓練を行っていた。
犬型の魔獣達はそれぞれ模擬戦をしており、犬斗はそれを眺めながら白虎の上で真剣な顔つきで指示を出していた。
端から見ると鬼教官と訓練生の様な犬斗と魔獣は大地が来たのに気づくと、訓練を一時的止めて大地の方に身体を向ける。
「大地さん! どうしたんですか?」
犬斗はさっきまでの真剣な顔つきではなく、人懐っこい犬の様な表情で大地に話しかけてくる。
大地は現在悩んでいる事を説明すると、犬斗に何か良い案がないか聞く。
「俺の地元は広島の南部だったから、雪なんて年に数えるぐらいしか降らなくてな。正直雪への対策というものには疎いんだよ。だからいい考えが浮かばなくてな。」
「大地さん地元広島だったんですね! 僕の生まれは北海道なんで雪には慣れてますよ!」
「犬斗北海道生まれなのか!? 道理でこの寒さの中コートも来てないわけだ。」
「いやいや! 北海道民は寒さにはめっぽう弱いですよ! 寒い時はマイナス二十度下回るんですよ! 今だって白虎の上にいるからコートを着なくても大丈夫なだけで、白虎が居なければ今頃凍死してますよ!」
北海道民へのありがちな誤解を解きながら犬斗は白虎の頭を撫でる。白虎もその巨体に似合わない可愛らしい仕草を見せながら喉を鳴らす。
大地は犬斗に北海道に住んでいた時の防寒対策や雪対策で使えそうなものはないか犬斗に聞く。
「う~んそうですね・・農業に関してはビニールハウスを活用してる所は多かったですよ。後は複層ガラスとか二重窓とかは一般的ですかね。後FF式石油ファンヒーターって知ってますか? 部屋の空気を汚さないので換気の必要がない暖房器具なんですけど。」
「確かにそれが雪や防寒に役立つ物だってのはわかるんだが、もっとこう画期的の物はないのか?」
「そう言われましても北海道も完全に雪や寒さに対応出来ているわけじゃないんですよ。正直うんざりするぐらい毎日雪かきに追われてますし。」
「じゃあ逆に雪を利用して何か出来たりしないか?」
「雪を利用ってかき氷でも作るんですか? スキーとか観光事業ぐらいしか思いつかないですけど。あっでもかまくらは良く作りましたよ! 意外とかまくらって暖かいんですよ!」
「・・・・かまくらか。」
大地は急に黙りこみ考え込む。
犬斗は変な事でも言ってしまったのかと勘違いし、少し慌てた様子を見せる。
「大地さん? 僕なんか変な事言いました?」
すると大地は急に顔を上げ、さっきまでの憂鬱そうな顔をが嘘だったかのような陽気な顔を見せると、犬斗の肩を何回もポンポンっと叩きながら、笑みを浮かべた。
「そうだよ! かまくらだ!かまくらだよ! なんでこんな事思いつかなかったんだろうな! 犬斗ありがとう。良い考えが思いついたから部屋戻って、考えを煮詰めてくるわ。」
そう犬斗に告げると大地は意気揚々と自分の部屋へと帰っていった。
何もわからず取り残された犬斗はポカンとした表情をしながら大地の小さくなる背中を見続けていた。
その後大地は部屋で缶詰状態になりながら構想を練っていった。
ルルやガラン達は何日も部屋から出てこない大地を心配して声をかけようとするが、凄い集中力で構想をノートに書き留める大地の姿に、ルル達も声をかけれず、食事を届けるぐらいしか出来なかった。
「今日もか?」
「うん。食事は摂ってくれているみたいだけど。」
「サイラスの所に行ってから何やら頭を悩ませていたからな。」
大地の部屋の前では心配そうな表情を浮かべるルルとガランがいた。
「まぁ食事は摂っているなら、まだ大丈夫だろう。その内部屋から出てくるはずだ。」
「そうだね。とりあえず食事は毎回持っていくことにするよ!」
ルルとガランは大地が出てくるまでの間、出来るだけサポートすることを決め、献身的に食事や飲み物を持っていった。
缶詰状態になって一週間程度経った頃、ついに構想が固まった大地が部屋から出てきた。
「ルルにガランか。俺の部屋の前でどうした?」
これまで大地を心底心配して毎日食事を持っていっていたルル。
それなのに目の前の男は「なんかあったのか」と言わんばかりの顔でポカンと突っ立っていた。
ルルは大地の惚けた表情を見て、顔を真っ赤にして怒り出す。
「どうしたじゃないですよ! こっちが食事を運んでも大地さんは気付いてないし。本当に心配してたんですからね!」
「あっあぁ・・心配をかけた様で悪かったな。食事を運んでたのはルル達だったのか、ありがとう助かったよ。どうにも一度集中すると周りが見えなくなる性分でな。」
「とりあえずはまとまったのか?」
「そうだな。とりあえずはまとまった。色々試してみないとなんとも言えないがな。」
その後ルル達と軽い世間話を交わした大地はガランにサイラスへの伝言をお願いする。
ガランは大地からの依頼を快諾すると、サイラスに伝えに領主館の方へと走っていく。
大地もまとまった構想を再現する為、ルルを連れて居住地へと向かった。
「何? 大地さんが? わかったすぐに出向くとしよう。」
サイラスは大地からの伝言をガランから聞くと、準備を済ませ早々と館を出る。
大地からの伝言には問題解決に繋がる建物の試作をその作るので、時間があれば来てくださいというものだった。
サイラスが大地の力をこの目で見れると胸を躍らせながら、居住地へと向かっていると、既に再現されたその建物の姿が見えてきた。
「なんだこれは・・・」
領主館を遥かに凌ぐ大きさを誇るドーム状の建物を目にしたサイラスは驚愕の表情を浮かべながら建物に見入ってしまう。
「急に呼んでしまいすみません。」
「いや・・それはいいのだが。これはいったい・・・」
大地が居住地まで来てもらったサイラスに挨拶をするが、サイラスは目の前の建物から目を離せない状態になっていた。
その後大地は内部の説明するため、驚愕するサイラスを連れてドームの内部へと入っていく。
ドーム内の廊下を進んでいくと広いホールのような場所に辿りついた。辿りついたホールを見渡したサイラスは思わず感嘆の声をあげていた。
「本当に君は規格外だな・・・規模だけでいえば下手したら帝国の王城にも匹敵するぞ。」
その後、サイラスは大地にドーム状の建物の説明を受けながら各機能を備えている施設内部の案内を受けた。
ドーム状の建物はクーポラという名前が付けられており。内部は五階建ての構造になっていた。
居住用として建てられたクーポラの一階中央は大きなホールとなっており、大地の記憶から再現した大型のシステムキッチンや食事をとる為のテーブルとイスが用意されている。
外から光が入るように天井は吹き抜けになっており、上を覗くと二階以上の各階層には大きな中廊下がドームの内側に沿う形で配置されていた。
吹き抜けとなっている天井には雪が入らないように結界が張られている。
ドームはディシント鋼に大地が改造した低燃費熱晶石を埋めこんだもので作成されており、少量の魔力で十分な暖房効果を生み出すものとなっていた。
各階層の行き来は中廊下へとつながる階段と動晶石に大地が動きをプログラミングして作成したエレベーターを使用する形だ。
二階以上の階層は居住用の部屋が設けられており合計五百人収容できるようになっている。
また獣人の家族形態によって部屋の使い分けが出来るように、ワンルームから2LDKまでの間取りを用意し、二階と四階には二百人規模の大きな風呂場も設けられていた。
「説明はこれくらいですがどうでしょうか?」
「まさかここまでの建造物を作ってしまうとはな・・・これなら獣人達も寒さや雪は気にせず暮らせるだろう。」
「今後はこのクーポラを量産化し、用途に合わせて作った各クーポラを繋げることで要塞都市のようにしていこうと思っています。」
「その要塞都市を完成させるまでどれくらいかかりそうかな?」
「魔力の関係もありますから、一か月は必要かと。」
「そうか。では私は一か月後を楽しみにしながら待つとしよう。全て大地さんに任せる。好きなようにやってくれ。」
「わかりました。」
サイラスは最後に大地に頭を下げると領主館へと戻っていった。
「まさかこれほどとは。」
領主館に戻ったサイラスは椅子に腰掛けると不気味な笑みを浮かべた。
「私は本当についている。」
サイラスは静かに呟くと使用人を呼び出す。
「大地が作成した建物を徹底的に分析しろ。」
「承知致しました。」
使用人はサイラスに一礼すると、すぐさま領主館を出てクーポラへと向かった。
その後領主室にはサイラスの笑い声が響いていた。
現在ボレアス領地の抱える問題は大きく分けて三つあった。
一つは食料事情の問題だ。年中雪が降っているボレアス領地ではまず作物が育たない。
密林でやった時のようにどんな環境でも育つ苗を作れば、作物を育てる事は可能だが、降雪量のせいでそもそも収穫作業に支障が出る。
二つ目の住居環境に関しても建物自体を作成することは可能でも、ボレアス領地の環境に適したものでないと、快適に暮らすことは出来ないだろう。
それに犬斗の魔獣が警備をしてくれているとしても、獣人達が暮らす場所に防衛機能がないのはさすがに不安になる。
そして大地が一番頭を悩ましてるのは最大の問題である三つ目の獣人達の技術、文化の発展だ。
獣人達は他種族から差別され、奴隷の様な生活を強いられてきた者ばかりだ。そんな彼らは他種族の様な独自の技術や魔法も持っている者や鍛冶、酪農等の生産の知識がある者はほとんどいない。
その為、鍛冶や製造の技術、知識の向上を目的とした研究棟の様な建物も必要になってくる。
つまりマイナスを超える寒さや降雪に対応しつつ、用途によって構造の組み換えが容易な形の建造物の量産化が必要になってくるのだ。
大地はなかなか良い案が浮かばず、思案に暮れていた。
結局その夜、大地は明確な答えを出せないまま次の日を迎えることになった。
次の日、大地は犬斗の元へ訪れていた。昨日必死に考えを巡らせた大地であったが、良い案が浮かばず、同じ日本人である犬斗に知恵を借りようと思っていた。
犬斗は居住地の端で魔獣の訓練を行っていた。
犬型の魔獣達はそれぞれ模擬戦をしており、犬斗はそれを眺めながら白虎の上で真剣な顔つきで指示を出していた。
端から見ると鬼教官と訓練生の様な犬斗と魔獣は大地が来たのに気づくと、訓練を一時的止めて大地の方に身体を向ける。
「大地さん! どうしたんですか?」
犬斗はさっきまでの真剣な顔つきではなく、人懐っこい犬の様な表情で大地に話しかけてくる。
大地は現在悩んでいる事を説明すると、犬斗に何か良い案がないか聞く。
「俺の地元は広島の南部だったから、雪なんて年に数えるぐらいしか降らなくてな。正直雪への対策というものには疎いんだよ。だからいい考えが浮かばなくてな。」
「大地さん地元広島だったんですね! 僕の生まれは北海道なんで雪には慣れてますよ!」
「犬斗北海道生まれなのか!? 道理でこの寒さの中コートも来てないわけだ。」
「いやいや! 北海道民は寒さにはめっぽう弱いですよ! 寒い時はマイナス二十度下回るんですよ! 今だって白虎の上にいるからコートを着なくても大丈夫なだけで、白虎が居なければ今頃凍死してますよ!」
北海道民へのありがちな誤解を解きながら犬斗は白虎の頭を撫でる。白虎もその巨体に似合わない可愛らしい仕草を見せながら喉を鳴らす。
大地は犬斗に北海道に住んでいた時の防寒対策や雪対策で使えそうなものはないか犬斗に聞く。
「う~んそうですね・・農業に関してはビニールハウスを活用してる所は多かったですよ。後は複層ガラスとか二重窓とかは一般的ですかね。後FF式石油ファンヒーターって知ってますか? 部屋の空気を汚さないので換気の必要がない暖房器具なんですけど。」
「確かにそれが雪や防寒に役立つ物だってのはわかるんだが、もっとこう画期的の物はないのか?」
「そう言われましても北海道も完全に雪や寒さに対応出来ているわけじゃないんですよ。正直うんざりするぐらい毎日雪かきに追われてますし。」
「じゃあ逆に雪を利用して何か出来たりしないか?」
「雪を利用ってかき氷でも作るんですか? スキーとか観光事業ぐらいしか思いつかないですけど。あっでもかまくらは良く作りましたよ! 意外とかまくらって暖かいんですよ!」
「・・・・かまくらか。」
大地は急に黙りこみ考え込む。
犬斗は変な事でも言ってしまったのかと勘違いし、少し慌てた様子を見せる。
「大地さん? 僕なんか変な事言いました?」
すると大地は急に顔を上げ、さっきまでの憂鬱そうな顔をが嘘だったかのような陽気な顔を見せると、犬斗の肩を何回もポンポンっと叩きながら、笑みを浮かべた。
「そうだよ! かまくらだ!かまくらだよ! なんでこんな事思いつかなかったんだろうな! 犬斗ありがとう。良い考えが思いついたから部屋戻って、考えを煮詰めてくるわ。」
そう犬斗に告げると大地は意気揚々と自分の部屋へと帰っていった。
何もわからず取り残された犬斗はポカンとした表情をしながら大地の小さくなる背中を見続けていた。
その後大地は部屋で缶詰状態になりながら構想を練っていった。
ルルやガラン達は何日も部屋から出てこない大地を心配して声をかけようとするが、凄い集中力で構想をノートに書き留める大地の姿に、ルル達も声をかけれず、食事を届けるぐらいしか出来なかった。
「今日もか?」
「うん。食事は摂ってくれているみたいだけど。」
「サイラスの所に行ってから何やら頭を悩ませていたからな。」
大地の部屋の前では心配そうな表情を浮かべるルルとガランがいた。
「まぁ食事は摂っているなら、まだ大丈夫だろう。その内部屋から出てくるはずだ。」
「そうだね。とりあえず食事は毎回持っていくことにするよ!」
ルルとガランは大地が出てくるまでの間、出来るだけサポートすることを決め、献身的に食事や飲み物を持っていった。
缶詰状態になって一週間程度経った頃、ついに構想が固まった大地が部屋から出てきた。
「ルルにガランか。俺の部屋の前でどうした?」
これまで大地を心底心配して毎日食事を持っていっていたルル。
それなのに目の前の男は「なんかあったのか」と言わんばかりの顔でポカンと突っ立っていた。
ルルは大地の惚けた表情を見て、顔を真っ赤にして怒り出す。
「どうしたじゃないですよ! こっちが食事を運んでも大地さんは気付いてないし。本当に心配してたんですからね!」
「あっあぁ・・心配をかけた様で悪かったな。食事を運んでたのはルル達だったのか、ありがとう助かったよ。どうにも一度集中すると周りが見えなくなる性分でな。」
「とりあえずはまとまったのか?」
「そうだな。とりあえずはまとまった。色々試してみないとなんとも言えないがな。」
その後ルル達と軽い世間話を交わした大地はガランにサイラスへの伝言をお願いする。
ガランは大地からの依頼を快諾すると、サイラスに伝えに領主館の方へと走っていく。
大地もまとまった構想を再現する為、ルルを連れて居住地へと向かった。
「何? 大地さんが? わかったすぐに出向くとしよう。」
サイラスは大地からの伝言をガランから聞くと、準備を済ませ早々と館を出る。
大地からの伝言には問題解決に繋がる建物の試作をその作るので、時間があれば来てくださいというものだった。
サイラスが大地の力をこの目で見れると胸を躍らせながら、居住地へと向かっていると、既に再現されたその建物の姿が見えてきた。
「なんだこれは・・・」
領主館を遥かに凌ぐ大きさを誇るドーム状の建物を目にしたサイラスは驚愕の表情を浮かべながら建物に見入ってしまう。
「急に呼んでしまいすみません。」
「いや・・それはいいのだが。これはいったい・・・」
大地が居住地まで来てもらったサイラスに挨拶をするが、サイラスは目の前の建物から目を離せない状態になっていた。
その後大地は内部の説明するため、驚愕するサイラスを連れてドームの内部へと入っていく。
ドーム内の廊下を進んでいくと広いホールのような場所に辿りついた。辿りついたホールを見渡したサイラスは思わず感嘆の声をあげていた。
「本当に君は規格外だな・・・規模だけでいえば下手したら帝国の王城にも匹敵するぞ。」
その後、サイラスは大地にドーム状の建物の説明を受けながら各機能を備えている施設内部の案内を受けた。
ドーム状の建物はクーポラという名前が付けられており。内部は五階建ての構造になっていた。
居住用として建てられたクーポラの一階中央は大きなホールとなっており、大地の記憶から再現した大型のシステムキッチンや食事をとる為のテーブルとイスが用意されている。
外から光が入るように天井は吹き抜けになっており、上を覗くと二階以上の各階層には大きな中廊下がドームの内側に沿う形で配置されていた。
吹き抜けとなっている天井には雪が入らないように結界が張られている。
ドームはディシント鋼に大地が改造した低燃費熱晶石を埋めこんだもので作成されており、少量の魔力で十分な暖房効果を生み出すものとなっていた。
各階層の行き来は中廊下へとつながる階段と動晶石に大地が動きをプログラミングして作成したエレベーターを使用する形だ。
二階以上の階層は居住用の部屋が設けられており合計五百人収容できるようになっている。
また獣人の家族形態によって部屋の使い分けが出来るように、ワンルームから2LDKまでの間取りを用意し、二階と四階には二百人規模の大きな風呂場も設けられていた。
「説明はこれくらいですがどうでしょうか?」
「まさかここまでの建造物を作ってしまうとはな・・・これなら獣人達も寒さや雪は気にせず暮らせるだろう。」
「今後はこのクーポラを量産化し、用途に合わせて作った各クーポラを繋げることで要塞都市のようにしていこうと思っています。」
「その要塞都市を完成させるまでどれくらいかかりそうかな?」
「魔力の関係もありますから、一か月は必要かと。」
「そうか。では私は一か月後を楽しみにしながら待つとしよう。全て大地さんに任せる。好きなようにやってくれ。」
「わかりました。」
サイラスは最後に大地に頭を下げると領主館へと戻っていった。
「まさかこれほどとは。」
領主館に戻ったサイラスは椅子に腰掛けると不気味な笑みを浮かべた。
「私は本当についている。」
サイラスは静かに呟くと使用人を呼び出す。
「大地が作成した建物を徹底的に分析しろ。」
「承知致しました。」
使用人はサイラスに一礼すると、すぐさま領主館を出てクーポラへと向かった。
その後領主室にはサイラスの笑い声が響いていた。
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