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食事の後はデザートもいるよね

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 颯太の腕の中から、今まで見たこともない角度で、家の中を見回して、へえ、あんなとことにシミが、とか、ここの天井はあんな柄だったんだとか、変なことで意識を反らしているうちに、私は、颯太のベッドの上にそっと下ろされていた。
 そのまま、颯太が覆いかぶさるかと思ったのに――
 颯太は、ベッドの下に引いてあったラグの上に座る。

 あれ? ……シないの?

「ベッド、貸してやるから、少し、寝てろ」
「いいの?」
「なにが?」
 颯太は、私の言葉の本当の意味を理解しているはずなのに、知らないふりをして嗤っている。
「その……」
 にやにや。早くその先を、言ってごらん、と、彼は私の言葉を待っているようだ。
「……その……」
「なんだ?」
「……」
「ん?」

 あーもうっ! これは、絶対分かってて言ってる顔だわ。

「わ……私の口から、『シて』なんて、言えるわけないでしょっ!?」
 私が口にした言葉に、颯太はにやりと嗤った。
「そっか。千尋は、俺と、セックスしたいんだ?」

 かあああああああああ
 その卑猥な言葉に、さっきのお酒のせいで熱くなっていた頭の中が、再び一気に沸騰した。

「そ……そんな露骨に――」
「千尋がそうして欲しいなら、いいよ、シよ」
 ベッドサイドに立っている颯太は、シャツとジャージのトレーナーを重ねたまま脱ぎ始めている。
「や……」
 露わになった逞しい胸に、思わず私は目を逸らした。
 笑みを消した颯太が、今度は、私のセーターとシャツを一緒に脱がせる。空気が思ったほど冷たくなかったのは、キッチンへ行く前に颯太が点けておいてくれたエアコンと、お酒のせいかもしれない。
 肌を嘗めた空気は、むしろ、熱くなった私の体にひんやりと気持ち良かった。
 颯太は、下着で横たわる私を見ながら、ごくりと喉を鳴らす。

「俺……すげー、我慢してた」

 露わにした胸元に顔を寄せながら、颯太がうなされるようにそう口にした。背中にまわした手で、ブラのホックを軽く外すと、反対の手で、カップを押し上げる。
 体中が心臓になったかのように、指の先や耳の先までバクバクしている。
 初めての時より、鼓動が大きく感じられるのは、この一か月で何度も頭の中で繰り返したあの想い出が、再び現実となって私の目の前に現れたからなのかもしれない。
 これが現実であることを確かめるかのように、私は颯太のしっかりと筋肉の付いた肩にそっと触れた。

「手加減、できない、かも」

 耳元に唇を寄せた颯太が、少し強めに胸を揉んだ。
 下半身に押しつけられている颯太のソコが、トランクス越しにもすでに固くなっているのがわかる。
 手加減できないって、どういうことだろう?
 それを、確かめる余裕もなく、颯太の唇は、私の耳からあごのラインを通って、私の唇に辿り着いた。
 舌が遠慮なく、私の口の中に侵入してきて、口腔内を掻き回す一方で、手が私の胸を揉みしだく。もう一方の手の指は、髪の中から、耳の輪郭、胸の頂へと――。ときには強く、ときには柔らかく、緩急をつけて私を翻弄した。
 こんなことされるの、めちゃめちゃ恥ずかしいのだけれど、こんな私でも颯太が何も言わずに触れてくれるのが――こんな私を抱きたいと、思ってくれるのが、ただ嬉しかった。
 さっき飲んだお酒のせいか、目を閉じて、この状況を自然に受け止めている自分がいる。
 余計なことが考えられらなくなっているのが、逆にいいのかもしれない。

「なんだか、夢、みたい」
 ふわふわする頭の中に、颯太の触れたところから生まれた快感が集まってきて、気持ちいい。
 目を閉じたままだと、どこか遠くへ行ってしまいそうな気がして、私は颯太の首に腕を巻きつけた。
「千尋――」
 満足げに名前を呼んだ颯太は、ご褒美のように、唇にキスをくれる。
 上半身を撫でていた彼の手が、内腿に触れた。
「あんっ」
「力、抜いてて」
 体が強張ったのを見てとった颯太は、耳元に口を寄せる。それだけで背筋にゾクゾクしたものが走る。
 あ、耳は――と気をとられた隙をついて、颯太の指が足の付け根の大事な部分を掠めた。
「ひぁっ」
 ショーツの上から、何かを確かめるように、颯太の指が割れ目の上を上下に撫でる。その刺激に、私は、息とともに漏れる短い悲鳴を抑えきれない。
 ちゅくっ――
「はぅんっ!」
 脇から滑り込んだ指が、直接、その部分を触った。
 抑えようとしていた声が、反対に大きくなり、颯太の首にしがみつく腕に力が入る。

「脱がせるよ?」
 断るための理性など、とうに飛んでいた。
 私のショーツを剥ぎ取った後、自分も脱いだ颯太は、私の足の間に体を沈める。
 先ほどと同じように、割れ目を撫でられているのに、隔てる布が一枚なくなっただけで、そこから生まれる気持ちよさは格段に違った。
 溢れる愛液が、さらに指の動きをスムースにする。
 ぬめった指先が、割れ目の中に滑り入り、小さな突起に触れた。
「きゃんっ」
 思わず、背中がのけ反った。
 しかしそれでも構わず指は、ずぶずぶと割れ目の奥深くへと入っていく。
 もう、声を押さえようという意識さえ、どこかへ行ってしまった。
 私がそんな状態なのに、颯太は、親指と人差し指で小さな蕾を押したり揉んだりし、中指で膣の入り口を小刻みに刺激し続ける。
「ああっ……ん、だめ……そんな、――やだ」
「気持ち、いい?」
 うっすらと目を開けると、颯太は例のいたずらっぽい目で私を見ていた。
 私は両手で、顔を隠す。

「や、そんな、……見ないで」
「見ないからさ、舐めて、いい?」
「え?」
「ここ」
 そう言って、颯太は、押していた蕾の部分を、少し強めに指で震わせた。
「あああんっ!」
 体が硬直し、背筋が弓なりになって――びくびくした振動が頭にまで伝わってくる。

 や、だ、なに、これ。

 まるで開いた後の花火のように、火の粉が頭の中でふんわりと舞い落ちているような感覚。
 あ、前にも、こんなの、あったっけ――?

「もしかして、今ので、イった?」
「や、だ――ちが……」
「――ヤベぇ。千尋がイったの見たら、俺もイキたくなった」
「え?」
 私に状況を理解する暇も与えず、颯太は、どこから取り出したのか手早くゴムを装着すると、私の両膝を持ち上げていきり立ったソレを私の割れ目に擦りつけた。
「入れるぞ」
 それは、断りではなく、実況だった。
 私の返事など最初から期待していなかったように、その言葉と同時に、彼は私の膣内なかへ入ってきた。
 ぐぐっといきなり感じた圧迫感に、思わず、私は腰を引く。
 颯太が私の腰をつかんだ。

「や――」
「まだ、先だけ――力、抜けって」
「だ――」

 力を抜けと言われたら、余計にそこを意識しちゃって、無理。
 そしたら、颯太は、何を思ったのか、入れかけたソレをすいっと抜いた。
 え――?
 と思う間もなく、耳に口づけられる。

「千尋、アイシテル」

 まるで呪文のようなその一言に、すでにぐちゃぐちゃになっていた私の頭の中がさらに混乱し――ええ、ついに蕩けましたよ。
 その隙をついて、颯太は再び私の腰を掴んで、ソレをグッと、今度はためらくことなく一気に奥まで突き上げた。

「ああ―――――んっ!!」

 混乱した頭を貫いたのは、痛みとは違った感覚。たぶん、蕩けた脳味噌がその刺激をうまい具合に受け止めたんだと思う。
 今までの、気持ちいいとも、どこか違う。
 下から突き上げられて、その勢いで、意識も頭蓋骨を通り越して、どっかすごく上の方へ行っちゃうような、そんな、不思議な感覚。
 そのあと、どこか遠くから私は、颯太が「動くぞ」と言うのを聞いていた。
 体は、抱き締められている感覚があるのに、意識だけがそこに、ないような――それでいて、自然に声が、颯太の挿送に合わせて、短く官能的に漏れて――この浮遊感が、たまらなく気持ちいい。
 固く大きくなったソレが二、三度収縮し、熱いものが放たれる瞬間、颯太が、熱に浮かされるように「千尋――」と私の名を呼んだのだけが、耳の奥に残った。
 そのまま、私の上に倒れ込んだ彼の腕が、私をギュッと抱きしめる。薄いゴムを隔てた向こう側に、颯太の気持ちを熱いくらい感じた。

 ア イ シ テ ル ――

 大きな手に髪を撫でられて、白く弾けて小さくなった何かが、ふわりふわりと私の中を漂っている。
 しばらく私たちは、狭いベッドの中でその余韻を味わった。

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