11 / 12
異の章
視線
しおりを挟む
道を歩いていると、たまーに変なモノを見つける。
その、物体とか生物ってわけじゃないんだけど。
道路のど真ん中に、真っ黒で真四角の「穴」が広がってるんだよ。
丁度親指が入るかなってぐらいの、小さな小さな穴が。
周りで歩いてる人たちは気づいてるのか無視してるのか分からない。
ただ、その穴は少ししたら消えてしまう。いつの間にか、忽然と。
俺は少し前、例の穴を久しぶりに見つけた。周りには、誰も居ない。
ある衝動に駆られる。穴の中に指を突っ込みたいという、衝動に。
■
ゲームでいえばテクスチャがバグを起こしてる。と言えば分かりやすいだろうか。
まるでその部分だけが抜き取られたかのように、異質な存在。
どの角度から見ても真っ黒なその穴、試しに俺は持っていたボールペンを入れてみた。
■
何にも起きない。期待して損、とまでは言わないが、若干拍子抜けである。
よくよく考えれば、これは何の変哲もないただの穴だ。変に怖がり過ぎたのかもしれない。
こんな所を人に見られたら頭のおかしい奴と思われるかもしれないので、もう帰るとしよう。
最後に人差し指を入れてみた。当然、何にも起きることはない。
■
はあ、と深いため息をついて立ち上がる。こんな早朝に俺は何をやっているんだか。
そう思って来た道を引き返そうとした時、気づいてしまった。穴が増えていることに。
さっきまで一つしかなかった小さい穴がいつの間にか周りに出来上がっていることに。
そして、その穴は、確かに何の変哲もないモノなんだ。中には何にも入っていない。
だから違う。感じている視線は生物ではないし、俺の目が起こした錯覚だと信じているが……。
■ ■
穴が……こっちを見てる気がした。
その、物体とか生物ってわけじゃないんだけど。
道路のど真ん中に、真っ黒で真四角の「穴」が広がってるんだよ。
丁度親指が入るかなってぐらいの、小さな小さな穴が。
周りで歩いてる人たちは気づいてるのか無視してるのか分からない。
ただ、その穴は少ししたら消えてしまう。いつの間にか、忽然と。
俺は少し前、例の穴を久しぶりに見つけた。周りには、誰も居ない。
ある衝動に駆られる。穴の中に指を突っ込みたいという、衝動に。
■
ゲームでいえばテクスチャがバグを起こしてる。と言えば分かりやすいだろうか。
まるでその部分だけが抜き取られたかのように、異質な存在。
どの角度から見ても真っ黒なその穴、試しに俺は持っていたボールペンを入れてみた。
■
何にも起きない。期待して損、とまでは言わないが、若干拍子抜けである。
よくよく考えれば、これは何の変哲もないただの穴だ。変に怖がり過ぎたのかもしれない。
こんな所を人に見られたら頭のおかしい奴と思われるかもしれないので、もう帰るとしよう。
最後に人差し指を入れてみた。当然、何にも起きることはない。
■
はあ、と深いため息をついて立ち上がる。こんな早朝に俺は何をやっているんだか。
そう思って来た道を引き返そうとした時、気づいてしまった。穴が増えていることに。
さっきまで一つしかなかった小さい穴がいつの間にか周りに出来上がっていることに。
そして、その穴は、確かに何の変哲もないモノなんだ。中には何にも入っていない。
だから違う。感じている視線は生物ではないし、俺の目が起こした錯覚だと信じているが……。
■ ■
穴が……こっちを見てる気がした。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
呪部屋の生贄
猫屋敷 鏡風
ホラー
いじめっ子のノエルとミエカはミサリをターゲットにしていたがある日ミサリが飛び降り自殺をしてしまう。
10年後、22歳になったノエルとミエカに怪異が襲いかかる…!?
中2の時に書いた訳の分からん物語を一部加筆修正して文章化してみました。設定とか世界観が狂っていますが悪しからず。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
冀望島
クランキー
ホラー
この世の楽園とされるものの、良い噂と悪い噂が混在する正体不明の島「冀望島(きぼうじま)」。
そんな奇異な存在に興味を持った新人記者が、冀望島の正体を探るために潜入取材を試みるが・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる