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1 学園一の落ちこぼれ
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王立ノヴァーリス魔導師養成学園。王都に構えるこの学園に通えるのは、才能に恵まれたエリートの中のエリートのみ。校舎は汚れ一つない白磁のような壁で、敷地も広大。その制服を身に纏って外を歩けば、周囲からの羨望や尊敬の目を浴びることができる。王城付きの魔導士も毎年輩出していることから、ノヴァーリスを卒業できれば将来は安泰ともよく言われる言葉だ。
4年制で、基本は学園側のスカウトのみで入学することができる。学園内にはそれぞれクラスがあり、錬金術師クラス、召喚術師クラス、精霊術師クラス、死霊術師クラス、そして全てを総合した最も優秀な魔導師クラスの5つだ。これも学園側がそれぞれの才能を見てコースを分ける。
生徒の年齢に下限はあっても上限はなく、実力さえ伴うならば何歳でもスカウトが来るらしい。ちなみに最少で15歳からの入学であり、15歳の1年生は少なからず憧憬の目を向けられる。
憧憬の目を向けられる……のだけど、憧れは時として嫉妬に変わり、嫉妬から何が何でも相手を貶めようとしてくる人たちもいるのだった。
「あら、モナさん。朝からお顔をお見かけしないと思っていたのだけれど、まだこの学園にいたのねぇ」
「私たち、貴方を尊敬しているの。私だったら恥ずかしくって、きっととっくにノヴァーリスを辞めているもの!」
「私なんてノヴァーリスからお誘いを受けても入学しないわ。孤児が入学するだなんて、恐れ多くて私には無理!」
アハハ、と下品な笑い声が私の前を通り過ぎて行く。見せびらかすようにジャラジャラときらびやかなアクセサリーを身に着け、周囲に自らの高貴さをアピールしているのだろう。
そして、自分よりも下の存在である私をあざけることで、自らの優位さを確かめている。
「そろそろ下級悪魔の召喚くらいはできたの?ふふ、ノヴァーリスも残酷だわ。才能のない人をいつまでも在籍させて、自分の才能のなさを自覚させてどうするつもりなのかしら?」
何も言わず、私は帰り支度を始める。ノヴァーリスは全寮制だから、結局帰っても顔を合わせる可能性はあるけれど、とにかくこの場に長く滞在する必要はないと思った。
嫌味な貴族の女たちは、私が無言なのを良いことに好き勝手喚いている。
「ねえ、学園一の落ちこぼれさん。私の方から退学を勧めてあげ……」
「……っ!」
あまりに不躾な発言に思わずキッと睨み付けると、直接的な悪意を向けられることに慣れていない彼女らは一瞬ひるんだように見えた。
「リーゼラ……、ぐだぐだ言ってる暇があれば次の授業の予習でもしたらどうなの。また授業で口ごもることになったって知らないから」
「なっ……!?」
私の反撃に大きく目を見開き、わなわなと体を震わせている。その隙にかばんを抱えてその場を去った。
私にはうっとうしい貴族連中を睨み付けることしかできなかった。ここに来てから、こんなことばかり。それこそ入学初日から、あれは入学式の後だっただろうか。
4年制で、基本は学園側のスカウトのみで入学することができる。学園内にはそれぞれクラスがあり、錬金術師クラス、召喚術師クラス、精霊術師クラス、死霊術師クラス、そして全てを総合した最も優秀な魔導師クラスの5つだ。これも学園側がそれぞれの才能を見てコースを分ける。
生徒の年齢に下限はあっても上限はなく、実力さえ伴うならば何歳でもスカウトが来るらしい。ちなみに最少で15歳からの入学であり、15歳の1年生は少なからず憧憬の目を向けられる。
憧憬の目を向けられる……のだけど、憧れは時として嫉妬に変わり、嫉妬から何が何でも相手を貶めようとしてくる人たちもいるのだった。
「あら、モナさん。朝からお顔をお見かけしないと思っていたのだけれど、まだこの学園にいたのねぇ」
「私たち、貴方を尊敬しているの。私だったら恥ずかしくって、きっととっくにノヴァーリスを辞めているもの!」
「私なんてノヴァーリスからお誘いを受けても入学しないわ。孤児が入学するだなんて、恐れ多くて私には無理!」
アハハ、と下品な笑い声が私の前を通り過ぎて行く。見せびらかすようにジャラジャラときらびやかなアクセサリーを身に着け、周囲に自らの高貴さをアピールしているのだろう。
そして、自分よりも下の存在である私をあざけることで、自らの優位さを確かめている。
「そろそろ下級悪魔の召喚くらいはできたの?ふふ、ノヴァーリスも残酷だわ。才能のない人をいつまでも在籍させて、自分の才能のなさを自覚させてどうするつもりなのかしら?」
何も言わず、私は帰り支度を始める。ノヴァーリスは全寮制だから、結局帰っても顔を合わせる可能性はあるけれど、とにかくこの場に長く滞在する必要はないと思った。
嫌味な貴族の女たちは、私が無言なのを良いことに好き勝手喚いている。
「ねえ、学園一の落ちこぼれさん。私の方から退学を勧めてあげ……」
「……っ!」
あまりに不躾な発言に思わずキッと睨み付けると、直接的な悪意を向けられることに慣れていない彼女らは一瞬ひるんだように見えた。
「リーゼラ……、ぐだぐだ言ってる暇があれば次の授業の予習でもしたらどうなの。また授業で口ごもることになったって知らないから」
「なっ……!?」
私の反撃に大きく目を見開き、わなわなと体を震わせている。その隙にかばんを抱えてその場を去った。
私にはうっとうしい貴族連中を睨み付けることしかできなかった。ここに来てから、こんなことばかり。それこそ入学初日から、あれは入学式の後だっただろうか。
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