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ライファーンを探せ
ごちそうの山
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「……これはいったい……」
前髪から雫を滴らせタオルを手にしたカイが凍りついて固まった。
バスルームを出て狭いキッチン脇を通り抜けるとき、気づいた違和感。
なにか香ばしい……
例えて言うならグリルしたチキンの、皮が焦げたときのような……そんな匂いがしたのだ。
鼻孔をくすぐるものの正体を突き止めようときょろきょろした結果、カイは絶句するはめになった。
二人掛けの小さなダイニングテーブルの上に、見慣れないものがある。
いや、見慣れない、は間違いか。長年、職場で嫌というほど目にしている類のものだ。
この場合、『ヒイラギ荘203号室、カイ・ロバーツ宅では』お目にかかれない代物が正しい。
カイは近寄ることもできず、遠巻きにそれを眺めた。
真っ白な皿と、よく磨かれたぴかぴかのナイフとフォーク。
どれもカイの家にはない食器だが、当たり前のように整然と並んでいる。
一番大きな皿の中央にはハーブをたっぷり使ったタンドリーチキンが鎮座し、その脇にクレソンが添えてある。
トマトやセロリのゼリー寄せ、ホイップクリームとカットされたフランスパン、ずわい蟹だろうか?
淡いオレンジ色のパスタの上に甲羅のついた鉤爪が乗っかっている。
薄茶色のスープ(オニオンスープかコンソメスープだろうとカイは思った)からは、まるでたった今、鍋からよそったように湯気がくゆっていた。
(誰の仕業だ)
キッチンには誰もいない。
一目で見渡せる狭いこのスペースに人が隠れるのは無理だ。
ユニットバスには自分がいたし、そこからこのキッチンまでの短い廊下の反対側は玄関。
もし、この1DKに自分以外の誰かがいるとすれば…寝室兼、居間の十畳たらずの一部屋だけ。
カイは足音を立てないよう静かに奥の部屋へ向かった。
扉の隙間からそっと中を覗いてみる。人の気配はない。
「誰だ!!」
今度は勢いよく扉を開く。
誰もいない。
窓に内鍵がかかっているのを確認して、玄関に走る。
(逃げたのか?)
玄関まで走り出たカイは、自分の許容範囲を大きく越える事態に対面することになった。
鉄の扉には鍵がかかっている。ご丁寧にチェーンまで。
ふたたびバスルームに戻り、キッチンと室内を行ったり来たりして、カイはとうとう、いまヒイラギ荘203号室には自分一人しか居ないという現実を認めざるえなくなった。
しかも、行ったり来たり、キッチン脇を通り過ぎるたびに、ご馳走のメニューが一品ずつ増えていくのだ。
この事実にカイは震え上がった。
一目散に逃げ出したい気持ちでいっぱいになる。
そんなカイをヒイラギ荘に繋ぎとめたのは二匹の猫たちの存在だった。
逃げ出したら最後、薄気味悪くて二度とこのアパートメントに戻る気にはなれないだろう。
あの二匹を置いて行きたくはない。
(だいたい…いくら貧乏男でも、浮き草暮らしはごめんなんだ)
カイはむくむくとえもしれない闘志がこみ上げてくるのを感じた。
(こうなったら、根気比べだ)
姿の見えない透明人間と勝負するなんて…
こんな状況なのに、コミカルな気分をちょっぴり感じている自分に驚く。
カイは湯気を立てているスペシャル料理の数々をキッと一瞥すると、先ほどと同じように、寝室、キッチン、バスルーム、玄関、と行ったり来たりの単調な移動を再開することにした。
決死の挑戦だ。
イベリコ豚ジェノバソースがけ、オマール海老のポアレ、
サーモンのテリーヌ、鴨の香草焼き…
カイがキッチン脇を通り過ぎるたびに、見事な一品が追加されていく。
しかも姿の見えない料理人はかなりの腕利きだということが判明した。
繰り返し続く異常事態に慣れてきたカイが、移動しながら肉を一切れつまみ食いしたのだ。
カイは感嘆した。
十五分が経過した。
闘いが続くうちに、相手の攻撃にも一貫性が欠けてきて…
ナンとセットで骨つきラムカレーが現れたかと思うと、東洋の国の天ぷらとかいうフライ、マカダミアンナッツ、続いてチョレギサラダや魚の姿煮が現れる始末。
最後には細長いエリンギが一本、生のまま水道の蛇口からニョッキリ生えていた。
テーブルだけでなくキッチンの床中を皿が覆い尽くし、電気の傘から海藻がユラユラぶら下がっている。
「いい加減にしてくれ、姿を見せろ」
息を切らしてカイが叫んだ。ついに癇癪玉が破裂したのだ。
「すみません、ご主人様が目を輝かせてお喜びになっているようでしたので、わたくし頑張りすぎてしまいました。
ご迷惑だったのでしょうか」
蚊の鳴くような細い声がカイの真後ろから聞こえた。
急いで振り返る。
…が、誰もいない。
「それはご無理でございます。
わたくしめはご主人様の前に姿を表すことはできません。
決まりでございますので」
震える、若い少女の声。
澄んでいて可憐な、怯えを含んだ響き…
「なぜ姿を表せないの?」
カイが恐怖も忘れて問いかける。
「何びともリアラルで魔力を行使するところを人様に見られてはならぬのでございます」
カイはうすうす、ある仮説を打ち立てていた。
おそらく予想通りだろう。
そこで誘導尋問的に、あの単語を口にする。
「…君はその……イマジェなんとかから来たの?」
「ご主人様はイマジェニスタをご存知なのですか」
少女の声が明るくなる。
(やっぱり…)
「たまたま話に聞いたことがあるだけだよ。
数十時間前に、少し変わった浮浪者からね」
少女と反対に、カイの声が沈んでいる。
「浮浪者とはなんですか?
わたくしリアラルの言葉は詳しくないのです」
「説明が難しいな。あんまり単語の意味を話したくない気分だし」
「それは失礼いたしました。
ご主人様の気持ちも考えずに…」
思わず同情してしまいそうになるくらい、可愛い反応。
「えーと、あの、君は大丈夫なの?魔法を使う瞬間を人間に見られたら駄目ないんじゃないのかい?」
「ご心配には及びません。
逆に言えば、姿が見えなければ、魔法使用を見られたことにはなりませんから」
カイは唸った。
この少女は惚けているようで、なかなか賢い。
それでも疑問は残る。
「だとしてもテリトリーだかなんだか、定められた場所以外での魔法は禁止じゃないの?」
パングの話によると破ってはならない三ヶ条の一つ目が魔法使用テリトリーについてだった。
そういえば三つ目の内容を聞きそびれたな。
「よくご存知でいらっしゃいますね、ご主人様。
はい、仰るとおりでございます。認可されていない場所で魔法を使用すれば厳重に処罰されます」
声にからかうような響きが混じる。
突っ込んだ質問を続けていいものか悩んだ末、カイは黙って次の言葉を待つことにした。
案の定、見えない声は先を続けた。
「とにかく、お食事を召し上がってくださいませ。
ご主人様、追い剥ぎにあってただでさえ貧しいのが、ますます貧乏なのでございましょう?」
追い剥ぎ?
これはまたずいぶんと古めかしい単語を使うな、とカイは思った。
だいたい、有り金を全部巻き上げられたことを少女が知っているのが不気味だ。
「ささっ、早くこちらへ」
ものすごい力で背中を押し飛ばされてカイが前のめりにすっ飛んだ。
右足に嫌な感触がし、驚いて見下ろすと、ビーフストロガノフの皿に足を突っ込んでいる。
憮然として不満を漏らそうと口を開くも、見えない力が素早く肩を掴んでカイを強引に食卓につかせた。
「腕によりをかけました。
ご主人様」
前髪から雫を滴らせタオルを手にしたカイが凍りついて固まった。
バスルームを出て狭いキッチン脇を通り抜けるとき、気づいた違和感。
なにか香ばしい……
例えて言うならグリルしたチキンの、皮が焦げたときのような……そんな匂いがしたのだ。
鼻孔をくすぐるものの正体を突き止めようときょろきょろした結果、カイは絶句するはめになった。
二人掛けの小さなダイニングテーブルの上に、見慣れないものがある。
いや、見慣れない、は間違いか。長年、職場で嫌というほど目にしている類のものだ。
この場合、『ヒイラギ荘203号室、カイ・ロバーツ宅では』お目にかかれない代物が正しい。
カイは近寄ることもできず、遠巻きにそれを眺めた。
真っ白な皿と、よく磨かれたぴかぴかのナイフとフォーク。
どれもカイの家にはない食器だが、当たり前のように整然と並んでいる。
一番大きな皿の中央にはハーブをたっぷり使ったタンドリーチキンが鎮座し、その脇にクレソンが添えてある。
トマトやセロリのゼリー寄せ、ホイップクリームとカットされたフランスパン、ずわい蟹だろうか?
淡いオレンジ色のパスタの上に甲羅のついた鉤爪が乗っかっている。
薄茶色のスープ(オニオンスープかコンソメスープだろうとカイは思った)からは、まるでたった今、鍋からよそったように湯気がくゆっていた。
(誰の仕業だ)
キッチンには誰もいない。
一目で見渡せる狭いこのスペースに人が隠れるのは無理だ。
ユニットバスには自分がいたし、そこからこのキッチンまでの短い廊下の反対側は玄関。
もし、この1DKに自分以外の誰かがいるとすれば…寝室兼、居間の十畳たらずの一部屋だけ。
カイは足音を立てないよう静かに奥の部屋へ向かった。
扉の隙間からそっと中を覗いてみる。人の気配はない。
「誰だ!!」
今度は勢いよく扉を開く。
誰もいない。
窓に内鍵がかかっているのを確認して、玄関に走る。
(逃げたのか?)
玄関まで走り出たカイは、自分の許容範囲を大きく越える事態に対面することになった。
鉄の扉には鍵がかかっている。ご丁寧にチェーンまで。
ふたたびバスルームに戻り、キッチンと室内を行ったり来たりして、カイはとうとう、いまヒイラギ荘203号室には自分一人しか居ないという現実を認めざるえなくなった。
しかも、行ったり来たり、キッチン脇を通り過ぎるたびに、ご馳走のメニューが一品ずつ増えていくのだ。
この事実にカイは震え上がった。
一目散に逃げ出したい気持ちでいっぱいになる。
そんなカイをヒイラギ荘に繋ぎとめたのは二匹の猫たちの存在だった。
逃げ出したら最後、薄気味悪くて二度とこのアパートメントに戻る気にはなれないだろう。
あの二匹を置いて行きたくはない。
(だいたい…いくら貧乏男でも、浮き草暮らしはごめんなんだ)
カイはむくむくとえもしれない闘志がこみ上げてくるのを感じた。
(こうなったら、根気比べだ)
姿の見えない透明人間と勝負するなんて…
こんな状況なのに、コミカルな気分をちょっぴり感じている自分に驚く。
カイは湯気を立てているスペシャル料理の数々をキッと一瞥すると、先ほどと同じように、寝室、キッチン、バスルーム、玄関、と行ったり来たりの単調な移動を再開することにした。
決死の挑戦だ。
イベリコ豚ジェノバソースがけ、オマール海老のポアレ、
サーモンのテリーヌ、鴨の香草焼き…
カイがキッチン脇を通り過ぎるたびに、見事な一品が追加されていく。
しかも姿の見えない料理人はかなりの腕利きだということが判明した。
繰り返し続く異常事態に慣れてきたカイが、移動しながら肉を一切れつまみ食いしたのだ。
カイは感嘆した。
十五分が経過した。
闘いが続くうちに、相手の攻撃にも一貫性が欠けてきて…
ナンとセットで骨つきラムカレーが現れたかと思うと、東洋の国の天ぷらとかいうフライ、マカダミアンナッツ、続いてチョレギサラダや魚の姿煮が現れる始末。
最後には細長いエリンギが一本、生のまま水道の蛇口からニョッキリ生えていた。
テーブルだけでなくキッチンの床中を皿が覆い尽くし、電気の傘から海藻がユラユラぶら下がっている。
「いい加減にしてくれ、姿を見せろ」
息を切らしてカイが叫んだ。ついに癇癪玉が破裂したのだ。
「すみません、ご主人様が目を輝かせてお喜びになっているようでしたので、わたくし頑張りすぎてしまいました。
ご迷惑だったのでしょうか」
蚊の鳴くような細い声がカイの真後ろから聞こえた。
急いで振り返る。
…が、誰もいない。
「それはご無理でございます。
わたくしめはご主人様の前に姿を表すことはできません。
決まりでございますので」
震える、若い少女の声。
澄んでいて可憐な、怯えを含んだ響き…
「なぜ姿を表せないの?」
カイが恐怖も忘れて問いかける。
「何びともリアラルで魔力を行使するところを人様に見られてはならぬのでございます」
カイはうすうす、ある仮説を打ち立てていた。
おそらく予想通りだろう。
そこで誘導尋問的に、あの単語を口にする。
「…君はその……イマジェなんとかから来たの?」
「ご主人様はイマジェニスタをご存知なのですか」
少女の声が明るくなる。
(やっぱり…)
「たまたま話に聞いたことがあるだけだよ。
数十時間前に、少し変わった浮浪者からね」
少女と反対に、カイの声が沈んでいる。
「浮浪者とはなんですか?
わたくしリアラルの言葉は詳しくないのです」
「説明が難しいな。あんまり単語の意味を話したくない気分だし」
「それは失礼いたしました。
ご主人様の気持ちも考えずに…」
思わず同情してしまいそうになるくらい、可愛い反応。
「えーと、あの、君は大丈夫なの?魔法を使う瞬間を人間に見られたら駄目ないんじゃないのかい?」
「ご心配には及びません。
逆に言えば、姿が見えなければ、魔法使用を見られたことにはなりませんから」
カイは唸った。
この少女は惚けているようで、なかなか賢い。
それでも疑問は残る。
「だとしてもテリトリーだかなんだか、定められた場所以外での魔法は禁止じゃないの?」
パングの話によると破ってはならない三ヶ条の一つ目が魔法使用テリトリーについてだった。
そういえば三つ目の内容を聞きそびれたな。
「よくご存知でいらっしゃいますね、ご主人様。
はい、仰るとおりでございます。認可されていない場所で魔法を使用すれば厳重に処罰されます」
声にからかうような響きが混じる。
突っ込んだ質問を続けていいものか悩んだ末、カイは黙って次の言葉を待つことにした。
案の定、見えない声は先を続けた。
「とにかく、お食事を召し上がってくださいませ。
ご主人様、追い剥ぎにあってただでさえ貧しいのが、ますます貧乏なのでございましょう?」
追い剥ぎ?
これはまたずいぶんと古めかしい単語を使うな、とカイは思った。
だいたい、有り金を全部巻き上げられたことを少女が知っているのが不気味だ。
「ささっ、早くこちらへ」
ものすごい力で背中を押し飛ばされてカイが前のめりにすっ飛んだ。
右足に嫌な感触がし、驚いて見下ろすと、ビーフストロガノフの皿に足を突っ込んでいる。
憮然として不満を漏らそうと口を開くも、見えない力が素早く肩を掴んでカイを強引に食卓につかせた。
「腕によりをかけました。
ご主人様」
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