いきなりですが魔王城で働くことになったので、魔族っ娘たちと一緒にスローライフを満喫します!

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第四章

【サキュバス】レイミー・ガレスティナはご奉仕したい 2

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「……今日も朗らかで明るかったな」

 残された俺はアマンドの後ろ姿を見送ってから、シャワールームの扉を開けた。
 
「始めに小さい脱衣室があって、扉を一枚開けると……シャワールームか」

 部屋の中に入ると、そこには隔たりを設けられた個室ちっくな脱衣室がいくつかあ。、そこの奥にはもう一枚の扉があった。
 きっとこの奥がシャワールームになっているのだろう。

 脱衣室はそれなりに壁や床に黒ずみがあり、薄汚れた印象を受ける。
 ただ、簡単な掃除だけでなんとかなりそうだった。
 なぜか投棄されている衣服の山も、洗えば再利用できそうだ。

 とにかく奥に進んでみるか。

「……ここまでくると酷い悪臭が……お”ぉ”ぇ”ぇ”ぇ”……やばッ……!」

 俺は吐き気に襲われながらも、シャワールームの中に足を踏みいれた。
 そして驚愕した。

 シャワールームは見るも無惨な状態だった。

 使用されることなく放置されたシャワールームが、不気味な静寂に包まれている。
 壁は湿気によって黒ずみ、シャワーヘッドは錆びつき、水漏れによって床はぬめりを帯びている。
 薄汚れた鏡は壁から外れかけており、床一面には古びた棚や置物が散らばっている。
 天井にほど近い高さの壁に小窓がついているが、光はほとんど差し込まない。

 なんだよここ、廃墟か? いや、廃墟の方がマシだな。
 臭すぎるもん、ここ。

「うへぇ……きっっっっついなぁぁ」

 歩みを進めていくにつれ酷い悪臭は増していくが、グッと吐き気を堪える。

 シャワールームの奥には、数十人が一斉に浸かれるほど大きな浴槽も見えるが使用された形跡はない。
 ダントツで汚いだろうし、最後に確認しよう。

「よし。まずは見てみるか」
 
 俺は懐から数枚の紙とペンを一本取り出すと、口呼吸を心がけながら室内の確認を始めた。

「……んー、床と壁の黒ずみはリリスに掃除してもらうとして、修理できそうな物はこの場で直してしまうか。んで、交換が必要な物は、部品をリストアップして魔王に伝達しようか」

 俺はやるべきことを確認し、それらを口に出して頭の中で整理していく。すらするとペンを走らせて、魔王に渡すためのリストを作成する。

 まず、シャワールームの使用にあたって必要なのは、水とお湯を生み出す為の大元の魔道具だが、それは部屋の入り口付近に設置されていて、外見上は壊れていなかった。後で動かしてみて判断しよう。

 次に、生み出した水を送る為の配管は床の隅と壁を走っており、一部破損しているが管理室にある部品で何とか修理可能だろう。
 問題ありだが、早いうちに対応できる。ただ、今日の今日では時間的に不可能だ。

 最後に、配管を通って送られてきたお湯をを浴びる為のシャワーホースとヘッドについては、ほとんどがダメになっている。
 幾つかは現状で使えそうだが、ダメな分については交換がマストだ。部品を揃えて要対応。

「さてさて、こんなもんか」

 俺は一通りの確認を終えると、文字が書き連ねられた紙を懐に戻した。

 今度魔王に渡しに行こう。
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