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3:年上上司の愛し方(※)
(7)※
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ソファーの上で互いの体を高めあった後、はあっと一息ついたのは濱口が先だった。
「え……もう一回、やだ?」
「……っ! い、いいから……もう……」
「えー……うん……」
(なんでいやがんだろ……こういうの、恥ずかしい方なのかな……?)
淡白だけど慣れきっててーのイメージだったのに、なんて非常に勝手なことを思いながら、抱き締めたのに、ふいっと避けられた。
(あ、逃げられる……!)
「礼人さん」
ソファーから立ち上がった奥村はびくんっと大きく揺れた。濱口は彼のシャツのすそをつかみ、えっと……と話しかける。
「あのさ、もう何もしねえから……一緒に寝ていい?」
一緒に寝たいです、と言うと、奥村は黙ったままバスルームの方へ行ってしまった。
(いいのかな?)
イヤならイヤって言うだろ、あの人……、と濱口は赤くなる頬をぺちぺちと叩き、とりあえず、ちょっと履き心地の悪い下着とスーツのパンツを履くと、ぺたぺたと足音をさせながら、ベッドルームに入る。シャワーの音がバスルームからして、そこの中を妄想して盛り上がりそうなのを必死でおさえていたが、寝室の方がやばかった。何度か入ったことはあるけれど、今日は意味が違う。
(あー、なんか聖域に入ってしまった気分だなー……)
どきどきしながら、ベッドに寝転がると、少し広めのダブルのそれは心地よいスプリングで濱口の体重を支えてくれた。枕やクッションは複数ある。いいかな、と一つのクッションを借りて顔をうずめると、さっきのことが思い出された。
(礼人さん、あんな顔もするんだなあ……うう、写真に残したかった……)
ごろんごろんとしそうに興奮するのを必死でおさえ、ベッドから追い出されるのを覚悟で待つ。何もしないから、一緒にいたいな、と思って、熱くなった頬を冷やすように、ぺたりと甲をそこに押し当てた。
(……好きだなー……)
初めてああいう風にできたんだから、もうちょっとその幸せをかみしめたい、そう思って、ちょっと一緒に寝るのだけはねだろう、と心に決めて目を閉じていると、目蓋の裏の視界がふとさらに暗くなった気がして、驚いて目をあける。
電気が消えていて驚き、え……? と振り向こうとすると、奥村が「見るな」とそれを制した。
「え……」
濱口の傍に奥村がくる気配がする。どくどくどく、と高鳴る胸の音だったが、ぎしり、とベッドが揺れた瞬間に跳ねそうになった。
「え、うわっ……」
軋んだベッドの勢いだけではなくて、濱口は入り口に背中を向けるようにうつ伏せていたのをひっくり返される。ぐいっと体重をかけられて、跨がられて驚きを通り越して声も出ない。……自分の上に乗っている恋人は、下着しか身につけず、ほぼ全裸に近い状態でいたのだから。
(!!!!)
え、ちょっと待って、オレ、逆がいいんだけど……! ってか目のやり場に困る……っ、とあまりの展開に大混乱の濱口だったが、奥村は濱口の腰のあたりにのっかったまま、じぃっと彼を見つめていた。
本人は気付いているのだろうか。本当に艶やかで、暗い部屋にもようやく慣れてきた目で見ても、真っ白な肌は美しく光っている。一瞬だったのだろうが、時が止まったかのように思えた濱口は、こういうの……やっぱり慣れてんの? なんてどきどきしながらもとても複雑で。年上だし仕方がないよな、と少し凹んで考えていると、奥村が上からぼそりと呟いた。
「できんのか?」
「え?」
「オレ、おっさんだし……男、だし……」
「は……?」
(何言って、こんなキレイで……)
彼の言葉にぽかんと口をあけそうになると、奥村は顔を赤らめて、視線をうつろわせた。
「お前は……スキとか言ってくるけど、懐いてるだけで……そういう……のは、どうしたいのか、わかんなくて」
そう言うと、ぐっと息を飲み、呆然としている濱口の手をとり……そして、胸を触らせた。
「……っ!」
「こんなの……なんもねえし……」
ぺたんこ、だし……といいながら自分の胸に手をあてさせる。もっていかれた胸の中心あたりから、どくどくどくと彼の心臓の音がきこえ、濱口は顔を赤らめた。
「な、何言って……」
「下……あるし……気持ち悪い、だろ?」
(何言ってんの!? 意味わかんねえ……! さっきしたじゃん! 気持ち悪いわけないでしょーが!?)
濱口がなんといっていいかを考えあぐねている間に、奥村は唇を迷わせ、少し震えながら、淡々と言葉を続ける。
「ガキじゃねえんだし。こういうの、やっぱりできねえ……だろ。できねえよな。オレもする気には……」
何言ってるの、と思わず濱口は彼の言葉を止めた。男同士なんて、ずっとわかっていて、奥村が男性との経験がなさそうなのは意外だったけれど……今更? なんて思うのは無理もない。濱口は一つ深呼吸をして、黙ってしまった奥村に、それってさ、と話しかけた。
「礼人さんは……別れたいってこと……?」
「……そうじゃ……ねえけど」
黙って俯いてしまった彼に、どうして? と濱口は起き上がって詰め寄った。
「なんで、そういうこと言うんだよ……? さっき気持ちよかったし……っ、そりゃ、オレだって……男としたことねーけど、礼人さんとはしたい……から」
言葉がつまって、思わずキスをした。びくっと震える身体を抱き締めて、逆方向に押し倒す。思わず軋んだベッドの上で奥村は驚きの表情を浮かべ、はっと気付いたように濱口の腕に抵抗した。
「礼人さん。オレ、本気でスキなんです。でも、礼人さんが、こういう風にするの、あんまりスキじゃないのかもって、怖くてできなかっただけで……何もしないって思ってたけど。オレがどれだけスキか考えたことあんのかよ……そんな格好で、オレ……っ」
煽られるって……と言い見つめていると、奥村は視線をうろうろさせ、ふいっと逸らしてしまった。体が震えている。怖いのかもしれない、と思うと、力が緩んで気が抜けた。奥村は濱口に自分は男だと分からせたかったのかもしれない。けれど、こんなに大好きな人の裸を見せられて、煽られないわけがないのに。スキだって何度も伝えてきてるのに……
(なんでこの人、わかんねえんだろ……)
ちゅっ、と額にキスをして、体を弄っていく。先程のソファーとは違い、広いので、奥村の長い腕を抵抗できないように体から引き離し、シーツに縫い付けていく。それに焦ったのか、キスの合間に、ちょっと待て……、と抵抗の声が擦れていた。濱口は待つ気などなくて、彼の直の肌に感動しながら触れていく。
「待てねえ……んだけど……礼人さんは……ヤだ……?」
奥村は目線が虚ろで濱口を直視できないようだった。何かを言おうとしているが、そんなのは無視して、濱口は強引に彼の首筋に口付け、ちゅうっと強く吸う。うっすらと痕がついたのがわかる。わずかな独占欲が満たされて、これ、気付かれたら怒られるかな、なんて思いながら、彼と視線をあわすように見つめる。
「できないなんてことねーよ。できる、っつーか……したい、ってずっと思ってた。……抱かせてください。お願いします……スキなんです」
礼人さんのこと、と、濱口が告げると、奥村が迷うような視線を見せた。構ってられるか!と濱口は強引に唇を塞ぎ、強くなった抵抗の力を押さえつけて行く。
「んっ……んぅっ」
「逃げんな……って……っ」
彼の利き腕をおさえて、空いた左手で胸を弄っていく。小さくぷくりと立ち上がっている薄桃色のそれを指で捏ね、ひくひくと震える様を見て興奮した。
ソファーの上で互いの体を高めあった後、はあっと一息ついたのは濱口が先だった。
「え……もう一回、やだ?」
「……っ! い、いいから……もう……」
「えー……うん……」
(なんでいやがんだろ……こういうの、恥ずかしい方なのかな……?)
淡白だけど慣れきっててーのイメージだったのに、なんて非常に勝手なことを思いながら、抱き締めたのに、ふいっと避けられた。
(あ、逃げられる……!)
「礼人さん」
ソファーから立ち上がった奥村はびくんっと大きく揺れた。濱口は彼のシャツのすそをつかみ、えっと……と話しかける。
「あのさ、もう何もしねえから……一緒に寝ていい?」
一緒に寝たいです、と言うと、奥村は黙ったままバスルームの方へ行ってしまった。
(いいのかな?)
イヤならイヤって言うだろ、あの人……、と濱口は赤くなる頬をぺちぺちと叩き、とりあえず、ちょっと履き心地の悪い下着とスーツのパンツを履くと、ぺたぺたと足音をさせながら、ベッドルームに入る。シャワーの音がバスルームからして、そこの中を妄想して盛り上がりそうなのを必死でおさえていたが、寝室の方がやばかった。何度か入ったことはあるけれど、今日は意味が違う。
(あー、なんか聖域に入ってしまった気分だなー……)
どきどきしながら、ベッドに寝転がると、少し広めのダブルのそれは心地よいスプリングで濱口の体重を支えてくれた。枕やクッションは複数ある。いいかな、と一つのクッションを借りて顔をうずめると、さっきのことが思い出された。
(礼人さん、あんな顔もするんだなあ……うう、写真に残したかった……)
ごろんごろんとしそうに興奮するのを必死でおさえ、ベッドから追い出されるのを覚悟で待つ。何もしないから、一緒にいたいな、と思って、熱くなった頬を冷やすように、ぺたりと甲をそこに押し当てた。
(……好きだなー……)
初めてああいう風にできたんだから、もうちょっとその幸せをかみしめたい、そう思って、ちょっと一緒に寝るのだけはねだろう、と心に決めて目を閉じていると、目蓋の裏の視界がふとさらに暗くなった気がして、驚いて目をあける。
電気が消えていて驚き、え……? と振り向こうとすると、奥村が「見るな」とそれを制した。
「え……」
濱口の傍に奥村がくる気配がする。どくどくどく、と高鳴る胸の音だったが、ぎしり、とベッドが揺れた瞬間に跳ねそうになった。
「え、うわっ……」
軋んだベッドの勢いだけではなくて、濱口は入り口に背中を向けるようにうつ伏せていたのをひっくり返される。ぐいっと体重をかけられて、跨がられて驚きを通り越して声も出ない。……自分の上に乗っている恋人は、下着しか身につけず、ほぼ全裸に近い状態でいたのだから。
(!!!!)
え、ちょっと待って、オレ、逆がいいんだけど……! ってか目のやり場に困る……っ、とあまりの展開に大混乱の濱口だったが、奥村は濱口の腰のあたりにのっかったまま、じぃっと彼を見つめていた。
本人は気付いているのだろうか。本当に艶やかで、暗い部屋にもようやく慣れてきた目で見ても、真っ白な肌は美しく光っている。一瞬だったのだろうが、時が止まったかのように思えた濱口は、こういうの……やっぱり慣れてんの? なんてどきどきしながらもとても複雑で。年上だし仕方がないよな、と少し凹んで考えていると、奥村が上からぼそりと呟いた。
「できんのか?」
「え?」
「オレ、おっさんだし……男、だし……」
「は……?」
(何言って、こんなキレイで……)
彼の言葉にぽかんと口をあけそうになると、奥村は顔を赤らめて、視線をうつろわせた。
「お前は……スキとか言ってくるけど、懐いてるだけで……そういう……のは、どうしたいのか、わかんなくて」
そう言うと、ぐっと息を飲み、呆然としている濱口の手をとり……そして、胸を触らせた。
「……っ!」
「こんなの……なんもねえし……」
ぺたんこ、だし……といいながら自分の胸に手をあてさせる。もっていかれた胸の中心あたりから、どくどくどくと彼の心臓の音がきこえ、濱口は顔を赤らめた。
「な、何言って……」
「下……あるし……気持ち悪い、だろ?」
(何言ってんの!? 意味わかんねえ……! さっきしたじゃん! 気持ち悪いわけないでしょーが!?)
濱口がなんといっていいかを考えあぐねている間に、奥村は唇を迷わせ、少し震えながら、淡々と言葉を続ける。
「ガキじゃねえんだし。こういうの、やっぱりできねえ……だろ。できねえよな。オレもする気には……」
何言ってるの、と思わず濱口は彼の言葉を止めた。男同士なんて、ずっとわかっていて、奥村が男性との経験がなさそうなのは意外だったけれど……今更? なんて思うのは無理もない。濱口は一つ深呼吸をして、黙ってしまった奥村に、それってさ、と話しかけた。
「礼人さんは……別れたいってこと……?」
「……そうじゃ……ねえけど」
黙って俯いてしまった彼に、どうして? と濱口は起き上がって詰め寄った。
「なんで、そういうこと言うんだよ……? さっき気持ちよかったし……っ、そりゃ、オレだって……男としたことねーけど、礼人さんとはしたい……から」
言葉がつまって、思わずキスをした。びくっと震える身体を抱き締めて、逆方向に押し倒す。思わず軋んだベッドの上で奥村は驚きの表情を浮かべ、はっと気付いたように濱口の腕に抵抗した。
「礼人さん。オレ、本気でスキなんです。でも、礼人さんが、こういう風にするの、あんまりスキじゃないのかもって、怖くてできなかっただけで……何もしないって思ってたけど。オレがどれだけスキか考えたことあんのかよ……そんな格好で、オレ……っ」
煽られるって……と言い見つめていると、奥村は視線をうろうろさせ、ふいっと逸らしてしまった。体が震えている。怖いのかもしれない、と思うと、力が緩んで気が抜けた。奥村は濱口に自分は男だと分からせたかったのかもしれない。けれど、こんなに大好きな人の裸を見せられて、煽られないわけがないのに。スキだって何度も伝えてきてるのに……
(なんでこの人、わかんねえんだろ……)
ちゅっ、と額にキスをして、体を弄っていく。先程のソファーとは違い、広いので、奥村の長い腕を抵抗できないように体から引き離し、シーツに縫い付けていく。それに焦ったのか、キスの合間に、ちょっと待て……、と抵抗の声が擦れていた。濱口は待つ気などなくて、彼の直の肌に感動しながら触れていく。
「待てねえ……んだけど……礼人さんは……ヤだ……?」
奥村は目線が虚ろで濱口を直視できないようだった。何かを言おうとしているが、そんなのは無視して、濱口は強引に彼の首筋に口付け、ちゅうっと強く吸う。うっすらと痕がついたのがわかる。わずかな独占欲が満たされて、これ、気付かれたら怒られるかな、なんて思いながら、彼と視線をあわすように見つめる。
「できないなんてことねーよ。できる、っつーか……したい、ってずっと思ってた。……抱かせてください。お願いします……スキなんです」
礼人さんのこと、と、濱口が告げると、奥村が迷うような視線を見せた。構ってられるか!と濱口は強引に唇を塞ぎ、強くなった抵抗の力を押さえつけて行く。
「んっ……んぅっ」
「逃げんな……って……っ」
彼の利き腕をおさえて、空いた左手で胸を弄っていく。小さくぷくりと立ち上がっている薄桃色のそれを指で捏ね、ひくひくと震える様を見て興奮した。
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