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2:年上上司の甘え方
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「なっ……!」
「わ、猛、オレにもその写真ちょうだい!」
芳樹はすぐにわかったのか、ピースサインをみせてうつっている。一方の奥村はきょとんとしていて、なんだかそれもかわいい。いいもの撮れた、と自己満足だがうれしく思った。
「あ。芳樹くん、オレと奥村さんも撮って……」
「なっ……い、いいですから、社長!」
「ええ~いいじゃないですか! オレも二人の欲しいな」
そういう芳樹に、奥村が、誰かに見られたら他の部下に示しがつきません、という。
濱口は泣く泣く自分と奥村のツーショットはあきらめた。
「え~……プライベートなのに! 奥村さん、写真苦手だっけ?」
「い、いえ、そんなことはないのですが」
そういってくれる芳樹に、そうだそうだ! と思いながら、けれど、強くはおせず、LINEで送るな~、と先ほどの二人の写真を芳樹に送る。
「あ。奥村さんもいります? よね?」
「っ!」
とたんに顔が赤くなる奥村。その表情に濱口はきゅうっと胸の奥をつかまれたかのような感覚に陥った。
(か、かわいい……!)
うん……、と恥ずかしそうにいう彼は本当に上司とは思えない。少しだけ目尻の端が赤い。かわいいかわいい、と思いながら、にやつく口元をおさえて話しかけた。
「あ、LINEで送ってもいいですか?」
「……会社のアドレスを知ってるだろ。こっちのスマホに……」
「会社のには送れないじゃないですかー」
個人の教えてくださいよ、というとちょっと戸惑うように見える。けれど、濱口はテーブルの上にでていた奥村のスマホをさっととる。
「あ。やっぱり個人のLINEにしましょう。こっち借りますね」
「ちょ……!」
「あ。そっかあ~会社用のスマホと別だもんね~あ。それ、機種珍しいね。オレも日本のにまだ慣れてなくて……」
奥村が芳樹に気をとられている間に、濱口は奥村のスマホをちょっといじらせてもらう。
(よし、ついに個人LINEをゲット……!)
「はい、送りました!」
ぱあっと輝かんばかりの笑顔で濱口は奥村に携帯を返す。そんな彼を複雑な表情で眺める奥村だったが、それには気づかないふりをすることにした。
「へへっ、オレ、奥村さんとこんな写真とるの久しぶり~。オレが学生の時以来じゃない?」
「そうですね。確かに……」
濱口のそんな思いには気づかず、すぐに芳樹からの言葉に頬をそめる奥村。濱口はそれをみてかわいいなあと思いながらも、少し複雑な思いを抱えていた。まったく、彼をみていると、心臓の奥がいつまでも忙しい。
(かわいいけど、やっぱ複雑……そんなの思える立場じゃねえのにな)
会は楽しく続き、久しぶりにゆっくりと友人として芳樹と話せることがうれしかった。奥村は相変わらず、別の人間、主に芳樹の父である大貴に捕まっている。あまり会話はできないが、ちらちらと見つめられるだけでうれしい。しかし、途中で彼の異変に気づいた。
(……あれ?)
奥村さん、ふらふらしてるな……、そう思ってしまったのは勘違いではない。酒はちょっと控えめなのに、なんだか目がいつもより潤んでいる気がする。
(顔、赤いっていうか、熱っぽそう?)
すみません、ちょっとお手洗いに、と廊下にでるようにたった彼をタイミングを見計らって追いかけてく。
廊下にでていた彼は別に手洗いにいく様子もなく、たばこを取り出し吸おうとするわけでもなく、ぼうっとしていた。少し体をひやしたかったのかもしれない。濱口はそっと近寄って話しかける。
「大丈夫ですか?」
「……何がだ?」
「すごくしんどそうなんで……」
今日、オレ、送って行きましょうか? と言ってみるが、奥村はぼんやりとしたまま濱口をみて、ふっと視線をそらせた。
「わ、猛、オレにもその写真ちょうだい!」
芳樹はすぐにわかったのか、ピースサインをみせてうつっている。一方の奥村はきょとんとしていて、なんだかそれもかわいい。いいもの撮れた、と自己満足だがうれしく思った。
「あ。芳樹くん、オレと奥村さんも撮って……」
「なっ……い、いいですから、社長!」
「ええ~いいじゃないですか! オレも二人の欲しいな」
そういう芳樹に、奥村が、誰かに見られたら他の部下に示しがつきません、という。
濱口は泣く泣く自分と奥村のツーショットはあきらめた。
「え~……プライベートなのに! 奥村さん、写真苦手だっけ?」
「い、いえ、そんなことはないのですが」
そういってくれる芳樹に、そうだそうだ! と思いながら、けれど、強くはおせず、LINEで送るな~、と先ほどの二人の写真を芳樹に送る。
「あ。奥村さんもいります? よね?」
「っ!」
とたんに顔が赤くなる奥村。その表情に濱口はきゅうっと胸の奥をつかまれたかのような感覚に陥った。
(か、かわいい……!)
うん……、と恥ずかしそうにいう彼は本当に上司とは思えない。少しだけ目尻の端が赤い。かわいいかわいい、と思いながら、にやつく口元をおさえて話しかけた。
「あ、LINEで送ってもいいですか?」
「……会社のアドレスを知ってるだろ。こっちのスマホに……」
「会社のには送れないじゃないですかー」
個人の教えてくださいよ、というとちょっと戸惑うように見える。けれど、濱口はテーブルの上にでていた奥村のスマホをさっととる。
「あ。やっぱり個人のLINEにしましょう。こっち借りますね」
「ちょ……!」
「あ。そっかあ~会社用のスマホと別だもんね~あ。それ、機種珍しいね。オレも日本のにまだ慣れてなくて……」
奥村が芳樹に気をとられている間に、濱口は奥村のスマホをちょっといじらせてもらう。
(よし、ついに個人LINEをゲット……!)
「はい、送りました!」
ぱあっと輝かんばかりの笑顔で濱口は奥村に携帯を返す。そんな彼を複雑な表情で眺める奥村だったが、それには気づかないふりをすることにした。
「へへっ、オレ、奥村さんとこんな写真とるの久しぶり~。オレが学生の時以来じゃない?」
「そうですね。確かに……」
濱口のそんな思いには気づかず、すぐに芳樹からの言葉に頬をそめる奥村。濱口はそれをみてかわいいなあと思いながらも、少し複雑な思いを抱えていた。まったく、彼をみていると、心臓の奥がいつまでも忙しい。
(かわいいけど、やっぱ複雑……そんなの思える立場じゃねえのにな)
会は楽しく続き、久しぶりにゆっくりと友人として芳樹と話せることがうれしかった。奥村は相変わらず、別の人間、主に芳樹の父である大貴に捕まっている。あまり会話はできないが、ちらちらと見つめられるだけでうれしい。しかし、途中で彼の異変に気づいた。
(……あれ?)
奥村さん、ふらふらしてるな……、そう思ってしまったのは勘違いではない。酒はちょっと控えめなのに、なんだか目がいつもより潤んでいる気がする。
(顔、赤いっていうか、熱っぽそう?)
すみません、ちょっとお手洗いに、と廊下にでるようにたった彼をタイミングを見計らって追いかけてく。
廊下にでていた彼は別に手洗いにいく様子もなく、たばこを取り出し吸おうとするわけでもなく、ぼうっとしていた。少し体をひやしたかったのかもしれない。濱口はそっと近寄って話しかける。
「大丈夫ですか?」
「……何がだ?」
「すごくしんどそうなんで……」
今日、オレ、送って行きましょうか? と言ってみるが、奥村はぼんやりとしたまま濱口をみて、ふっと視線をそらせた。
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