【R18】異世界転生したら、まさかの総受ヒロインポジ(しかもΩ)だったんだが?

二久アカミ

文字の大きさ
上 下
6 / 11
1:はじまりはじまり

不穏なことばかり言われるんだが?

しおりを挟む
 ランベールからの熱い視線に戸惑い、思わず顔をそむける。
 無駄に美形なので、妙にドキドキするが、ランベールは攻略対象じゃないはずだ。

「そ、そうですか……それは真剣に見極めなくてはいけませんね」
「ええ。よろしくお願いいたします。守護者となる皇子は、実質この国の皇帝と並ぶわけですから」

 そこで俺はあることに気づき、疑問に思っていたことを尋ねる。

「あの、この国のトップは皇帝ですよね。皇子たちの御父上は今……」
「ええ。エルデンシャイア皇は現在病に臥せっておられます」

 そうだ。確かゲームでも「跡継ぎを決める時期がきていて」「神託の神子が決めた守護者をもとに次の後継者を決める」と皇帝が言っていたはず。だから、攻略対象は皇子たち……。
 しかし、その裏で神官たちがいない状態にまでなっていただなんて。
 そうか。だから、クロヴィスのエンディングは守護者と皇帝の兼任だったんだな。

(思っていたより、この国の実情はぼろぼろなのか……?)

 エルデンシャイアは帝政で、他国とのトラブルイベントなんかはあまりなかった気がする。
 けれど、この世界にこの国だけなわけではないし、魔獣もいるということは絶対的平和ではないわけだ。

(ええーー……ただの恋愛ゲームじゃないと思うと、俺の選択ってかなり重いのでは!?)

 二次元で見ていた時とは違う。俺はもうこの世界に入り込んでいるわけだ。まだ実感はわかないが、民たちもいるわけだし……?

(最初に推しと恋愛できる! って浮かれた俺が馬鹿みたいだな……)

 しかし、かといって、ゲームと同じような嫉妬システムがあれば自分の命にかかわりかねない。
 これは緊張感のある生活になってきた……!

(けど、どうやって皇子たちと接触していけばいいんだろ。ゲームではカレンダーごとにイベントがあったけど、その辺もこっちの世界でいきてるのかな?)

 俺の疑問にこたえるように、ランベールが「明日、今後の予定をまたご説明しますね」と言った。どうやら、行事的なものは色々あるらしい。とりあえずはそれに乗っかれば、なんらか接触をはかれたり、皇子たちの人柄なども分かったりするだろう。とりあえず部屋に戻るかと来た方向を見ると、ランベールが優しく尋ねてくれる。

「ご自分の部屋の場所はおわかりになりますか? お送りしましょうか?」
「あ。はい! それは大丈夫です!」
「あまり夜遅くまでは出歩かれませんように」

 ランベールはにこりと笑ってそう言った。

「城や神殿には結界が張ってありますが、魔獣が出るやもしれませんよ」
「まさか……」

 冗談めいた言い方に、ははは、と俺が笑うと、ランベールは丸眼鏡の奥の瞳を光らせた。

「それに……」
「今は皇子たち同士の関係があまりよくないですから」
「え……?」

 俺がそれに反応すると、ランベールはまたにこりと目を細める。

「争いに巻き込まれないよう、お気を付けください。ルイ様はただ「選べばいい」のです」
「……はい」

 そう言い残してランベールはその場を去った。
 俺の中には妙な違和感だけが残り、なんだか、胸の奥がじくじくと痛む気がした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

鈍感モブは俺様主人公に溺愛される?

桃栗
BL
地味なモブがカーストトップに溺愛される、ただそれだけの話。 前作がなかなか進まないので、とりあえずリハビリ的に書きました。 ほんの少しの間お付き合い下さい。

処理中です...