恥ずかしい話し

ミク

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飲み屋のママさん3年後

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3年間通い続けた銀座のスナックみゆき
未だに貰った名刺を利用することなく、
毎日3000円が消えていく日々。
世の男たちはきっともっと高いお金で女と遊ぶだろう。

でも僕は、ただの飲み屋の客。
それも向かいのアパートの女が気になって
あとを追ってついてきただけ。
未だに彼女の家に行った事もない。
それに全て店の住所、電話番号、定休日全て記載されている以上、それ以上聴くこともないのである。

だからと言って、「今日身体を触らせてくれますか?」とは彼女に聞く勇気もない。
それに「自宅に行ってもいいですか?」とは聞けないのである。

本当は向かいのアパートに住んでいるのが、
あの店で働く彼女なのだろうか?一度懐いてしまった疑惑を晴らさなければ、今まで注ぎ込んでしまった、3000円が泡となって消えてしまう。

男という生き物は、妙な好奇心と妙な正義感というものがあり、気になってしまったら、
どうにもならないのである。
それに女と違い、上手く切り替えることができない。執着心があるのだ。

今日こそは閉店ギリギリに行き、彼女と一緒に帰ろう。
そんな風に思って終電で銀座に向かった。
駅に到着して店の前に着くと、彼女がいた。

彼女は僕を見るなり、「あら、いらっしゃい、こんな遅くに珍しいわね。」と言った。

僕は返す言葉に困った。
彼女は慣れた手つきで僕を連れて店の中に案内した。そして彼女は僕向かってこう言ったのだ。「閉店ギリギリに来るなんて、珍しい。今日はもう来ないかと思った。この店の皆勤賞だもん。貴方。今日はお代は結構よ。
それより私に付き合ってよ。明日は土曜日だからいいでしょう?」
僕はなんと言っていいか分からなかった。

彼女とは3年の付き合い。何も言わなくても、全て彼女分かっている。
僕が思っている以上に勘が鋭く、鮮明で記憶力がいいのである。
だから何も言わなくても彼女は僕の思う通りにしてくれるのである。

彼女は僕に向かってこう言った。
「返事がないってことはいいのね。私の自宅を知りたいでしょう。向かいアパートに住んでいるのが私かどうか知りたいでしょう?」

僕は思わず言った。
「なぜわかったのか?それが言えずに3年の間店に通い続けた。なぜ君は僕の思う事がわかるのか?」
彼女は笑った。そしてこう言った。
「あんた馬鹿ね。顔に書いてある。それほど驚く話ではないわ。昔から貴方はそういう人。変わったお客は多いけど、これほど変わったお客は少ないわ。」
僕は返す言葉を失った。
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